栗山求/望田潤監修「パーフェクト種牡馬辞典2022-2023」

エヴァーグリーンな凱旋門賞に

2022-09-27 22:28:51 | 配合論

凱旋門賞と日本馬の歴史はHyperion惜敗の歴史ともいえ、エルコンドルパサーはForli(Nureyev≒Sadler's Wells3×2、Special=Lisadell4×3・4)、ナカヤマフェスタはFlower Bowl(母His Majesty2×4)、そしてオルフェーヴルはノーザンテースト4×3







この3頭の名馬が、直線先頭に立ってHyperionを最後の一滴まで振り絞って、それでも惜敗だったのが凱旋門賞というレースなのです

エルコンドルパサーを差し切ったのは無敵を誇ったSadler's Wells産駒Montjeu、ナカヤマフェスタを差し切ったのはNureyev≒Sadler's Wells4×2をもつKingmambo系ワークフォース



12年オルフェーヴルを差し切ったのは父父Sadler's Wells×母父Shirley HeightsでBold Reason≒Never Bend4×4をもつSolemia、そして13年オルフェーヴルを突き放したのはMontjeuの息子Motivatorを父にもつ女傑Treveでした





タイトルホルダーはKingmamboの父系にエアグルーヴとMotivatorとShirley Heightsを重ね、クロスがNureyev≒Sadler's Wells5×4

まさに脳天からつま先まで全身Hyperionずくめ、近20年ぐらいの日本産馬のなかで最もHyperion的な名馬、底なしのスタミナと強靭な手先で駆け抜けるタイトルホルダーが、ついに凱旋門賞に駒を進めて、横山和生を背に逃げ宣言、オッチャンはもうすでに泣き出しそうです



日本馬を応援するのは毎年のことですが、今年はちょっと違う思いで、タイトルホルダーのHyperionが通用しなかったら何が通用するんだ、何を信じればいいんだというぐらいで、エヴァーグリーンな凱旋門賞になると信じてテレビの前に陣取ります

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Baaeedの配合

2022-08-18 09:49:43 | 配合論

Baaeedの血統表をみると、Urban Sea、Park Appeal、Miesque、Glorious Song、Courtly Dee、そしてHeight of Fashionと、代々名を連ねる名牝名繁殖たちにまず圧倒されます





次に母AghareedがもつMr.Prospector2×4、Nureyev≒Sadler's Wells3×4、Northern Dancer4×5・5、このクロスのうるささに圧倒されます

そこにPark AppealとAllegrettaというアウトサイダーな名血を受け、自身もアウトブリードのSea the Starsが配されたことにより、この配合的な緊張と緩和によって良血名血が爆発したのがBaaeedなのだと気づかされます





Baaseedの全兄Hukumも今年のコロネーションS(英G1・芝約12F)に勝った一流馬ですが、Aghareedの仔で成功しているのは今のところ父Sea the Starsだけ

Lahudood(f.2003.Singspiel)BCフィリー&メアターフ-米G1ほか
└Aghareed(f.2009.Kingmambo)仏2勝
 ├Abqary(m.2014.Dubawi)不出走
 ├Kasbaan(g.2015.Dansili)英3勝
 ├Al Raahba(f.2016.Frankel)不出走
 ├Hukum(m.2017.Sea the Stars)コロネーションC-英G1
 ├Baaeed(m.2018.Sea the Stars)G1計6勝
 ├Zaghaareed(f.2019.Intello)不出走
 └Naqeeb(f.2020.Nathaniel)不出走

Northern DancerもMr.ProspectorもHail to ReasonもNasrullahも何ももたない、主流のラインの血を全く引かないPark AppealとAllegretta、このスーパー名繁殖2頭の偉大さをまたまた噛みしめさせられるわけです

さて、これから札幌に戻る準備にかかります…来週はサマーセールへ

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サンデーサイレンスの血統表でみる「3/4同血」「1/4異系」「配合的な緊張と緩和」

2022-01-01 17:13:51 | 配合論

あけましておめでとうございますm(_ _)m 本年もよろしくお願いいたします
(このエントリは毎年、年頭に再掲します)

コーヒーブレイクさんの質問にお答えしているうちに、「3/4同血」「1/4異系」「ニアリークロス」「緊張と緩和」この4つについての例示がブログのトップに必要だろう…と思ったのでササッとつくりました

この4つを説明するのに最も適材なのは、やはり最も優れた種牡馬でした



サンデーサイレンスの父Haloは
Sun Princess≒Mahmoudの3/4同血クロス4×3
Pharos≒Pharamondのニアリークロス5・5×3
Blue Larkspur4×4
その父Hail to ReasonはPlucky Liegeの牝馬クロス4×4







サンデーサイレンスの母母Mountain FlowerはHyperion3×4で、サンデーサイレンスの母Wishing Wellはアウトブリード(4×4以上の強いクロスを持たない)



まとめると、サンデーサイレンスは

・3種類の強いクロスを持つHaloに、アウトブリードのWishing Wellを配した「緊張→緩和」の配合
・HaloもUnderstandingもHyperionのクロスを持たない(HaloはGainsborough6×5、UnderstandingはGainsboroughのクロスなし、ともにSeleneのクロスなし)ので、Hyperion3×4のMountain Flowerが「1/4異系」になっている
・Mountain Flowerはいわゆる北米血脈を全くと言っていいほど持たない(母系の奥にMan o'Warの顔が見えるだけ)ので、サンデーサイレンスは「3/4北米,1/4Hyperion」という言い方もできる

というわけでサンデーサイレンスの血統表には、「3/4同血」「1/4異系」「優秀な牝馬のクロス」「緊張と緩和」という笠理論の根幹、配合史に書いてあることほとんど全てが織り込まれているわけです

----------

欧リーディングサイアーに君臨しつづける大種牡馬Galileo…母母AllegrettaがAralia≒Almyra3×2で、このドイツ土着のDark Ronald系の血の凝縮が「1/4異系」となっている







北米血統のスピードの源泉Domino…わずか2世代19頭の産駒を通じて、今も世界中のサラブレッドに絶大な影響を与えている。血統表の3/4でLexington~Bostonの血のクロスを重ね、父父Alarmのところだけはこのラインと無縁の血で構成されている



※こちらもよろしくお願いします
アーモンドアイの血統表でみる「全きょうだいクロス」「3/4同血クロス」「1/4異系」「配合的な緊張と緩和」
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/f3163aa97588224613a16b359eb7a94c

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母娘二代配合大喜利~PreachとYarnなヤエノリバーちゃんの配合相手

2021-11-26 00:21:29 | 配合論

久しぶりに配合大喜利やります~名血ツァーリーナの配合相手を考えよう!
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/4cbedab3fc63bed2db3c80fc55665f00

この大喜利によりヨハネスブルグを配されたツァーリーナは翌年娘を産み、ヤエノリバーと名づけられたその牝馬はJRAで4戦するも掲示板もないままで、前肢に故障を発症し、この夏に引退することになりました

そのときに上野さんと「ヤエノリバーどうしましょうか…繁殖としても魅力ある血統なんやけどなあ…」という話をしてて、オーナーの厚意で無償で譲っていただけることになったので、ならば仔を何頭かとってみようかと有志数人に声をかけ、繁殖として共有という形でチームが発足しました(・∀・)







配合種牡馬は最終的には私が決めますが、来年は初仔ということもあり、あまり高い種は付けないつもりです

産駒は基本的には売る方針で、共有したりクラブに入れたりということはしない予定なので、配合種牡馬のチョイスに際しては当然そのあたりも考慮します



写真は8月にこっちに帰ってきたばかりのヤエノリバーですが、薄手でみるからにトモが非力で、歩かせてもユラユラという感じで、あ~この後駆はRound Tableやなあ…

Yarn=Preachの3代母MonarchyはRound Tableの全妹で、そこにBold Rulerですからボルキロ柔いんですが、それが後ろの非力さ緩さとしてヤエノリバーちゃんに伝わったようで、ダート血統なんですが体つきや歩きを見ると芝馬みたいなんですよね(^ ^;)



無敗の三冠馬Justifyとどこがどう違ったんやろう…と考えてもあまりにも違いすぎて頭をひねるばかりですが(^ ^;)、マイルCSの回顧でも書いたように、PulpitにUnbridledやIn Realityの頑強さを補ってTapitが出たことと、Justifyの母父GhostzapperのDeputy Minister×Relaunch×Tri Jetという頑強さ、ここらをヒントにするならば、ダート馬を狙うならばエンパイアメーカーの頑強さをONにするような方向でしょうかね



いっぽうでこんなにRound Table的ならば、芝に振ってみる手もあるのではないかという考えもひとつあって、そろそろチームで議論しながら配合相手を絞り込んでいこうかなと思ってるんですが、ここはブログ読者のみなさまのお知恵も拝借しようということで、母娘二代・ヤエノリバー配合大喜利を公募することにしました(・∀・)よろしくお願いしますm(_ _)m

あと下記のヴェルナッツァ大喜利、すでに沢山の案をいただいておりますが、こちらもまだまだ受付中ですのでよろしくお願いしますm(_ _)m

配合大喜利「名牝系のUnbridled's Song肌、ヴェルナッツァの来春の配合相手」
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/1abbafc47ca36a0698ab99550143a0b1

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配合大喜利「名牝系のUnbridled's Song肌、ヴェルナッツァの来春の配合相手」

2021-10-13 16:10:46 | 配合論

クリソベリルの引退種牡馬入り&ポエティックフレア導入の報にバタバタしておりますが、ひとまず公式発表を待ちましょうか

オーナーの許可を得たので、久々に当ブログで配合大喜利をやります



お題となる繁殖牝馬ヴェルナッツァは米国産で不出走
これまでの産駒にはホスト(牡、父ファルブラヴ、JRA3勝、南関3勝など)、カレン(牝、父ディープブリランテ、JRA2勝)などがいます
1歳は父バゴの牡(先月のセプテンバーセールで616万円で落札)、当歳は父ミッキーアイルの牝、そして現在はディーマジェスティを受胎中





牝祖NumberはNureyevと3/4同血の妹でジェイドロバリーやNumerousの母として知られ、おなじみのSpecialにさかのぼる名牝系
ディープインパクト系との配合で大成功しているUnbridled's Song肌というのも魅力のひとつで、父ディープブリランテのカレンが走ったし、私も少しアドバイスさせていただいたんですが、ミッキーアイル、ディーマジェスティと、ここ2年ディープインパクト系が交配されているのは多分に意図的なものです





写真は当歳のミッキーアイル牝(藤沢牧場にいます)でなかなかよさげな馬ですが、この名血名牝系のヴェルナッツァに来年何を種付けすべきか、というのが今回のお題となります

締切は年内いっぱいですかね、いい案があればこのエントリのコメント欄にどしどし書き込んでください

オーナーも血統大好きで、ヴェルナッツァが入手できそうと聞いてすぐさま日高に駆けつけて即決したような方なんで、皆さまの案を見るのを楽しみにしてます(・∀・)よろしくお願いします

あと近いうちにもう一つ、面白い題材で大喜利をやる予定ですのでそちらもよろしくということで

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Sさんとジャンポケの訃報が

2021-03-02 16:16:23 | 配合論

ウインズB館の常連Sさんは洋服の仕立ての職人で、もう80近いのにまだまだ腕は達者で、奥さんと息子が闘病中なので洋裁店を畳んで、アパートを二部屋借りて自宅の隣を工房にして、そこで仕立てや直しを請け負ってました

札幌市内の百貨店とはだいたい取引があり、工房に入ると高そうなスーツがバラバラ死体になってあちこちに釣り下がってて、「こういうメンドクサイのだけ俺んとこ持ってくんだ~(苦笑)」ちなみに奥さんはニットの直しの達人なのです

サトノクラウンが勝った15年弥生賞の朝、週明けに奥さんが手術なので「ちょっくら入院費でも稼いでくるか」と軽口を叩いて家を出たSさんは、B館のいつもの居場所に向かっている途中で脳出血を発症、3Fの踊り場で倒れているところを警備の人に発見されました

入院先が定山渓病院になったので、寝たきりのSさんを見舞って、ついでに温泉に浸かってカレー食って帰ってくるのが年数回のルーティンやったんですが、昨年からはコロナでずっと面会禁止で、まあリハビリ頑張ってたからとりあえず元気にはしてるやろうと思ってたんですが、クリスマスに亡くなっていたという連絡が

私が学生時代に買ったダックスのダッフルコートも、古着屋で見つけたウールリッチのマッキノークルーザーも、「ちょっと着てみな」と待針を適当に入れて、こちらが細かいこと言わなくても、上手いことリペアして、太からず細からず絶妙のサイズ感に仕上げてくれました

どこにでもあるふつうの定規と鉛筆で、定規をくるんと回転させたり滑らしたりして服の裏地に微妙な曲線を描き、それに沿ってジョキジョキ鋏で切りながら「ここんとこはね、真っ直ぐ切っちゃダメなんだ」あの職人芸を見学するのが楽しかった

冬に見舞いに行くときは必ずダッフル着ていったんですが、もうかなりヘタッていい味出すぎてるぐらいで、これはウインズの踊り場で野垂れ死ぬまで着てやろうと思ってます



ジャングルポケットはたしかにデビュー当時から大物ムードは漂ってましたが、トニービン×Nureyevのヤンチャな大跳びで、もう見た目に荒削りで、それが2戦目の札幌2歳でタガノテイオー(後に東スポ杯に勝ち朝日杯2着)とテイエムオーシャン(後の桜花賞&秋華賞馬)をねじ伏せてしまうというのがまず最初の驚きでした

こういうスケールの大きな走りをする大物が、不思議と角田のところに巡ってきてね、ポーカーフェイスで思い切りよく雑に乗って勝つのがかっこよかった

そのジャンポケがいくら追っても影も踏めなかったのがラジオたんぱ杯のアグネスタキオンで、そのタキオンとジャンポケに歯が立たなかったクロフネがダートに出たら歴代最強の仰天パフォーマンスでぶっちぎりぶっちぎり

秋には大器マンハッタンカフェがついに本格化して有馬のエビショウの捲りも忘れられず、ほんとにワクワクドキドキの連続でしたねあの年のクラシックは

東京2400の土俵の真ん中で、横綱オペラオーとがっぷり四つに組んで、荒々しく寄り立てる脚はまさにトニービン、まさにNureyev、まさにナスペリオン



代表産駒のトーセンジョーダンと代表孫のミッキースワローの配合が似ているように、濃厚なHyperion(4・6・6×6・6・7・7・7・8)を活かすにはクラフティワイフのような軽い北米スピードの注入がポイントで、だから母父としてはサクセスエナジーみたいな使い方、父のスピードをHyperionで支えるみたいな配合がいいんじゃないかと思いますね

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1/4シンボリクリスエス

2020-12-10 00:38:54 | 配合論

シンボリクリスエスは父Kris S.がBull Dog=Sir Gallahad5・5・7×4で、母Tee KayがGlamour≒Francis S.5×3で、自身はRoyal Charger≒Nasrullahぐらいで強いクロスはなし



Northern DancerもサンデーサイレンスもMr.Prospectorも持たないので、シンボリクリスエスの孫の代になって、血統表の1/4の代になって、「3/4Northern Dancerクロス」全盛期における1/4異系として光り輝くことになります

種牡馬エピファネイアの成功はもちろん、レイデオロも母父シンボリクリスエスの「3/4Northern Dancerクロス」ですよね…合掌

(201X年春)
エピファネイア「あ、母ちゃんお化粧してる(・∀・)」
シーザリオ「これからカメちゃんとデートやからな」
エピファネイア「そういやボリクリ父ちゃん、最近うちに来ないね…」
シーザリオ「子供がなあ…あんまり走ってへんしなあ(^ ^;) 私もいろいろ考えたんやけど、やっぱり3/4同血クロスがエエかなと思うてね。カメちゃんとヨリ戻すことにしたんよ」
エピファネイア「母ちゃんは、父ちゃんのどこが好きやったん?」
シーザリオ「そらだって、有馬ぶっちぎったときはみんな憧れたもんよ。ボリクリ先輩、胴がスラッと長くてカッコよかったし…(うっとり)」
エピファネイア「そうかあ…母ちゃんもボリクリ詐欺にあったんやな(・∀・)」
シーザリオ「ど、どこで覚えてきたんやそんな言葉(^ ^;) あ、カメちゃんきたかな♪」
キングカメハメハ「おおエピ坊、また胴が長くなったんちゃうか?おぬしステイヤーやな(・∀・)」
エピファネイア(キンカメさんかっこいいなあ…将来種馬になれたら、キンカメさんの娘と付き合いたいなあ)
シーザリオ「ほな行ってくるな。ロザリンドと留守番してるんやで。晩ご飯はこれチンしてな」



キングカメハメハ「HOTELヌレサドの43号室予約したで」
シーザリオ「それはエエけど、アンタ去年デアリングハートにも種付したんやな。私あの娘好かんねん!桜花賞で勝手に前に入ってきよってからに…」
キングカメハメハ「ダンジグの肌だけあって、ええケツしとったわ」
エピファネイア(ぼく斜尻やから、やっぱりお尻プリプリの女の子がええなあ…)



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アーモンドアイの血統表でみる「全きょうだいクロス」「3/4同血クロス」「1/4異系」「配合的な緊張と緩和」

2020-11-30 00:38:41 | 配合論

サンデーサイレンスの血統表でみる「3/4同血」「1/4異系」「配合的な緊張と緩和」
https://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/ae4eb6626dc53f7a1fe0a44421ab3d00
これの続編としての「アーモンドアイ編」です

初出は今春発売のカドカワムック「一口馬主&POG攻略読本 愛馬選びはここを見よ!」

このムックに寄稿したときに、私が書くことですから「全きょうだいクロス」「3/4同血クロス」「1/4異系」のワードが頻出するので、それらの説明をまとめたページを別に設けたいということで、最近の活躍馬で良い題材はないかと

「あ~それやったら、アーモンドアイの6代血統表が載せられれば、笠理論のだいたいはそれ一枚で説明できますよ」

以下で説明しますが、アーモンドアイの血統表には「配合史」に書いてあることの全てが詰まっているといっても過言ではないので、この稀代の名牝が引退するにあたって、当ブログにも再掲しておこうかと思い立った次第です




◆全きょうだいクロス、3/4同血クロス

父と母が同じ馬を「全きょうだい」と称し、その2頭を血統表中に持つと「全きょうだいクロス」として、=を使って通常のクロスと同じようにカウントします。また父が同じで母が姉妹や親子のような関係は、血統の3/4が同じ「3/4同血」として扱い、これも≒を使って「3/4同血クロス」として扱います。

アーモンドアイの5代血統表をご覧ください。アーモンドアイにはNureyev5×3と、Northern Dancer5・6・6×4のクロスがあります。そして父ロードカナロアの母レディブラッサムには、略図のようにSecretariat=Syrian Seaの全きょうだいクロス3×4があります。種牡馬ロードカナロアが伝えるしなやかで俊敏な体質は、主にこの全きょうだいクロス由来と考えられます。



   ┌Bold Ruler
┌○┌Secretariat
│└△└Somethingroyal
レディブラッサム
└△
 └△
  └△┌Bold Ruler
   └Syrian Sea
    └Somethingroyal

そしてこれも略図を参照していただきたいのですが、アーモンドアイにはトライマイベスト≒ロッタレースの3/4同血クロス5×2も存在します。トライマイベストもロッタレースも母は名繁殖Sex Appealで、父はNorthern Dancerとその息子Nureyevです。アーモンドアイの牝馬らしからぬ強靭な走り、特に前捌きの逞しさ力強さや地面を掴む強さは、この3/4同血クロスの影響を強く感じさせるものです。

Northern Dancer
トライマイベスト
Sex Appeal

 ┌Northern Dancer
┌○
ロッタレース
Sex Appeal

このような全きょうだいクロスや3/4同血クロスは、通常のクロスよりも優れたものとして評価します。全きょうだいクロスや3/4同血クロスが生じるということは、ある優秀な繁殖牝馬の子孫たちが競走馬として繁殖として次々と成功し、様々なラインを通じて血を拡散しつづけてきたからに他なりません。

Secretariat=Syrian Seaの母Somethingroyalもトライマイベスト≒ロッタレースの母Sex Appealも歴史に名を残す名繁殖で、子孫や牝系が大繁栄しました。それぐらい優れた繁殖牝馬の血を含んでいるということから、全きょうだいクロスや3/4同血クロスを高く評価するわけです。ちなみにSex Appealはこれも超名繁殖として名高いLa Troienneの血を、Busanda≒Mr.Busherの3/4同血クロス2×3を経由して受け継いでいます。




◆ニアリークロス


全きょうだいクロスや3/4同血クロスほどではなくとも、血脈構成の5/8ぐらいが共通するような血同士をニアリーな関係とみて、それらを血統表内に持つことを「ニアリークロス」と称して、ふつうのクロスに近い効果があると考えます。重要な牝馬の血を含んでいる場合は、ふつうのクロス以上に評価する場合もあります。



ディープインパクト×Storm Catの組み合わせは、リアルスティール=ラヴズオンリーユー、サトノアラジン=ラキシス、キズナ、エイシンヒカリ、アユサンなどが出てスーパーニックスと認知されています。

配合略図をご覧いただきたいですが、このニックスの根拠は、ディープインパクトの母父の母父Sir Ivorと、Storm Catの母Terlinguaの血脈構成がかなり共通する点にあると考えられます。この場合、キズナはNorthern Dancer5×4のクロスと、Sir Ivor≒Terlinguaのニアリークロス5×3を持つと表記します

  ┌Royal Charger(Nasrullahと3/4同血)
 ┌○
┌○└Somethingroyal
Sir Ivor
│┌○┌Sir Gallahad
└△└△
 │┌Pharamond
 └△
  └△
   └Alcibiades

 ┌Nasrullah(Royal Chargerと3/4同血)
┌○
│└Somethingroyal
Terlingua
└△  ┌Pharamond
 └△┌○
  ││└Alcibiades
  └△┌Sir Gallahad
   └△


◆配合的な緊張と緩和と「1/4異系」

同じ血についてのクロスやインブリードを重ねていくと、近親交配の弊害も心配されます。優れた血のクロスを重ねる一方で、それとは縁遠い別のラインの優れた血も随所に取り込んでいく必要があります。筆者がよく言う「配合的な緊張と緩和」です。

アーモンドアイの血統表をもう一度ご覧いただきましょう。前述したように、アーモンドアイにはNorthern Dancer5・6・6×4のクロスがあります。この血統表を祖父母4頭に4分割してみた場合、母父サンデーサイレンスのところだけはNorthern Dancerの血が全く入っていないことがわかります。

このように血統表の3/4で同じ血のクロスを重ねつつ、残りの1/4だけはそれとは無縁の血で構成するという配合手法は、サラブレッドの馬産の歴史において、数多くの名馬や名種牡馬や名繁殖牝馬を生み出してきました。

インブリードによる優れた資質の固定と、アウトブリードによる雑種強勢の活力。この二つを同時に満たそうという考えです。この場合、アーモンドアイの血統表におけるサンデーサイレンスを「1/4異系」と呼びます。ちなみにロードカナロアも母母サラトガデューだけNorthern Dancerが入らない「3/4Northern Dancer」です。

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デインヒルなハーツたち

2020-04-15 11:30:43 | 配合論

マイラプソディはハーツクライ×Capoteのニックス、つまりナスペリオン的斬れを活かしたオーソドックスなハーツクライ産駒だと書いてきましたが、サリオスとワーケアは母方のデインヒルの影響が強いので、マイルをうなりながら先行したり中山内回りで捲ったりできるのだ、という書き方をしてきたつもりです





他にもマイスタイル、ロジクライ、グレイル、ウーマンズハート、カテドラル、シャドウディーヴァ、チェーンオブラブ、ポレンティアなどなど、ハーツクライ産駒ながらマイルでうなったり内回りで捲ったりできる馬たちは、母系にDanzigが入っていてその影響を大なり小なり受けていることが多いです

サリオスとワーケアは母系にNiniskiが入るという共通点もありますが、ハーツクライ産駒で母系にデインヒルとNijinskyを併せ持つ馬は以下のようになかなか高確率で走っています



デインヒルとNiniskiはNorthern DancerとRibotとTom Fool≒Flaring TopとGallant Fox=Fighting Foxなどが共通します



┌Menow
Flaring Top
│  ┌Sir Gallahad
│ ┌○
│┌○
└△

┌Menow
Tom Fool
│┌Bull Dog(Sir Gallahadの全弟)
└△

またハーツクライの母母ビューパーダンスとデインヒルはNorthern DancerとBusandaとFair Trialが共通します



つまりハーツクライとデインヒルとNiniskiが出会うと、Northern DancerとRibotとTom Fool≒Flaring TopとBusandaとFair Trialをクロスすることとなり、デインヒルの血脈構成をほぼ全て押さえることになるわけですね

デインヒルで走らそうという配合ですから、父ディープインパクトのサラキアやダノングレースと比較しても、デインヒルっぽい馬が出てしかるべき配合ともいえます(まあ男馬のぶんパワーに寄ったともいえますが)



ちなみに「母系にデインヒルとNijinskyを持ち、かつ母がRibotのクロスを持つ」条件でさらに絞り込んでみると、上のような結果になりました

ついでに「母系にデインヒルとNijinskyを持ち、かつ母がRibotのクロスを持つ」ハーツクライ2歳も検索かけてみましたが、サトノアイちゃんしかいないようです



シルクツアーのときに三輪さんが大きなサリオスを指さして、「ハーツ×Lomitasでなんでこんな馬になるんでしょ?」と当惑していたのを思い出しましたが、サリオスという馬を理解しようとするならば、まずデインヒルを根本に考えるべきなんでしょうね

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クロドナペリオン

2020-04-02 00:48:19 | 配合論

Deputy Minister的なエッセンスを増幅したフレンチデピュティとNasrullah的な血を凝縮したブルーアヴェニュー(Nasrullah≒Royal Charger≒Oil Capitol≒Furrokh Siyar≒Nizami4・5・6×5・5・6・6)との間に生まれたクロフネは、NHKマイルを勝ったあとは武蔵野SとJCダートをぶっこ抜いて伝説の最強ダート馬として名を遺しました



種牡馬としてはダートのパワーはもちろん、芝大レースを勝つようなストライドも伝え、馬格があってオールラウンドで、今のところ有力な後継が出ていないのが非常に残念というべきでしょう

改めてクロフネの血統表を眺めていると、やっぱりこの血統表に唯一足りないものは、秋天とか菊花賞を勝つような底力のある血やと思うんですよね、BurghclereとかVaguely NobleとかMonsunとか、トニービンとかディクタスとかリマンドとかね



これはクロフネの血を引く最近の活躍馬で、相変わらず牝に大物が出るのはそのあたりもあるんでしょうが、クロフネを父や母父に持ち芝の大レースを勝つような馬は、前記したような血を他の部分から補っていることが多いことに改めて気づきます

たとえばの話、もしアエロリットの母父がネオユニヴァースではなくサンデーサイレンスだったら、あんなHペースでガリガリ逃げて二枚腰を使うような底力を発揮したかどうか、やっぱりそこはポインテッドパスに入るBarley CornやCrepelloやWordenなんかが効いていると私は思うのですよ

ネオユニヴァースの母ポインテッドパス




この組み合わせ血統表を見てのとおりで、クロノジェネシスについては“鯨のミスプロ炒め”と評してきましたが、最近の立ち姿なんかみてもほんとにホエールキャプチャを脚長にしたようなイメージになってきたと思います

この2頭にしても、Nashwanの母Height of FashionがBurghclereと3/4同血で、Hyperion3×2にBustedとFeolaですからね





一口に“クロペリオン”と言ってもペリオンの中身も大事で、「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」という英国ステイヤー御用達のスタミナの組み合わせだから、そういう底力を補うから大物が出るのだというね

牡の芝の活躍馬をみても、パクスアメリカーナはホエールの全弟(Height of Fashionとリマンド)、ステファノスとシャイニングレイとベストアクターは父ディープインパクト(Burghclere)、リオンリオンはエアグルーヴ(トニービン)とフェアリードール(Sharpen Up)ですから、Nashwanやポインテッドパスと同じく「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」を補強しているのは同じ



クロノジェネシスの姉ノームコアについても触れなければならないですね、これは父がハービンジャーで、ハービンジャーはハイハット≒Aureole5×6とCrepello7×5です

クロノロジストはJRA出走産駒8頭中7頭が勝ち馬で計22勝をあげているという名繁殖ですが、父から「HyperionとDonatelloとSon-in-Law」を補強したクロノジェネシスとノームコアだけがG1まで到達したというのは、クロフネ目線からみても偶然ではないと思えてきますよね

コメント (34)
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