英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

不調なのか、それとも、衰えたのか……「その2」

2016-06-24 22:58:35 | 将棋
「その1」の続きです。

 直前まで3回連続名人戦の舞台で敗れていた森内名人を4-0で破り、名人位に復位した後、さらに、棋聖戦でも森内竜王の挑戦を3勝0敗で退けた。

 直後の王位戦でも木村八段を4勝2敗(1持将棋)で防衛を果たした。しかし、この王位戦が“違和感”の走りだった。
 最初は1局ごとの短評を並べるだけにしようと思いましたが、局面図を挿入した方が思い出しやすいと思い、並べ返しているうちに、あの図この図もと絞れず、結局、いつもの如く、簡潔にまとめることは出来なさそうです。
 奇しくも、今季の王位挑戦者はこの時と同じ木村八段。復習を兼ねて、思うままに書き連ねようと思います。

 第1局は矢倉戦。

 後手の香が9五にいるのは、△9五歩▲同歩△同香に▲9七歩と先手の羽生名人が局面を治めたからである。一見、後手の言い分を通した形だが、好きな時に▲9六歩として先に香を手にする権利を持っていると考えることもできる。
 ▲3七銀は2六から引いたもの。この後も、銀を上げ下げ、歩を交換するなど、互いに間合いを計り合いが続いたが、木村八段の△5八歩が巧手だった。

 これに対し、強く▲同飛と取り、△6九銀と割り打ちを掛けさせる手もあったが、▲5九飛と我慢した。しかし、譲歩した分だけ木村八段に先行(先攻)を許してしまったようだ。


 第3図は、羽生王位は2筋の継ぎ歩から▲2四歩の垂らしに期待したが、それは大したことないと見切った木村八段が強く△2五同歩と取った局面。
 以下、▲4五飛△4四金▲5五飛△同金▲2四歩△4九飛(第4図)と進む。

 図の△4九飛が▲2四歩の垂れ歩よりも厳しい。
 9筋の飛香の存在も大きく、△5九歩成からのと金攻めも見える。
 先手は結局、▲9六歩を時期を逸してしまった。
 この後、9二の飛車も4筋から成り込み(第3図から第4図に至る手順で、▲4五飛に対し△4四金と金で応じたのも飛車の展開を可能にした好手だった)、二枚龍で寄せ切った。木村八段が先勝。


 第2局も矢倉戦で、先手の木村八段が攻め込み、羽生王位が受け止め反撃する展開。(実は、この将棋、当時、一日目の将棋を記事にしていますが、2日目を書かずに済ませていました)


 この後もギリギリの攻防が続いたが、第7図の羽生王位の△3三玉が失着だった。

 目障りな歩を払い、玉を安定させる大きな一手だが(対局中はこの第7図の△3三玉で後手玉の危険度が薄れ、次の△6五香が厳しく後手有利というのが、大方の形勢判断だった)、△6五香▲5七金を決めてから△3三玉と指すべきだったという。
 なぜなら図での▲7五歩が好手で後手の桂頭を攻めると同時に、△6五香に▲7六金を可能にしている(ちなみに、第7図の△3三玉の手で△6五香▲5七金を利かして△3三玉としたとしても、以下▲7一角△9二飛▲6二角成△6六歩▲同銀△同香▲同金△5三銀打▲同角成△同桂▲7三馬で難しい形勢だったらしい…棋譜中継の解説)

 第7図以下、▲7五歩△2六歩▲2八飛△6五香▲7六金△6七香成▲7四金△8四飛▲7五金△9四飛▲7六銀△6六歩(第8図)と進む。

 図では、後手の香(成香)が空振りに終わり、その上、成香取りを受ける△6六歩を打たされるのも辛い。さらに、後手の飛車も9筋に追いやられてしまったのも痛い。
 後手の6一の桂は7三桂に紐を付ける為に打った桂だが、この桂も8一から打つべきだったらしい。6一から打った方が5三にも利いて働きは強いが、6一から打ったため取られる運命となってしまった。この桂打ちの小ミスは、後の第6局の桂打ちの前兆だったのかもしれない。

 このあと木村八段が優勢に進め、5一と金を4一に捨てたところ。

 以下、△同金▲4五桂△同歩▲5三角成と銀を取って角を成り込んで技が決まったかに見えたが、△5二金と受けられて見ると、後手玉の危険度が増したとは言えず、駒の損得も銀と桂の駒得ではあるが、と金を捨てているのでほとんど得はしておらず、馬当たりにもなっている。
 それで、▲4四銀△同銀▲5二馬と攻めを継続させるが、△2四玉とかわされてみると、先手の馬が置き去りにされた感があり、逆転模様。以後、羽生王位が勝ち切り、1勝1敗のタイとした


 
 第3局は角換わり腰掛け銀。後手の木村八段が馬の力と力強い防手を見せる。


 しかし、あの手この手で突破の糸口を掴もうとする羽生王位。

 これに丁寧に力強い防手で、羽生名人の攻めを切らしにかかる木村八段。

 長い長い攻防が続き、羽生王位の攻めが息切れ気味になってきたが……

 第15図の▲8三銀に△同馬と応じたのがミス。
 以下▲5四飛成△5三銀打▲4四金(第16図)△同銀▲6三龍で馬が盤上から消えることとなってしまった(先に金を捨てているので、角金(馬金)交換)。

 木村八段は▲4四金を見落としていたという。

 うっかりミスでぐらりとした木村八段だったが、容易に倒れない。

 金をベタベタと打ち、先手の飛車を捕獲し、入玉に望みを懸ける。

 羽生王位も技を繰り出し勝利を目指す。

 図以下、△2七同馬▲4六角(王手飛車)△2五玉▲1九角△2八銀と必死の攻防。

 しかし、将棋の流れは羽生王位にあったらしく、

 ここで▲2二竜と指せば、以下△4八角▲1九歩△同馬▲2三竜寄△2六歩▲1六銀△2八玉▲2六竜(変化図)△3九玉▲2七銀で、このあと馬を取るのが確実となり、先手の勝勢だったという。


 また、▲2二龍では▲1二龍も有力で△1六歩▲2三龍寄△2六歩▲1五龍△5九角▲2九歩△同馬▲1四龍引△2八玉▲1六龍△1五歩▲同龍引△2七歩成▲1九金で馬が取れ、先手の勝ち。
 羽生王位は「寄せにいって寄らなければ負けてしまいます。寄るかどうかも微妙という判断でした」(後日談)
 この辺の記述は、大川慎太郎著『将棋・名局の記録』(マイナビ)による。

 さらに、駒数で勝利しそうな棋勢であったが、無理をせず入玉を確保し、持将棋に。
 第20図の▲9五歩は、単に▲8六玉だと△8三香が嫌味なので、▲9五歩△同歩を入れておけば、△8三香には▲9五玉ができるという仕組み。
 しかし、この1歩の突き捨てによって、木村八段の駒数不足による持将棋不成立(負け)の可能性が低くなり、そのまま持将棋が成立した。

 寄せに行かず入玉を目指したことと言い、安全運転で持将棋にしたことと言い、若干、不満の残るが、激闘による疲労もあり、危険を回避したのは責められない。

 第三局まで終了して、1勝1敗1持将棋の互角。しかし、内容は押されっぱなしだったので、1勝1敗は上出来と考えるべきだろう。今後の戦いに不安は残るが、内容は上昇気配なので大きな不安は感じなかった。
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不調なのか、それとも、衰えたのか……「その1」

2016-06-22 20:38:57 | 将棋
 名人を失冠して20日余り経った。
 棋聖戦第1局でも永瀬六段に敗れ6連敗(対永瀬戦も4戦全敗)。
 内容もよくない……「衰えたか」という声もあちこちで聞こえてきた。
 きっぱりと反論したいが、反論できる材料に乏しい。しかし、棋聖戦第2局で勝利し、明るい兆しも見えてきた。
 羽生将棋について、ここ数年感じていたこと、そして、現在の状況を整理して考察してみたい。
 

 まず、ここ5年の羽生三冠のタイトル戦を振り返る。(左側がタイトル保持者、右側が挑戦者、青が勝者)
2011年度
 名人戦 羽生三冠3-4森内九段 失冠
 棋聖戦 羽生二冠3-0深浦九段 防衛
 王位戦 広瀬王位3-4羽生二冠 奪取
 王座戦 羽生三冠0-3渡辺竜王 失冠
   タイトル戦としては2勝2敗(10勝10敗) 年度成績44勝19敗 0.6984

2012年度
 名人戦 森内名人4-2羽生二冠 挑戦失敗
 棋聖戦 羽生二冠3-0中村太六段 防衛
 王位戦 羽生二冠4-1藤井九段 防衛
 王座戦 羽生二冠3-1渡辺二冠 奪取
   タイトル戦としては3勝1敗(12勝6敗)  年度成績51勝17敗 0.7500

2013年度
 名人戦 森内名人4-1羽生二冠 挑戦失敗
 棋聖戦 羽生三冠3-1渡辺三冠 防衛
 王位戦 羽生三冠4-1行方八段 防衛
 王座戦 羽生三冠3-2中村太六段 防衛
 王将戦 渡辺二冠4-3羽生三冠 挑戦失敗
   タイトル戦としては3勝2敗(14勝12敗)  年度成績42勝20敗 0.6774

2014年度
 名人戦 森内二冠0-4羽生三冠 奪取
 棋聖戦 羽生四冠3-0森内竜王 防衛
 王位戦 羽生四冠4-2木村八段(1持将棋) 防衛
 王座戦 羽生四冠3-2豊島七段 防衛
 棋王戦 渡辺二冠3-0羽生四冠 挑戦失敗
   タイトル戦としては4勝1敗(14勝7敗)   年度成績39勝15敗 0.7222

2015年度
 名人戦 羽生四冠4-1行方八段 防衛
 棋聖戦 羽生四冠3-1豊島七段 防衛
 王位戦 羽生四冠4-1広瀬八段 防衛
 王座戦 羽生四冠3-2佐藤天八段 防衛
 王将戦 郷田王将4-2羽生四冠 挑戦失敗
   タイトル戦としては4勝1敗(16勝9敗)   年度成績30勝17敗 0.6383

2016年度
 名人戦 羽生四冠1-4佐藤天八段 失冠
 棋聖戦 羽生三冠1-1永瀬六段 タイトル戦中
   タイトル戦としては0勝1敗(2勝5敗)    年度成績3勝6敗 0.3333

 「5年間+今年度」の通算では、タイトル戦としては16勝(防衛13、奪取3)8敗(失冠3、挑戦失敗5)。防衛戦は13勝3敗、挑戦は3勝5敗。
 2011年度、名人、王座を失冠したものの王位を奪取し二冠を死守した後は、防衛を重ねながら三冠、そして四冠とタイトルを増やす。特に2013年度~2015年度は3年連続タイトル戦登場数が5。この間、挑戦失敗が4回あり、それをマイナス材料と捉える向きもあるが、タイトル挑戦すること自体が困難なので、圧倒的な実績と考えるのが妥当だ。(挑戦失敗の多さは、私としては不満だが)
 特に、名人位に返り咲いた2014年度は朝日杯優勝、日本シリーズ準優勝、年度成績39勝15敗(0.7222)と申し分のない成績である。あの森内名人を4勝0敗で破って復位したことも素晴らしいが、何より、将棋の内容が素晴らしかった。
 “ピーク”という考え方は好みではないが、この名人戦をひとつのピークと考えてよいだろう。
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『99.9-刑事専門弁護士-』 第10話(最終話)

2016-06-20 17:57:44 | ドラマ・映画
「僕にとっては依頼人の利益よりも事実を明らかにする方が大事です」
これは全編を通じての深山の信条(第1話で深山が語っていたらしいが、私は第3回より視聴。最終回でも同様なセリフがあった)
さらに、
「正義とか真実とかっていう、100人いたら100通りの考えがあるようなものを……僕は信じないですよ」
「あなたはあなたの正義というものを貫くというのであれば、僕は事実だけを信じてあなたの前に立ち続けますよ!」


 よくこういったドラマで「真実」と「事実」を対比して語ることが多く、大概の場合は
「真実」>「事実」……事実は表向きの現象で、大切なのは“真相”(真実)。(名探偵コナンの決め台詞「真実は一つ」に相通じる)
 といった図式が多い。
 また、今回、依頼人の無実を証明する(依頼人の利益)ために「依頼人のアリバイを立証する」方針を立てた佐田に対し、深山は冒頭の「僕にとっては依頼人の利益よりも事実を明らかにする方が大事です」と述べ独自の行動をとったが、今回は“依頼人の利益”=“事実を明らかにする”なので、観ていて抵抗を感じた。
 これが、罪を犯した依頼人が「無罪を勝ち取ってほしい」という要求(利益)に対して主張したのなら、素直に受け入れられたのだが。


 この辺りの言い回しに違和感を感じたが、それはさておき、
 このドラマの検察(警察)は、「犯人を逮捕、起訴し、罪を確定させる」のが正義で、
 そのためには、犯行時間や証言を歪めたり、自白を強要させても構わない。
 事実(真実)の追及など、どうでもいいのである


 タイトルの『99.9』は、そういった実情への批判が込められている。(上記の検察の姿勢が、実態に合っているかは不明)
 ただ、私がもう一つ問題に感じるのは、『99.9』の数字の裏には、“勝てる見込みが得られなければ、不起訴”という実情もあるということ。
 たとえ、限りなくクロに思われる被疑者でも、立件・勝訴できる材料(証拠)がなければ、起訴しないという実態。
 この場合も、深山の信条である「事実を明らかにするのが大事」に反している。

 なので、深山の信条を貫くのなら、彼は弁護士ではなく検事にならなければならなかった。
 彼の父親が無実の罪に陥れられたという過去から「冤罪を失くす」という心情を持ったのなら、弁護士で良いのだが
……


 もちろん、ドラマの主題には共感できる部分も多いのだが、
 そういう訳で、最終話は“モヤモヤ”したものを感じて視聴していた。
 このドラマ、ギャグや小ネタも楽しめた(楽しめないモノも多かった)が、その分、ドラマの芯の部分の精密さを欠いたモノになっていたように思う。


★最終話の事件について
・捜査がずさん過ぎた
 「殺害現場に毛髪と血痕が残されていたこと」は、かなりの有力な証拠には違いないが、周囲の証言や動機、そして、自白などは、歪められたか強要されたもの。
 被疑者が主張するアリバイの検証はせず、動機もあやふや(被害者と被疑者の関係)、凶器の発見、指紋、目撃証言などについては、何の言及もなかった。

・真犯人の犯行も、その設定が不自然
 脚本サイドの犯人の条件は、「被疑者(誰でもいい)の血液と毛髪を手に入れることが可能なこと」、「何の関係もないと思われる4人と関わりがあったこと」。
 それに合致したのが、医師であり、都知事(被害者に脅迫される脚本的必要性があった)で、逆算的に設定されたと思われる。
 そのため、3人を殺害するにしては、「患者に悪戯したという過去の隠ぺい」という弱すぎる動機になってしまった。金で解決する方がリスクは少ない。(得意の?政治資金を運用すれば良い)
 殺害するにしても、脅迫していた本人だけで良い。普通は、それだと被害者の関係者である知事が疑われるが、今回は血液と毛髪の決定的な証拠を捏造できる。他の二人を殺害する方がはるかにリスク(目撃や犯行痕跡)が大きい。

・お助けマン(週刊誌記者)登場の強引さ
 たまたま、事務所に置いてあった、静岡の事件記事に目が止まった。
 そもそも、この記者、何をテーマで書きたかったのだろうか?詳細に調べたが、犯行状況などにさしたる疑問も持っていなかったようだし。
 単なる“お助けマン”としての存在だった。

【ストーリー】番組サイトより
 深山 (松本潤) は、連続殺人事件の容疑者として逮捕された石川の弁護を担当することになる。
 石川は、殺害現場に毛髪と血痕が残されていたことで逮捕され、取り調べで犯行事実を認めていた。

 だが、検察の 丸川 (青木崇高) から毎日、深夜まで取り調べられ、意識が朦朧としている中で調書にサインをしてしまったと明かす。
 そんな状況の中、深山は 佐田 (香川照之) や 彩乃 (榮倉奈々) らと捜査を始めるが、週刊誌のある記事を目にして、再び、皆の前から消えてしまい…。

深山と検察の最終決戦が今、始まる!
そして、ついに天敵・大友検事正 (奥田瑛二) と対峙する!
全ての謎が明らかになる !!

脚本:宇田 学
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2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その10(終)」

2016-06-18 18:03:12 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」「その7」「その8」「その9」の続きです。

 全10局の終局時刻と消費時間は次の通り。
第1戦 対金井恒太五段戦
 終局時刻は0時49分。消費時間は▲金井五段5時間58分、△浦野八段5時間59分
第2戦 対小林裕士七段戦
 終局時刻は22時12分。消費時間は▲浦野八段5時間54分、△小林七段3時間45分
第3戦 対高野秀行六段戦
 終局時刻は22時53分。消費時間は▲高野六段4時間53分、△浦野八段5時間28分
第4戦 対阪口悟五段戦
 終局時刻は20時08分。消費時間は▲浦野八段4時間32分、△阪口五段3時間18分
第5戦 対片上大輔六段戦
 終了時間は22時7分。消費時間は▲片上六段4時間15分、△浦野八段5時間42分
第6戦 対大平武洋五段戦
 終局時刻は20時30分。消費時間は▲浦野八段5時間59分、△大平五段2時間3分
第7戦 対神谷広志八段戦
 終局時刻は21時20分。消費時間は▲神谷八段4時間3分、△浦野八段4時間54分
第8戦 対横山泰明六段戦
 終局時刻は2時1分。消費時間は▲横山六段5時間40分、△浦野八段5時間48分(千日手局を含めると実考慮時間は6時間14分)
第9戦 対阿部健治郎六段戦
 終局時刻は17時18分。消費時間は▲阿部六段2時間0分、△浦野八段4時間5分
第10戦 対中村太地六段戦
 終局時刻は20時7分。消費時間は▲浦野八段5時間4分、△中村六段3時間2分

 対戦相手が早指し棋士が比較的多く、中押し負けの将棋もあったので、終局時刻は早めであったが、殆どの対局で残り時間がわずかになるほど考えている。
 作戦負けから押し切られるというパターンは考慮していても辛いはずだが、それでも苦慮を重ねている。
 角交換振り飛車穴熊など作戦的に損なのではないかと思うし、研究を重ねて独自の指し方を練り上げたという節もあまり感じられないが、独自の感覚を武器に、盤を前に目一杯考え続ける姿勢には感銘を受けた。将棋の内容も面白かった。

 残念ながら2勝8敗でC級2組に降級してしまいましたが、今年度も頑張っていただきたいです。
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『99.9-刑事専門弁護士-』 第9話

2016-06-18 15:03:14 | ドラマ・映画
≪皐月 (国仲涼子) が犯行を自供≫、≪家族全員の証言≫などから、皐月の罪を情状酌量で軽減する方針となるところであるが、
「朱色のネクタイを手に呆然と立ち尽くしていた」という証言が一致しすぎており、違和感が半端ではない……

 ………例によって、実験(状況再現)など検証をすると、長男の犯行を、皐月が罪をかぶるのを家族全員で後押ししていたことが判明。
 さらに、『自ら罪をかぶった皐月が、一致証言で家族ぐるみの犯人隠匿が判明するよう誘導していた』のだった。

 まあ、『皐月が罪をかぶって家族ぐるみで犯人隠匿』というのは見え見えであるのは、制作側も織り込み済みで、
 この話のミソは『遺産相続者に犯人隠匿罪を犯させることによって、遺産相続人が皐月のお腹の中にいる胎児のみとなり、すべて相続する』ということであった。


 そもそも、救急や警察より、弁護士を呼んだことに違和感が強いが、これは深山が現場を検証し、ワインがこぼれた状態(皐月の服や絨毯)などを把握するためとスルーすることにするが、≪カッとなったのに、引き出しのネクタイを取り出して絞殺≫というのは不自然極まりない。
 上記の家族の証言や、再現実験による矛盾なども自明過ぎて、面白みに欠けた。

 しかし、そんなことより、もっと気にかかることがあった。
相続欠格がテーマ(狙い)であったが
調べてみると、けっこう条件が緩やかなようだ。
 ウィキペディアによると
「相続欠格の該当者は、故意に被相続人、先順位・同順位の相続人を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために刑に処せられた者」(民法891条1号)
※「故意」とは、殺人の故意を指す。殺人の故意が認められない致死等の場合は該当しないので、相続人となることができる。「刑に処せられた者」が要件であるため、執行猶予付きの有罪判決において執行猶予が満了した場合や実刑判決が確定する前に死亡した場合は欠格事由にあたらない。

 過失致死や傷害致死 は欠格に当たらないらしい。

さらに、犯人隠匿証拠隠滅において
「親族間の犯罪に関する特例があり、犯人又は逃走した者の親族がこれらの者の利益のために犯したときは、その刑を免除することができる」(刑法105条)
となっている。

 皐月のお腹の子には相続権があるのは確実だけど、今回の犯人隠匿劇は意味がなかったように思える。
 仮に親族においても犯人隠匿罪が適応されるとしたら、隠匿罪においては皐月が首謀者なので一番罪が重そうであるし……



【ストーリー】番組サイトより
 深山 (松本潤) は 佐田 (香川照之) から指示を受け、彩乃 (榮倉奈々) らとともに山城鉄道の会長の自宅を訪ねる。するとそこには殺害された会長の遺体と、それを取り囲む家族らが。
 状況を聞くと、三男の嫁である 皐月 (国仲涼子) が犯行を自供。脳梗塞を患った義父を懸命に介護したが、満足してもらえないまま罵倒される日々が重なり、耐えられなくなっての犯行だという。
 さらに事件当時、自宅で一緒に暮らしていた家族たちも全員、皐月の犯行を認める供述をし、すぐに解決するかに見えた事件であった。

 しかし深山はある違和感を嗅ぎ取る。 皆の証言を深く掘り下げてゆくと、それはまるで “無理につじつまを合わせたかのように一致” しており…。

脚本:宇田 学
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2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その9」

2016-06-17 23:39:47 | 将棋

………すべては、この投了図から始まった(こんなに長くなるとは思いませんでした)。

「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」「その7」「その8」の続きです。

「その1」からの引用】
 最終局を前に、昇級争いは8勝1敗の中村太地六段(2位)、斎藤慎太郎六段(9位)、北島忠雄七段(31位)と7勝2敗の船江恒平五段(6位)の4棋士に絞られていた。記述した順に有力で、50歳の北島七段がここまで8勝1敗は“大健闘”だが、中村六段と斎藤六段の両棋士に勝たれてしまうと、北島七段は勝っても昇級ならずという状況であった。
 しかし、午後8時7分という早い時刻の決着で、昇級枠のひとつがあっさりと決定してしまった。
 早い投了時刻もさることながら、本格的な戦いが繰り広げられることもなく、銀桂両取りの飛車打ちが炸裂しての42手の投了は、あまりにも不甲斐ないと感じた。これでは、天運を信じて必死に戦っている北島七段が気の毒だ……
 そういう怒りに近い感情で記事を書き始めたが、そんな短絡的なものではなかった。
【引用終わり】


 これが、このシリーズを書き始めた動機であった。
 全局通してのまとめをする必要があるが、その前に、最終局については、「その1」で簡単にしか触れていないので、もう少し詳しく観てみよう。

 ▲9七角と浦野八段が趣向を見せた第1図。

 『将棋世界』2016年5月号の順位戦レポート記事(国沢健一氏)によると、この趣向は過去に4局あって、そのうち3局は桐山九段で、残りの1局は浦野八段とのこと。
 これに対する中村太六段△4二玉が妥協しない最強の応手だ。

 玉が先手の角筋に入り怖いので、前例は△4二銀が多いとのこと。ただ、中継サイトの解説によると、「2005年の第64期順位戦B級2組8回戦、▲桐山清澄九段-△佐藤秀司六段戦(段位は対局当時)で、佐藤六段が△4二玉を指しており、以下は▲3八銀△3四歩▲3六飛△3三金▲2七銀△1四歩▲2六飛△9四歩▲1六銀△3二銀▲2五銀△1三角(参考図)と進んでいる」とある。

 この局面についての解説はなかったので私なりに考えてみた。
 すぐに▲1四銀は△3五角があるので、▲5六飛として△5二金と受けさせて▲1四銀とする手はありそうだ。しかし、以下△2二角▲2五銀△2四歩▲3六銀が想定されるが、先手は歩をせしめたものの、手損が大きく先手の飛車は窮屈で、角頭も飛車がいなくなると攻められてしまう。先手に苦労が多そうな将棋であろう。

 さて、△4二玉(第2図)で最も警戒を要するのは▲5六歩。
(以下は上述の『将棋世界』の記事を参考)
 ▲5六歩以下、△3四歩▲5五歩△同角に▲5四歩が嫌味だ。

 「以下、△4四角が5三を受けながら飛車取りで味よく見えるが、▲5六飛の切り返しが厳しく、△5二金と受けても▲5三歩成△同金▲同角成△同角▲同飛成△同玉▲7一角の王手飛車でそれまで」(『将棋世界』より)

 「変化図で正しい受けは△6四角。以下▲同角△同歩▲5五角△4四角▲同角△同歩▲5五角△4三玉と進めば、▲6四角には△5四玉!で凌ぎきれる」(『将棋世界』より)

 また、△4二玉(第2図)に、▲5六歩△3四歩の時、▲3六飛と変化する手もあるとのこと。
 「以下、△3三金▲5五歩△4四金▲5四歩△同金▲3四飛△6四歩▲2四歩△同歩▲5四飛△同歩▲6四角△3二玉▲5三角成△8六歩が一例だが、これも後手が指せそう」(『将棋世界』より)


 昼食休憩を挟んで1時間14分(実時間は約2時間)の考慮で、浦野八段は▲6八銀と着手。
 しかし、中村六段の次の手を見て後悔することになった。

 △9四歩!
 この手によって先手の動きが難しくなってしまった。飛車の横利きが消えると、△9五歩と突かれてしまう。

 第1図(13手目)の▲9七角に1時間6分、△4二玉に対する▲6八銀(15手目)に1時間14分の考慮を費やしての苦境。経験のある形で成算を持って挑んだはずだが……
 「もしかすると(△4二玉の局面が)すでにおかしいのかもしれない。もう少しなんとかなると思ったんやけど……」(『将棋世界』記事の浦野八段の弁)

 ………う~ん、少し情けないかなぁ(特に△4二玉を軽視していた点)。しかし、浦野八段の指し手などを見ると、それだけで氏を責める気にはなれない(特に、順位戦一年間の浦野八段の将棋を振り返った現在は)。
 浦野八段は既に降級が決定しているが、昇級を争っている中村八段に対して、プライドを持って対峙し、用意の作戦をぶつけたのではないだろうか?
 しかし、20分の考慮で指された△4二玉。……王道の一手。浦野八段はいろいろ読んで感心してしまった。相手の指した手を客観的に認める(感心)するのは悪いことではない。しかし、浦野八段は、感心し過ぎてしまった。そして……▲6八銀を指してしまった。

 ▲6八銀の後も、浦野八段の闘志は衰えず、苦慮を重ね、苦心の陣立てを組む。
 しかし、それを打ち砕く中村六段の指し手。

 △5四歩▲同歩△同金▲5五歩△6四金。
 4三の守りの金を6四の前線に繰り出す。

 狙いは飛車の圧迫(捕獲)。(△5四歩に▲同歩が素直すぎたかもしれない)
 浦野八段は▲9七角と耐えるが、中村六段は構わず△8六歩。(△4三銀~△3一角から△7五銀を狙う手もある)

 ▲8六同歩は△7五銀、また、▲8六同角には△8八歩があるので、▲8六同飛と取るが、△8六同飛▲同歩に△2六飛が銀桂両取りが掛かって、浦野八段、投了。


 終局時刻は20時7分。消費時間は▲浦野5時間4分、△中村3時間2分。
 △4二玉~△9四歩~△5四歩~△8六歩と王道の手で勝利を掴んだ中村六段がB級2組へ昇級を決めた。

「その10」に続く。
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都知事を辞めればいいというものではない

2016-06-16 16:43:05 | 時事
舛添都知事の「せこさ」が問題となり辞職に至ったが、その応答ぶりがあまりに酷く、政治家としての素養、否、人格そのものに、欠陥があった。

「ルールに従っているので、全く問題ない」………ルール(法律)内なら、何をしても良い

「トップの人が二流のホテルに泊まりますか?恥ずかしいでしょう」………特権意識を丸出し

「精査する」………きちんとした説明ができないので、先送り

「第三者の厳しい目」………“精査する”をパワーアップして先送りしたうえ、大甘の基準で他人に“違法性なし”と判定させ、自分では釈明せず

「辞職するにせよ解散するにせよ、都政が停滞することになる」………解散をちらつかせ、不信任案提出を牽制(脅迫)

「私利私欲は全くない、東京の為」………私利私欲そのもの

「与党の公明党に裏切られた」………都知事の懇願に、自民党と民進党が≪9月まで待ってもいいかな≫とほだされかけたらしいが、最後まで執着し、悪口を叩く


 人に厳しく自分に甘く、他人の意見を無視して独断で物事を進める自分勝手な人物だったらしい。
 「違法でないので、悪いことをしていない」と理論武装していたが、最後の最後まで貫いていたので、もしかすると本当に悪いと思っていないのかもしれない。
 良くない行為を数多くしても、「以後、気をつけます」でやり過ごそうとし、自分の言葉で釈明せず、大甘な“第三者の厳しい目”で他人の判断に転化した。
 あれだけグレーなことをしておいて、自分が都政のトップで指揮を執る資格はないという自覚は全くなし。
 「“東大卒”=“エリート”」と言い切っていたが、悪知恵とプライドを身につけただけで、教養や人徳は置き去りにしたらしい。

 今回、後ろ盾の自民党からも見放され、四面楚歌の状況で、執拗な説得にようやく辞職を決断したが、これまで、全く責任説明を果たしていない。
 知事の辞職願を出した後は、まったく会見を行わない。
 ≪知事を辞めたので、説明をする必要はない≫
と考えているのだろうが、グレーなことをした事実は知事を辞めたからと言って消えるわけではなく、追及されるべきである。


“ザル法”の政治資金規正法、“選挙に勝つのが最優先の正義”……政治の腐敗ぶりが根本的な問題

 舛添都知事が辞職して、都議会解散がなくなり議員も安ど感が漂う。百条委員会設置については共産党以外は反対し秘訣。定例会見は中止、第2回の集中審議もなくなる見込み。
 ≪辞職して責任を取ったから、終わりにしよう≫という空気が自民党議員を中心に蔓延している。
 それを端的に表したのが、野村都議(自民党)の言葉。
「打ち首では気の毒だ。名誉ある切腹のほうがいいでしょう。そう思って、許してやってあげましょう」
 これに対し、前宮城県知事・浅野史郎氏が面白い見解を
「舛添氏は自分に非がないと思っている(思い込んでいる)。辞任するということは非を認めることになってしまう。なので、切腹(辞任)より打ち首(不信任)のほうが本望なはず」

 それはともかく、舛添氏は、自民党が野党になった時に、自民党を出て行った人物。そんな舛添氏を、前都知事の猪瀬氏辞任に伴う選挙で、自民党は支援した。
 “選挙に勝つのが正義”……タレント(著名人)議員(藤原あき氏が走りと言われている。その他、宮田輝氏、谷良子など数限りない)で議席を確保する自民党のモットーと言ってよい。
 舛添氏も政治学者であるがテレビへの露出も多く知名度は高かった。1999年東京都知事選挙で落選(3位・84万票を獲得)したものの、2001年第19回参議院議員通常選挙に比例区から自民党候補として立候補し、158万8862票を獲得してトップ当選(次の選挙でもトップ当選)を果たし、発言力も強く、第1次安倍改造内閣、福田康夫内閣、麻生内閣において、厚生労働大臣に就いている。
 そんな氏が、2009年の第45回衆議院総選挙で自民党が歴史的な大惨敗、政権を民主党に奪われたころから、自民党内で浮きだし(執行部批判を繰り返したらしい)、ついには離党、“新党改革”へ。
 “改革”時代も人の意見を聞かず自分勝手な行動が多かったようだ。離党のいきさつや、氏の人物像を把握しているはずだが舛添氏を支援して都知事を任せた自民党の責任は大きい。

 しかし、今回の自民党の対処も、東京都や都民のことを考えたものではなかった。
 「舛添氏を押したメンツがある」「この時期に都知事が交代するのは、五輪の日程からも都合が悪い」として、舛添知事を批判はするものの、“知事続投”の方針だった。
 だが、舛添氏への対応の緩さが、世論から自民党への不満となり、間近に迫った参議院選挙に飛び火すると考え、不信任案を提出する動きとなっただけのことで、舛添氏を知事不適格者と判断したのが不信任案提出の主因ではない。不信任案決議ではなく辞職するよう説得したのも、その方が自民党の傷が浅いからであろう。

 なので、舛添氏の辞任が決まれば、一件落着。今後も舛添氏への追及を続ければ、舛添氏を擁立した責任で、選挙の逆風が強まるので、舛添知事問題は終結させたい。そんな思惑が見え見えの自民党の空気だった。


 舛添氏の件は今後も追及すべきである(特に、千葉県ホテルの宿泊代の会議費計上の件)。
 でないと、これまで続いてきた「辞任して問題終結」の流れは止まらない。同時に、ザル法である『政治資金規正法』の改正もすべきだ。

 弁護士の先生たちも、“一票の格差”だけに目くじらを立てるのではなく、それよりも、重要な法の不備の改正をすべきである。
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2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その8」

2016-06-15 22:29:42 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」「その7」の続きです。

第8戦 対横山泰明六段戦
 本局は、千日手指し直しの一局。
 千日手局の消費時間は▲浦野5時間26分、△横山4時間36分。
 指し直し局の考慮時間は、残り時間の少ない棋士の考慮時間が1時間になるよう調整される。本局の場合は、浦野八段の残り時間が34分だったので、両者の残り時間に26分加算され、▲横山1時間50分、△浦野1時間0分となり、22時49分に開始された。

 後手・浦野八段の「ダイレクト向かい飛車+穴熊」に横山六段は「片銀冠+右翼金銀配置」でバランスで対抗した。

 横山六段が機敏に動いた局面。
 △2五同飛は▲同桂が3三の銀に当たり、先手先手と攻められてしまうと判断した浦野八段は△2四歩と自重。
 しかし▲2九飛に、▲3五歩△同歩▲3四歩を避けて△2三飛としなければならないのは辛い。飛車の横利きが消え、飛車の働きが弱くなってしまった。ただでさえ後手陣は穴熊で駒が偏っているうえ、飛車の横利きが消え、隙が多くなった。横山六段は、その弱点を押さえながらじわじわ盤面を支配していく。


 ついに馬作りが確定。
 この後も、馬を中心に支配力を強め、中押し勝ち。

 第24図では、駒損を承知で穴熊頼りに、△2五同飛と応じ、以下▲同桂△2九飛▲3三桂成△同桂▲同角成△1九飛成▲5五馬△2九飛▲1一飛△7二金寄▲1二飛成が想定される。

 図では、後手の銀損だが、先手の右翼の金銀が遊んでおり、それをうまく咎められれば(例えば4七の銀を攻めて金を取る)、勝負将棋に持ち込めるのではないだろうか?


 終局時刻は2時1分。消費時間は▲横山5時間40分、△浦野5時間48分。


第9戦 対阿部健治郎六段戦
 横歩取りから、互いに飛車を転回し、角交換後、角を打ち合う華々しい空中戦となった。

 以下、▲2五角△8五角▲3六角△6二銀▲5三桂成△同銀▲5五飛(第27図)と進む。


 角銀両取りであるが、先に桂を捨てているので銀を取られても銀桂交換ということになる。ただ、実際に角を取られるのも、銀を取られて飛車を成り込まれるのも痛そうだ。
 浦野八段は、銀を諦めて△7六角と出て、以下▲5三飛成に△5四歩▲同角成△同角▲同龍△6六桂と返し技を掛ける。

 桂を取ると△7六角と王手龍が掛かるので、▲6九玉△7八桂成▲同玉と応じる。
 さらに、浦野八段は△5三歩と小技を繰り出す。▲同龍なら△8六角が厳しい(詰めろ竜取り)。
 しかし、落ち着いて▲5六龍と引かれると、先手の龍の存在、後手の歩切れが大きく、後手が手に困る局面である。△7四角と打ったものの、▲3六飛とかわされたところで浦野八段の投了となった。
 中継サイトの解説によると
「投了以下、後手は△4五金と打てば7四角を成ることができるが、▲8六竜△4七角成▲3八角が一例で、馬はすぐに消されてしまう。その局面は4五に打った金の働きが弱く、駒割りは微差だが、先手優勢だ」とある。

 勝負の分岐点は第27図と考えられる。
 第27図では、△6六桂はどうだろうか?

 もらった桂なので、その桂を捨てても構わない(先手には“8九の桂が持駒に変わった利”はある)。
 △6六桂を▲同歩と取ると△7六角と王手で逃げられ、▲6七桂(あるいは▲4八玉)に△6四銀で角銀とも助かる。先手の飛車はどこに逃げても働きが弱そうだ。
 そこで、△6六桂に▲6八玉とかわすことになるが、△7八桂成▲同玉に△7六角と逃げておいて、▲5三飛成と銀を取られるが、△5四歩と勝負してどうか?△5四歩は龍の捕獲が狙い。

 しかし、この順も図から▲8四歩がいやらしい手で、振り解くのは難しそうだ(△8四同歩は▲7五桂、△6二金打には▲8三歩成△同玉▲9五桂△8四玉▲8五歩△同角▲5四龍)。
 華々しい空中戦の分かれは、先手に分があったのかもしれない。

終局時刻は17時18分。消費時間は▲阿部2時間0分、△浦野4時間5分。

「その9」に続く。
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2015~16 順位戦C級1組最終局 ……≪この投了図は、ないんじゃない?≫と思ったが…「その7」

2016-06-14 23:02:59 | 将棋
「その1」「その2」「その3」「その4」「その5」「その6」の続きです。

第5戦 対片上大輔六段戦
 ▲7六歩△3四歩▲2六歩△3二金▲2五歩△3三角▲同角成△同金▲8八銀に浦野八段が△6五角と筋違い角を放ち一歩得を主張した。
 しかし、この手法、「歩得」より相手の「持角&手得」の利が大きく、苦労が多い。角を打つタイミングや、その後の展開に工夫の余地があると考え、私も何度か試みたことがあるが、幸せになった記憶は少ない。(でも、その割には、指すのは楽しい)
 本局の浦野八段も、ジワジワ圧迫され苦しさを累積していった……


銀を逃げずに2筋を突き出した。△4五歩には▲2三歩成。また△2四同歩には▲2二歩や▲2三歩が厳しい。
この局面で浦野が13分考え、そのまま指さずに投了した。先手陣は鉄壁で、自陣は攻め込まれる順を避けようがなく、攻防ともに見込みがないと判断して浦野は投了した。
終了時間は22時7分。消費時間は▲片上4時間15分、△浦野5時間42分。【中継サイトより】
(手数は59手)

 7六の角を引く直前、△4五歩と突き越す手に1時間47分の大長考を費やしたが、棋勢は思わしくなく、その後も苦慮を重ね、攻め破られるのを必至と見て、59手の短手数で駒を投じた。
 ただ、投了図以下△2四同歩に、▲2二歩なら△4五歩▲2一歩成△5一飛▲3四歩△同金▲3二角成△5二金▲1一歩成△4六歩で、また▲2三歩なら△同金▲3四銀(▲4四銀は△5二金よ頑張る)△同金▲同歩△同飛で、苦しいながらもまだ難しいと思われる。ただ、ここまでの経緯、残り18分では投了を責めることはできない。

 
第6戦 対大平武洋五段戦
 先手の浦野八段は、角道を開けたまま(6七歩型)の四間飛車穴熊の作戦。
 対する後手・大平五段は△7四歩と急戦を見せて▲6六歩を強要させた後、居飛車穴熊に囲い、相穴熊戦となった。


 図は、終盤、歩の成り捨てに対し、△同桂と取った局面。(実は、歩を成り捨て△3三同桂と跳ねさせたため、先手玉に詰めろが掛かっている。歩を成り捨てずに▲5七角と成桂を払った方が良かった(その桂の入手によって後手玉に詰めろが掛かる)。
 それはともかく、ここで、▲2二金△同銀▲2一金△同玉▲3二銀△1一玉を決め(▲2一金△同玉▲2二金△同銀▲3二銀△1一玉の手順も可)、▲5七角(変化図)と手を戻せば、先手勝勢だった。(▲5五角も△同歩は▲2一金△同玉▲2二飛成△同銀▲3二銀△1一玉▲2二金△同玉▲2三銀打△1一玉▲2二銀打までの詰みがあって良さそうだが、△2三銀▲3三角成△2二金で難しい)

 2一に金を捨てておいて、その後、手を戻すのは変調に思えるが、穴熊戦特有の距離感。
 とは言え、変化図では後手玉は詰めろになっておらず、有り得なさそうな手順だ。

 だが、先手に金気が入るか、先手の角と馬の利きをかわして詰めろを掛けるのが難しい。その上、4九の龍の縦の筋が消えると後手玉は詰んでしまうので(▲5一飛成に△4一歩の受けが必要)、△4七歩とも出来ない。
 おそらく、この順で先手の勝ちであろうが、かなり抵抗を感じる手順で、残り6分の状況(残り時間切迫と疲労)では、至難の業(技)かもしれない。
 実戦では、浦野八段は▲3三金と指し、大平五段に△2九龍以下、玉を攻めながら詰めろ逃れの詰めろを掛けられ投了となった。

 終局時刻は20時30分。消費時間は▲浦野5時間59分、△大平2時間3分。


第7戦 対神谷広志八段戦
 後手・浦野八段の四間飛車穴熊を見て、先手・神谷八段は6六に角を据え、ミレニアムに組む。
 そして、▲9三桂成と切り込む。

 全軍躍動の先手に対し、後手は辛抱を強いられる。

 第23図。

 先手の7七にいた銀が、ズンズン進撃し▲4三銀成と敵陣に攻め込んだところ。
 これに対し、△3一角と後退し、更なる▲4四桂の追撃(次に▲3二桂成)に、△4二飛!


 ……“突撃手”も実らず、この13手後に投了となった。

終局時刻は21時20分。消費時間は▲神谷4時間3分、△浦野4時間54分。

「その8」に続く。
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gooブログ システムメンテナンスによる機能停止  6月14日(火) 【補足あり】

2016-06-13 19:35:36 | その他
システムメンテナンスにより、一時的に機能停止になるそうです。

■日時
 2016年6月14日(火) 0:00~12:00 予定

■メンテナンス中停止する機能(PC、スマホ、携帯とも)
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 ブログに関するすべての機能、
 ブログフォト及びブログアドバンスなどの有料商品の購入(2016/5/31追記)
 ※ブログトップ(http://blog.goo.ne.jp)を含むすべてのページが停止します

■メンテナンスをもって終了する機能
 おえかきツール


 gooブログスタッフからのお知らせを引用していますが、「メンテナンス中停止する機能」の書き方が変です。
 まず、“ブログに関するすべての機能”と概要を記して後、具体例(投稿・閲覧・新規開設など)を挙げるべきでしょう。


 ともかく、半日ほど機能不能になります。


【補足】
 正午に閲覧可能になりましたが、記事アップなどは不能。
 正午前に「14:00まで、メンテナンス延長」とのアナウンスあり。
さらに、
 『2016年6月14日(火)午後13時45分追記』←“午後13時45分”ていつなの?
「本メンテナンスは完了いたしました。
 ご協力ありがとうございました。」というアナウンス。
 しかし、その後も“アクセス集中”という理由で、編集等は機能不能で、完全復旧したのは午後4時過ぎでした。(“完全復旧”というのは、まったくの嘘でした)

【補足2】
画像に関するトラブルが起きているようです。当ブログも、スマホからだと表示されない画像があるようです。
何のためのメンテナンスなのだろうか?


【補足3】
アクセスが不安定。
他にも、フォントや字数制限など、いろいろトラブルが多いようです。
前回のメンテナンスの時も、いろいろトラブルが起こっていました。
毎度の事ですが、非常に酷いです。
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