即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

検察審査会なるもの

2010年04月30日 22時36分23秒 | 日記とニュース
各閣僚、小沢氏に進退判断促す 「参院選への影響心配」(共同通信) - goo ニュース

一時は落ち着いたかと思っていたら、ここにきて、「検察審査会」なるものが、
『これやっぱおかしいじゃん!』ともの申して政局に大きな影響を与えるようなことに。

いや、それはいいのだけど、
検察審査会、って知ってました?

知らなかったですよ、そんなの。
今回起訴相当と議決した。
これで検察がまた不起訴にしたとしても、再度検察審査会が、起訴相当と決めれば、
これは結果「起訴」になる。



すごい権限ですよね。

裁判員よりもすごいかもしれないこのことを、何で今まで知らせてくれなかったのよん?
冷たいじゃん。
知らなかったおいらが無知で悪いってことかい?
ムチで打たれても仕方ない?
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選出
司法に一般国民の常識を反映させるという目的で、検察審査会法第4条により、各検察審査会管轄地域の衆議院議員の選挙権を有する国民の中から、くじで無作為に選ばれた11名で構成される。任期は6か月で、そのうち半数が3か月ごとに改選される。審査員が欠けた場合に備えて、補充員がいる。

除外
検察審査会法第5条・第6条により以下の者からは選出できないとされている。

学校教育法に定める義務教育を終了しない者、1年以上の懲役または禁錮以上の刑に処せられた者
天皇・皇后・太皇太后、皇太后・皇嗣・国務大臣・裁判官・検察官・会計検査院検査官・裁判所常勤職員・法務省常勤職員・国家公安委員会委員・都道府県公安委員会委員・警察職員・司法警察職員・自衛官・都道府県知事・市町村長・弁護士・弁理士・公証人・司法書士

免除
検察審査会法第8条により以下の者から免除出来るとされている。

70歳以上・国会議員(会期中のみ)・地方議会議員(会期中のみ)・国家公務員・地方公共団体職員・教員・学生・過去5年以内に検察審査員又は補充員・過去5年以内に裁判員又は補充裁判員・ 過去3年以内に選任予定裁判員・過去1年以内に裁判員候補者として出頭したことがある者・重病者・海外旅行中等

責務
検察審査会法第43条・第44条により、検察審査会を正当な理由なく欠席することは禁止され、守秘義務を負い、審査された事件から得られた情報を、他に漏らすことは終生禁止されている。これらについては、招集に応じないとき等は10万円以下の過料、職務上の秘密を漏えいした場合は6年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す旨の罰則規定がある。
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へー、こんなのあったんだ。
司法に国民の視点も取り入れようということで、あれだけ物議をかもした裁判員制度。
それはいいけど、そんなことのずっと前からこういうのあったわけだ。
いつご指名されても仕方なかったような制度があったわけなのね。
しかもそう簡単には断れない。
同じようだよねえ。
それ、先に言って欲しかったよなあ。

以前、アマの視点裁判員制度のことと書いたのだけど、そんな前代未聞のことではなかったんだねえ。
マスコミも含め、あの大騒ぎはなんだったんだろうか。

ずっと前から(昭和23年だってよ!)こんな制度があったのであれば、裁判員制度の導入で、あれだけ騒ぐって言うのおかしいのではないですかい?

なんかこの国、おかしくないですかい?
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深夜特急の世界観と羽生名人

2010年04月29日 14時59分24秒 | 将棋
4.25日の朝日新聞の記事がこれ。
「十代、こんな本に出会った。」


へ~。
羽生名人、かなり本読んでるんですね。
毎月30冊、買っている、と。

だからいろんな知識人とか違う分野の人と対談などしても、よく理解されてるし、本質論ができる。

それにしても十代の頃夢中になって読んだ本が、沢木耕太郎の深夜特急とは!

奨励会時代、遠征の後、いろんな所へ足を伸ばした話とか、
この本のように1年の三分の一を旅先で過ごすのが、棋士人生の原点に似たものを感じた、とか。

深夜特急〈1〉香港・マカオ (新潮文庫)
沢木 耕太郎
新潮社

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この深夜特急の世界を自分の原点と照らし合わせて考えていたなんて、ちょっと不思議です。

今の羽生名人の考え方の中にも、少なからずその影響があるのでしょうか。

あの広すぎる大局観、動じない物の見方、懐の深さ、などなど、

深夜特急の世界と今の羽生名人の強さについて、あれこれと考えてしまうのでした。
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実力主義の自由市場

2010年04月29日 02時11分20秒 | 将棋
今日はすっかり有名になった勝間和代さんのブログより。

なぜ日本は外食がこんなにおいしいのか~「日本人はなぜ市場競争が嫌いか~大竹文雄・大阪大学教授に聞く」を踏まえて赤字=nanapon)

リンク:日本人はなぜ市場競争が嫌いか~大竹文雄・大阪大学教授に聞く(上)|辻広雅文 プリズム+one|ダイヤモンド・オンライン
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大竹文雄さんは、行動経済学などで、現在起きている事象をわかりやすく整理し、私たちに伝えてくれる方です。今回の、日本人はなぜ市場競争が嫌いか、もすばらしいインタビューです。

なぜ、日本人は競争が嫌いなのか。要は、ほとんどの競争がフェアでないし、失敗した場合のセーフティーネットがしっかりしていないからだと私は考えてます。ちゃんとした競争に参加させてもらえないのです。

例えば、外国に行くたびに思うのは、なぜ、日本は外食がこんなにおいしくて安いか、ということを考えます。ミシュランの星もたくさんいただきましたね。

私の仮説は、日本で、個人の参入が自由な、ほんとうの自由市場は
「外食市場」
「お笑いの市場」
「野球、サッカー、将棋、囲碁、騎手、競輪選手などのプロ市場」

位しかないからだと考えています。だから、外食に、お笑いに、才能ある人が殺到しているからです。

これらの市場であれば、経歴も、学歴も関係なく、実力に応じて顧客がつき、人気が決まって、市場がうまく回ります。ほんとうの実力主義市場です。

日本は起業が難しく、既得権があるB2Bや規制系に行くと、苦労が多くなります。それよりは、B2Cのほうが小資本で参入できますし、結果も出やすいのです。

そうして、多くのやる気ある若者は外食やお笑いへと向かい、とても外食はおいしくなるけれども、なかなかGDP全体を増えるような産業は育たない、と言うことではないでしょうか?
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はい、この赤字にした部分、まだ他にもあるかもしれないけど、ほんとそう思います。
いろんな産業、ほとんどの市場は、規制、制約、など参入障壁がなんかしらあると思います。

参入しやすい、自由に思い切り自分の力を発揮できる。

下記の文、外食、お笑いという言葉の代わりに、「将棋」と置き換えてみましょう。

だから、外食に、お笑いに、才能ある人が殺到しているからです。
多くのやる気ある若者は外食やお笑いへと向かい、・・・

こんなに先が不透明な時代、いろんな仕事が、自分のやる気や実力以外のことで結果が決められてしまう。
ほとんどの人がそんなストレスを抱えている中で、完璧に実力主義の市場。
それ以外のことで振り回されたり、他からの目に見えない力が加わったりはしない。

才能のある人が殺到して、ますます実力と実力がぶつかり合うことになる。

我々に跳ね返ってくる結果としては、
外食であれば、美味しいものが食べられるということになるし、
将棋であれば、我々を魅了する素晴らしい戦いが観られるということになるのでしょう。
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闘争心

2010年04月27日 22時16分00秒 | 将棋
4.20の朝日新聞の記事です。
面白かったのでご紹介します。

対談 岡田監督×香山リカ 無心の感覚求めて
(一部引用させてもらいます。赤字=nanapon)
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 サッカー日本代表の岡田武史監督(53)による対談シリーズの第8回は、社会批評など独特の分析で幅広く活躍している精神科医の香山リカさん(49)を迎えた。専門的な用語も交えた話は現代の社会や若者、スポーツ選手の心理、闘争本能などにも広がった。
    ◇

 ――岡田さんは脳や心理にも興味を持たれています。

 岡田 監督の仕事をやる中で脳の勉強もした。演算速度が速い旧皮質でサッカーをやらないといけないとか、気づかされたところもあった。精神的な面も、実は脳からくるんですかね。

 <中略>

 香山 経済学者の浜矩子さんは、今の若者はハングリー精神がないからだめだというけど、私は人のモチベーションを高めるハングリーと高めないハングリーがあるんじゃないかと言っている。戦後の高度成長時代では、貧しいし危険だけど頑張ればよくなるということがあったから頑張れた。今も仕事や住むところがない若者もいるけど、昔のようなガッツを出してハングリー精神で頑張るかというと逆です。

 岡田 2種類あるね、確かに。

 香山 そういう意味では窮地に追い込むとかネットを10メートル下に敷けば、「よしやるぞ」となれるかというと違う。どうすれば彼らにモチベーションを与えられるのか、教育者や心理学者が悩んでいる。スポーツ選手はあと一歩頑張れば1ランク上がれるというのが動機になりますか。

 岡田 最後に勝負がかかったときの強いこだわりとか強さは、今の選手は劣っている。持ってはいると思うけど奥の方にしまわれている。元代表監督のトルシエは日本人は戦えないといってこづいたり、なぐったりしたけど。豊かすぎて普通にやっていれば結構なお金が稼げるし、この程度でもJリーグでやっていけるという環境がやはり大きい。ところで、香山さんに聞いておきたいことがあって。スポーツの世界で最高のパフォーマンスをする時って「フロー」か「イン・ザ・ゾーン」といって、覚えてない。無心なんです。
 香山 頭が真っ白で。

 岡田 私も選手時代にあった。監督としては意図的にそういう境地に選手を入れたいんだけど、偶然にしか入らない。

 香山 一種のトランス状態で、催眠術みたいなもので人を入れることはできそう。ただ、それがパフォーマンスにつながるのかは難しいかもしれない。催眠誘導というか、振り子を見させて集中させて意識を変えるとか、いろんな方法がある。

    ◇

 岡田 本当に変性意識に入ってしまうんですか。

 香山 人によって入りやすい、にくいはあるけど。

 岡田 今度、香山さんに来てもらって、選手にやってもらおう。催眠状態に入ると自分で抑制していた縛りが取れるようなことですか。

 香山 意識や視野が狭くなるので周りの変な情報が入らなくなる。むしろ狭い意識の中で周りのものは見えないけど目の前にあるものは高みから見えるような。

 ――それが最高のパフォーマンスにつながるかはわからないわけですか。

 香山 催眠状態にして、「さあ行け」では難しい感じですね。プレーしていてすぐに入れるものなのか、体も疲れてそういう状態に入るのか。

 岡田 追い込まれたり、危機的状況だったり、私の経験の中ではそういう時が多い。

 ――現役時代にあったのですか。

 岡田 現役時代は1回だけ。監督では、横浜マ時代に優勝したとき、セ大阪戦で0―1で負けていて1人退場になったら、選手たちが何を思ったか、そこからがんがん攻めて圧倒した。完全にフローの状態だった。常識では考えられない。プロゴルファーがそういう状態に入って、ホールアウトして初めてすごいスコアで回ったことに気づいたという話もある。アスリートはどうやったらゾーンに入れるか追い求めている。

 香山 絶対に優勝できると自分に言い聞かせて、潜在意識のなかで実現したような感覚になってやるとか。そういうのではだめですか。

 岡田 その通りですが、最後の無心の状態にはなかなか入れない。水泳シンクロの小谷実可子さんが銅メダルを取ったときも、泳いでいる途中で皮膚と水の境がわからなくなったと話していた。闘争本能の話ですけど、柔道の谷亮子さんはずっと勝っていると闘争本能がなえてくるので、夜のサファリパークにいってライオンにバスから肉を与えるという。肉に食いついてくるのを見ていると、闘争本能がよみがえってくるというんだけど、そういうことはあるんですか。今度、選手を連れて行こうかと思ったりして。
 香山 ヤワラちゃんはライオンに同一化できる能力が高いということなんでしょう。普通の人なら怖がるだけかもしれない。

 ――やってみる価値はあるかもしれません。

 岡田 南アフリカに入ったら、やり持ってライオンを追いかけさせるか。仕留めてこいと。
 香山 W杯に初めて出た時とか、まだやっていないことに臨むときはワクワクしているけど、過去に実現したことをまたやるって大変なことですよね。

 岡田 日韓で共催した2002年には勝ったけど、国外のW杯では日本は1勝も上げてない。06年は2敗1分けでめちゃくちゃたたかれて、何人かの選手はもういいと代表に拒絶反応を起こした。彼らにとって新しいことを成し遂げるという意識がある半面、強い恐怖心も持っている。今後も彼らはサッカー界で生きていくから。選手ってぎりぎりのどちらにも転ぶような精神状態。今でも危ない部分を何となく感じる選手がいる。安心感を与えすぎてもだめだし、不安感をずっとあおっていてもだめだし、すごく難しいところです。
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こういうの読んでいても、特にスポーツに関しては、最近どうしても将棋になぞらえて考えてしまうのが癖になってしまってます。

これ、将棋だったら、どうなるんだろ?
将棋だって同じじゃないかな?
将棋に適用したら面白いかも。

>スポーツの世界で最高のパフォーマンスをする時って「フロー」か「イン・ザ・ゾーン」といって、覚えてない。無心なんです。

ここのところ、下記を思い出しました。

狂気の世界、そして矢内女王とハチワンダイバーの記事で書いたのですけど、羽生名人の言葉。

「決断力」という本の中で、このように語っています。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「これ以上集中すると『もう元に戻れなくなってしまうのでは』と、ゾッとするような恐怖感に襲われることもある」

「将棋には怖いところがある。(中略)将棋だけの世界に入っていると、そこは狂気の世界なのだ。ギリギリまで自分を追いつめて、どんどん高い世界に登りつめていけばいくほど、心がついて行かなくて、いわゆる狂気の世界に近づいてしまう。一度そういう世界に行ってしまったらもう戻ってくることはできないと思う。入り口はあるけれど出口はないのだ。私自身、アクセルを踏み込むのを躊躇している部分がある。経験からも、一年なり二年なり、ずっと毎日将棋のことだけを考えていると、だんだん頭がおかしくなってくるのがわかる。入り口は見えるけれど、一応、入らないでおこうと思っている。」
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
イン・ザ・ゾーンという状況、僕もたまにあります。

次々とアイディアとか、ブログネタとか、すごい勢いで湧き出てきて、俺ってもしかして天才じゃない?ってなモード。(ま、一晩明けるとこれがまた全然違うんだけどねえ。)
でも羽生名人のように、戻ってこれなくなるかもしれない不安まではないなあ。
そこまでは高い世界に登りつめられてはない。
もっとアクセル踏まないといけないと思ってる。

そして、
「夜のサファリパークにいってライオンにバスから肉を与え、ライオンが肉に食いついてくるのを見ていると、闘争本能がよみがえってくる。」というヤワラちゃんの話。
すごいですよね。
夜のサファリパークに行って、ライオンの目を見つめてるヤワラちゃんを想像するだけで、ドキドキしちゃう。

サッカー選手でも柔道の選手でも、勝負を争うには、現代の環境は優しすぎる。
ハングリーになり、ギラギラする気持ちを掻き立てるには努力が要る。

さあ、棋士の方々、いかがでしょうか?
最近勝てないと落ち込んでいる人、いますよね?

夜のサファリパークです。

将棋だって、「肉を切らせて骨を断つ。」

真剣勝負という意味では、サッカーや柔道と何も違いません。

そんな闘争心を研ぎ澄ませて、もっともっと壮絶な戦いを繰り広げてください。
僕たち観る将棋ファンを興奮から逃れられないほど、打ちのめしてください。

さらにさらに熱い戦いを期待しています。
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『推敲』

2010年04月25日 19時54分13秒 | 雑感
川島さんずいぶん前の記事をちょっとだけご紹介。
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こんな過大な評価をいただいてしまうと、
仕事より、ブログの推敲に時間をかけたりして!?
なんか、そうなったらどうしよー。

プレッシャーを感じつつ、ブログを読んでいただく皆様に、
心より感謝いたします。

以上、推敲率70%くらいで寝る、本日。
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今日のテーマは『推敲』

なんかこの言葉、この漢字とっても気になってました。

かっこいいですよね。

ただ書いた文章を見直して、おかしいなと思ったところを修正するだけなのに、
「推敲」してる、ただいま「推敲中」、なんて言うと、おー、作家みたいじゃん、と思えるようなアカデミック雰囲気が急に漂う。
推敲中でなく、遂行中、なんじゃないの?

そして、川島さんが使ってる、「推敲率」。

推敲度
推敲率
推敲力
推敲感

あるかな、こんな言葉?

辞書で調べると、
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
「推敲」(すいこう)
(意味)文章・詩などの字句を練ること。
出典:唐詩紀事
時代は唐の中頃、 賈島 ( かとう ) という男が 驢馬 ( ろば ) にゆられながら1人、詩の創作にふけっていました。

「僧は推す月下の門」とできたのですが、どうも” 推 ( お ) す” を ” 敲 ( たた ) く”にした方が良い気もする。さて、どっちが良いか?と迷い、驢馬の背で、推したり敲いたりを真似して考えあぐねていたところ、そのまま、ある貴人の行列に行き当たってしまったのです。

そのまま衛兵に引き立てられたので、事情をつぶさに説明して非礼をわびたところ、貴人は怒るどころか、
「それは君、”敲く”のほうが良いな。」
との答え。その貴人は詩人としても名高い 韓愈 ( かんゆ ) その人だったのです。2人はそこで意気投合し、心ゆくまで詩を語り合いました。

ちなみに、その時できた詩は「 李疑 ( りぎ ) の 幽居 ( ゆうきょ ) に題す」という詩です。

閑居隣並少なく、
草径荒園に入る。
鳥は宿る池中の樹、
僧は敲く月下の門。
橋を過ぎて夜色を分かち、
石を移して雲根を動かす。
暫く去って還た此に来る、
幽期言に負かず。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
いやあ、すごく深い話ですね。
「推敲」、なんて、ただものじゃない雰囲気が漂ってたけど、期待を裏切らないです。

驢馬にゆられながら詩の創作ですか。

「推す」か、「敲く」かすごく迷ったんですね。
終盤の指し手が難しくて、どっちを取るか悩ましい。

以前も記事を書いたけど、藤沢晃治さんメルマガが面白かったので紹介します。
文章の書き方の中で「推敲」に関する内容です。
--------------------------------------------
次の「推敲前」の表現と、「推敲後」の表現で、読みやすさを比較してみてください。

★★推敲前★★
洪水のような瑣末な情報の中に埋没してしまって
いる重要情報をその中から引き上げて助けることに
よって、同時に、聞き手自身を情報洪水の中から
引き上げて助けてあげているとも言えます。

★★推敲後★★
洪水のような瑣末な情報の中に埋没してしまって
いる重要情報をその中から助け出してあげるのです。
そうすることによって、同時に、聞き手自身を
情報洪水の中から助け出しているのです。

こんな単純な推敲で、文章は著しく読みやすくなるのです。
-------------------------------------------------
文章を読みやすくする。
このブログだけでなく、いつもそうしたいと思ってます。
それなりに見直してはいるけど、まだまだ十分納得するまではなかなかいかない。
アップしようとして、とりあえずやめておいて、一晩寝かすと結構いいかも、と思います。
寝てる間に、あそこをこうしよう、ここにこの話を入れよう、とか、って考える。

「聞き手自身を情報洪水の中から助け出す」とか言う前に、
自分自身が書きたいことの情報洪水に溺れているかも。
手足をバタバタさせてあっぷあっぷしてる自分。
あっぷあっぷしてるのに、そのままの記事をアップしちゃったりしてる自分。
でも自分の熱い思いはなんとなく伝わっているからいっか、とも思うけど、もっと手短に、わかりやすく伝えられたらいい、とも思う。

ここは、「推す」か、「敲く」か。大事です。

以上、推敲率70%くらいで寝る、本日。
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お笑い界のホープ登場!

2010年04月23日 23時58分30秒 | 将棋
いやもう、おかしくて、おかしくて・・・。

前から取り上げようと思っていましたが、ちょっと前に遠山四段取り上げられてしまいました。(笑)

秀逸です。
こんな先鋭的かつビビッドなセンスはとても新鮮です。
このなんとも原始的かつ突拍子もなく、人を食ったようで飄々としている様。

棋界ではどうか知らないけど、お笑い界では遅れてきた大物、大器と言って間違いないと思います。

《佐藤紳哉のあっちむいてほい》

まずは最新記事、あおもりをご堪能ください。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
日曜日と月曜日は青森県十和田市に出張に行ってきました。

地方出張は、最近は一ヶ月に一度ほどあり、各地の将棋ファンと交流ができて、大好きな仕事です。

日曜日に地元のアマチュアの大会があり主に指導対局をしました。

私は、アオモリはアワモリと似ているけど、間違えたりしないのかな、アワモリは沖縄の蒸留酒で、アオモリと沖縄は地理的に遠いので、ぎりぎりセーフかな、というようなことを考えていました。

大会は盛況で、子供の参加者も多く、支部の方(各地にあって善意で将棋の普及に協力をしていただいているすばらしい方々)の尽力がうかがえました。

月曜日は、その方たちに観光につれていっていただきました。

十和田湖を見た後、酸ヶ湯温泉というコンヨクの温泉に行きました。

私は、アオモリはアマモリにも似ているな、アオモリは雪国だから屋根は丈夫につくられていてアマモリはしないのかな、というようなことを考えていました。

とても楽しい二日間でした、また行きたいなと思いました。
++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
いかがでしょうか?
鑑賞後のまったりした空気感。
やる気がある人もふんにゃりしてしまう。
ぐったりしてしまう人もいるかもしれない。
グーの音も出なくなって、ひっそり息を引き取る人もいるかもしれない。

ブログ開設後、2つ目の記事がこれ。

すいません
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・・・・・・毎日更新しているつもりでした。

だけど、私、パソコンとか本当に苦手で・・・・・、ブログをアップしていたつもりが、知人の女性にメールとして送られていたようなのです。

さっき、その女性から”あなたのことは、まるで興味ないので毎日長文のメールを送るのはやめてください。気持ち悪い”というメールが送られてきてはじめて気づきました。

ほんとにすいません。メールを送ってしまった方、そしてブログの更新を楽しみにされていた方。

ただ、もう大丈夫なので、明日から毎日更新頑張ります!
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ありえますか?こんなの。
いろんなところで話題になってるし、こちらのブログではすでに2度も取り上げていて(その1その2)、そのセンスには完全に脱帽しているけれど、僕にはどうみてもわざとわらかそうとするような次元の低いユーモアではないように思えます。

こういうブログを始めて、多くの反響を踏まえ、さらに本人の才能に火が点くか。
大器がさらに拍車をかけて、爆発(暴発?)するのか。
期待してやみません。

こういうとてつもない新星が出てくると、
棋界のユーモアにかけては誰が見ても第一人者である《妻の小言》もうかうかしてはいられません。

なんて書いたら、こちらもがんばってますね。

えんぴつ削り
これも相当にいい味を出してますね。
妻の小言パワー全開で、思い切り弄ってます。
家庭のほんわかした情景が目に浮かぶようです。

年末の将棋界お笑いグランプリ(S1?)は誰がその栄光を獲得するのか?
また別の大物が飛び出す可能性もあり、今から楽しみで楽しみで夜も眠れません。
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名人戦第2局大盤解説会

2010年04月22日 21時08分10秒 | 将棋
おととい、昨日と遠野で行われた名人戦第2局
変わりゆく現代将棋(上)(下)の発売記念イベントも兼ねた毎日新聞社の大盤解説会たいがーさんと一緒に行ってきました。

解説は高野秀行五段、聞き手 藤田綾女流初段です。

二日目になって、先手羽生名人が▲5三桂成と踏み込んだあたりから、ずっと先手ペースになり、後手三浦八段が行けそうと思える局面にはなかなかならず、どっしりとした重い腰で最後まで危なげなく押し切りました。

いやあ、強いです。1日12時間の研究の成果も羽生名人相手では通用しなかったようですね。

どっちに転ぶかわからず、ハラハラドキドキと言う感じではなかったのだけど、高野五段のさわやかで明快な解説を楽しませてもらいました。

解説の中でいくつか印象的だったポイント。

▲5三桂成について。
これがうまくいくということは、横歩取り8五飛戦法にある意味の結論が出る一局になるかもしれない。

羽生名人の強さについて。
いつも勝負を急がない。ゆっくりした手、ぼんやりした手。形を決めないで複雑化するような指し手が得意。

ポイントとなった▲5三歩について。
茫洋とした中に、鋭い構想が隠れている一手。
羽生名人ならではの指し手で、知らないうちに自分の世界に引き込む術はさすが。
あっと言う間に景色が変わってしまう。

どうみてももう指す手がない。これはもう投了しかないという局面。
まだお互い持ち時間は残っている。
三浦八段はゆっくりと席をはずした後、身の回りの片づけを始めた、とネット解説。
その時、今度は羽生名人が席をはずす。
「あー、これはきつい。
気持ちを整理し、やっと投げようとしたら相手がいない。これじゃ投げられないですねえ。」

「藤田さんは三浦さんの同門なんですよね?」
「同じ西村門下で、兄弟子なんです。」
「三浦八段となんか話されましたか?」
「(BSの聞き手とかで現地に)来ないの?って言われました。
 今のところ声がかかってないですけど、と答えたら、後のほうはまだ決まってないんじゃ ないの?と言われました。」

高野「後のほうって言ってもねえ。ぜひともフルセットまでやってください、とか、4つで終わらないでください、とも言えないしねえ。」(笑)

高野五段が語った三浦八段のエピソードについて。
三浦八段、高野五段、その他何人かで、なぜか「偉人で尊敬する人は誰か?」という話になった。
そのうちの一人が<ナポレオン>、と答えたら、
三浦八段が、<ランディ・バース>と答えた。
そして、どっちがどのように偉い、というのを二時間くらい二人で争っていたとのこと。
いかにも三浦八段らしいエピソードですね。
それにしても浅田真央に続き、ランディ・バースかあ。

結果、羽生名人の2連勝。
磐石の勝利で、皆にその強さを再認識させた一局でした。
追い詰められた三浦八段は、ここからどう巻き返していくのか、注目です。

遠山四段はその強さを評して懐の深さと言ってますが、三浦八段の研究を以ってしても届くことのない、普通の棋士とは違う高みにいるような気がします。

高野五段は、羽生名人は(ある局面で)我々と見える景色が違うんですね、と何度か言ってました。
「見える景色の違い。」

普通より、広く、大きく、深く、見える。
普通は見えない部分まで見える。
普通で見えるのと違ったように見える。

羽生名人の目の前に、広がる景色。
視力、視界、視野、視点、視座。

今、羽生名人のイメージにはない、羽生名人が戸惑うような違う景色を見られる棋士は、
多分、久保二冠、深浦王位、の二人なのではないかという気がします。
(渡辺竜王はそれとは違うのでは。)

現代将棋が変わりゆく中で、羽生名人はこの先、どんな景色を見ていくのでしょうか。

さて、今回は、明日一般書店で発売となるこの本を、先行販売。
二日前に手に出来るのは、この会場だけ、という触れ込みです。
2冊セットで購入した人のうち3名様に羽生名人の色紙贈呈というイベント企画です。
変わりゆく現代将棋 上
羽生 善治
毎日コミュニケーションズ

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変わりゆく現代将棋 下
羽生 善治
毎日コミュニケーションズ

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この本の持つ意味の大きさについて、そして、この昔の連載を呼び覚ましてくれたのが梅田さんだ、という話を将棋世界の田名後編集長が熱っぽく語ってくれたこともあり、たいがーさんにつられて、思い切って購入。
(梅田さんはブログで、この本に対する熱い思いをたくさん語っていますね。)

解説会終了後、この本を買った28人の中から、当選者3名に限って、ということで抽選!

まず最初に、
「24番の方!」
やったああ!!
はーい。
と前に出ていただいてきちゃいました!

「nanaponさん、ほんとに引きが強いですねえ。」と、22番のカードを持っていたたいがーさんにうらやましがられました。
はい、これ、家宝にします。

終了後は地下の居酒屋で、たいがーさんと二人で今後の棋界に対する様々なアイディア、構想、期待、妄想などを肴に盛り上がり、楽しく充実した夜でした。
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遠野物語と名人戦

2010年04月21日 01時42分05秒 | 将棋
岩手県遠野市での名人戦第2局、始まりました。羽生名人の先手、横歩取り△8五飛対新山崎流の戦いのようです。

さて、長い歴史を誇る名人戦も、岩手県では初めてとのことですね。

風屋さんのいらっしゃる花巻も前から行きたいと思っていたけど、今回の舞台の遠野市もぜひ行ってみたいところのひとつです。
花巻から近いのですね。

最近は、美術館とか、お寺とか、海外対局も含め、地域や対局場のテーマ性も加味されて、将棋の伝統文化の側面を引き立たせようという意図が強く見られます。
新聞社を始め、関係者の方々の工夫、努力の跡がとても目立つように思いますし、一将棋ファンとして感謝しています。
単に素晴らしい内容の熱戦を、ということだけでなく、将棋というものが持ついろいろな要素、文化としての素晴らしい側面をアピールし、地域と一体となって創り上げていくこと。
地域の人たちのニーズや思いも汲み取った上で、お互いにWINWINになれるような仕掛けや演出。
そういう意味で、この舞台での名人戦、なんかいいなあ、と思えるこの第2局です。
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◆「遠野物語」100周年

 遠野市は岩手県の内陸部にある。同県で名人戦の対局が指されるのは初めてだ。

 両対局者や関係者ら一行は19日、東京駅から東北新幹線に乗って新花巻駅で降り、バスで1時間ほど移動して遠野に到着。バスを降りると、地元の人たちの盛大な拍手で出迎えられた。歓迎式典では地域に伝わる「細越獅子踊」が披露され、名人、挑戦者共に「魔よけをされたので、いい将棋が指せると思う」とあいさつした。

 今年は民俗学者柳田国男が「遠野物語」を発表して100周年。遠野の名を全国に広めた名著の意義を再認識しようと、地元は沸いている。前夜祭では語り部の正部家ミヤさん(88)が座敷わらしに関する昔話を披露し、両対局者らは地域に伝わる民話の世界に触れた。

 多くの「伝説」が伝わる土地とあって、前夜祭で三浦八段は「伝説に残る将棋を指したい」と話していた。前例があるとはいえ、1日目から激しい戦いに進んだが、この後、ファンの記憶に後々まで残る攻防が繰り広げられるだろうか。

対局場となっている遠野市のあえりあ遠野は、ザシキワラシや河童(かっぱ)など、柳田国男が1910(明治43)年に発表した「遠野物語」の世界を再現する「とおの昔話村」の近く。立会人も日本将棋連盟東北統括本部長に就任したばかりの島朗(あきら)九段(47)と、東北色の濃い舞台設定になった。
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そして、受け入れ側の地元では、市の関係者、将棋の支部、そして対局場と、それぞれが知恵と汗を出して、熱い思いがいっぱい篭った対応をしてくれているようです。

支える:名人戦 in 遠野/上 ホテル「あえりあ遠野」 /岩手 (毎日jp)

フロント係の新田さんは旅客への気配りが評価されての抜てき。客室での接待は初めてだ。「棋士の方を邪魔しないことを心がけます」。対局者の視野に入らない位置を確認し、物音を抑えた仕草を繰り返した。

 今年1月、市役所から名人戦開催決定が伝えられた。01年の営業開始以来、経験したことのない大イベントだ。「気持ちよく対局に臨んでもらおう」。早速準備が始まった。

 対局室となる大広間の畳と障子の張り替え、部屋割りや食事など、市を通じ他開催経験地の事例を尋ねて参考にした。食事も、対局の緊張をほぐすほか、活力を高めてもらうことなどに腐心。量や味、対局者がその日の調子で選べるよう複数献立を用意する。地元食材を使い遠野の味を楽しめる工夫もした。

支える:名人戦 in 遠野/中 ホテル「あえりあ遠野」 /岩手 (毎日jp)

遠野支部道場にはかつて、50人前後が通った。だが、近年半分以下に減った。10年程前から市と毎月1回、子ども向け将棋教室を開催しているが、思うように増えない。「ゲームなど、面白い物がたくさんあるからね」と苦笑いする。

 頭を抱えていた昨年10月、同連盟東京本部職員で大学の先輩から名人戦誘致を打診された。二つ返事で引き受け、市に立候補を働きかけた。

 開催決定後は、県内の将棋連盟18支部の連絡役として、宿泊先の確保や案内状の作成に追われる。また、前夜祭の準備にも携わる。先日は「参考になれば」と東京都で行われた名人戦第1局を見学に行った。対局者が入場する際の効果音の使い方、立食パーティーのメニューなど、地元で生かせる多くの材料を持ち帰り、市やホテルに提供した。

 「遠野の将棋熱を盛り上げるためにも、必ず成功させたい」と、意気込む。

支える:名人戦 in 遠野/下 ホテル「あえりあ遠野」 /岩手 (毎日jp)

市は今年2月、本田敏秋市長を委員長に「歓迎行事実行委員会」を組織した。事務局の同課は、前夜祭の計画や告知ポスター製作を任された。だが当初、「どうしていいか想像がつかない」と、戸惑いもあったという。

話し合いを繰り返すうちに、「まずは遠野らしい歓迎をしよう」という結論に達した。地元の伝統芸能から、対局の勇ましさにふさわしいと、獅子の面をかぶり激しく舞う「しし踊り」を、発刊100年の「遠野物語」に寄せて地元語り部による「昔話」を、歓迎行事に取り入れた。

 また、奥瀬課長がパソコンで「しし踊り」を背景に、名人と挑戦者の写真を配したポスターのデザインを考案。300枚を刷り、課員総出で市内の商店などに配り歩いた。

 今月に入ってからは期間中の配置や動きについて確認、点検を休日返上で行う。「これを機に全国に遠野を発信したい」。職員一丸となって、その日を待つ。
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政治も経済も何もかも、モチベーションは下がりまくりの現在。
お金のためなんかではなく、こんなにもこの名人戦の成功のために関係者全員が一生懸命になっている。
将棋のためとか、地域のためとか、そんな小さなことでなく、皆が自分のやるべきことを必死で精一杯見えないところでも努力している。
こういう人たちに支えられて、選ばれた二人の棋士の対局が行われている。
素晴らしいではありませんか。

前夜祭で披露された語り部の正部家ミヤさんの昔話に耳を傾ける二人
両対局者の前で披露された「細越獅子踊」

前夜祭での二人の挨拶にも、地元との和やかな触れ合いの様子が伺えます。
名人戦前夜祭 羽生名人あいさつ名人戦前夜祭 羽生名人あいさつ
名人戦前夜祭 三浦八段あいさつ名人戦前夜祭 三浦八段あいさつ

将棋というものと、その土地の持つ歴史・文化・風土。
その二つが融合し、一体となる。
そして、その土地ならではの対局、遠野でしかできない名人戦、という貴重なコンテンツとなり、世界に発信されていく。

武蔵と小次郎の闘いが、巌流島でしかなかったように、
羽生と三浦の第68期名人戦第2局は、あの遠野での戦い、
というように。

将棋の重み、深み、醍醐味というものは、盤上だけのものではない。
シリコンバレーからはるばると梅田望夫さんが駆けつけることも含め、
遠野という土地が持つ長い歴史の中で、一期一会の名人戦の熱い戦いは繰り広げられている。
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無冠の女王

2010年04月20日 23時10分33秒 | 将棋
昨日のマイナビ女子オープン第三局。
挑戦者の甲斐女流二段が、矢内女王を3連勝で破り、初タイトル獲得です。
おめでとうございます。
がんばってきた甲斐があった、などと、いろんなところでさんざん言われている事と思います。
いやあ、それにしても強いです。
矢内さんが力を出し切れなかった、あるいは不調だった、という説もあるけど、甲斐さんの集中力を切らさないしっかりした差し回しが目立ちました。

それにしても、3連勝というのは誰にとっても予想外だったのではないでしょうか。
タイトル戦でのこういう結果は、二人の今後にとってかなり大きいと思います。
矢内さんとしては、1局目、2局目の結果を踏まえて当然十分な対抗策、研究をされてきた上での敗戦だと思うので、どんな作戦を用いても、どんな戦い方をしても歯が立たない、という簡単には拭い切れない重荷を背負った感があるのではないでしょうか。

里見さんが清水さんから女流名人位をストレートで奪って二冠になったのに続き、若手がトップを打ち破る世代交代の図が描かれています。

甲斐女王はこの後続いて女流王位にも挑戦するわけで、この勢いのまま突き進み続けるのかどうか興味津々です。

現在、里見女流二冠・清水女流二冠・甲斐女王という形になって一年前とはかなり変わってきつつある女流棋界の勢力図。

若手の新勢力が目立ってはいるけれど、中井さんや石橋さんも無冠のまま黙ってはいないでしょうし、矢内さんの巻き返しも含め、女流棋界はいろんなモヤモヤを吹き晴らすほどの盛り上がりを見せて欲しいと思っています。

話は戻って、今年に入ってからのタイトル奪取は、
里見さん@女流名人、久保さん@王将、そして甲斐さん@女王、と
3回連続すべて振り飛車でのタイトル奪取。

これは単に春の嵐で終わるのかどうか。
この振り飛車旋風は今後どこまで吹き荒れていくのでしょうか?

さて、今回失冠した矢内さんのこと、今までこんな記事を書いてきました。

女王の品格
矢内女王とハチワンダイバー
将棋の業界革新

要は、

矢内さんは、腰が低い。重い。
どっしりしていて崩れない。
ゆとりを持って自然体で相手を受け止め、より深い、より大きな力で圧倒する。

先日の一番長い日の大盤解説会でのこと。

早々と降級になってしまった佐藤九段の話になった時、聞き手の矢内さんはスパッとさわやかにこう言いました。

「私が言うのもなんなんですが、
落ちたってまた這い上がってくればいいんですよ。

この時点での、「私が言うのもなんなんですが」というのは、女流名人戦A級リーグ降級ということだったけど、さらに、ついに、虎の子の女王位も失冠してしまったわけです。

当然内心は忸怩たるものがあるのでしょうけど、明るく言い放ってしまうこの姿勢。

久々に無冠になったことで、勢いよく、積極的に、以前にも増して矢内さんらしい将棋を見せてほしいと期待しています。
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我以外皆我師

2010年04月20日 01時23分57秒 | 雑感
鮒谷周史さんってご存知でしょうか?
20万通という日本一の発行部数を誇るメルマガ〔平成進化論〕を発行されている方です。

その中の1つがこれです。

【 私(鮒谷)の座右の銘 】
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■自信満々であることは素晴らしいことですが、

私も含め、自分の能力が他者より劣っているところが
あることを、

(残念ながら)認めざるを得ない人は少なくないでしょう。

■けれども、能力がないのを恥じる必要はありません。
見栄を張って、才能があるように見せかける必要もありません。

全ての人から、全てを教えてもらうつもりでいたら
いいのです。

■なかには、

「私はそれを知らないのです、教えてください」

と言うと、喜んで教えてくれる人がいます。

というよりも、

ある道に通じた人は、その知見なり知恵なりを
自分の周囲の人に分け与えたいと思っているもの(のはず)。

■きっと、あなたの周りの方もそうでしょう。

釣り好きの人は釣りの楽しさ、面白さを伝道しているはず。

将棋の強い人は将棋を教えてくれる。

ゴルフもそうですね。

私のあまりの下手さ加減を見て、俺が徹底的に指導する、
とおっしゃってくださる方が五指に余るくらい
いらっしゃいます。(笑)

ありがたい事です。

■ということで、知らないことを人に尋ねることは
恥ずかしいことでもなんでもなく、

【 教わる人もハッピーだし、教えてくれる人もハッピー 】

だと考えればいいのです。

というか、実際にその通りなのです。

■聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ともいいます。

知らないことや出来ないことを素直に認め、
質問することによって、

自分が得をするのはもちろん、
教えてくれる人にも喜んでもらえるのですから、

【 知ったかぶり、できる振りをしたら、双方が損 】

してしまいます。

能力がないのを恥じる必要はないし、
知らないことを卑下することもない。

■吉川英治の言葉に、

「我以外皆我師」(我以外、みな我が師)

とありますが、これは私の座右の銘の一つです。

年齢、性別、立場、肩書きなど関係なく
いろんな方々から有り難く学ばせていただいています。

■私は、世の中のことをなーんにも知らないと思っているし、
実際にその通りですから、

「お前、なんにもしらないなぁ」

といわれても

「おっしゃるとおりです」

でオシマイ。

見栄を張るから疲れるのです。

■ですから、

たとえ年下の人や、学生さんから学ばせてもらった
ときなども、

プライドが傷つくなどということは一切ありません。

■というよりもむしろ、

「今の学生さんは何を感じ、考えながら生きているのだろう?」

「幼い頃からIT技術に触れて生きてきた彼らは
どういう感性を持っているのだろう」

「下手な社会人よりもITリテラシーが高いはずだから、
彼らと接することでそのスキルやノウハウを教わろう」

「何よりも彼らには未来があり、野心があり、野望があり、
志があり、元気があり、意思がある。

そのエネルギーを分け与えてもらいたい」

そんな思いをもって、人間関係を広げていこうとしてきました。

■そうしたら、だんだん学生さんとの接点が増えてきて、

さらには冒頭に書いたような高校生との付き合いさえも
生まれてくるようになったのです。
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先日取り上げたスケートの清水宏保さんも、「座右の銘は何ですか?」と聞かれて、この言葉を挙げてました。

世界一になろうと、いつも謙虚な姿勢。
素敵です。

この言葉で思い出すのは、米長永世棋聖。

ある程度の歳になって、若い人から学びたいと志し、
当時の島研(羽生・佐藤・森内)に教えを請いに行った。
当然自分から出向いていって、若手の感覚を学ばせてもらい、お礼にご馳走した。
その謙虚な姿勢が、50歳で初の名人位奪取に繋がったのでしょう。

地位とか、立場とか、年齢とかに関係なく、自分に足りないもの、他の人の方が優れているものを学ばせてもらう。

いろんな角度から見れば、誰に対しても絶対にかなわない部分はあるはず。
それなのに、どうしても一面的に見てしまう狭量な自分。

あいつはダメだ。あいつは若いしわかってない。

いや、そんなことはなく、その人もどこかの部分では我が師なわけです。

ほんと、こう考えてみると、見栄なんか張る必要もなく、のんびり気楽な人生です。

はい、今日もまたいろいろ教えていただいて、ありがとうございました。
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