即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

無冠の女王

2010年04月20日 23時10分33秒 | 将棋
昨日のマイナビ女子オープン第三局。
挑戦者の甲斐女流二段が、矢内女王を3連勝で破り、初タイトル獲得です。
おめでとうございます。
がんばってきた甲斐があった、などと、いろんなところでさんざん言われている事と思います。
いやあ、それにしても強いです。
矢内さんが力を出し切れなかった、あるいは不調だった、という説もあるけど、甲斐さんの集中力を切らさないしっかりした差し回しが目立ちました。

それにしても、3連勝というのは誰にとっても予想外だったのではないでしょうか。
タイトル戦でのこういう結果は、二人の今後にとってかなり大きいと思います。
矢内さんとしては、1局目、2局目の結果を踏まえて当然十分な対抗策、研究をされてきた上での敗戦だと思うので、どんな作戦を用いても、どんな戦い方をしても歯が立たない、という簡単には拭い切れない重荷を背負った感があるのではないでしょうか。

里見さんが清水さんから女流名人位をストレートで奪って二冠になったのに続き、若手がトップを打ち破る世代交代の図が描かれています。

甲斐女王はこの後続いて女流王位にも挑戦するわけで、この勢いのまま突き進み続けるのかどうか興味津々です。

現在、里見女流二冠・清水女流二冠・甲斐女王という形になって一年前とはかなり変わってきつつある女流棋界の勢力図。

若手の新勢力が目立ってはいるけれど、中井さんや石橋さんも無冠のまま黙ってはいないでしょうし、矢内さんの巻き返しも含め、女流棋界はいろんなモヤモヤを吹き晴らすほどの盛り上がりを見せて欲しいと思っています。

話は戻って、今年に入ってからのタイトル奪取は、
里見さん@女流名人、久保さん@王将、そして甲斐さん@女王、と
3回連続すべて振り飛車でのタイトル奪取。

これは単に春の嵐で終わるのかどうか。
この振り飛車旋風は今後どこまで吹き荒れていくのでしょうか?

さて、今回失冠した矢内さんのこと、今までこんな記事を書いてきました。

女王の品格
矢内女王とハチワンダイバー
将棋の業界革新

要は、

矢内さんは、腰が低い。重い。
どっしりしていて崩れない。
ゆとりを持って自然体で相手を受け止め、より深い、より大きな力で圧倒する。

先日の一番長い日の大盤解説会でのこと。

早々と降級になってしまった佐藤九段の話になった時、聞き手の矢内さんはスパッとさわやかにこう言いました。

「私が言うのもなんなんですが、
落ちたってまた這い上がってくればいいんですよ。

この時点での、「私が言うのもなんなんですが」というのは、女流名人戦A級リーグ降級ということだったけど、さらに、ついに、虎の子の女王位も失冠してしまったわけです。

当然内心は忸怩たるものがあるのでしょうけど、明るく言い放ってしまうこの姿勢。

久々に無冠になったことで、勢いよく、積極的に、以前にも増して矢内さんらしい将棋を見せてほしいと期待しています。
コメント (2)
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我以外皆我師

2010年04月20日 01時23分57秒 | 雑感
鮒谷周史さんってご存知でしょうか?
20万通という日本一の発行部数を誇るメルマガ〔平成進化論〕を発行されている方です。

その中の1つがこれです。

【 私(鮒谷)の座右の銘 】
───────────────────────────────────
■自信満々であることは素晴らしいことですが、

私も含め、自分の能力が他者より劣っているところが
あることを、

(残念ながら)認めざるを得ない人は少なくないでしょう。

■けれども、能力がないのを恥じる必要はありません。
見栄を張って、才能があるように見せかける必要もありません。

全ての人から、全てを教えてもらうつもりでいたら
いいのです。

■なかには、

「私はそれを知らないのです、教えてください」

と言うと、喜んで教えてくれる人がいます。

というよりも、

ある道に通じた人は、その知見なり知恵なりを
自分の周囲の人に分け与えたいと思っているもの(のはず)。

■きっと、あなたの周りの方もそうでしょう。

釣り好きの人は釣りの楽しさ、面白さを伝道しているはず。

将棋の強い人は将棋を教えてくれる。

ゴルフもそうですね。

私のあまりの下手さ加減を見て、俺が徹底的に指導する、
とおっしゃってくださる方が五指に余るくらい
いらっしゃいます。(笑)

ありがたい事です。

■ということで、知らないことを人に尋ねることは
恥ずかしいことでもなんでもなく、

【 教わる人もハッピーだし、教えてくれる人もハッピー 】

だと考えればいいのです。

というか、実際にその通りなのです。

■聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥ともいいます。

知らないことや出来ないことを素直に認め、
質問することによって、

自分が得をするのはもちろん、
教えてくれる人にも喜んでもらえるのですから、

【 知ったかぶり、できる振りをしたら、双方が損 】

してしまいます。

能力がないのを恥じる必要はないし、
知らないことを卑下することもない。

■吉川英治の言葉に、

「我以外皆我師」(我以外、みな我が師)

とありますが、これは私の座右の銘の一つです。

年齢、性別、立場、肩書きなど関係なく
いろんな方々から有り難く学ばせていただいています。

■私は、世の中のことをなーんにも知らないと思っているし、
実際にその通りですから、

「お前、なんにもしらないなぁ」

といわれても

「おっしゃるとおりです」

でオシマイ。

見栄を張るから疲れるのです。

■ですから、

たとえ年下の人や、学生さんから学ばせてもらった
ときなども、

プライドが傷つくなどということは一切ありません。

■というよりもむしろ、

「今の学生さんは何を感じ、考えながら生きているのだろう?」

「幼い頃からIT技術に触れて生きてきた彼らは
どういう感性を持っているのだろう」

「下手な社会人よりもITリテラシーが高いはずだから、
彼らと接することでそのスキルやノウハウを教わろう」

「何よりも彼らには未来があり、野心があり、野望があり、
志があり、元気があり、意思がある。

そのエネルギーを分け与えてもらいたい」

そんな思いをもって、人間関係を広げていこうとしてきました。

■そうしたら、だんだん学生さんとの接点が増えてきて、

さらには冒頭に書いたような高校生との付き合いさえも
生まれてくるようになったのです。
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先日取り上げたスケートの清水宏保さんも、「座右の銘は何ですか?」と聞かれて、この言葉を挙げてました。

世界一になろうと、いつも謙虚な姿勢。
素敵です。

この言葉で思い出すのは、米長永世棋聖。

ある程度の歳になって、若い人から学びたいと志し、
当時の島研(羽生・佐藤・森内)に教えを請いに行った。
当然自分から出向いていって、若手の感覚を学ばせてもらい、お礼にご馳走した。
その謙虚な姿勢が、50歳で初の名人位奪取に繋がったのでしょう。

地位とか、立場とか、年齢とかに関係なく、自分に足りないもの、他の人の方が優れているものを学ばせてもらう。

いろんな角度から見れば、誰に対しても絶対にかなわない部分はあるはず。
それなのに、どうしても一面的に見てしまう狭量な自分。

あいつはダメだ。あいつは若いしわかってない。

いや、そんなことはなく、その人もどこかの部分では我が師なわけです。

ほんと、こう考えてみると、見栄なんか張る必要もなく、のんびり気楽な人生です。

はい、今日もまたいろいろ教えていただいて、ありがとうございました。
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