即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

おんなのいんぶ

2010年03月31日 01時43分28秒 | 
突然、こんなタイトル。
ついに本性を現したか、
壊れてしまったか、なんて。。。。

やばいかな、こういうの。ネットのモラルに引っかかる?
H系サイトとかその手のコメントなど、そういうリアクションは控えてちょ。

なんたって、このブログは、明るくさわやかでアカデミックが売り。
読者も皆こんなタイトルに釣られて興奮しちゃうような人はいないはず。
駄洒落はおろか、冗談の一つも言えないような真面目路線でつとに有名なブログなんですから。

先日行った沖縄で、とあるビーチの前を通りました。

“いんぶビーチ”

とでっかい看板がありました。

ほー、なかなかのビーチだこと。

太陽がいっぱいの明るい沖縄に、なんと隠微な香りのするビーチなのか。

寄ってみたかったけど、「なんでここに寄るの?」と妻に詰問されても困るので、残念ながら写真はありません。

調べてみたら、伊武部ビーチだそうです。

そして、このビーチは、なんと恩納村(おんなそん)にある。

ということで僕が言い出したわけでなく、既に下記のように紹介されています。

おんなのいんぶにある、いんぶビーチです。漢字で書くと、恩納村(おんなそん)の伊武部(いんぶ)にあります。

ついでに紹介すると、恩納村の看板で、

おんな不動産、おんな雑貨、おんな売店、というのがあって、結構ヒョエ~でした。
(「いんぶ」もそうだけど、なんでひらがなで書くんでしょうか?)

こんな本を思い出しました。
世界でもっとも阿呆な旅
安居 良基
幻冬舎

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前人未踏!!
スケベニンゲン(オランダ)、
エロマンガ(バヌアツ&オーストラリア)、
アホ、オナラスカ(アメリカ合衆国)、
マルデアホ(アルゼンチン)、
シリフケ(トルコ)、
向津具、土居中(日本)
などの珍地名を13年間にわたって全制覇。
ここに制覇した珍地名が出ています。
尋常じゃないです。笑えますよ。

この本の著者、安居良基さん、素晴らしいです。尊敬します。
マニアックというどころの騒ぎじゃない。
暇といえば暇だし、お金も大変だろうから、馬鹿じゃないか、と言うは易し。

こういう人、好きです。

日本全国に安居という場所が11箇所あって、それも全部踏破したようです
いいですね、この人。

こういう人生を送らないといけないです。
忙しいとか、仕事がどうとか、お金がどうとか、言っててはいけない。

エロマンガにはどういう人たちが住んでいて、どういう暮らしをしているのか。
エロマンガでエロマンガを読んでいる人はいるのだろうか。
あー。行ってみたい。
たまらなく見てみたい。

そんなピュアな探究心です。

例えば、
仮にも「線路内人立ち入り研究会」を主宰してるのであれば、
その現場にも通ったりしないといけない。
情報があればすぐに現場に飛んで行き、どういう人が何で立ち入ったのか、具に調査する。
全国を駆け巡って、さらに研究に磨きをかける。

そうありたいです。

ということで、今日は「おんなのいんぶ」から刺激を受けて、「生き方」について考えてみました。
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またまた採点の話

2010年03月29日 02時23分01秒 | スポーツ
先月のバンクーバー五輪のフィギュアスケートについては、
ハイリスク・ロウリターン
女子フィギュア雑感
戦い終わって
フィギュア雑感・その2
一か八か
無難とチャレンジング
スポーツと戦略
と、こんなにも熱く語りました。

またまた、今日のフィギュア世界選手権女子フリーの採点の話。

まあ、プロの見方とか採点システムの難しさとかいろいろあるんでしょうけど、
素人目では明らかに疑問符です。

ほぼ浅田は完璧な演技だったのに、それを上回るキム・ヨナの点数。
最初のトリプルトリプルはうまく行ったものの、転倒もしたしミスもあったし、全体的には覇気がない印象。
オリンピックでやりつくして、目標達成してしまって、どう見ても、やる気ない、モチベーションないままに、出なきゃいけないので出てきた感じがする。
完璧にミス無く滑ろうという浅田の真剣さ、必死さに比べると明らかに劣る印象。

それが、
ネットを調べると、
かなり多くの人が、「なんでやねん?」と首を捻っているようです。

オリンピックの150点対130点というのも差がありすぎだったけど、これはおかしいんじゃないですか、どう見ても。

こんなんでSPの差を生かして優勝しても、浅田もいまいち嬉しくないと想像してしまう。

ソチ五輪に向かって、浅田はいいスタートを切ったはずなのに、なんか水を差された感が強い。
仕方ないのでしょうけど、怒りというよりも、ショボンとしてしまったスケート観戦でした。
おやすみなさい。
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都会人の生命力

2010年03月28日 18時54分39秒 | 雑感
川島さんの記事、マナーの身体性。に共感したので連動します。

というか、その元はテリーさんどうも最近、人混みが歩きにくいのですが、、という記事ですね。=nanapon
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・“最近、人混みが歩きにくい!!”と、思いませんか?
・このところ、人と接触する場面が頻発しています。
・“人混み”には“人混み”のルールというか流れがあって、
それに則ってお互いに気持ちよく歩きたいものですが、
それが最近どうもおかしいような気がします。etc.
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いやあ、ほんと、そう思いますよ。
そしてどんどん進行、悪化してる。
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「テリーさん」の記事で「なるほど」と思ったのは、
もう、マナー以前に、そういう行動を「おかしい」と理解し、
実践しないようにする“身体能力”(← 言葉は川島)が
ないのかもしれないという指摘。

「状況判断の欠如=想像力の欠如」に加えて、
身体が反応しなくなっている。
センサーがにぶいということですね。
「自分の世界」の「外」の急変に対応できない。
 
 <中略>

「マナーの、社会人の、常識が、ほんと危なくなっています。」
と書いたことがあるけれど、
“常識以前” の生物的退化かもしれません。
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川島さんはその原因を都会人の“身体能力”と言ってます。

そして、そのコメント欄で、銀座おゥおゥどこみてんだ野郎さんが、

『いずれも根底にあるのは、周囲と他人さまに対する無関心・無遠慮・無警戒。
ホント、この人たちが自動車のハンドル握ってたらと思うと、恐ろしいです。』

と言ってます。

いや、ほんと共感です。
「やけにブツかるなー」「あぶねえなあ、ほんとに。」とつくづく思います。

ちょっと前だけど、
駅のホームで、こんなことがあった。

前を見ないで突進してくる奴をひらりと交わし、
キャリーバッグで危なかったのをひょいとジャンプしてよけ、
母親から離れて勝手に動く幼児の突進に対し咄嗟に進路を空け、

ほんの短時間の間に、あたかも自分が一流バスケットの選手のように、
あるいは、牛若丸(古い?)にでもなったかのように、
俺って、すげえなあ、と思ったことが。

この軽快なフットワーク。
都会に潜む限りない危険をものともせず、
今日も明るく元気なこの中年ビジネスマンのかっこいい生き様を見よ!

ここは都会のジャングル。
弱肉強食の世界であり、野生の闘いが果てしなく続く。

傘に突つかれ、足元をキャリーバッグでやられ、ショルダーバッグが腕を攻撃する。
おばさん軍団とか女子高生連隊が道を塞ぐ。
出発寸前の電車に乗るための突撃が人を蹴散らす。

食うか食われるかの日々。
一時(いっとき)の油断も隙もない。
絶えず死の恐怖と向き合っている緊張感。

どんどん自分本位な野生味が増し、戦火は広がり、もはや脆弱な都会人に明日の命の保証はない。

しかし、よく考えてみれば、ひ弱な都会人体質から脱却できるチャンスの時代ではある。
一人一人高い意識を持って、毎日の闘いを頭脳と体力を磨いて乗り切っていく。
緊張感と充実感。

仕事で辛い事があろうと、いろいろ落ち込む事があったとしても、
通勤時に味わえるこの感覚は、自分を大きく成長させるに足る貴重な試練だ。
時代が我々に与えてくれた素晴らしいチャンスなのだ。

文明がもたらす便利さや気楽さに甘えたり頼りすぎたりしてきたつけでもある。

さあ、この厳しい環境下で強く生きよう。

己を磨いて、この試練に耐えよう。

がんばろうぜい、みんな
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ぼったくりの真相

2010年03月27日 17時12分04秒 | 日記とニュース
いろいろご心配いただきましたが、激動の一週間病院の不思議と書いて、最近の我が家の状況をお知らせしました。

そして、どうにも解せない医療費の不思議。

おさらいすると、

妻が救急車で担ぎこまれて、レントゲン撮って添え木して包帯して、会計が12万数千円だったのです。

そして帰ってからおかしくないですか?って病院に電話したら、

パソコンの打ち間違いのようで、副木(添え木)を1本でなく3本と間違えた。
で、正しくは6万円ちょっとだとのこと。

添え木2本分違って差し引き6万違う。
添え木1本3万?

どうしても腑に落ちないので再度電話しちゃいました。
詳しくはいただいたコメントのご紹介の後に。

皆様から温かいコメント、いただきました。
本当にありがとうございました。
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英さん、こんにちは。

>微妙な力でずれた骨を元の位置に戻すのも技術が必要で、手術と言えなくはなさそうですが、添え木1本3万円とはぼったくりバーですね。手術も触っただけですし。

はは、ぼったくりバー!
言いえて妙です。
ほんと、そんな気分です。

>今回の記事を書いたnanaponさんについてですが、「転んでもただでは起きない」という言葉を思い出しました。

(車とぶつかって)自転車で転んで骨折したのは妻なんですけどね。(笑)
しつこい、しぶとい。蝮のnanapon。
当たり屋でもやろうかしらん。
お褒めいただきありがと・・・、あらっ、そうかな。
英さん、ひょっとして、褒めてるわけでなく、あきれてる?

imuimuさん、こんにちは。

>1月末に事故に遭い救急車に乗ってすぐ降りて来た(^^;)者です。

そうですよね。あの時はびっくりしましたよ。先輩!

>その時は大した痛みじゃなかったんですよ、打撲したな~とは思ったんですけど。で、救急車は帰っていただいたのですが家に帰ってよく見るとものすごい打撲傷。
救急車で行けば良かったのに・・・と夫に言われてしまいました。

そう、そういうときには大事を取って、念には念を入れて。
乗ればよかったですよ。

>よく見つけましたね、誤請求。
相手が払うからあまり気にしないもんですけど(^^)

そうなんです。だからこそなんとなく気になって。

>nanaponさんもこの先どうぞお大事にね。無理は禁物です。

けいすけさん、こんにちは。

>(特に整形外科の)手術の場合、術式は、診療報酬請求が通る範囲で医療事務担当が書き換えるのが、むしろ普通らしいですよ。この「書き換え」によってどれだけ儲けられるか、が医療事務担当の腕の見せどころでもあるのだとか。かつて仕事で話した形成外科医(整形外科もできる)から聞きました。

けいすけさんはそっち方面のお仕事なんですか。詳しいですね。
へー、それぞれの世界の裏情報っていろいろありそうです。
病院の世界なんか金や利権、名誉とかが絡んで、妖怪が住み着いているような気もします。
だから、健康な人でも病気になりそうな空気が蔓延している。

>副え木の本数は。
電話であっさり認めたのだとすれば、単純ミスの可能性が高いですね。ただ、交通事故の場合は(たぶん)健保組合のチェックが入らないので、もしかしたら確信犯? と勘繰りたくなるところでもあります。
副え木の単価は、保険診療であればおそらく決まっており、病院が自由に決められる訳ではないと思いますが。正確なところは分かりません。

ありがとうございます。
そんなしょっしゅう入力ミスをやってるのか、ってことと、そんなあっさり認めたちゃうのか、というのと、呆れる×2ですね。
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ということで居ても立ってもいられず、また病院に電話してしまいました。

今度は先日話した人と違う人が対応。
『先日お聞きした件、「添え木の数1本を3本と間違えてしまった。
正しくは、1本なので、12万円でなく6万円でした。」ということなんですけど、
そうなると、添え木1本当たり、3万という計算になりますが、添え木っちゅうもんは、そんなに高いもんでっか?』

『しばらくお待ちください。調べますので。。。』

『お待たせしました。今調べたのですけど、添え木の数の間違いはそうなのですけど、3本でなく、30本になっていたようです。』

『へっ?(内心は“ぎょえー!”)
30本ですか?』

『ということは先日1を3と打ち間違いしてしまった、というのも間違いなんでっか?』

『はい、申し訳ありません。30になっていたようです。』

添え木が30本

なんちゅうこと!言葉を失った。

そして思わず、片足の足首より先の部分に、添え木が30本張り巡らされている絵を想像してしまった。

もうおかしくなっちゃって。

妻と二人で大笑いしてしまいました。

『添え木が30本だってさ!30本だよ、30本。どうやって足にやるんだよ。
包帯ぐるぐる巻きにしたら、すげー巨大な足になるんじゃないの、それ。

ちゃんちゃん。
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天下の悪法

2010年03月27日 02時07分41秒 | 雑感
現代のビジネス社会だけでなく、
一般の我々の生活までも不便極まりないものにしている最悪のものが
「コンプライアンス」「個人情報保護法」ではないかと思う。

最近の若い人は、卒業名簿を持たない人達になってしまったようですね。
同窓会もクラス会も、自分達で勝手に情報交換して、勝手にやったら、というスタンス。
責任を取らない、取れないので、あとはなんでもかんでも自己責任。

以前何度も書いたけど、行っているスポーツクラブもひどい。
文句を言われないように、問題起きないように、ということが主眼で運営しているが如し。
問題を本質的に解決しようとする姿勢が感じられない。
解決なんかしなくてもいい。
その問題、要望、クレームに対して、こういう手を打ちました。
こういうように対応しました。
お客様のために一生懸命やってます。
という、いわゆる典型的な形作り。

貼り紙も貼ったし、アナウンスもしたし、ちゃんと手を打てるところはすべて対応してあるのであとはもう自分たちの責任ではないです。
文句があってもこれ以上は知りませんよ。
やることなすことクレーマー対策の一環にしか見えないです。
いいスポーツクラブにしよう、したい、
会員の皆様に楽しいクラブライフを提供したい、という熱意というか、姿勢は皆無。

病院もそうです。
細かいことまで確認、最悪の事態もきちんと説明、こちらに非はないですからね、あとは文句言われても知らないですよ、ということをきちっとしておきたいだけに見える。
訴訟起こされたら困るから、細かい事まで確認して、伝えて、サインをもらう。

病気を治したいとか、患者の体のためを思ってとかいうよりも、
万全のことをしてますよ、してるでしょ、これで文句言っても、対処できませんからね、と言ってるだけに見える。

先日某コンサル会社のセミナーに行きました。

管理職の基本、考課者訓練、リーダーシップ、CSR、コンプライアンス、モチベーション、個人情報管理、コーチング、ワークライフバランス、ストレスマネージメント。

こんなにいろいろある管理者研修のメニューの中で、
最近は、約3分の1が、コンプライアンスと個人情報管理の研修だそうです。

なんかおかしくないですか?

以前、すべては自己防衛のためという記事を書いたけど、ますますおかしな世の中になってる気がします。

問題起こさない。
文句言われない。
恙無い人生。

とっても楽しそうですね。
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ウィンタースポーツの不思議

2010年03月25日 22時01分38秒 | スポーツ
バンクーバー五輪が終わり、パラリンピックも終わった。

冬季五輪について、つねづね思っていること。

リュージュとか、ボブスレーとか、スケルトンとか。

あんな広大な面積と施設と器具だから、さぞかしお金かかるはず、だと思う。

そして、競技人口って、かなり少ないのだろうと思う。
全日本大会とか、地区大会、各種いろんなレベルの大会とか、どれだけ行われていて、観客も含め、どれだけの人に愛されているのだろうか。

どういうスポンサーがついて、国や地方自治体がどれくらい補助して、どうやって運営できているのだろうか。

もちろんマイナーでも面白かったり意味のあるスポーツはあるだろうし、マイナーなものをすべて切り捨てるというのは本位ではない。

でも、こんな財政難の国にとって、限られた資源でやりくりしていかなきゃならない日本国民として、狭い国土、気候や風土や文化も鑑みて、僕らの生活にとって本当に必要なスポーツなんだろうか、と考えてしまう。

すみませんね、関係者の方々。
否定してるわけではないのだけど、どうやって成り立ってるのかが想像し難いのです。

フィギュアスケートが(経済効果も含め)あれだけ騒がれているスケートリンクですら、不況でどんどん施設がなくなっていってるのですから。
そして選手たちが、リンクの存続を求めて運動したりしているのですから。

スキーのジャンプ台もそうだし、そういう競技場(施設)は、夏の間はどうなってるの?

そもそもあの土地は誰のもの?

年間を通して、土地の活用状況とか、採算はどうなってるの?
メンテナンスも含め、かなりのお金がかかってると思うけど、一体どれだけの人が使うの?
使ってるの?

いや、ほんと、素朴な疑問。
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追い詰められた心理

2010年03月24日 00時26分46秒 | 雑感
激動の一週間という記事で、先週のめったにないような大ピンチについて書きました。

話は急に将棋ネタになるけど、先月の毎日新聞の観戦記、A級順位戦、8回戦(ラス前)、佐藤・藤井戦を読んで。

これは降級を賭けた戦いで注目の大一番。

追い詰められた佐藤が勝てば、この日の降級はない、という場面。

藤井九段の鬼手、▲8二銀。
6二にいる飛車の利き筋に打った決め手となった一手。

この手を見た佐藤の顔が見る見る赤くなった。

△8二同飛は▲6四角と、金を取られる。
かといって△7二銀と受けるのではつらすぎる。

「▲8二銀を全く読んでいなかった、ひどい、ここからは全然ダメ、」
と、局後吐き捨てるように言った。

空っぽの茶碗に口をつけ、上着を脱いで再び咳き込む。

記録係に残り10分を告げられ、
『50秒と55秒だけ読んで。残り五分から普通に。』
と頼んだが、少しすると、
『いや、今から(普通に)読んでください。』
と告げた。

人間誰しも予期しないことが起き、追い詰められてどうしようもなくなる時がある。

取り乱してる自分を認識してるけど、どうにも修復できない。

こういう場面に自分を照らし合わせてみる。
仕事とか、自分のいろんなシーンに置き換えてみる。

仕事でミスをして大問題になった時、真剣な場面で冷や汗ものの質問を浴びせられた時、予期せぬ事態が引き起こってしまった時。

この臨場感。

こういう棋士の姿を垣間見られたり、追い詰められた心理を疑似体験できたり、というのが将棋を観るひとつの大きな醍醐味。

話は戻って。
今回のギックリ腰の最中に、妻の交通事故という偶然のダブルパンチ。

一時は、結構追い詰められた。

そんな時、自分はどれだけ冷静に対処できるのか。
客観的に観られるのか。
次の一手を自分の力を出し切ってしっかりと編み出せるのか。

さきほどやっていたプロフェッショナル仕事の流儀キングカズ編

フランスワールドカップに最後に落選した時。
あの時から自分の本当のサッカー人生が始まった。
言ってみればそれまでは余興のようなものだった。
お前はこれからどういうサッカーをやるんだ、
どういう選手になるんだ、と、
これは、サッカーの神様が与えてくれたチャンス。

そんなことも含め、いろいろ考えさせられる今日この頃です。
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病院の不思議

2010年03月23日 01時27分16秒 | 日記とニュース
昨日の記事、激動の一週間
ブログ仲間の皆様には多大なるご心配をおかけし、申し訳ありませんでした。
そして、温かいコメント、お気遣い、本当にありがとうございます。

お陰様で、妻は松葉杖なしで歩けるようになってます。(ゆっくりゆっくり)
家事も時間かけてなんとかこなしてます。(僕もやってます。)
僕はと言えば、もう一週間になるので、今日も整骨院に行ったりして、ほとんど普通の生活ができるようになりました。
あとは二人とも無理しないようにするだけです。わかってます、はい。

ということで今日も話は続きます。
(腰に負担かからないよう、休み休み書いてますのでご安心を。)

妻が救急車で運ばれた病院での話。

治療後、支払いの話になり、とりあえず僕が会計のところに行きました。
チラッと見たら、なんと12万数千円。
はっ?
そんなに時間かかってないし、レントゲン撮って、添え木して包帯した位だと思うけど、それでこんな?
おかしいとは思ったけど、話を進める。

『これ、自賠責ですよね?』
『はい。』
『かなりの金額ですけど、お支払いになりますか?』
『いや、持ち合わせないですけど。』
『払っていただけるのでしたらそうお願いしたいですが、加害者側で払いますか?』
『はい、そうしたいです。』
『病院は間には入らないようにしてますので、どちらになさいますか?』
『加害者の方で。』
『わかりました。上に確認してきますので少しお待ちください。』

『とりあえず預かり金をいくらでもいいのでいただけますか?』
『はい。5千円でいいですか?』
『はい、預り証を発行しますのでお待ちください。』

『月末までにこの金額を払っていただけるようにお願いします。お支払いが済んだら、預かり金をお返ししますので。』

なんてことで、保険証提示も何もなく、
預かり金を置いてきただけで(松葉杖借用の預かり金も)帰ってきた。

これであとは加害者側に言って、加害者側の保険会社が払ってくれればおしまい、ってこと。

帰ってから請求書のコピーの明細を見た。

(保険分)
初診料   270
医学管理料 260
投薬料   119
手術料  4591
画像診断料 715

診療点数合計 5955点

プラスいろいろで12万数千円。

はっ!?
手術料って?

妻に聞くと、レントゲン撮ってただ添え木をして包帯しただけ、って。

合計金額を点数で割ると1点が20円換算になるので、
それだけで、92000円だって?

これは許せん!

すぐに病院に電話。

『手術ってどういうことなんでしょうか?』

『非観血的整復術(メスを使わないで、皮膚の上から手でもとの状態にもどす方法)という手術のことです。』

わかんないけど、そうなってるみたいです。

『それはいいけど、どうしてこんなに高いのですか?』
『ちょっとお待ちください。』

『あー、すみません。パソコンの打ち間違いのようで、副木(添え木)を1本でなく3本と間違えたようです。』
『1を3と入力間違いをしたんですか?』
『それで正しくはいくらになるんですか?』
『ちょっとお待ちください。・・・・
手術料が4591点でなく、1440点になりますので、合計2876点で、6万円ちょっとになります。』
『ずいぶん違いますね。こういう間違いってよくあるんですか?』
『いや、よくはないですけど、たまには・・・。すみません。』

ということでまだまだ納得行かないけど、電話切った。

おいおい、単なる間違いで12万が5割引?

すげー!

それにしても添え木2本がないだけで、6万違うの?

添え木1本3万?

いい商売してるじゃん。

いい根性してるじゃん。

おや、ひょっとして、これ、全部加害者が払ってくれるからと思ってるし、普通被害者側はあまり見もしないよな。

ん?

どんな内容や金額になっていたって、加害者側(保険会社)は、被害者がどんな治療をしたかなんて、わからないはず。
普通は、払うに当たって、被害者側に細かく確認したりしないはず。

とすると、(病院側が)やろうと思えば、いくらでも点数も金額も設定できちゃうなあ、とよからぬ推理を働かせる。

まあ、そんなことはなく、単なる間違いだと信じたいけど、なんか腑に落ちない。

ということでネットでいろいろ調べてみる。

yahoo知恵袋、とか、教えて!gooとかにこういう例がいっぱい出てる。
例えば、
整形外科の保険点数について軽い脱臼で整形外科にかかり、特に治療はなかったものの・・・
とか、たくさんの人が、これ手術なの?高いんじゃない?って不思議がってます。

点数は、休日とか時間外は基本が1.8倍になるとか、あるようですし、基本は1点10円のようですね。いろいろ勉強しました。

なんせこういう経験初めてなので、よくわからないのだけど、自分が払うのでなく、保険会社が払うにしても、あんな高いお金(6万にしたって)、納得行かないと思うのだけど。

これ、
交通事故、自賠責だから、高い?
あるいは救急車の急患だから、高い?

なんか納得できる理由があればいいのだけどね。
すぐにかどうかは別にして、
医者とか保険会社の友人、あるいは「yahoo知恵袋」や「教えて!goo」に聞いてみようかとも思ってます。
(詳しい人いたらいろいろ教えてください。

こんな時に、また書いてんのかよー、懲りないやっちゃなあ、などとあきれる声、非難の声が聞こえてきそう、いや、聞こえてますけど、
何につけても、好奇心、探究心、そして理不尽嫌いの性分は、ほとほと治らないようです。
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激動の一週間

2010年03月21日 12時46分49秒 | 日記とニュース
姉さん、ピンチです。
この一週間、いろんな大変な事が起こって、かなりやばい状況なんです。

王将戦とか棋王戦とかいろいろあって、将棋界も激動の一週間?
いや、そういうことじゃなくてですね。。。

先週日曜
数年乗ってなかったバイクを処分。錆びて動きにくかったのを、外まで運び出す。
久々に普段使わない筋肉を猛烈に使った。ふー。

月曜
朝起きたら、腰が変。猛烈に痛い。まっすぐ立てない。
持病で、2年に一度くらいはかなり重いギックリ腰になるのだけど、こんなに時間差があるのは初めて。
筋肉痛と同じで、翌日とか、翌々日にやってくるようになったか。

仕事に出かけようとして、なんとか駅まで行ったのだけど、冷や汗が出てきて、あまりの痛さにあっさり投了。
家に一歩一歩噛みしめるが如くのろのろと、腰の曲がったジイサンの姿で舞い戻ってきた。
かなりの激痛。これはもうジタバタしても仕方ない。
どんどん謝りつつ今週前半のいろんな予定を次々キャンセル、あるいは延期。
いやもう大変。

火曜
近所の整骨院に行って、針、電気、マッサージ。
おとなしく座っている分にはいいのだけど、立ったり歩いたりするともうだめ。
寝返りもかなり苦痛。

水曜
同じく、家でじっとしてる。
月曜に比べたら少しはいいけど、まだまだ痛い。
昼過ぎ。妻が出かけていて一人でブログ書いたりしてたら、チャイムが。
『あの、奥様の自転車をお持ちしたんですけど・・・』
知らない女性の声。
ゆっくり玄関に出ると、
『奥様が、そこの角で、交通事故で大変です。今、救急車が来てて。』
『これ、奥様の自転車、お持ちしました。』
『まだ間に合うと思うので、すぐに行った方が・・・。』

青ざめる。
着替えも何もなく、サンダルで、その女性(通りがかりの近所の人)に案内されて、現場に走る。
って、走れないんだけど。
女性は一生懸命走って案内してくれてるので、実は、とか、ギックリ腰です、なんて説明してる暇はない。
冷や汗かきつつ、なんとか現場に急行する。
救急車が停まってる。
救急隊員に囲まれて道に座ってる妻。

足をさすりつつも、『大丈夫。』と普通の表情で普通に言ってるのでとりあえずほっとする。
自転車で狭い路地を渡るときに、(前方不注意の)右折車がぶつかってきたとのことだけど、ほとんどスピードは出てなかったようで転んだ拍子に自転車にぶつけたとのこと。

自分で立てると言ってるけど、担架で救急車に乗せて、脈拍その他を調べる。
病院をどこにするか検討。
一つ目は受け入れられないとのことで二つ目の病院へ。
サイレンを鳴らして救急車は長年見慣れた町をひた走る。
車に乗るときも、担架の横に座る時も、(腰が)いたたたた、って感じでやばいのだけど、そんなこと救急隊員に発表してる場合じゃない。
でも妻は落ち着いて普通にしてるので、救急隊員が、
『○○さん(うちの苗字)って、この近所に多いですよね?消防署にもいて、女性なんですけど、最近結婚して名前変わったんですけど、同じ名前で。』
『えー、この町はいっぱいいるんですけど、その方は親戚じゃないですね。』
なんてのんきな会話をしつつ、病院に着いて、救急センターで診てもらう。
骨折してなければいいね、なんて言ってたのだけど、レントゲン撮ったら、右足の甲の横のところが骨折。両膝、ひじなど、打撲。
全治一ヶ月。
松葉杖姿で登場。
しかし、それくらいでほんとよかった。
もっとスピード出てたら大変だった。
いろいろ手続きをして、タクシーで帰宅。
ふ~。大変じゃあ。
抱えたり、支えたりしなきゃいけないけど、こっちだって支えてほしいんだよ。
はいはい、そんなこと言ってる場合じゃないことは百も承知。
早速、警察から電話。
加害者との連絡。加害者側の保険会社とのやり取り。病院へ電話。

木曜
警察(すごく若い警官)が、自転車を見に来る。
写真を撮る。地べたに這いつくばって、下から見たりしてる。

そして調書を取る。
30分ほどあれこれ詳しく聞いて逐一書いている。
救急車ってどういう字でしたっけ?
膝ってどういう字?
いちいち引っかかってその度に携帯で調べてる。

妻は元気だけど、当然家事はできないので、腰に気遣いつつなんとか必死でやり慣れないことをやりくりする。
なんかこれ、老老介護だよ。

金曜
救急車で行った病院でなく、そこの紹介状を持って近くの整形外科に連れて行く。
(通うのは近い方がいいだろうということで。)
ついでに、僕も腰を診てもらう。
妻の後に呼ばれる。
レントゲンを撮る。
あー、骨と骨の間が完全に磨り減っちゃってるので、これじゃあ痛いですよ、って。
大きなシップとコルセットと痛み止めの薬をもらう。
妻の荷物やコートなどいろいろ持って、ヨタヨタと歩いているオヤジと、まだ慣れなくてひっくり返りそうになりながらフラフラ歩く松葉杖の妻。
なんちゅう夫婦じゃ。

今週はほとんど仕事できず、妻の世話と家事と各種連絡などで1週間が終わる。
これくらいのことで本当によかった、とつくづく思う。

こんな大変なことも、こうやってブログに書くとなんか落ち着く、というか気持ちの整理がつく。
いろんなブログ仲間の顔や人柄を思い出しながらここに書いているだけで、ほっとするひととき。
なんだよ、単なる気晴らしだったんかよー。
ガス抜きかい?
ま、いいや。

ということで昨夜の暴風雨も収まり、お陰様でゆったりとした日曜を過ごしております。

『パソコンなんかやってないで、早く洗い物してよね。それから洗濯は?』
という声が聞こえてきました。
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二冠の花が咲いている♪

2010年03月20日 11時03分28秒 | 将棋
まだ王将戦の興奮が冷め遣らないというのに、昨日、久保二冠が佐藤九段を破って、棋王戦は最終局に持ち込まれました。

もう一局お楽しみが増えた、というのと、たった二日間の二冠で終わらずによかった、というのと、二倍のうれしさに包まれています。

たまたま見つけた、小暮克洋さんの観戦記。
ディープな観るだけ将棋ファンとしては垂涎の心打たれる名作です。
充実のアーティストアーティストの感性、そして昨日の新王将の人柄と書いてきて、僕なりに久保二冠のことをいろいろ考えていたところでもあり、深く突き刺さってきました。

第3回朝日杯オープン戦第36局 決勝 ▲久保利明棋王―△羽生善治名人
充実の2人の名勝負(上)(下)
ぜひ、全文、お楽しみください。

では部分的に引用させてもらいます。 (特に印象的だった部分=赤字=nanapon) (=nanapon)
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 「久保の現在の強さは、羽生によって作られた」とする説がある。

 本局を迎えた時点で、両者の対戦成績は羽生が29勝11敗と圧倒的にリード。過去の4度のタイトル戦も、久保はストレート負けか1勝を返すのがやっとというありさまで、さんざん痛い目にあってきた。にもかかわらず不思議なことに、この2人の将棋は初期のころからきわどい好局が目白押しなのだ。中終盤のねじり合いをへて、最終盤はいつも攻防の秘手が飛び交うようなスリリングな展開になる。最後に僅差(きんさ)で勝ってしまう羽生が強いのだといってしまえばそれまでなのだが、羽生のほうも相手が久保だとなんだか雰囲気が違う。

 誤解を恐れずに書けば、羽生は久保との対戦では、より強くなるのだ。心技体を極限にまで高め、一点の曇りもない真っ向勝負で押しつぶそうとしているようなフシがある。久保将棋は軽いさばきと粘り強さが二つの柱で、それぞれが超一級品。軽快なさばきを封じつつ、強靱(きょうじん)な粘りを振り切るには、羽生も自己の限界に近いスピードボールを駆使するよりないと覚悟を決めているのではないか。

 羽生のスキのない指し回しの前にこっぴどく負かされてきた久保であるが、球速150キロ台の投げ合いでしのぎを削るうちに力をつけてきた。羽生に負けじとフルパワー充電を繰り返すうち、ふだんの対局では時にボールが止まって見えるほど、久保はここ数年で飛躍的に強くなったというのが「羽生恩恵説」の主張だ。

 王将戦七番勝負を争いながら、両者はこの朝日杯でも決勝の大舞台で相まみえることとなった。現在の2人の充実ぶりには目をみはるものがある。41度目のこの対決も終わってみれば期待通りの大熱戦で、第3回の本棋戦のフィナーレを意義深いものにした。持ち時間の短い将棋でここまで完成度の高い内容は、めったに望むことはできない。現代将棋を代表する一局であると思う。
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とっても説得力ありますね。
ここのところの二人の激闘譜を見ていると、本当に心踊るものがあります。
そして、振り飛車党の多いアマチュアにとってはとっても楽しみやすい将棋だと思います。

特に先日の王将戦第六局のようないきなりの突撃満載将棋。
僕のような観るだけ野次馬将棋ファンとしてはあたかも派手な打撃戦のようで、思わず歓声を上げたくなります。
どんどん高揚していく自分を客観的に見つめながら、こういう場にいられて将棋の醍醐味や奥深さを味わえる幸せを噛みしめてしまいます。

おー、そこ行っちゃうか!
あー、そっちもそこ行くのか!
えっ、そこかい!!

すべてを忘れる至福のひとときです。

思えばあのおととしの名人戦、羽生対森内。
その将棋を巧妙に表現したshogitygooさんの名文を思い出します。
「この深遠感、難解感、晦渋感、重苦しい感、駆け引き感、繊細感、哲学感、手細工の工芸品感、緻密感」
何手もかけてミクロの差を創り出す。これだけの労力をかけて目に見えないほどの点数を稼ぎ出す。
スピードボールとミリ単位のコントロールの絶妙な配球で相手の心理を撹乱していく両エースの投手戦。
固唾を飲んで身動きも出来ずに見守っている大観衆。

この羽生・久保が繰り広げる名勝負は、深遠かつ難解なのは変わりないにしろ、上記の微妙で繊細な将棋に比べたら、広く一般将棋ファンを惹きつけやすいのではないでしょうか。
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 ▲3五歩以下は、△2四角▲2六歩△4五歩▲2五歩△3三角▲3四歩△同金▲3七銀引(第2図)と進んだ。△4五歩のところで谷川浩司九段が大盤解説場に登場。「準決勝で負けた者同士、控室で佐藤和俊さんといっしょにネット中継を見ていたんですが、雰囲気が暗いんですよね。関係者が誰も寄ってこないですし」と身を切るギャグで笑わせる。さらに決勝の相手が羽生と決まったとき、久保が「えっ、またですか」と苦笑したエピソードにも触れ、「羽生さんが言うのならわかるんですがね」――。手負いの十七世名人は怖い。数時間後の酒席でその出来事を伝え聞いた久保は「え? マジですか。それはまずい」と青ざめた。
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おー、楽屋ネタですね。
解説会に行ってきた僕らがブログなどに書く分にはいいのだろうけど、こういう公式の観戦記でどこまで踏み込んで、どこまで棋士の裏側を伝えるのか。
これは結構悩ましいのだと推測します。

谷川九段もファンサービスの自虐ネタですね。いいなあ、こういうの。
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■超トップの条件

 表彰式終了後、対局場に隣接する一室で立食形式の打ち上げパーティーが開かれた。宴たけなわのころ、酔いにまかせて久保にストレートな言葉を投げかけた。「ホント、久保さんは羽生さんに鍛えてもらってよかったよね」と。

 天下のタイトル保持者に対し、一歩間違えれば許されざるビーンボールだ。とはいえ、久保も私のひねくれた性分はよく知っているはずだから、「このオジサンは相変わらずキツいことを言うんだから」と引きつった笑みをもらすに違いないという確信があった。ところが反応はまるで違ったのだ。それまで数人で談笑していた久保が急に真剣な目つきになったときには、「やばい、いくらなんでも軽率だったか」と、私は深い後悔の念にとらわれた。しかし次の瞬間、久保は私の目をまっすぐに見て、一語一語かみしめるようにこう言ったのだ。

 「うーん、本当に……。うーん、本当に、その通りですよね」――。

 それは決して、羽生に挑戦中の王将戦七番勝負でこの時点2―1とリードしていた、その心の余裕から出たというような希薄な言葉ではなかった。久保は2年ほど前、突如「自分に欠けていたものは鈍感力」と公言するようになった。久保の精神力の強さは師匠の淡路仁茂九段譲りと思われていただけに、周囲はむしろその巧まざる鈍感力に唖然(あぜん)とするよりなかったのだが、それはともかく「本当にその通り」とは……。この老成した達人を思わせるような諦念(ていねん)ぶりはどうだろう。羽生の強さを感謝の思いとともに受け止めようとする、この器の大きさは……。

 久保の平らかな心が放つ透明な率直さに、私は心底驚かされた。

 信ずる者は救われるということか! いや、すでに鈍感力を超えて老人力の域に達してしまったということか! などと、おちゃらけるのはもうやめよう。「勝敗に拘泥せず、一局一局を虚心に楽しみたい」と会うたびに言っていた久保の志は本物だった。

間違いなく久保はいま、羽生と同じ地平にいる――。

 久保がたどりついたこの無碍(むげ)の境地こそが、実は羽生に鍛えられたという事実の最大の証しであり成果であり、喜びなのかもしれない……。私はまた何ごともなかったかのように陽気にビールのグラスを傾け始めた久保の屈託のない笑顔をぼんやりと見つめながら、混濁した頭の中で静かに「負けました」と頭を下げた。(おわり・文・小暮克洋)
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もうこの部分、たまりません。
涙が出てきます。

稀代の名棋士、羽生とのここ何年かの戦い。
けれんみなく、真っ向からぶつかって行き、何度も何度も打ちのめされた。
力を出しても、出し尽くしても、そこには厳然と立ちはだかる高い壁。

羽生の宇宙のような大きさと、久保のどこまでも純粋で無垢な魂。

対局できること。同じ空気を吸えること。そのすべてを五感を通じて感じ取れること。
勝ち負けよりも、僥倖、そして、感謝、の念。

久保の持つ類まれなほど真摯かつ素直な性格が、羽生が持つ資質や哲学や将棋への愛着など、そのすべてを限りなく吸収してしまう。

素直さゆえの吸収度の高さ。

それがアーティストとしての自信につながり、着々と積み重なっている。
持ち味の簡明直截な構想力に昇華する。

あの凛としたたたずまいがかっこいいです。

今、久保二冠の視線の先には、キラキラ輝く春の青い海が広がっているのでしょうね。

小暮さん、ほんと、楽しませていただきました。ありがとうございました。
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