風屋さんの記事、「倫理とプライド」。
いろいろ感じるところがあり、取り上げさせてもらおうかと思い、下書きしていたら、川島さんに先を越されてしまいました。
それが、「安くない会社。」という記事。
そして、ssayさんの昨年の記事、「安さとリスク」にもリンクしていますね。
またその記事の元には、消費者の勝手、消費者の勝手・その2も関係しているようです。
さて、川島さんの記事を一部引用しつつ、感じるところを書いてみます。
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風屋さんのブログ『風屋日記』に、
トラックバックというよりは、まるまる
「便乗」して書かせていただきます。
ある記事を読んでコメントを寄せたら、
こちらでも取り上げたくなったので!
◆風屋日記「倫理とプライド」2009/03/17
風屋さんが勤める会社で、経費節減のため
「半額」の申し出がある取引先に変えようと検討したが、
責任者である風屋さんは悩んだすえ却下した
… というお話です。
なんでも安くが、今です。
昨日(03/19)には、イオンのすごい新聞広告が出ていました。
<中略>
でも風潮は、「ちょっとでも高い=安くない」ことが
「異様に責められる=商売にならない」状況になっている。
安く提供するためには、自分が仕入れる立場としても、
外部に頭を下げる。
例: クライアント「安く」→広告代理店「安く」→
広告制作会社(ここが我が社:リプル)「安く」→
外部スタッフ(撮影やイラスト)「安く」。
しかしなー。価格だけ見たら「より安い」ものは
あるでしょうが、「手間のかけかた」という人件費や
「出来」という付加価値があるはず。
「安くて良いもの」は理想だけれど、その一言で
終わらせちゃいけないと思うのですよ。
「金を払わない」ことではなく、
「金を払うなら」ということを、
もっと真剣に考えなきゃいけない。
-----------------------------------------
まあ、風屋さん、川島さん、ssayさん、皆さん、気持ちは同じですね。
安さが売り。
安さのみが、価値。
これ、基本的には信用したくないです。
しかし、トイレットペーパーとか、缶ビールとか、どこで買っても何一つ違わないものが安いのであればそれは考えてしまう。
しかし、安直に飛びつくわけではなく、なぜそのようなメカニズムになるのか、どうしてそうできているのか、かなり興味深い。
企業努力とか、利益を度外視とか。
まあ、短期的な発想で、例えばタイムサービスみたいなことはあるとは思う。
しかし、中長期的な戦略として考えると、どのようなことでそうなっているのか気になる。
さらに、何らかのサービスなど、質の違いが伴うものは、そう簡単ではない。
価格の差がかなりあるとは言え、そう簡単にはいかない。
ご時世的にはとっても大きな要素になってはいる。
しかし、まず疑ってみる。
安い理由を聞く、確認する。
それも含め納得がいくなら買うこともあるけど、単に安さを売りにすることは絶対に危ういし結局高い買い物になる。
今の時代、うちはこれだけ安いですよ(後のことは変わらずに)、これだけコストダウンが可能ですよ、と言えば、どんどん仕事を受注することもできる。
ほんと猫も杓子も皆コストダウンに必死。
寅さんの万年筆売りの口上がありますね。
『近頃はどちらの文房具屋さんに参りましても、いろいろな万年筆が出廻っておりますが、せっかく高価なお金を出してお買い求めになった万年筆でも、いざお使いになりますと、どうもインクの出が悪い、あるいはインクが洩れて困るという苦情がございます。これでは何のための万年筆かわかりません。万年筆というからには、一年二年お使いになりましても、あるいは十年二十年お使いになりましても、絶対にインク洩れがしない、書き味がいいというものでなければなりません。この点を工夫改良してできましたのがこの万年筆でございます。主に輸出用に作られておりまして、特許もいくつか取っております。ですからあとあと出廻る品物ではありません。・・・・』
この後、工場が潰れたくだりがあり、なにゆえにこの上物が破格値なのかというのを説明する。それがなければ、単に安くても売れない。
安い会社というのでなく、こういう他の特徴がある。
もちろん質やサービスがきちんと差別化できているということもある。
それだけでないファクターで、
すごく担当者が熱心とか、人間的に素晴らしいとか、すごくいい会社だとか、
そういうスペシャリティもありだと思う。
甘いといわれそうだけど、僕だったらこういう理由↓で仕事を頼みたいです。
今の時代だからこそ、こういう判断基準で行きたいです。
-------------------------------------------
田坂広志さんの「風の便り」から。
《本当の「商品」》
若き日に、優れた上司から、
大切なことを学びました。
ある調査会社が、その上司に、仕事を求めてきたのです。
そこで、その会社の部長と担当者に会うことになりました。
しかし、先方との会合が始まっても、私の上司は、
その部長と雑談をするだけで、本題に入りません。
相手も、その雑談に、快く相づちを打つだけです。
そして、若い担当者は、黙って側に控えているだけです。
しかし、その担当者には、なぜか、眼光の鋭さを感じます。
妙な存在感があるのです。
そのうち、予定していた時間が過ぎました。
すると、上司は、
その雑談だけで、会合を終えたのです。
しかし、先方を見送って部屋に戻るとき、
その上司は私に言いました。
あの会社に、例の調査を頼んだらどうかな。
突然の切り出しに、少し戸惑いながら、
私は聞き返しました。
しかし、あの会社の調査能力は、先ほどの会合では、
ほとんど分からなかったのですが。
そのとき、この上司が語った言葉が、忘れられません。
その点は大丈夫だろう。
あの若い担当者、
いい面構えをしていたからな。
このとき、私は、大切なことを学びました。
我々が、顧客から仕事を得るとき、
買っていただくのは、「商品」ではない。
買っていただくのは、「人間」である。
そのことを学んだのです。
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いろいろ感じるところがあり、取り上げさせてもらおうかと思い、下書きしていたら、川島さんに先を越されてしまいました。
それが、「安くない会社。」という記事。
そして、ssayさんの昨年の記事、「安さとリスク」にもリンクしていますね。
またその記事の元には、消費者の勝手、消費者の勝手・その2も関係しているようです。
さて、川島さんの記事を一部引用しつつ、感じるところを書いてみます。
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風屋さんのブログ『風屋日記』に、
トラックバックというよりは、まるまる
「便乗」して書かせていただきます。
ある記事を読んでコメントを寄せたら、
こちらでも取り上げたくなったので!
◆風屋日記「倫理とプライド」2009/03/17
風屋さんが勤める会社で、経費節減のため
「半額」の申し出がある取引先に変えようと検討したが、
責任者である風屋さんは悩んだすえ却下した
… というお話です。
なんでも安くが、今です。
昨日(03/19)には、イオンのすごい新聞広告が出ていました。
<中略>
でも風潮は、「ちょっとでも高い=安くない」ことが
「異様に責められる=商売にならない」状況になっている。
安く提供するためには、自分が仕入れる立場としても、
外部に頭を下げる。
例: クライアント「安く」→広告代理店「安く」→
広告制作会社(ここが我が社:リプル)「安く」→
外部スタッフ(撮影やイラスト)「安く」。
しかしなー。価格だけ見たら「より安い」ものは
あるでしょうが、「手間のかけかた」という人件費や
「出来」という付加価値があるはず。
「安くて良いもの」は理想だけれど、その一言で
終わらせちゃいけないと思うのですよ。
「金を払わない」ことではなく、
「金を払うなら」ということを、
もっと真剣に考えなきゃいけない。
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まあ、風屋さん、川島さん、ssayさん、皆さん、気持ちは同じですね。
安さが売り。
安さのみが、価値。
これ、基本的には信用したくないです。
しかし、トイレットペーパーとか、缶ビールとか、どこで買っても何一つ違わないものが安いのであればそれは考えてしまう。
しかし、安直に飛びつくわけではなく、なぜそのようなメカニズムになるのか、どうしてそうできているのか、かなり興味深い。
企業努力とか、利益を度外視とか。
まあ、短期的な発想で、例えばタイムサービスみたいなことはあるとは思う。
しかし、中長期的な戦略として考えると、どのようなことでそうなっているのか気になる。
さらに、何らかのサービスなど、質の違いが伴うものは、そう簡単ではない。
価格の差がかなりあるとは言え、そう簡単にはいかない。
ご時世的にはとっても大きな要素になってはいる。
しかし、まず疑ってみる。
安い理由を聞く、確認する。
それも含め納得がいくなら買うこともあるけど、単に安さを売りにすることは絶対に危ういし結局高い買い物になる。
今の時代、うちはこれだけ安いですよ(後のことは変わらずに)、これだけコストダウンが可能ですよ、と言えば、どんどん仕事を受注することもできる。
ほんと猫も杓子も皆コストダウンに必死。
寅さんの万年筆売りの口上がありますね。
『近頃はどちらの文房具屋さんに参りましても、いろいろな万年筆が出廻っておりますが、せっかく高価なお金を出してお買い求めになった万年筆でも、いざお使いになりますと、どうもインクの出が悪い、あるいはインクが洩れて困るという苦情がございます。これでは何のための万年筆かわかりません。万年筆というからには、一年二年お使いになりましても、あるいは十年二十年お使いになりましても、絶対にインク洩れがしない、書き味がいいというものでなければなりません。この点を工夫改良してできましたのがこの万年筆でございます。主に輸出用に作られておりまして、特許もいくつか取っております。ですからあとあと出廻る品物ではありません。・・・・』
この後、工場が潰れたくだりがあり、なにゆえにこの上物が破格値なのかというのを説明する。それがなければ、単に安くても売れない。
安い会社というのでなく、こういう他の特徴がある。
もちろん質やサービスがきちんと差別化できているということもある。
それだけでないファクターで、
すごく担当者が熱心とか、人間的に素晴らしいとか、すごくいい会社だとか、
そういうスペシャリティもありだと思う。
甘いといわれそうだけど、僕だったらこういう理由↓で仕事を頼みたいです。
今の時代だからこそ、こういう判断基準で行きたいです。
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田坂広志さんの「風の便り」から。
《本当の「商品」》
若き日に、優れた上司から、
大切なことを学びました。
ある調査会社が、その上司に、仕事を求めてきたのです。
そこで、その会社の部長と担当者に会うことになりました。
しかし、先方との会合が始まっても、私の上司は、
その部長と雑談をするだけで、本題に入りません。
相手も、その雑談に、快く相づちを打つだけです。
そして、若い担当者は、黙って側に控えているだけです。
しかし、その担当者には、なぜか、眼光の鋭さを感じます。
妙な存在感があるのです。
そのうち、予定していた時間が過ぎました。
すると、上司は、
その雑談だけで、会合を終えたのです。
しかし、先方を見送って部屋に戻るとき、
その上司は私に言いました。
あの会社に、例の調査を頼んだらどうかな。
突然の切り出しに、少し戸惑いながら、
私は聞き返しました。
しかし、あの会社の調査能力は、先ほどの会合では、
ほとんど分からなかったのですが。
そのとき、この上司が語った言葉が、忘れられません。
その点は大丈夫だろう。
あの若い担当者、
いい面構えをしていたからな。
このとき、私は、大切なことを学びました。
我々が、顧客から仕事を得るとき、
買っていただくのは、「商品」ではない。
買っていただくのは、「人間」である。
そのことを学んだのです。
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