即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

短期は損気・その2

2015年01月26日 11時39分37秒 | スポーツ
またまた間が空いてしまいました。
これほど慌ただしいのは久々です。

儲かってるわけではないのだけど、仕事の相談、広がり方が半端じゃない。(半端ない、という最近の言い方はどうしても馴染めない。)
フリーランスで個人でやってるので、小さなことでも絡むとなれば、とことん調べたり整理したり突き詰めようとしたりで時間がかかる。
相談してよかった、と心底思ってもらえるためには、誠心誠意、これでもか!というほど力を入れたいのが信条。

そんなことで新年のあいさつで“余裕”とか“ハンドルの遊び”とか言っていたのがどうにもこうにもままならない日々が続く。

そんな“余裕”にリンクする話が、最近のアギーレジャパンのアジアカップ。

明日の準決勝、週末の決勝を楽しみにしていたのだけど、結局、気持ちの余裕を持てなかったことが準々決勝敗退につながった。

決定力の無さの技術的側面もあるけれど、気持ちの面での余裕が大きい。

一戦、一戦、大事に勝っていくために、ずっと固定したベストメンバーで戦わざるを得なかったことが、大きな敗因のひとつ。

優勝するまでの6試合を通しての長期戦略を取ることができず、目先の短期的な結果を求めざるを得なかったことが皆の期待を裏切ることに繋がった。

アジアカップで優勝できなかったら即解任。
すぐに、ちょっとだめだと監督交代、と、言いたいこと言う世間は、どうしても短期的な結果を求めたがる。

ロシアワールドカップに向けての世代交代や長期的なチーム作りの視点はどうするのか。
思い切った若手の起用や時間がかかる戦略の導入など、先を見据えたことはどこまでできるのか。

短期も大事だけど長期も大事。

そりゃ両方うまくできればそれに越したことないけど、よほど力がないとそんなことはなかなかできない。

ビジネス社会もそう。
特に外資の考え方、人の使い方は、短期で結果を求めてくる。

短期的な視野の狭い部分に目が行ってると、いろんな齟齬が出てくる。

どこかで気がつくとおかしなことになっている。

いっぱいいっぱい、キツキツで物事を進めているといいことはない。
遊びのないところに進歩はない。

はやぶさの國中均さんの言葉に、
『ゆっくりでも、止まらなければ、けっこう進む』
というのがあるけれど、目一杯で焦って短期的な結果を追い求めるとろくなことはない。

余裕を持って、伸び伸びと、肩の力を抜いて進んでいきたいものだ。

失敗するからこそ見えてくることがある。

少しの失敗も恐れていてはちっとも進化していかない。

短気になって、単騎で勝手に進んでいくと必ず損をする。

短期は損気。

少し先を見つつ、余裕を持ってことにあたりたいものです。

以前の記事・短期は損気
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祭りのあと

2014年07月04日 23時41分13秒 | スポーツ
先日のコートジボワール戦について、開き直り力という記事を書きました。

あれ以降、毎晩録画も含めたワールドカップ観戦で完全に寝不足、体調不良です。
決勝トーナメント1回戦の8試合、結局は1次リーグ一位通過のチームが延長やPK戦も含め勝ち上がりました。
迫力満点のいい試合が目白押しでしたね。

特にベルギーvs.アメリカ戦。
スイスのキーパーも凄かったけど、アメリカのキーパーの頑張りは目を見張るものがありました。
ベルギーの39本のシュート、それも30本近くが枠内に飛んだシュートをことごとくクリアしていた。
僕らが知らないこんな選手が世界にはたくさんいるわけですね。
世界は遠いです。まだまだ先は長いです。

それにしても決勝トーナメントになってから、さらに試合展開が早いです。
ボールを奪っての速攻。
少ないパスで無駄なくスピーディーに一気にゴールまで行く。
ガーっと襲い掛かって、またガーッと反撃する。
そんなチームが残ったとも言えるけど、その迫力たるや凄い。
4年前もこんな速かったんだっけ?と思えてしまいます。

さて、ちょっと時間経ってしまったけど、ワールドカップ、日本チームの戦いはあっけなく終わってしまいました。

まだワールドカップは佳境だと言うのにあれだけ騒ぎ立てていたメディア、特にテレビはシーンとしてしまいました。
戦前、どれだけ盛り上げようと必死になっていたことか。
もしもある程度の戦果を得ていれば、今頃はどんなことになっていたのでしょうか。
選手たちが大挙して一日中バラエティやワイドショーに登場し、集団的自衛権も関係なく、国を挙げてのお祭り騒ぎが繰り広げられていたのだろうと思います。

拾いきれていないけどたくさんの関連記事が出ています。

小田嶋隆さんのW杯の荒海に沈む

以前バレーボールの番組のことをさんざん取り上げたりもしてましたが、小田嶋さん、サッカーに詳しくもないアイドルまでも使って騒ぎ立てていたことにかなりご立腹です。
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テレビは、戦前の段階では、楽観論しか言わない。
というよりも、番組の視聴率を煽るために悲観的な論評はつぶしにかかる。
NHKだって似たようなものだ。
彼らもまた、放映権料のモトを取るために、大会開幕前から、お祭り気分を煽るタイプの情報をヘビーローテーションで垂れ流しにかかっている。
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セルジオ越後さんの「ドンマイ、ドンマイ」で4年前、8年前と同じことを繰り返してきた。この繰り返しはもう見飽きた
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日本のメディアがやってきたことを改めない限りは絶対に変わらない。クラブで試合に出ていない選手や世界で結果を出していない選手をスターとして扱ったり、天才と呼んだり、「リトル本田」とか、勝手に騒いで、凄い選手として取り上げてしまう。今回の惨敗について、メディアに大きな責任があることを自覚すれば、次へのスタートを切れるかもしれない。

<中略>

ワールドカップで勝てなかったことについて日本代表、日本サッカー協会をどのメディアがつつくのか? 誰も責任取らないのでは、また4年前、8年前と同じ。それぞれの立場で反省するべき。メディアはすぐに「road to ロシア」と言いだすだろう。でも次はワールドカップに行けないかもしれない。本当に危機ですよ。どうJリーグを盛り上げよう? 海外ブランドはもう消えたよ? 悪かったことについて目をつぶるのではなく、日本サッカー全体でこの4年間を反省して、積み上げていくしかない。
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セルジオさんもメディアの責任について語ってます。
こういうの、サッカーだけの問題ではないです。
メディアがきちんとした視点もなくて騒ぎまくり、それに乗せられた人たちが浮かれて喜んだり怒ったりする。
そして半年後には誰も覚えてない。
何も積み重なっていかない未熟な日本。
どんどん世界との差がついていくのを指をくわえて見ているばかりです。
メディアの意識、責任感。
金儲けのことばかりに目を向けることなく、ジャーナリズムの本質をしっかり追求していかないと、世界の中で戦える強い日本にはなれないと思います。

ザック退任直後にアギーレ内定の違和感
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新監督人事を急ぐことで、ブラジルでの惨敗を打ち消すことだけは許されない。イビチャ・オシム元日本代表監督も「負けから学ぶことはある」と強調していたように、敗戦をしっかりと受け止めてこそ、その後の飛躍がある。それを忘れることなく、ザックジャパン4年間のあり方、チーム作りや選手選考、本大会へのアプローチの是非などをきちんと分析することから始めてほしいものだ。
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ほんと、そうですね。
この4年間の反省、検証。
ザックジャパンは何がよかったのか、何がうまくいかなかったのか。
今回の失敗から何を学んでどういうことが今後に生かせるのか。

でも考えてみれば日本の会社って、同じですよね?
今期の総括をする前にもう来期の計画ができていて、結局根本的に振り返ることもなく、昨日と同じ今日が着々と進んでいく。
画期的なイノベーションとかまるで新しい発想などないままに、なんとなく動いて行ってしまっている。
全然本質に近づくことなく、結局は回り道して時間もお金も無駄にしてしまうけど、誰も責任を取らないし、気づいていても敢えて指摘もせずに仲良く同じ船に乗って進んで行ってしまう。
それで何事もなく、恙なく、時は流れていく。

オシム元監督のオシム氏、次期監督候補アギーレは「必ず結果を出す守備のスペシャリスト。守備が弱点の日本にはちょうどいい。ただし・・・」
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その意味でも、ザッケローニの遺産をどう生かすかを考えるべきだ。アギーレが就任するかどうかとは別の問題として「チャオ、ザック、アリベデルチ(イタリア語でさようなら)」で簡単に済ませてしまってはいけない。
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一番びっくりしたのは、ブラジルから帰ってきて、辞任するのは仕方ないにしても、ザッケローニがこんなに早く「チャオ!」と言って帰ってしまったこと。
この4年間、どういう考えで何をして、どうだったのか。
うまく行ったことも行かなかったことも含め、きちんと協会は話を聞いたのだろうか?
4年間の検証や総括をしっかりするのであれば、数週間とか当然必要だと思うけど、ほんの数日で何をどこまで話したと言うのだろうか?
協会はザッケローニとしっかり話して日本サッカーの現状や今後の方向を見定めてから次の人選に取り掛かるべきではなかったのか。
今回の結果が出る前から次の人選作業をしているというのは準備が良すぎるというよりも、検証も戦略も何もなくマネージメントしている証です。
4年間、選手と一緒に苦労して積み上げてきたことが、何も生かされないまま次に進んでいくのでしょうか。

メディアの姿勢、そして協会の意識。
我々サポーターも含め、日本のサッカー文化全体が世界に近づいて行かないと、4年後もまた同じような結果になると思います。

どこに向かって進んでいくのかを明確に見定めた上で、一歩一歩着実に地に足をつけて進んでいく。

日本らしいサッカーが世界の舞台で花開いて我々が狂喜乱舞する。

そんな日を夢見つつ、今夜もまた世界の迫力満点のプレーで興奮の夜を過ごします。
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開き直り力

2014年06月17日 15時54分29秒 | スポーツ
ワールドカップネタです。
日本代表のコートジボワール戦の敗因とか解説は、誰が戦犯かの話も含め、至るところでいろいろ語られていますね。

とりあえず素人なりに思ったことを書きます。

ザッケローニ監督も、長谷部も本田も香川も長友も皆、口をそろえて語っていた言葉はこれです。

自分たちのやりたいサッカーが表現できなかった。

自分たちのサッカーとは何か?

自分たちのやりたいことがなぜできなかったのか?


本田は相手の前線の選手をリスペクトしすぎたからとか言ってますし、いろいろな解釈や意見はあると思います。

日本代表は初めてフランス大会に出た頃から比べたら格段に進化してるし、海外で活躍してる選手の数と比例するかのように年々強くなってるのは誰も否定しようがないと思います。

WCに出ることが目標になってたあの頃とは完全に意識も違っていて、客観的な実力とともに、優勝とまで口にするくらいの自信が着々と育ってきていたのですね。

出るために来たのではなく、勝つために、最後までいるためにここに来た。

そう簡単には帰れない。
負けるわけにはいかない。
勝つんだ、やるんだ。

その漲った自信が今回、丁寧に、慎重に戦うことになってしまった原因なのだと思います。

まあ、プレッシャーと言ってしまえばそうだけど、できるはず、勝てる力がある、ということが逆に
失敗はできない、負けるはずはない、負けるわけにはいかない、となっていたのではないかと思います。

自信が重荷になって堅い動きになり、自由でダイナミックなプレーができなくなっていた。
例えば初出場のボスニア・ヘルツェゴビナみたいに失うものは何もないし、気楽に、アグレッシブに、チャレンジャブルにやっちゃおう、というのとはまるで違う状況。

メンタルの難しさ。
失敗を恐れる。
シュートも打たない。
勢いがない。
ノリが全くない。

そして、流れを変える力もないし、そういう作戦もない。
固まっちゃったまま。

吹っ切る力。
開き直る力が全く見られなかった。

この話、この前テレビでやっていたけど、岡田監督のジョホールバルの時の話です。
岡田武史氏が語る、日本代表監督の仕事とは
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僕はあの時も急に監督になったので、有名になると思っていなかったから電話帳に(住所や電話番号を)載せていたんです。脅迫状や脅迫電話が止まらなかったですよ。

そんな中、最後にマレーシアのジョホールバルというところで、イランとの最終決戦がありました。僕はジョホールバルから家内に電話して、「もしイランに勝てなかったら、俺たちは日本に住めないと思う」と言いました。

ところが、その電話をしてちょっとすると、何かポーンと吹っ切れたんです。「ちょっと待てよ。日本のサッカーの将来が俺の肩にかかっているって、俺1人でそんなもの背負えるかい。俺は今の俺にできるベストを死ぬ気でやる、すべてを出す。でも、それ以外はできない。それでダメなら俺のせいちゃうなこれは。絶対俺のせいちゃう。」と完全に開き直ってしまった。

そうしたら、怖いものは何もなくなった。要するにそうやって人間が本当に苦しい時に、簡単に逃げたりあきらめたりしなかったら、遺伝子にスイッチが入ってくるということです。
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そうです。
もうしっかり準備もしたのだし、やるべきことはやったのだから、あとは知ーらないっと。
失敗しようが何を言われようが日本の全国民の期待なんてそんなとこまでオレは知らねーってば。

そんな風に開き直ってギリシャ戦頑張ってほしいです。

今まで蓄積してきた自信がありすぎて却って疑心暗鬼になってる。

これを自信暗鬼と言います。(笑)

ま、冗談はともかく、初戦敗戦というまたとない試練を与えられてラッキーと思って、自由奔放にカッコよく走り回ってほしいです。
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ゴールへの意識

2013年04月12日 20時43分07秒 | スポーツ
前夜祭、そして、大盤解説会にも行ったので名人戦第一局のことを書こうと思っていたのだけど、なぜかサッカーネタです。

久々に本場のサッカーの試合を録画できちんと見ました。
UEFAチャンピオンズリーグ準々決勝のバルサvs.パリSGの2nd Legです。

サッカーは日本代表の試合は必ず、そしてたまにJリーグやAFCの試合も見るけど、本場ヨーロッパでの試合はニュースやダイジェストでしかほとんど見てなかったのでとても新鮮でした。

なんたって、パスが早い。試合展開が早い。
攻撃的だし積極的だしお互いの自信や気迫がピッチ上に漲っている。

ボールを奪うとすぐに攻勢に出て、どんどん前に行き一気にシュートを打つ。
よく《ゴールへの意識》といろんな人が言ってるけど、まさしくそこが全然違う。
攻守入れ替わるとすぐにゴールに向かってボールを繋いでいく。
見ていても、一瞬でも気が抜けない。
少しでも隙があれば、サイドからクロスを入れる。それに連動して殺到する。

シュートだ、ゴールだ、それが真の目的だ。
なんともスピーディかつスリリング。
すぐにゴール前でのきわどいシーンがやってくる。
ロングやミドルも含め、シュートの数が多い。
何が何でも絶対にシュートを打つというブレない気持ちが全選手のプレーに溢れている。
シュートで終わる場面が圧倒的に多い。

バルサはシャビとイニエスタの絡みから展開が始まっていく。
しかし、イブラヒモビッチを起点にしてパリSGが先制。
このまま行ったらバルサは敗退の危機。
やはり、ここでメッシの投入。
ボールに触らずともいるだけで一気に流れが変わる。
バルサペースになり怒涛の攻撃。
そして、メッシのパスから相手を崩してぺドロが見事なゴールを決めて同点。


それにしてもどちらのチームも攻撃の時には全員が前を向いている。
後ろを向いたままパスを受けて、前も向けないしどこにも出すところなくてすぐに後ろに戻す、なんていう日本ではよく見る光景はほとんど見られない。

ディフェンスが甘いわけでもないのに、どうしてこうなるんだろうか。
体の使い方やポジションの取り方なども違うのだろうし、リスクを取ってどんどん攻めていくというマインドの部分も違うのだろう。

ボールを奪ったらすぐに攻撃態勢に移り、全員が一気に連動してゴールまですごいスピードで突き進むそして必ずシュート、というイメージ。
こういうプレイスタイルが日本代表にもほしい。

話は変わるけど、この前仙台に行った際に、ベガルタ仙台の試合をユアスタまで見に行きました。
タイのチームとのACLの初戦。
サポーターは一生懸命応援していたけど、なんともかったるい試合展開で、ダラダラしちゃってちっとも興奮しない。
じっと静かに見ていてもしみじみと襲ってくる寒さが身に染みていたたまれなくなる。
立ち上がったり、叫んだりする場面も訪れないままに同点弾を食らって終了。


ついこの前そんな試合を見たばかりということもあり、また先日のヨルダン戦での消化不良もあり、なおさら別のスポーツみたいな感じに思えてしまったこの試合。

終始手に汗握って、サッカーって面白いと心から思う。

結果は1対1。
アウェイゴールの差でバルセロナが大会記録となる6年連続の準決勝進出を決めました。

決勝トーナメント組み合わせ
準決勝の組み合わせはバルセロナvs.バイエルンミュンヘン。
そして、ドルトムントvs.レアルマドリード。
ドイツ2チームvs.スペイン2チームの戦いです。

名人戦の今後も楽しみだけど、こちらも目が離せない状況です。
さて、優勝はどのチームなのでしょうか?
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ヤングなでしこの学習

2012年09月12日 18時52分33秒 | スポーツ
先日、《スポーツの冒涜》《スポーツの冒涜・その2》という記事を書きました。
要は、何でわざわざサッカーの試合に何も知らないアイドルたちを引っ張り出して、わけもわからずきゃあきゃあ騒ぎ立てる応援をさせるのか、って話。
これについてはすっかりバカバカしくなって、日本のテレビ局の劣化を嘆いていたのだけど、我らが小田嶋隆さんも同じように呆れ果てて書いてくれていたのを発見しました。

ヤングなでしこの受け答えが示す「サッカーと言葉のつながり」

すっかり我が意を得たりの感があり、うれしくなって部分的に引用させてもらいます。
=======================
 初戦のメキシコ戦のハーフタイムの間、私は、そのまとめ売りのアイドルグループの中から選ばれた「イレブン」の面々が、代表ユニフォームを着て、インタビューに答えている姿を見ながら、すっかり不機嫌になっていた。

 なんというのか、FIFAが主催している国際大会の緊張した空気と、港区の盛り場の名を冠したねえちゃんたちの蓮っ葉な受け答えが、あまりにもそぐわなかったからだ。

 いま、「蓮っ葉」という言葉を使ったが、実際に彼女たちを見ていた人たちは逆の感想を抱いていたかもしれない。つまり、そのアイドルグループのコたちは、ひどく幼い振る舞い方をしていたということだ。

 量産型アイドルの皆さんは、マイクを向けられると、軽くカラダを上下させながらしゃべる。誰もがそうする。両手は肩の位置で握っている。で、そうしながら、軽くジャンプするみたいに重心を上下させつつ、息を弾ませてしゃべるのである。

 眺めている私は、ますます不機嫌になる。

 彼女たちが、自分をより幼く見せかける演技をしていることが見てとれて、その場違いな芝居がどうにも不快だからだ。

 しゃべる時にピョンピョン跳ねるのは、小学校二年生ぐらいまでの子どものマナーだ。事実、保育園児は、話しかけられると、大体ピョンピョンしながらしゃべることになっている。たしかにあれは可愛い。

 が、20歳に近い娘が、5歳児のマナーで振る舞うことは、可愛いというより、薄気味が悪い。私はそう思う。どうかしている。

 おそらく、そのアイドルグループのみなさんが受け容れられている世界では、幼女のような躍動感が「可愛さ」の記号になっているのだろう。だから、彼女たちは、小学生が「先生おはようございまーす」と言う時のユニゾンの発声を保ちながら、平板なイントネーションでしゃべることで、自分たちの年齢を捨象し、アイドルという、時間軸から独立した存在に化身しているつもりでいる。

 彼女たちだって、決して好き好んで今回の応援業務を引き受けたわけではないだろう。要は「場違い」ということだ。

 でも、サッカーを見ている人間としては、あの甘ったれた応援メッセージだかを聞かされた後に、後半の競技を観戦する気分に戻るのには、かなりの努力を要するのである。で、結局、私は、試合の最後まで、不機嫌なままだったのである。

 フジテレビも反省したのか、次の試合からは、そのまとめ売りアイドルグループを前面に出してこなくなった。あるいは苦情が殺到したのかもしれない。
======================
このままずっと決勝戦まで彼女たちが出るのかと暗い気分になっていたところ、3試合目からはなぜかいなかったのです。
せっかく試合が東京になって、実際にピッチに行けたり、さらに臨場感を出せたというのに、これは一体なんでなんだ?

さあ、ここで問題です。
1.あまりにもクレームが多かったから仕込んであったけど急遽中止した?
2.出演させたかったのだけど、彼女たちのスケジュールがあらかじめ詰まっていた?(前田敦子の卒業コンサートなどの時期だし。)
3.小田嶋さんの指摘のように、最初だけある意味リスクヘッジをするため、地ならし的な目的で仕込んだので、途中からはヤングなでしこだけの力で勝負しようと思っていたから。もともとの計画通り。
4.第一戦、第二戦の中継は宮城からだったので、お台場は盛り上がってますか?と二元中継することで地方局に対して、キー局としてのメンツ、威圧感を示したかったからか?

さて、大会も無事終わり、ヤングなでしこも銅メダルを獲得し、土曜デーゲームで11.1%という高視聴率を上げたようです。
そして、大会前は誰一人知らなかったというのに、猶本光、田中陽子などかなりの選手がすっかり有名になり、今後のなでしこジャパン、女子サッカーの注目度をかなり上げる結果につながりました。

返す返すも最初の2試合でかなり多くの視聴者をイラつかせてしまったことだけが汚点として残ったけど、しっかり全試合の中継をしたフジテレビの采配は見事なものだったと思います。

やるのであれば姑息に腰引けた感じでやらずに、堂々と自信持ってやりましょうよ。
間違っても安易にアイドルなんかの力に頼らずに、そのスポーツの醍醐味、アスリートの魅力に迫ってうまく演出すれば十分視聴率の取れる番組作りができると思うんだけどなあ。
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スポーツの冒涜・その2

2012年08月23日 16時45分13秒 | スポーツ
先日書いた《スポーツの冒涜》という記事、結構な反響でした。
テレビの取り上げ方。番組の演出。
バラエティ化、ショーアップ化、ワイドショー化
みんなそう思ってるんだよね、やっぱり。
わかってないのは局の人ばかり。
もし番組スポンサー関係者がいたら、頼むから突っ込み入れてほしいんだけど。
スポーツ、試合そのものはいいんだけど、あんなくだらない演出するんだったら今後一切提供は差し控えます、って。

ところで、昨日のヤングなでしこの試合、見ましたか?
いきなりの2失点で浮足立ってしまったけど、まあ、よく2点返しましたよね。
若いから仕方ないのだろうけど、リーダーシップ発揮してる子が見当たらない。
キャプテンの藤田も途中交代しちゃったし、ゲームメークしたり精神的支柱がいないのがこのチームの弱点ですね。
ディフェンス陣が不安定なのもそれぞれバラバラな感じで、中心になってる選手がいないことが不安材料です。

それにしても、またこの話。
『お台場盛り上がってますかあ?』
って、なんで宮城からお台場に振らなきゃいけないの?
意味わかんない。
そして乃木坂46とかのキャアキャアうるさい(品のない(失礼!))女の子5人が出てきて騒ぐのには完全に閉口。投了。完敗。
サッカーのことも何も知らない子たちに一人一人振らなくたっていいと思うんだけどね。

『大興奮です!』
『頑張ってほしいです!』
『やってくれると思います!!』
まったく無駄な時間だ。

こんなバカなことで時間使ってるんだったら、U20の大会の歴史とか他のチームの特徴とかいくらだって伝えるべきことあると思うのに。
文句ばっかり言ってると怒られるから、どういう内容の番組だったら見たいのか、いつでもちゃんと企画提案しますよ。
バレーボールのジャニーズの若手の応援もそうだけど、どうして不要な、いや、不快な、チャラチャラした応援を入れる必要があるんだろうか?
百歩譲ってみたところで意味がわからない。
局の人だって、この演出が必要だとか、このやりとりが素晴らしい、とはどう考えたって思ってないはずだ。
となると、つい想像してしまうシーンは以下の二つ。

1.視聴者を小馬鹿にしてるパターン。
『なでしこならともかく、全く知名度のないヤングなでしこなんだからまともにサッカーの試合中継したってなんにも面白くないだろ。盛り上がるわけないだろ。お笑いかアイドル噛ませとかないとかっこつかないよ。サッカーのことなんてわかんなくたっていいから適当にそういうの入れとかないと視聴率取れないだろ。予算はあるんだから安いジャリタレでも仕込んどけばいいじゃん。』

2.互助会・利権のパターン。
タレント事務所のマネージャー『前からお願いしてるあの子たち、なんとかどこかで使ってくださいよ。歌なくてもいいし、バラエティでもなんでもいいんでお願いしますよ。』
番組プロデューサー『そうか、うーん、あっ、今度サッカー番組あるから、あれにだったら突っ込めなくもないな。ちょっと考えるかな。』
『あっ、それ、お願いしますよ。とりあえず顔売れればいいんで助かりますよ。ほんといつもお世話になっちゃって、すいませんね。あっ、そうそう、この前赤坂でいい店見つけたんで、来週でもどうですか?いや、いい子いるんですよ。』

ちょっと古い時代ですね、これ。
ホイチョイみたいな感じもするけど、どちらにしてもこんなくだらない想像しちゃうくらい、どう逆立ちして見たって楽しくない、面白くない。
もしあの子たちのファンだったとしても、あんな風な使い方しないでほしいと思うはず。
こういうキャスティング、あのひどい演出を歓迎して満足してる視聴者って、あの子たちのファン以外に存在するんだろうか?

この手のくだらない応援、演出を今後すぐに0%にしたいので、公開討論会やるとか、パブリックコメント受け付けるとかしてほしいと切に望んでやみません。
おーい、テレビ局の人!聞いてんのかーい
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ロンドンオリンピック雑感・その3

2012年08月22日 15時40分12秒 | スポーツ
閉会式終わってからすでに10日経ちますが、またもやしつこくオリンピックネタです。

過去関連記事:
ロンドンオリンピック雑感
その2
スポーツの冒涜

そういえばこの人もしつこくまだ書き続けていますね。
五輪雑感 ~卓球は史上初のメダル獲得と言うけれど~

ということで、この記事に触発されてまずは卓球ネタから。

 卓球の試合終了後の握手って、なんかドライすぎると思いませんか? 

相手の手の先をちょこっとつまむくらいの軽い握手ってなんか違和感を感じます。
適当、いい加減、気持ちが籠ってない、形式的。

互いの健闘を称える意味でも、ちゃんと相手の目を見てしっかりちゃんと握手すればいいのにとつねづね思ってるんだけど。
激闘の後であれば、両手で握手するとか、場合によったらハグしてもいいと思うし、スポーツの持つさわやかな印象をぶち壊してます。
せっかく愛ちゃんたちが銀メダル取って今後は打倒中国に向けてますます盛り上がっていくのだろうけど、ここだけがどうもひっかかってます。

過去の歴史とか文化とか、そのスポーツの持つ背景や特性など、いろいろ考え方はあるんでしょうけど、これだけは断固として違和感がある。
ラグビーの「NO SIDE!」の感覚じゃないけど、他のスポーツの持つ試合後の充実感、晴れやかさを感じないです。
なんだかコソコソ、ジメジメ。(失礼!)

もしそういう意見が通るのであれば、何でも保守的に、権威主義的に先輩たちから教えてもらったことを伝承しているだけでなく、誰かから、日本から進んで変えていけばいいと思うのだけどいかがなもんでしょうか?
そのこと自体に意味があったり、正当性、納得性があることならともかく、単なる習慣でそうしてるだけであればバーンと変えてしまって新たなスタンダード作りをしていきませんか?
その方がファンも増えるし裾野も広がっていきますよ。

卓球やってる方とか協会の方とか、聞いてますか?
おーい!

ちょっとレベルは違うかもしれないけど、サッカー日本代表が試合前の君が代を聞くとき、皆で肩を組んで聞くということを始めました。
伝統的には今までそんなことはしなかったと思うけど、単に誰かが言い出して始めたこと。
これが共感を生むことになるのであれば他の競技にも広まるかもしれないし、そんな風にもっといろいろ自由な発想があっていいと思うんですよね。

次、もうひとつオリンピックに関しての個人的意見。

メダリストだけでなく、いろんな選手がインタビューで必ず語ること。

『スタッフやチームや家族や応援していただいた方々のおかげです​。そういう人たちの気持ちが力になり、支えになって今の自分がい​ます。感謝の気持ちを伝えたいです。』

本当にそう思ってるのだろうけど、あまりに皆が、ステレオタイプでこの優等生的な決まり文句を言うのにもう辟易。
以前はこんなことなかったと思うけどどうなんだろうか?

自分を自分でほめてあげたいではないけど、多少自分勝手に思われてもいいから自分らしいこと言う人、圧倒的に減りましたよね?
逆に言えば​如才なさすぎで画一的でつまらない。
これはスポーツ界だけでなく、すべての世界で小粒化、謙虚化、大人化してるんでしょうね。

もっと周りに気を遣わんと、勝手なこと言ってよ!
本音で思ってること、そのまま言っちゃってよ!

あと、 『ファンの皆様にメッセージを。』の答え。

『応援よろしくお願いします!』

この予定調和的、誰でも同じこのやりとり、もうあきたし、時間の無駄なのでやめてもらえないかしら?
だめ?
伏してお願い申し上げ奉りますので、何卒もう許してちょうだい。
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スポーツの冒涜

2012年08月21日 11時08分57秒 | スポーツ
オリンピック終わっちゃったけど、昨日の銀座のパレードといい、各局軒並みのメダリストたちの出演ラッシュといい、まだまだ余韻は覚めやらないです。

関連記事:
ロンドンオリンピック雑感
その2

オリンピックネタをしっかり何度も取り上げて更新している英さんは、TBいただいたこの記事《五輪雑感 ~総括と言うより、いろいろ、もろもろ~》だけでなく、テレビ局の取り上げ方、演出、解説のことについて問題提起されてます。(すべて共感、同意!)

さて、この記事、ちょっと引用させてもらいます。
五輪まで低俗なバラエティー番組に貶めるテレビ局の「見識」 - Infoseek ニュース
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わが国のテレビ局にかかれば、世界最大のスポーツイベントでさえ、ショーアップ化しないと気が済まないようだ。

  今回に限ったことではないにしろ、テレビ局、特に民放の中継は見るに堪えないものばかりだった。そもそも「ライブ(生中継)」と銘打ちながら、放送は試合開始の1時間も前から始まり、現地と日本のスタジオを結んで、アナウンサーやタレントによるつまらない掛け合いの垂れ流し。試合開始を「まだか、まだか」としびれを切らした向きは少なくなかったはずだ。

  見るに堪えなかったのは、「五輪キャスター」と称して現地に派遣されたタレントたち。マラソンの高橋尚子や柔道の野村忠宏らのメダリストが解説者やリポーターを務めるのはよしとしても、なぜ中居正広、桜井翔、国分太一といったジャニーズのタレントを五輪中継に引っ張り出すのか。4年に1度、大げさに言えば人生をかけたアスリートの大一番を、視聴率欲しさにスポーツの素人に何かを語らせるテレビ局は自分のクビをしめている。

 <中略>

  日本人選手のメダリストが誕生すれば、各局横並びで現地の特設スタジオに招き、「今、何がしたいですか?」などと判で押したように同じ質問の繰り返しだ。

 「各局とも聞く内容に中身がなさ過ぎます。選手やチームの裏話がほとんどで、試合中の心境、プレーや技に関して踏み込んだ質問はありませんでしたから。視聴率稼ぎのためなのか、選手をお笑い芸人かタレントのように扱い、笑いを取ろうとする姿勢が見え見えです。メダリストや視聴者を冒涜(ぼうとく)しているとしか思えません」(前出の山口氏)

  次回のリオデジャネイロではまともな中継を期待したいものだ。
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この過剰な、そして間違った方向の演出については過去このブログで何度も何度も取り上げているのだけど、一向に修正しようとする気配が見られない。
いや、どんどん増徴するような節も見られる。

おとといのヤングなでしこの試合に登場した乃木坂なんとかというギャルタレ(こんな言い方しないか?)たち。
あれはなに?サッカー知ってんの?
きゃーきゃー騒いでうるさいだけで、せっかくの日本開催《FIFA U-20女子ワールドカップ ジャパン2012》の品格を著しく貶めていると思う。
サッカーに詳しいお笑いタレントまではわかるけど、どうしてああなっちゃうんだろ?
ヤングなでしこと同じ世代だから?
いろんなタレント事務所から売り込みが来てるのだろうし、偉そうなプロデューサーが、そうだな、今度のサッカー番組に使ってあげようか、なんて永田町の世界でよくあるような光景が展開されてるんだろうか?
いや、そもそもアナウンサーと解説者以外に、あんなにいっぱい出演者、必要なの?
予算ありすぎてて、単にシンプルにサッカーの試合を見せるだけだと、余っちゃうの?

バラエティ化、ショーアップ化、ワイドショー化。

過剰な演出、盛り上げすぎ、というのでなく、これはあきらかに間違った方向の演出です。

スポーツそのもの、そしてアスリートそのものを、普通に、自然に取り上げればいいのに、どうしてそういう方向にひんまがってしまうんだろ?

有名タレント起用して大騒ぎしてワイワイ賑やかに取り上げれば満足するものだと馬鹿にしてるに相違ない。

大半の視聴者がそういう演出を望んでいると勝手に思ってるんだろうけど、ちゃんと視聴者満足度などアンケートとか調査をしてるんだろうか?
こういう意見もかなりあるということをわかっているのだろうか?

今回のオリンピックでますますヒートアップしちゃったこの傾向。
視聴率至上主義という現状もわかるけど、こういう演出が本当に視聴率アップにつながっているのかどうか?
同じ試合を他局でもやっていれば比較できるのだけどね。

テレビ局の人ってほんとに馬鹿なんじゃないのって思えてしまう。
そして、そのことは、民意をちっとも理解しないで自分たちの特殊なムラ社会の中でうごめいてる永田町や霞が関の方々とイメージがダブってしまう。

解散総選挙があるわけでもなく、こうやって地道に声を上げるしか術もないわけで。
テレビ局の方、お願いしまっせ、わかってちょうだいよ、このせつない気持ち、やるせない乙女心を。

ということで最近は自衛手段として、生放送をそのまま見るのはやめて、すべて録画でくだらないところはすっ飛ばして見るようにしています。
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ロンドンオリンピック雑感・その2

2012年08月16日 12時25分36秒 | スポーツ
オリンピックネタ、先日の記事の続編です。

まず誤審問題。
今回、他の競技にもたくさんあったけど、特に柔道の審判がひどさ、世界中に露呈しちゃいましたね。
柔道自体の格を完全に貶めちゃいました。
そして、これは個々の審判個人のスキルの問題ではなく、システムの問題なんでしょう。
覆った韓国選手もひどく後味悪いですよね。
最初に青3本上げた時、なんですぐにおしまいにしなかったんだろ?
もう勝負はついたからと帰ろうとした韓国選手にもまだここにいろって言ってたんですね。
恐らくジュリーがすぐに問題視してクレームつけてた、ということなのでしょう。
文句つけられた3人の審判はしばらくオロオロ立ちすくんでいて、その後ジュリーに呼ばれたら、はいはいって感じですごすご歩いて行って、あたかも従順な部下のように上司からの指示を受けていた。というよりも怒られてたような感じ。
そして、当たり前のように再度の旗判定をやり直す。
ひどすぎて見てられない光景、じゃ、お前らは何なのか?
審判の権威も何もない、あれじゃ、まるでスリーアミーゴズだよね。

体操男子団体決勝の内村の得点もひどかった。
内村の得点が出て、日本はメダル逃して4位。
イギリス、ウクライナが飛び上がって喜ぶ。
日本がおかしいと詰め寄り、審議に。(クレームつけるにはいちいちお金払うんですね、知らなかったけど。)
そしてかなりの時間が経ってから、内村の得点がアップし、結果銀メダル。
柔道だけでなく、審判というものが介在して我々にはわかりにくい微妙な判定、そして逆転裁定に出会うと、そのスポーツへの興味が低下し、自分の中での、いや恐らく社会的な格がグーンと下がる。
フィギュアスケートも然り。
テニスのチャレンジみたいに誰がどう見てもわかりやすいといいのだけど、人間のやることだからそう簡単にはいかないのはわかる。
そうであればプロとしてのスキルを上げて、できる限り納得性、客観性のある判断、判定をしてもらうしかない。
そして、覆す時はきちんとその判断理由をわかりやすく公表してほしい。
スポーツはすっきりさわやかに楽しみたいんです。
わけわかんないのは政治だけでたくさんだもの。

そしてつい最近の女子ハンマー投げ決勝。
知らなかった人も多いと思うので概略を。
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ドイツのハイドラー選手が投げた5投目がかなりいい線行った。
ベスト3くらいには入ってる映像が映る。
しかしなぜかちゃんと計測しないまま、次の選手が投げた。
わけわからずに「ファール」になり、もう一度投げさせられる。
これは大した投擲でなく、そのまま試合終了。
ハイドラー選手はクレームつけたけど、審判団は意に介せず。
結果が出てメダリスト3人がウイニングラン。
そして競技終了後、審判団が方針を撤回。
ハイドラーの5投目が認められ、銅メダルに(どこかに記録が残っていた?)。
ウイニングランで喜んでいた中国の選手、ひっそりと4位に。
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あまり騒がれなかったけどこれもひどかった。
なぜそうなったのかの理由が明らかになってない。
結果は結果だけど、その経緯がこのまま闇に葬られていいのだろうか?
あまりにも杜撰な判断、判定。
これじゃ何でもありじゃないか。
4位になった中国選手の気持ちはどうなるのか。

小田嶋隆さんも書いているけど、特に審判の介在度が大きな競技は、審判の教育、選出法はもとより、ビデオ判定の位置づけ、ルールの見直しも含め、いろいろ根本的に考え直す時に来ているのかもしれないです。

次にアナウンサー問題。
オリンピック閉会式のNHK解説に批判殺到! 視聴者「アナウンサー黙れ!」「起きてた時間を返せ!!」
ネット上で大騒ぎになってるようです。
【17日間の会期を終えて、ロンドンオリンピックが閉幕した。閉会式は日本時間2012年8月12日の5時頃から始まったのだが、その中継を行ったNHKの解説に批判が殺到している。というのも、イギリスの音楽とエンターテイメントをテーマにした閉会式、名だたるアーティストが多数出演し名曲を披露したのだが、その演奏中に無用と思えるような競技の振り返りを行い、視聴者が音楽を聞くのに妨げになったからだ。
特に視聴者の苛立ちをかき立てたのが、ロックバンド「MUSE」の演奏中のことだ。このバンドの楽曲『Survival』は、オリンピックの公式ソングに抜擢されていた。アナウンサーはそのことを知らなかったのか、公式ソングであることに一切触れずに、すでに多くの視聴者が知っているはずの競技の振り返りを語り、各選手の感想まで述べて演奏の妨げになっていた。】

どうしてもおとなしくしてられない、ずっと何かしゃべっていないといけないアナウンサーの性(さが)ってやつがあるのでしょうし、呪縛なのでしょうね。
前もサッカーのところで書いたけど、しゃべりすぎ、騒ぎ過ぎ、見てればわかるよ、うるせーよ、じっくり見させてくれよ、って思うのだけど、そういう視聴者のせつない気持ち、伝わってないみたいですよね。
でも、わかるんです。
どういう層が多数派なのか、ってこと。
どこかに特定の多数派と思う視聴者像を想定して、しゃべってるわけですよね?
こうやって僕は勝手に文句言ってるけど、世間にはいろんな人がいるわけで、サッカーのルールよくわからないから、もっと基本的なルール説明を含めこと細かくしゃべってほしいって人だっているはずですもんね。
閉会式の例で言えば、そんな音楽はどうでもいいからいろんな振り返りのコメント聞きつつ走馬灯のようにオリンピックの名シーンを反芻したいって人だってある程度はいるはず。
そう考えたら、これだけニーズが多様化してるわけだから、どうやったってそこに満足しない塊の人たちから文句が来る。
どこが多数派なのか、ボリュームゾーンはどこなのか、ターゲットの視聴者像はどんななのか、って判断は難しい。
そういう意味では音声を自分の好きなように選べたらいいのでしょうね。

次は民放でよくやる選手の紹介物語。
さとなおさんも『オリンピック選手の苦闘の半生を情感たっぷりに読み上げる女性ナレーションが苦手すぎて民放がつけられない。いらんのだよ、そういう味付けは。』と言ってます。

競技を早く見たいのに、お涙ちょーだい的な安っぽい学芸会みたいな選手紹介物語、各局で同じ映像使って同じようにやってるんだけどやめてほしいんです。
なんで民放は皆同じトーンで同じ演出でああなっちゃうんだろ?
ついついわずらわしくなってNHK専門になってしまう。
以前も《テレビ局の相互浸透》《メディアの先見性、独自性》をはじめ、テレビのあり方、劣化に関する記事を散々書いてきたけど、民放の人はなんでいつまでたってもそういうこと、何でわかんないのかな?
わかった上で承知してやってるのかな?
過半数の視聴者は、ワイドショー仕立てのものを見せておけば喜んでるレベル低い奴ばかりって思ってるのかな?

次はなでしこのこと。
宮間あや「全てを背負った監督の思いを無駄にしたくなかった」/ブラジル戦(SOCCER KING) - ロンドンオリンピック Yahoo!スポーツ×スポーツナビ
宮間選手のコメント、素晴らしいです。チームワーク、一体感だけでなく、個々のタレント、性格などが揃っていたからこその栄冠なんですね。

【他の選手はわからないが、話題にはしたくないが南アフリカ戦ですべてのことを背負ってくれたノリさんの思いをムダにしたくなかった。(2位狙い騒動は)選手同士でも口にするのはためらわれることがあった。でもあの試合は狙えないし、無気力試合じゃない。相手に押し込まれるのは想定内だった。DF4枚は体を張っていた。ミスはあったら、それぞれの役割をコンプリートしてくれた。私たちはチャレンジャー。残っているチームはどこも強いが、一番いい色のメダルに向かうという気持ちだけだ】

なでしこは精一杯やるべきことをやりきったわけですね。
最後負けたのは僕らの応援の仕方が足りなかったということ。
ということで心から反省して、2年ぶりくらいにひげを剃りました。

最後はこの話。


完全に韓国サッカー関係者の活動と判明!だったようですね。

これについて書いている韓国は五輪精神を傷つけたという為末さんのコラムです。

いいこと言ってます。
男子の3位決定戦と違って、なでしことアメリカの決勝戦はお互いリスペクトしあってる同士の戦いというのが感じられてそこがとても印象的だった。
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アスリートは表面ではなくもっと深いところで、目の前の相手を通り越して、人類の可能性というものに向き合っている。人はアスリートの相手に勝利する姿だけではなくて、自分自身に打ち勝つ姿に感動する。私たちアスリートはお互い対峙して戦い合いながらも、自分自身の限界と向き合いそれを乗り越えようとする存在で、そしてその目的を共有した相手を、国籍や人種を乗り越えたところで、私たちは尊敬し合う。オリンピックの価値とは、普段お互いの立場ではさまざまな問題や、感情的な対立を抱えていたとしても、それらをこの時期この場所でだけはぐっとこらえて、お互いのこれまでの努力と高みを目指す姿勢を尊敬し合おうじゃないかということにあるのだと思っている。
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そしてもうひとつ。
為末大がTwitterで冷静に意見、日韓戦パフォーマンスについての見解が凄すぎる!
引用させてもらいます。
******************************************
結局の所、スポーツ、オリンピックの本質的価値は何なのかという話で、ここに何らかの意図が入り込む事で、オリンピックの中立性、純粋性が失われる。それはひいてはオリンピックを貶める事で、スポーツ自体への社会からの尊敬を失わせる。
私は韓国選手の行動に憤りを感じるが、それは日本人としてではなく、一人のオリンピアンとして感じている。なぜなら彼が攻撃したのは日本ではなく、オリンピックの精神自体だから。オリンピズムの根幹に関わる事だから、IOCもここは勝負所だと思う。彼らの理念は建前だったのかどうかが試されている
そして日本人の立場として考えても、日本として抗議するのは得策じゃないと思う。もう一つ次元が上の目線から、オリンピズムの本質を諭すようにIOCに意見を出すべきだ。島の問題ではなく、世界中が大切にしているものを貶めた問題として扱うべきだと思う。
*****************************************
為末さんも、大事な事は同じ次元で抗議しない事と強調してますが、日韓の間の問題ではなく、オリンピックとかスポーツというものの価値をどう捉えるのかということだと思います。

オリンピックは国威発揚の場。
ビジネスであり経済効果、金儲けの場。

いろいろな考え方がある。

甘っちょろいのかもしれないけど、スポーツを通じて人間の可能性の追求の場であると信じたいし、その意味からは、スポーツの上に何も置いてはいけないのだと思います。
今回はずっと寝不足に耐えつつ、かなり観戦したと思うけど、メダルの数とか誰が活躍したとか、そういうことでなくいろいろ考えさせられたし印象に残った大会でした。
あの東京オリンピックからもう48年も経つわけで、時代も画期的に変わり、自分の歳や環境や考え方も毎回変わっている。
今後オリンピックはどのように変化していくのだろうか。
そして、オリンピックの感動をあと何回元気に味わうことができるのか。
ほんと、皆様、お疲れ様でした。

最後にあまりにすごいし、知らないことばかりだったので、時節柄ご参考までに。
日本の高校生が作った竹島問題検証動画が凄すぎる
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ロンドンオリンピック雑感

2012年08月12日 01時17分49秒 | スポーツ
暑いですねえ。
すっかりご無沙汰しちゃってます。
暑くて暑くてカラダはお疲れ気味だし、歳のせいか頭もボーっとしてるので本読んでも進まないし、頭回らないのでろくな記事、書けやしない。
王位戦のことも書きたいと思ってたけど、オリンピックが始まっちゃったからもう投了です。
連日の寝不足が輪をかけてますます更新しない日が続いてます。

ということで英さんはしっかりいろいろ評論してますが、今日はロンドンオリンピックネタをランダムに。

過去最大規模の五輪反対デモ、500人参加

やっぱりこういう動きもあるんですね。
行き過ぎた商業主義。
川島さんも書いてるけど、たしかにあの開会式見ると満載すぎるし、時間長すぎるし、開会式としてはもっとシンプルでいいのではと思う。
あそこまでやらなくても。あそこまでお金かけなくても。
選手入場・開会宣言・聖火・プラスアルファでいいのではと思ってしまう。
もう国の威信を示すような時代ではないだろうし。

【ロンドン余話】開会式の「ヘイ・ジュード」は“口パク”の予定だった?
【事前録音された音源を使い、“口パク”で演奏することも予定されていたが、マッカートニー自身が生での演奏にこだわり、それを貫いたということらしい。】
もしかしてたら口パクだったかもしれないのか。
音ずれたの、あっ、トラブルか、って思った。
最後までこのままだったらかなりやばいなあ、と本気で思った。

開会式の日本選手団の退場事件。
【ロンドンオリンピック】日本選手団が開会式で“謎の退場”!? 猪瀬直樹東京都副知事も関心寄せる
まだきちんとした情報がないみたいだけど、ほんとに真相はどうなってるのだろ?

試合後のインタビュー、もう少し何とかならないのだろうか。
もっとその選手のこと、競技のこと勉強したり、事前に準備したりしないのだろうか?
質問に関して、事前にディレクターなりがちゃんとチェックしたりしてるのだろうか?
勝った場合、負けた場合など、意外な反応だった場合も含め、ちゃんと事前に想定質問集など作ってシミュレーションしてるのだろうか?
あー、こんな質問投げたからこんな答えが引き出せて面白いインタビューだったな、ってことほとんどないですよね。
振り返ってどうでしたか?今の感想は?次の試合はどうやりますか?ファンにメッセージを、っていかにも予定調和的、お約束的で、単に選手の表情が見られたってことしか残らない。
内村の予選の時とか福見とかうまくいかなかった選手への聞き方も、上から目線に感じることも含めなんだかなあって感じがした。
1次リーグのなでしこ鮫島へのインタビューもあきれた。
東京のスタジオに宇津木選手がいますけど、何かメッセージを、って言って、鮫島がはっ?って一番あきれていたけど、何を言わせたかったんだろ?

バレーボールってなんでチアガールがいるの?(今日の試合はいなかったけど)
どっかのチームの応援じゃなくて、バレーにはつきものってこと?
日本でやるときはいつもジャニーズだかなんだかアイドルの歌や踊りがつきものだけど(過去、あきれ果ててこのこと何度も書いてます。)、オリンピックでもそういうスポーツってことになったんだろうか?
誰が見ても要らないと思うけど。

一本を取って勝つことと金メダルを取ること:日経ビジネスオンライン

過去に《柔道の変化》《負けないことに徹することの弊害》など、何度も取り上げてますが、小田嶋さんの指摘通り、これが柔道なのか、という思いをまた新たにした今回のオリンピックでした。
(引用させてもらいます。)----------------------------------------
「これが柔道なのか?」と、久々にこの競技を見る私は、少し驚く。
 が、これはこれで、それはそれとして、おそらく、それなりには柔道であるはずなのだ。というよりも、グローバル化した柔道は、JUDOとしての新しい競技の見方をわれわれに求めている。
 つまり、話は逆なのだ。問題は、柔道の国際化ではない。反対だ。
 既に国際化を果たしたJUDOが、われわれ日本人に、国際標準への適応を求めているのである。
 哀れなのは日本の選手たちだ。彼らは、「一本を取って勝つ」昔ながらの講道館柔道の体現を求められ、その上、「金メダル以外はメダルじゃない」といった感じの、絶対の勝利を宿命づけられてもいる。
------------------------------------------

小田嶋隆さんのtweet。ヘイジュードの呪い。
「ヘイ、柔道 がっかりさせないでくれよ。 don't carry the world upon your sholder だぞ。ってことはつまり、あんまり焦って背負投げに行ったりすると返し技を食らうわけだ。わかるな? 」

これ、素晴らしいです。

その他にも、「翌々月末払い」、「貸し倒れ」、支払いは(あるいは仕事は)その「うちまた」、など出てました。

誤審問題。これは多すぎて書ききれない。

柔道の海老沼選手の準々決勝、体操男子団体決勝の内村の得点、そして昨日の女子ハンマー投げ決勝など、これは枚挙に遑がない。
これに関しては稿を改めます。

なでしこの試合の川上直子さんの解説について。
皆様、どう思われましたか?

準決勝のブラジル戦。後半冷や冷やものの試合だったこともあるけど、話してる中身というよりもあのキンキン声が常に耳障りで耐えられなかったです。その上アナウンサーが絶えずいろいろ聞くもんだからなおさらテンション高くなり、しゃべりすぎ。見てればわかることを、キンキン声でうるさいっつーの。静かに見させてほしいと心から思った。

そして決勝。またも川上直子と聞いて、頭痛くなったのだけど、出だしからまるで違った。
なんで同じ人なのに、準決勝と決勝とでここまでしゃべり方が違うのか不思議でした。
あの耳障りなキンキン声はまるでなかったし、テンションも上がらずトーンも低く落ち着いて冷静なコメントだった。しゃべりすぎもなく、適度だし、適格だし。いつもこうだったら文句言わないのに・・・。何で急に大修整したんだろ?そういう声が多くあったのだろうか?

オリンピックネタはまだまだ書ききれないので続きます、多分。
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