即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

名人戦第2局大盤解説会

2010年04月22日 21時08分10秒 | 将棋
おととい、昨日と遠野で行われた名人戦第2局
変わりゆく現代将棋(上)(下)の発売記念イベントも兼ねた毎日新聞社の大盤解説会たいがーさんと一緒に行ってきました。

解説は高野秀行五段、聞き手 藤田綾女流初段です。

二日目になって、先手羽生名人が▲5三桂成と踏み込んだあたりから、ずっと先手ペースになり、後手三浦八段が行けそうと思える局面にはなかなかならず、どっしりとした重い腰で最後まで危なげなく押し切りました。

いやあ、強いです。1日12時間の研究の成果も羽生名人相手では通用しなかったようですね。

どっちに転ぶかわからず、ハラハラドキドキと言う感じではなかったのだけど、高野五段のさわやかで明快な解説を楽しませてもらいました。

解説の中でいくつか印象的だったポイント。

▲5三桂成について。
これがうまくいくということは、横歩取り8五飛戦法にある意味の結論が出る一局になるかもしれない。

羽生名人の強さについて。
いつも勝負を急がない。ゆっくりした手、ぼんやりした手。形を決めないで複雑化するような指し手が得意。

ポイントとなった▲5三歩について。
茫洋とした中に、鋭い構想が隠れている一手。
羽生名人ならではの指し手で、知らないうちに自分の世界に引き込む術はさすが。
あっと言う間に景色が変わってしまう。

どうみてももう指す手がない。これはもう投了しかないという局面。
まだお互い持ち時間は残っている。
三浦八段はゆっくりと席をはずした後、身の回りの片づけを始めた、とネット解説。
その時、今度は羽生名人が席をはずす。
「あー、これはきつい。
気持ちを整理し、やっと投げようとしたら相手がいない。これじゃ投げられないですねえ。」

「藤田さんは三浦さんの同門なんですよね?」
「同じ西村門下で、兄弟子なんです。」
「三浦八段となんか話されましたか?」
「(BSの聞き手とかで現地に)来ないの?って言われました。
 今のところ声がかかってないですけど、と答えたら、後のほうはまだ決まってないんじゃ ないの?と言われました。」

高野「後のほうって言ってもねえ。ぜひともフルセットまでやってください、とか、4つで終わらないでください、とも言えないしねえ。」(笑)

高野五段が語った三浦八段のエピソードについて。
三浦八段、高野五段、その他何人かで、なぜか「偉人で尊敬する人は誰か?」という話になった。
そのうちの一人が<ナポレオン>、と答えたら、
三浦八段が、<ランディ・バース>と答えた。
そして、どっちがどのように偉い、というのを二時間くらい二人で争っていたとのこと。
いかにも三浦八段らしいエピソードですね。
それにしても浅田真央に続き、ランディ・バースかあ。

結果、羽生名人の2連勝。
磐石の勝利で、皆にその強さを再認識させた一局でした。
追い詰められた三浦八段は、ここからどう巻き返していくのか、注目です。

遠山四段はその強さを評して懐の深さと言ってますが、三浦八段の研究を以ってしても届くことのない、普通の棋士とは違う高みにいるような気がします。

高野五段は、羽生名人は(ある局面で)我々と見える景色が違うんですね、と何度か言ってました。
「見える景色の違い。」

普通より、広く、大きく、深く、見える。
普通は見えない部分まで見える。
普通で見えるのと違ったように見える。

羽生名人の目の前に、広がる景色。
視力、視界、視野、視点、視座。

今、羽生名人のイメージにはない、羽生名人が戸惑うような違う景色を見られる棋士は、
多分、久保二冠、深浦王位、の二人なのではないかという気がします。
(渡辺竜王はそれとは違うのでは。)

現代将棋が変わりゆく中で、羽生名人はこの先、どんな景色を見ていくのでしょうか。

さて、今回は、明日一般書店で発売となるこの本を、先行販売。
二日前に手に出来るのは、この会場だけ、という触れ込みです。
2冊セットで購入した人のうち3名様に羽生名人の色紙贈呈というイベント企画です。
変わりゆく現代将棋 上
羽生 善治
毎日コミュニケーションズ

このアイテムの詳細を見る

変わりゆく現代将棋 下
羽生 善治
毎日コミュニケーションズ

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この本の持つ意味の大きさについて、そして、この昔の連載を呼び覚ましてくれたのが梅田さんだ、という話を将棋世界の田名後編集長が熱っぽく語ってくれたこともあり、たいがーさんにつられて、思い切って購入。
(梅田さんはブログで、この本に対する熱い思いをたくさん語っていますね。)

解説会終了後、この本を買った28人の中から、当選者3名に限って、ということで抽選!

まず最初に、
「24番の方!」
やったああ!!
はーい。
と前に出ていただいてきちゃいました!

「nanaponさん、ほんとに引きが強いですねえ。」と、22番のカードを持っていたたいがーさんにうらやましがられました。
はい、これ、家宝にします。

終了後は地下の居酒屋で、たいがーさんと二人で今後の棋界に対する様々なアイディア、構想、期待、妄想などを肴に盛り上がり、楽しく充実した夜でした。
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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
色紙ゲットおめ! (オジサン)
2010-04-23 08:48:00
現地に行ってきました。
打ち上げにも潜入出来て最高でした。
行方さんのヨッパライ姿も見られたし。(笑)
返信する
うらやましい! (テツ母)
2010-04-23 12:55:55
nanaponさん、色紙ご当選おめでとうございます!!
その色紙を公開してくださってありがとうございます。
思わず手をあわせてしまいました♪
返信する
いつの間にか始まってるんだ (振られ飛車)
2010-04-23 18:22:25
こんな挑戦的なタイトルなのは、毎年同じ批判するのが面倒なだけなので。

三月のライオンの4巻(そのうちまとめます)を地でゆくような展開なのではないでしょうか。
返信する
コメント、ありがとうございます。 (nanapon)
2010-04-25 18:14:20
☆オジサン、こんにちは。

>現地に行ってきました。
打ち上げにも潜入出来て最高でした。
行方さんのヨッパライ姿も見られたし。(笑)

思い切って行かれたんですね、うらやましいです。オジサンの日記で現地の面白い話を堪能させてもらってます。
遠野に行く(6)が待ち遠しいです。
今度飲みながら書けなかったことも含めたお土産話をお願いします。

☆テツ母さん、こんにちは。
あら、またもふもふさんから改称ですか?(笑)

>その色紙を公開してくださってありがとうございます。
思わず手をあわせてしまいました♪

おー、その気分、よくわかります。
二礼二拍手一礼、ですか?

☆振られ飛車さん、こんにちは。

>こんな挑戦的なタイトルなのは、毎年同じ批判するのが面倒なだけなので。

あれ?毎年批判してましたっけ?
名人戦、いかがなものか、って?

>三月のライオンの4巻(そのうちまとめます)を地でゆくような展開なのではないでしょうか。

はい、ぜひ詳しくお聞かせください。よろしくお願いします。
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