栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2024-2025」

第89回日本ダービー回顧~ダービーを勝つということ(2)

2022-05-30 11:39:44 | 血統予想

東京11R日本ダービー
◎18.イクイノックス
○12.ダノンベルーガ
▲16.キラーアビリティ
△15.ジオグリフ
×13.ドウデュース
ディープインパクト産駒が4連覇中の日本ダービー。シャフリヤールの母はダ7Fの北米G1勝ちで、コントレイルの母母は北米2歳女王。ロジャーバローズの母父は欧一流マイラーで、ワグネリアンの母母は短距離の追い込みでならした。「父が2400のチャンピオンで、母や母父がマイラーやスプリンターで、自身は2000ベスト」という馬が勝ちやすいレースともいえる。
ダノンベルーガの共同通信とイクイノックスの東スポは、ダービーを意識するに十分なインパクトで、ともに東京ならジオグリフに雪辱という意気込みだろう。ともに父(ハーツクライ、キタサンブラック)は12Fのチャンピオンで、母父(ティズウェイ、キングヘイロー)は一流マイラー。ただダノンはスワーヴリチャードに近いイメージで2000よりも2400、イクイは父よりはマイルに寄って2000ベストかなあという気はする。一口ピックで推奨したように、配合もイクイのほうが筆者の好みだ。
ジオグリフは距離延長はたしかにプラスとはいえないだろうが、ダービーは2000ベストなら能力や完成度で何とかなるレースだし、ナスペリオン的なしなやかストライドは中山向きというほどでもない。2400ならスロー希望だが、東京で上がりが速くなりすぎるのも微妙、というジレンマはありそうだが…。
ドウデュースはダンシングブレーヴの近親だし、ここもメリハリつけてビュンと差すケイバでくるだろう。距離延長はプラスではないが3着なら。プラダリアはいい馬だが、青葉賞馬は2馬身以上の完勝でないと狙いづらい。オシャンコポンは皐月賞で◎で狙ったが、あの上位との差が東京で詰まるかとなると難しいのでは…。アスクビクターモアは重厚なステイヤーに見えるので秋まであたためるべきか。フォトパや追い切りを見た感じでは、出来が上向いている馬が多そうですね。
4強が中団~後方で牽制し合った際に、ロジャーバローズのように一足先に抜け出して流れ込んでしまえる穴馬は…というところで取り上げたいのがキラーアビリティ。ディープ産駒だが差し馬ではないと思うし、出遅れた皐月賞はある程度度外視していいのでは。これもぶっつけを叩いて体つきは良くなっている。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

ドウデュース
ベイショアS(米G2・ダ7F)2着Much Betterやフラーレンの半弟。母ダストアンドダイヤモンズはギャラントブルームH(米G2・ダ6.5F)勝ち。母父VindicationはSeattle Slew直仔の北米2歳チャンピオン。母方に北米スピードが強く、長いところよりも1800あたりがベストだろう。皐月賞はスローの前残りを上がり1位の脚でビュンと追い込んだ。ダンシングブレーヴの近親だから、速い脚を一気に使うようなレースが合うのかも。名手の手綱捌きに注目。(距離○スピード◎底力○コース◎)



イクイノックス
ヴァイスメテオールの半弟で、母シャトーブランシュはマーメイドS勝ち馬。牝祖メゾンブランシュはクイーンS3着。父キタサンブラックは年度代表馬で初年度からジャスティンスカイ、ブラックブロッサム、ラスールなどを輩出。見た目はわりと父似で、この牝系らしいHyperion的な強靭かつ持続力あるストライド。東京はプラスだし、同じケイバでもジオグリフに雪辱の算段はできる。皐月賞で前半燃えてしまったのが唯一不安材料。道悪は鬼では。(距離○スピード○底力◎コース◎)



アスクビクターモア
コロネーションS(英G1・芝8F)勝ちQemahの半弟で、フィリーズマイル(英G1・芝8F)勝ちPretty Gorgeousのイトコ。母カルティカはフィユドレール賞(仏G3・芝2100m)3着。母父Rainbow Questは凱旋門賞馬。母父の重厚さやRobertoのパワーも強く、弥生賞を見てのとおりなかなかしぶとい中長距離馬だ。昨年のタイトルホルダーといろいろイメージが重なるが、最近のダービーは上がりが速くなるのでどうか。ロジャーバローズのような運びで活路。(距離◎スピード○底力◎コース○)



ドウデュースの血統や配合については朝日杯の回顧でひと通り書いているので、そちらも参照してください
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/d/20211221

シャフリヤール(母ドバイマジェスティはダ7Fの北米G1勝ち)、コントレイル(母母Folkloreは北米2歳女王)と、母方が北米短距離~マイルのディープ産駒が連勝中だった日本ダービー

今年はハーツクライ産駒で、やはり北米短距離で活躍したダストアンドダイヤモンズを母にもつドウデュースがみごとな勝利

12Fのチャンピオンの種で3歳5月にある程度完成する2000ベストの馬をつくるには、母方からスプリンター~マイラーの血を、それも完成の早い北米血脈を取り込む必要があるのだ、ということを改めて示唆してくれたといえます

ダノンベルーガも母コーステッドはBCJフィリーズターフ(米G1・芝8F)2着ですから、ハーツ×北米マイラーの図式ではあるんですが、母系の奥にはLomitasやRainbow Questなど重厚な欧血が入り、ダート短をゴリゴリというほどのフィジカルさはない

猛烈な一週前追いでたしかに皐月賞よりも仕上げてきた体つきでしたが、パドックの歩きは典型的なハーツの若駒という感じでトモがゆらゆら、私はスワーヴリチャードのように5歳JC完成だろうというイメージでした

「ハーツクライらしいハーツクライ」ではなく「ハーツクライらしくないハーツクライ」のほうが勝ったわけで、日本ダービーに求められるものはJCとは違うのだというね

向正面の映像が流れると、ユタカとドウデュースはポツンと馬群の切れ目で折り合い、そのときの馬ナリのフォームが一頭だけ豹のようで、まさに弓を引いてビュンと放つ直前のような、あの豹の馬ナリを目の当たりにしたときに、これは直線ビュンとくるなと、あそこが今年のダービーのハイライトやったように思います

ユタカが朝日杯に行きましょうと進言したぐらい母方のマイラーの素養も強く、それを半年後にダービーの向正でしなりまくる豹につくりあげたというのも、毎年のことですがさすが友道としか言いようがなく、騎手力や厩舎力も改めて痛感させられたダービーでした

イクイノックスはキタサンブラック産駒としてはWorden≒Le Fabuleuxのニアリークロスが隠し味やと思っていますが、それだけに実戦でカッとなりやすい面は皐月賞でも見られ、ルメールはソッと出したら思いのほか後ろになってしまったようですが、でも脚のある馬はわかってるので、4角で川田か祐一かユタカの後ろに取りつけばという運び

馬は皐月賞から更に良くなっていたし、目論見どおりに運べて直線爆発したんですが、でも理想をいえばキタサンブラック×キングヘイローですから、ブラックタイド×キングヘイローのフェーングロッテンが直後の白百合Sを逃げ切ったのをみても、父のようなレースができるようになったときが本格化で完成のときではないかと…これも母母ブランシェリー(Hyperion4・6・6×7・8・8)なら来年はもっと楽しみです

アスクビクターモアは戦歴や脚質がタイトルホルダーと重なるので菊花賞だろうと書いてきましたが、このペースを番手で粘りに粘るというのはすでにいろいろバレてしまった感が(^ ^;)

前後半58.9-24.0-59.0という締まったペースで、ステイヤー寄りのアスクビクターとプラダリアがスタミナで食い下がり、いっぽうドレフォン産駒は止まってしまいましたが、タイトルホルダーも今年みたいなペースなら3着ぐらいに粘ったと思うんですよね

「ダービーを勝つということ」このタイトルを最初に使ったのはワグネリアンが勝った18年ダービーの回顧でしたが、強敵ブラストワンピースを内に封じ込めて悲願のダービー制覇を果たした福永祐一は、今日もダノンベルーガの外への進路を完全に封じていました

他にも息をのむようなシーンが道中いくつもあったし、実に素晴らしいダービーやったと思います。関係者の皆さまおめでとうございました

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日曜のボツ予想~エピカメ1/4マイラー

2022-05-29 10:07:28 | 血統予想

『配合パズルでアタリはわかる 2022(裏)』の販売がスタートしています
http://miesque.com/c00084.html
主要な父と、相性のいい血(ニックス)を考察した血統同人誌『配合ズルでアタリはわかる 2022』の姉妹版にあたる作品で、“表版”では紹介できなかったニックスを、すべてまとめて“裏版”として書籍化しました


ニックスに該当する2歳馬、1歳馬をすべて掲載。2歳馬はPOG、1歳馬は一口馬主の馬選びでお役立てください

白百合は▲ヴェローナシチーにかぶりましたが、母が中距離×中距離のエピファ産駒で持続力と成長力に富む反面、少頭数スローで構えているとまたジリジリ3着かも



◎フォースクエアもエピファ産駒ですが、こちらは母母ヒカルアマランサスがヴィクトリアマイル2着のマイラー
きさらぎ賞はソエや不利があって度外視、新馬勝ちの内容が良かったしもっと走れる馬やと思ってます

NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」ではダービーと目黒記念とむらさき賞を、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」ではダービーを予想していますので、日曜もよろしくお願いします


http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatop
http://www.keibado.ne.jp

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土曜のボツ予想~ディープ×Tiznow

2022-05-28 09:43:25 | 血統予想

中京6はここから一本かぶりになるかもですが◎ロールアップ
ディープ×Tiznowは以下のように最新の黄金配合(Sir Ivor≒Incantationのニアリークロスが根拠)、前走は相手には恵まれましたが、直線抜け出すときの身のこなしはさすが





NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」では葵Sと欅Sと御在所特別を、競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」では葵Sを予想していますので、今週もよろしくお願いします


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日本ダービー一言コメント

2022-05-26 14:56:38 | 血統予想

アスクワイルドモア:脚長ペルーサ
セイウンハーデス:Nijinskyステート
アスクビクターモア:ブラグル・ディーマジェ
マテンロウレオ:グラワン風ハーツ
ピースオブエイト:相似配合Danzigパワー
プラダリア:ブラグル・ディープⅡ
オニャンコポン:キングズベスト≒サプレザ2×2
ビーアストニッシド:曲飛×曲飛×曲飛
ジャスティンパレス:Theatrical重厚スト
マテンロウオリオン:ナスペリぼんちゃん
ジャスティンロック:脚長Ribot肩持続体質
ダノンベルーガ:ブラグル・リチャード
ドウデュース:ダンブレ俊敏差
デシエルト:逆さまドゥラシャーペン
ジオグリフ:胴長ナスペリ猫
キラーアビリティ:ブラグル・ディープ
ロードレゼル:カナダ牝系パワー
イクイノックス:ナタ×Halo×ナタ

大外18番に人気馬入りすぎ問題
ダービー:イクイノックス←NEW
オークス:スターズオンアース
NHK:ダノンスコーピオン
春天:ディープボンド
皐月:イクイノックス
桜:ナミュール

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第83回オークス回顧~秀才中距離馬、母娘孫オークス制覇への道

2022-05-24 15:34:57 | 血統予想

東京11Rオークス
◎8.ナミュール
○18.スターズオンアース
▲6.サークルオブライフ
サークルオブライフはエピファネイア×アドマイヤジャパンだから2400×2400だが、母母だけがマイラーというのがエフフォーリアやデアリングタクトと同じでバランスが取れている。JFに勝ったが肉付きやアクションはマイラー然としないし、桜花賞4着が59.7-33.3、チューリップ賞3着が58.9-34.5、阪神JF1着が59.9-33.9と、前半ゆっくり入ったほうが高パフォーマンスなのも中距離馬説を裏付けるものだ。追い切り絶好で出来も更に上向いている。
ただ中距離馬だとすると、1800の新馬戦でイクイノックスにちぎられた3着だったのが、馬場の荒れたインを突いたにしても食い足りない内容。チューリップも内枠から馬群を捌こうとしたら案外弾けなかったし、JFもアルテミスも桜花賞も外からいい脚で追い込んでいたから、馬群を割るようなレースは得手ではないのかもしれない。スローで馬群が一団になる可能性も高そうで、1人気で各馬からマークされてスムーズに外に出せるかどうか。ミルコがどう乗ってくるか。
今年の桜花賞は前後半46.8-46.1の後傾ラップ。いわば1800質のレースで、中距離馬が好走できる余地がかなりあったから、そのままオークスに直結する可能性も低くないだろう。ウォーターナビレラはロベルト4×5のシルバーステート産駒だから機動力抜群のレース巧者で、ここも内枠を引いてユタカがスローを絶妙に立ち回るが、それをギリギリ差したスターズオンアースも、父ドゥラメンテと母母スタセリタが中距離の名馬で、母父スマートストライクがミスプロ系のマイラーだから中距離馬としてバランスの良い配合。マイル戦で2着が多かったのはマイラーではなく中距離馬だからで、これもオークスのほうがパフォーマンスは上がるとみたい。スタセリタとソウルスターリングでオークスを勝ったルメールが空いていたのも運がある。スローならアートハウスも侮れないが、やっぱり「瞬発力のあるウインマリリン」というイメージで買うべき馬だと思うのだ。
ナミュールはそれほど馬体は増えていないが、中間の体つきや今週の追い切りを見た感じでは桜花賞より気配は良い。母方からマイラーっぽい爆発力を受け継いでいるとはいえ、430キロのハービンジャー産駒だし、60.8-33.0の赤松が最も弾けたから、これもスローのオークスのほうが爆発できるイメージだ。桜花賞で◎にした馬だし、印としてはこれを◎としたい。3頭で買いたいです。

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例によってNETKEIBAの血統解説より導入文と1~3着を

勝つのはNureyevの血、桜花賞馬は[2-0-0-2]で明暗クッキリ
近5年のオークス馬のうち、デアリングタクトはSadler's Wells≒Nureyev4×5で、アーモンドアイはNureyev5×3のクロス。ユーバーレーベンとラヴズオンリーユーもNureyevの血を引いており、残るソウルスターリングもNureyevと3/4同血のSadler's Wellsをもつ。桜花賞馬は4頭出走して[2-0-0-2]。距離をこなせば二冠達成、こなせなければ大敗と明暗クッキリ。

スターズオンアース
ソウルスターリングやシェーングランツの姪で、母母スタセリタは仏オークスやヴェルメイユ賞など欧米の芝中距離G1を勝ちまくった。父ドゥラメンテは二冠馬でタイトルホルダーなどの父。母父Smart Strikeはストロングリターンの母父。しぶとい好位差しで重賞で2着を重ね、桜花賞も馬群を割りジワジワ伸びて差し切り。父と母母は中距離だし、オークスにも対応できるタイプの桜花賞馬だろう。鋭敏な脚はないのでまたまた惜敗かもしれないが…。(距離○スピード○底力◎コース◎)



スタニングローズ
バンゴールの全妹でロサグラウカやフォースラインの3/4妹。母ローザブランカはJRA3勝。母母ローズバドはオークスと秋華賞とエリ女で2着。おなじみのバラ一族で、叔父ローズキングダムとは父キングカメハメハも同じで3/4同血の間柄。この一族らしいミルリーフ的持続斬れが武器で、鋭くというよりはシッカリした脚どりで差してくる。フラワーCは距離延長もよかったが、中山より東京がベターだろう。一線級相手だと鋭さで譲るものの、ここも相手ナリに。(距離○スピード○底力○コース◎)



ナミュール
ヴェスターヴァルトの半妹で、マルシュロレーヌ、リリーバレロ、グレナディアーズ、アヴニールマルシェ、バーデンヴァイラーの姪。母サンブルエミューズはフェアリーS3着。3代母キョウエイマーチは桜花賞馬でトライアンフマーチなどの母。「重厚で緩い父×フィジカルなマイラーの母」の配合が絶妙にハマり、世代ナンバーワンのエンジンを誇るが、前走426キロでパワーマイラーというにはムチムチ感が足りない。スローのオークスのほうが爆発できるのでは。(距離○スピード◎底力◎コース◎)



好発アートハウスが斜めに出たために、そのあおりを受けた1人気サークルオブライフは最後方となってしまい場内にどよめきが

どのみち外に出す算段でいたのか、ミルコは腹をくくってケツから大外一気に賭けましたが、直線でも全く脚を使うことがなかったのは解せない負け方で、理由は判然としませんが走ってないことはたしかですね…

ウォーターナビレラも立ち回り勝負の馬だけにスタートが悪かったのは大誤算で、レースラップは前後半60.6-24.8-58.5、21年が59.9-25.2-59.4、20年が59.8-25.7-58.9、19年が59.1-24.5-59.2

前半の入りは近年では最も遅いんですが、中盤あまり緩まずに上がり4Fが全て11秒台と、わりとロンスパ戦になったし勝ち時計も速かった(ここ10年ではラヴズオンリーユー、アーモンドアイに次いで速い)

東京の直線で末脚をジワジワ伸ばすレースになったので、Roberto+Halo的な加速と機動力とコーナリングで勝負したいアートハウスとウォーターナビレラにとっては苦しく、アートハウスは4角回って坂をのぼるあたりまでは抜群の反応でしたがそこから脚色に陰りが

そのアートハウスの直後につけたスタニングローズにとっては最高の展開になり、3/4ローズキングダムらしいジワジワストライドで、バラ一族らしいMill Reef的ストライドでゴールまで伸びつづけてバラ一族らしい2着でした

パドックを一周見て「今日勝つかどうかは置いといて、スターズオンアースが今後マイル重賞を勝つことはないのでは」とコメントしておいたんですが、上がり1位で差し切ったという字面ほどの鋭さは見た目には感じられず、ドゥラメンテのような豪快なアクションでもなく、着実なフォームで着実に伸びて差し切ったというレースで、やっぱりこの馬は持続力ベースで着実に伸びつづける中距離馬なんやなあ~と

そんな馬やからマイルでは2着ばかりでパンツのヒモも見せてくれず、でも石橋脩がいろんなレースをいろんな舞台で経験させて、勝てないけれど2着を拾い賞金を加算しながら着実に成長していて、桜花賞でついに本格化したという成長曲線はドゥラメンテに瓜二つといってもいいのでは

2歳時に才気爆発で重賞勝ち→クラシックまでぶっつけみたいなローテが主流となっている昨今、赤松では天才少女ナミュールの影も踏めなかった秀才中距離馬は、その後も休みなく走りつづけ、敗戦を重ねるなかで積み上げてきたものが桜花賞とオークスで花開いた

「あ、これ脩先生に教わった問題や!あのときは間違えたけど今日は解けるで」

スタセリタ、ソウルスターリング、スターズオンアースで母娘孫オークス制覇の偉業を成し遂げ、馬上で勝利の雄叫びを上げるルメールを見ながら、ドゥラメンテをおろされ、ドゥラメンテの娘をおろされ、ドゥラメンテの娘に落とされた男は何を思ったのだろう

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第17回ヴィクトリアマイル回顧~フィリーサイアー、最後の大物

2022-05-23 19:36:47 | 血統予想

東京11R ヴィクトリアマイル
◎15.アンドヴァラナウト
○13.レイパパレ
▲16.デゼル
△11.ファインルージュ
×2.ソングライン
最近のヴィクトリアマイルはグランアレグリア(21年1着)、アーモンドアイ(20年1着)、ジュールポレール(18年1着)、アドマイヤリード(17年1着)、ランブリングアレー(21年2着)、プリモシーン(19年2着)、ミッキークイーン(16年2着)と、サンデーサイレンスとミスタープロスペクターとスペシャル血脈(ヌレイエフやサドラーズウェルズなど)を併せもつ馬が過去5年で4勝しており毎年連対圏を賑わせている。今年の登録馬では、アブレイズ、アンドヴァラナウト、ソダシ、ソングライン、デアリングタクト、ディヴィーナ、デゼル、テルツェット、ミスニューヨーク、ローザノワールがこの3血脈をもつ。
ローザノワール陣営が逃げ宣言をしているが、マイルだとレシステンシアやレイパパレはその後ろで折り合いたいから、ローザの単騎なら46秒後半-45秒前半みたいなペースになるか。このように前半が後半より1秒以上遅いヴィクトリアマイルは最近では18年と17年で、ジュールポレールとアドマイヤリードが勝ってリスグラシューとデンコウアンジュが2着。そう、1800質のレースになるので1800~2000に実績がある馬が好走しているのだ。
◎はアンドヴァラナウト。父キングカメハメハ×母父ディープインパクト×母母エアグルーヴなので、父キングカメハメハ×母父サンデーサイレンス×母母エアグルーヴのドゥラメンテと7/8同血の間柄になる。ドゥラメンテの近親では最もドゥラメンテに似た中距離馬だが、最近は肉付きがよくなってマイルに寄ってきた印象もあるから、1800質のヴィクトリアなら好位から抜け出すシーンがあるだろう。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より1~3着を

ソダシ
ユキチャンの姪で、ハヤヤッコのイトコで、メイケイエールも近親。母ブチコはJRA4勝(全てダ1800)。白毛とダート上級が出ることで有名な一族だ。ちなみにハヤヤッコはキンカメ×クロフネ×シラユキヒメで、本馬はクロフネ×キンカメ×シラユキヒメ。血統背景はもちろん、脚元のつくりやフォームにもダート適性は十分うかがえ、フェブラリーは先行馬ペースに乗って3着。同じ手が通用するかだが、アエロリットのようにパワー先行で流れ込みたい。(距離○スピード○底力◎コース○)



ファインルージュ
レンプランサやエストの下で、ザラストロの姪で、メイショウチタンのイトコ。母パシオンルージュはJRA3勝。牝祖ココパシオンはシェーヌ賞(仏G3・芝1600m)勝ち馬でココナッツパンチの母。母父ボストンハーバーはクロコスミア、ベルカント、ラプタス、イベリスなどの母父。3歳時は桜花賞と秋華賞で2着とクラシック路線で大活躍。機動力ある1800型でマイルにも2000にも対応するが、東京マイルだとスローを好位で立ち回りたいか。(距離○スピード◎底力◎コース○)



レシステンシア
母マラコスタムブラダはフィルベルトレレナ大賞典(亜G1・芝2200m)勝ち馬で、本馬の他にもグラティアスやミッキーブラックを産んでいる優秀な繁殖だ。3代母Pulmaは亜2歳女王。2~3歳時はマイルのHペース先行でならしたが、古馬になって体重が20キロほど増えパワーアップして短距離にシフトしてきた。今は1400がベスト距離で、桜花賞やNHKマイルを走っていた頃よりは東京マイルへの適性は下がっているのでは…という見立てで。(距離○スピード◎底力◎コース○)



今年のヴィクトリアマイルは田中勝春ローザノワールが気合いをつけてハナに立ち、前後半46.3-45.9で勝ち時計が1.32.2

前週のNHKマイルCが45.6-46.7で1.32.3ですから、古馬のマイルG1としてはまあゆったりと流れたということで、レイパパレ以外の先行勢はだいたい前残ったという結果に

いっぽうでアブレイズ、アカイイト、シャドウディーヴァ、ミスニューヨークといった中距離馬たちが軒並み後ろから詰めただけで、レイパパレやアンドヴァラナウトなど中距離に実績がある馬たちは伸びあぐみ、中距離馬が射程圏で追走してビュンと反応できるほどには緩まなかった…という意味では絶妙なペースともいえ、うなりながら坂を駆け上がり、アッという間に先頭に躍り出たソダシの白い馬体しか印象に残らないぐらいの完勝でした

パドックを見たらソングラインもファインルージュも出来がいいので「やっぱり牝馬G1はキズナかねえ~」なんて言ってたんですが、ちょっと前のフィリーサイアーの代名詞といえばクロフネで、その最後の傑作が黙ってなかったですね

クロフネが自身に比肩するようなダートの大物を出せなかったのも、自身に比肩するような有力な後継種牡馬を残せなかったのも、フィリーサイアーぶりが顕著だったからというしかない



そのぶんスペシャルウィークのように肌に回って優秀で、クロノジェネシス・ノームコア姉妹やレイパパレなどはクロフネの肌、オークスでもキングカメハメハ×クロフネのスタニングローズが気を吐いてました

あと下表のように、このシラユキヒメの子孫は白毛のダート上級が出ることで知られますが、孫世代になると牝はむしろ芝での活躍が目立ってますな



というわけで今回もサラッと回顧で、明日にはオークスも書いてやっと追いつきたい(・∀・)

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5/21,22の血統屋コンテンツ推奨馬の結果速報

2022-05-23 15:45:43 | POG

まずは一口ピックですが、シルクの追加募集、ノルマンディーの3次募集ともに望田のピックはなしです(栗山のピックについては一口ピックの掲示板をご覧ください)

■『ディープインパクト好配合リスト(2021)』で栗山求が推奨したケイアイセナ(牡3歳)が日曜新潟5Rの未勝利戦(芝1800m)を勝ち上がりました。

★ケイアイセナ(牡・母ケイアイガーベラ)
https://db.netkeiba.com/horse/ped/2019100318/
全兄Fierce ImpactはトゥーラックH(豪G1・芝1600m)などオーストラリアで3つのマイルG1を制覇。同じく全兄ケイアイノーテックはNHKマイルC(G1)の勝ち馬。母ケイアイガーベラはプロキオンS(G3)とカペラS(G3)を勝ったパワータイプだが、前者を勝った際はダート1400mで1分21秒8のレコードを樹立した。本馬はAlzao≒Touch of Greatness(3×4)のニックスを持つが、このパターンは連対率29.6%、1走あたりの賞金額397万円で、ディープインパクト産駒全体の23.9%、341万円を上回る。5月30日生まれなので強気にはなれないが、配合的には申し分ないので、3歳春ごろに成長が追い付いてくればおもしろい。(栗山)

■土曜東京9RカーネーションC ストーリア(一口・栗山)
■土曜中京10RシドニーT ヴィオリーナ(一口・望田&栗山、ディープ・望田)
■日曜中京6R1勝クラス ハーツアズワン(一口・望田)



「母系にSharpen Upをもつドゥラメンテ産駒」=ドゥラシャーペンは上のようによく走っています(スターズオンアースと除外されたサウンドビバーチェも…)
そして「母系にSharpen Upをもち、かつNureyev≒Sadler's Wells(Fairy King)の3/4同血クロスをもつドゥラメンテ産駒」は出走5頭全てが勝ち馬となっており、POG書籍にはこのパターンも1頭入れておりますよ

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本日発売『POG種牡馬別好配合馬リスト(2022)』

2022-05-22 23:32:07 | POG

(以下栗山ブログよりコピペ)
大変お待たせいたしました。いよいよ本日から発売いたします。以下のURLからお求めいただけます。
http://miesque.com/c00083.html

現2歳世代のすべての血統登録馬のなかから、望田潤と栗山求が注目する配合馬を50頭ずつセレクトし、血統表とともに解説するという本です。POGを勝ち抜くためのこの上ない武器となると確信しております。

2011年以降、毎年刊行していた『種牡馬別好配合馬リスト ディープインパクト編』は、昨年予告したとおり、現2歳の同産駒がわずか6頭しかいないため終了。後続企画について社内で検討した結果、1頭の種牡馬にフォーカスするのは時期尚早との結論に達し、すべての種牡馬を横断した今回の本を製作することになりました。



『望田潤のPOG好配合馬リスト』に栗山求セレクトを加えた内容、という説明が分かりやすいかと思います。血統表と解説を1ページにまとめ、クリックでどんどんページがめくれるので、配合をチェックする際には便利だと思います。最新の知見を盛り込んでじっくり配合を吟味して完成させた自信作です。望田と栗山のそれぞれの推奨馬のうち13頭が共通しています。

『望田潤のPOG好配合馬リスト』は定価1000円だったので、もし仮に望田潤、栗山求を分冊化すると合計2000円でしたが、1冊にまとめて1800円とすることで200円の割り引きとなり、お求めやすくなっております。何卒よろしくお願い申し上げます。

※「Yahoo!メール」などのフリーメールをご使用の場合、購入確認メールが自動的に迷惑メールフォルダに仕分けされてしまう場合がございますのでご注意ください。携帯またはスマホをご利用の方は、PC発信メールの受信可否をご確認いただければ幸いです。IDとパスワードの入力は、コピー&ペーストではうまくいかない場合がございますので、手入力をお勧めいたします。
※クレジットカードをお持ちでない方でも、ネット専用のVisaプリペイドカード「Vプリカ」を利用してお求めいただけます。審査不要でどなたでも作ることができ、クレジットカードと同様にネット上の決済ができるという優れものです。「Vプリカ」はネットでもコンビニでも手続きをすればすぐに買うことができます。

1 Vプリカのアカウントを作る
2 Vプリカを購入し、発行コードを入力する
3 PayPalのアカウントを作る
4 PayPalのアカウントにVプリカのカード情報を登録する
5 血統屋ウェブサイトにおいてPayPalで決済す

このような流れで購買することが可能です。YouTubeなどにもわかりやすいご利用ガイドがあります。ぜひお試しくださいませ。

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「一口好配合ピック」と並ぶ「血統屋」の看板コンテンツが今年も発売になりました

今年は栗山&望田の合本という形で、それぞれ50頭の好配合を取り上げて解説しております

この2020年生はコロナ禍の真っただ中、牧場やセリで仔馬を見る機会が激減したために、隠し球っぽいのはあまり取り上げられなかったかなあ…というのは正直あります

そんなわけで各媒体で取り上げられてる馬、クラブ募集馬、あと私が配合に関わった馬(あの大喜利馬も入ってます)というような50頭のラインナップになりましたが、まずは血統表を吟味し、それから写真を見て近況をチェックして…という手順で選んでいるのがほとんどです

あとはサトノダイヤモンドやリアルスティールなど、新種牡馬の産駒は意識的に多めに入れた感じですかね

そんなわけで今年もよろしくお願いいたします m(_ _)m

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あと競馬予想GPのサイトでは『2022新種牡馬厳選POG好配合馬リスト』を販売中です
こちらは栗山と望田がそれぞれ新種牡馬の仔を10頭ずつ厳選、血統解説付きでご覧いただけます
栗山版望田版ともに600円、両者セットで1000円です、こちらもよろしくお願いいたします


https://peraichi.com/landing_pages/view/elupog

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日曜のボツ予想~ロジータの面影

2022-05-22 10:30:58 | 血統予想

鳳凰はヘニーヒューズvsドレフォンの新旧Storm Cat種牡馬対決、◎は迷いますが、1R2Rと時計や上がりがかかって追い込みが決まってたので◎カンピオーネで(単純)
ヘニーヒューズの男馬ですが、オールドファンなら見た目に南関の女傑ロジータの面影を重ね合わせられる馬で、ヘニーヒューズ×ロジータといえばトイガーなんて馬もいました



NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」ではオークスとフリーウェイSと丹沢Sを予想していますので、日曜もよろしくお願いします(競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」は栗山さんの担当)


http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatop
http://www.keibado.ne.jp

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土曜のボツ予想~ディープ×グルームダンサー

2022-05-21 09:28:25 | 血統予想

「血統屋」のPOG書籍の発売が遅れておりますm(_ _)m 明日日曜の朝には出せるようですので、もうしばらくお待ちください…よろしくお願いいたします

新潟は今日は降らない予報で、荒れ馬場ですが良でやるとなると、早苗は何とも決め手に欠けるメンバー
速い上がりを出せない馬たちばかりなので、◎メモリーサボアールが外からまとめて差せるイメージで



ディープブリランテはRivermanを引くので、メイショウオワラ、アバルラータ、リカビトスなど牝駒はわりと斬れ脚質が出るし(牡駒はいかにもバブルプロスペクターらしい粘着ジリ脚)、母系に入るグルームダンサーはディープインパクトとニックスな血
ダービーに出るプラダリアもこのパターンですが、下表のようにディープ孫の代やブラックタイド産駒でもまずまず好成績で、ディープブリランテ×グルームダンサーは3頭とも勝ち馬になっています





NETKEIBA「厳選予想 ウマい馬券」では平安SとカーネーションCと東京6Rを予想していますので、今週もよろしくお願いします(競馬道OnLine「今週のBLOOD穴ライズ!」)は栗山さんの担当


http://yoso.netkeiba.com/?pid=yosoka_profile&id=24&rf=umatop
http://www.keibado.ne.jp

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