即席の足跡《CURIO DAYS》

毎日の不思議に思ったことを感じるままに。キーワードは、知的?好奇心、生活者発想。観る将棋ファン。線路内人立ち入り研究。

闘争心

2010年04月27日 22時16分00秒 | 将棋
4.20の朝日新聞の記事です。
面白かったのでご紹介します。

対談 岡田監督×香山リカ 無心の感覚求めて
(一部引用させてもらいます。赤字=nanapon)
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 サッカー日本代表の岡田武史監督(53)による対談シリーズの第8回は、社会批評など独特の分析で幅広く活躍している精神科医の香山リカさん(49)を迎えた。専門的な用語も交えた話は現代の社会や若者、スポーツ選手の心理、闘争本能などにも広がった。
    ◇

 ――岡田さんは脳や心理にも興味を持たれています。

 岡田 監督の仕事をやる中で脳の勉強もした。演算速度が速い旧皮質でサッカーをやらないといけないとか、気づかされたところもあった。精神的な面も、実は脳からくるんですかね。

 <中略>

 香山 経済学者の浜矩子さんは、今の若者はハングリー精神がないからだめだというけど、私は人のモチベーションを高めるハングリーと高めないハングリーがあるんじゃないかと言っている。戦後の高度成長時代では、貧しいし危険だけど頑張ればよくなるということがあったから頑張れた。今も仕事や住むところがない若者もいるけど、昔のようなガッツを出してハングリー精神で頑張るかというと逆です。

 岡田 2種類あるね、確かに。

 香山 そういう意味では窮地に追い込むとかネットを10メートル下に敷けば、「よしやるぞ」となれるかというと違う。どうすれば彼らにモチベーションを与えられるのか、教育者や心理学者が悩んでいる。スポーツ選手はあと一歩頑張れば1ランク上がれるというのが動機になりますか。

 岡田 最後に勝負がかかったときの強いこだわりとか強さは、今の選手は劣っている。持ってはいると思うけど奥の方にしまわれている。元代表監督のトルシエは日本人は戦えないといってこづいたり、なぐったりしたけど。豊かすぎて普通にやっていれば結構なお金が稼げるし、この程度でもJリーグでやっていけるという環境がやはり大きい。ところで、香山さんに聞いておきたいことがあって。スポーツの世界で最高のパフォーマンスをする時って「フロー」か「イン・ザ・ゾーン」といって、覚えてない。無心なんです。
 香山 頭が真っ白で。

 岡田 私も選手時代にあった。監督としては意図的にそういう境地に選手を入れたいんだけど、偶然にしか入らない。

 香山 一種のトランス状態で、催眠術みたいなもので人を入れることはできそう。ただ、それがパフォーマンスにつながるのかは難しいかもしれない。催眠誘導というか、振り子を見させて集中させて意識を変えるとか、いろんな方法がある。

    ◇

 岡田 本当に変性意識に入ってしまうんですか。

 香山 人によって入りやすい、にくいはあるけど。

 岡田 今度、香山さんに来てもらって、選手にやってもらおう。催眠状態に入ると自分で抑制していた縛りが取れるようなことですか。

 香山 意識や視野が狭くなるので周りの変な情報が入らなくなる。むしろ狭い意識の中で周りのものは見えないけど目の前にあるものは高みから見えるような。

 ――それが最高のパフォーマンスにつながるかはわからないわけですか。

 香山 催眠状態にして、「さあ行け」では難しい感じですね。プレーしていてすぐに入れるものなのか、体も疲れてそういう状態に入るのか。

 岡田 追い込まれたり、危機的状況だったり、私の経験の中ではそういう時が多い。

 ――現役時代にあったのですか。

 岡田 現役時代は1回だけ。監督では、横浜マ時代に優勝したとき、セ大阪戦で0―1で負けていて1人退場になったら、選手たちが何を思ったか、そこからがんがん攻めて圧倒した。完全にフローの状態だった。常識では考えられない。プロゴルファーがそういう状態に入って、ホールアウトして初めてすごいスコアで回ったことに気づいたという話もある。アスリートはどうやったらゾーンに入れるか追い求めている。

 香山 絶対に優勝できると自分に言い聞かせて、潜在意識のなかで実現したような感覚になってやるとか。そういうのではだめですか。

 岡田 その通りですが、最後の無心の状態にはなかなか入れない。水泳シンクロの小谷実可子さんが銅メダルを取ったときも、泳いでいる途中で皮膚と水の境がわからなくなったと話していた。闘争本能の話ですけど、柔道の谷亮子さんはずっと勝っていると闘争本能がなえてくるので、夜のサファリパークにいってライオンにバスから肉を与えるという。肉に食いついてくるのを見ていると、闘争本能がよみがえってくるというんだけど、そういうことはあるんですか。今度、選手を連れて行こうかと思ったりして。
 香山 ヤワラちゃんはライオンに同一化できる能力が高いということなんでしょう。普通の人なら怖がるだけかもしれない。

 ――やってみる価値はあるかもしれません。

 岡田 南アフリカに入ったら、やり持ってライオンを追いかけさせるか。仕留めてこいと。
 香山 W杯に初めて出た時とか、まだやっていないことに臨むときはワクワクしているけど、過去に実現したことをまたやるって大変なことですよね。

 岡田 日韓で共催した2002年には勝ったけど、国外のW杯では日本は1勝も上げてない。06年は2敗1分けでめちゃくちゃたたかれて、何人かの選手はもういいと代表に拒絶反応を起こした。彼らにとって新しいことを成し遂げるという意識がある半面、強い恐怖心も持っている。今後も彼らはサッカー界で生きていくから。選手ってぎりぎりのどちらにも転ぶような精神状態。今でも危ない部分を何となく感じる選手がいる。安心感を与えすぎてもだめだし、不安感をずっとあおっていてもだめだし、すごく難しいところです。
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こういうの読んでいても、特にスポーツに関しては、最近どうしても将棋になぞらえて考えてしまうのが癖になってしまってます。

これ、将棋だったら、どうなるんだろ?
将棋だって同じじゃないかな?
将棋に適用したら面白いかも。

>スポーツの世界で最高のパフォーマンスをする時って「フロー」か「イン・ザ・ゾーン」といって、覚えてない。無心なんです。

ここのところ、下記を思い出しました。

狂気の世界、そして矢内女王とハチワンダイバーの記事で書いたのですけど、羽生名人の言葉。

「決断力」という本の中で、このように語っています。
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「これ以上集中すると『もう元に戻れなくなってしまうのでは』と、ゾッとするような恐怖感に襲われることもある」

「将棋には怖いところがある。(中略)将棋だけの世界に入っていると、そこは狂気の世界なのだ。ギリギリまで自分を追いつめて、どんどん高い世界に登りつめていけばいくほど、心がついて行かなくて、いわゆる狂気の世界に近づいてしまう。一度そういう世界に行ってしまったらもう戻ってくることはできないと思う。入り口はあるけれど出口はないのだ。私自身、アクセルを踏み込むのを躊躇している部分がある。経験からも、一年なり二年なり、ずっと毎日将棋のことだけを考えていると、だんだん頭がおかしくなってくるのがわかる。入り口は見えるけれど、一応、入らないでおこうと思っている。」
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イン・ザ・ゾーンという状況、僕もたまにあります。

次々とアイディアとか、ブログネタとか、すごい勢いで湧き出てきて、俺ってもしかして天才じゃない?ってなモード。(ま、一晩明けるとこれがまた全然違うんだけどねえ。)
でも羽生名人のように、戻ってこれなくなるかもしれない不安まではないなあ。
そこまでは高い世界に登りつめられてはない。
もっとアクセル踏まないといけないと思ってる。

そして、
「夜のサファリパークにいってライオンにバスから肉を与え、ライオンが肉に食いついてくるのを見ていると、闘争本能がよみがえってくる。」というヤワラちゃんの話。
すごいですよね。
夜のサファリパークに行って、ライオンの目を見つめてるヤワラちゃんを想像するだけで、ドキドキしちゃう。

サッカー選手でも柔道の選手でも、勝負を争うには、現代の環境は優しすぎる。
ハングリーになり、ギラギラする気持ちを掻き立てるには努力が要る。

さあ、棋士の方々、いかがでしょうか?
最近勝てないと落ち込んでいる人、いますよね?

夜のサファリパークです。

将棋だって、「肉を切らせて骨を断つ。」

真剣勝負という意味では、サッカーや柔道と何も違いません。

そんな闘争心を研ぎ澄ませて、もっともっと壮絶な戦いを繰り広げてください。
僕たち観る将棋ファンを興奮から逃れられないほど、打ちのめしてください。

さらにさらに熱い戦いを期待しています。
コメント
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