断る力 (文春新書)勝間 和代文藝春秋このアイテムの詳細を見る |
初めての勝間本。かなり売れてるみたいですね。
いっぱい共感できる部分、参考になった部分ありました。
流されずに、再度ものごとの本質を考えてみる事。
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「単に頼まれたことを断らずに唯々諾々と行うということは、自分の人生の進路を行き当たりばったり、他人に委ねてしまっていると言い換えることもできる。」
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断ることができるようになれること、それは実力がないとできないと言う事。
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「断るから実力をつけられること、実力があるから断れること、の好循環を自ら作り出していかなければならない。」
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今の時代、自分自身が、コモディティでなく、スペシャリティにならないといけない、と言う話。
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「「コモディティ」はコスト勘定で処理をされるが、「スペシャリティ」は投資勘定として処理される。」
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「子どもサッカー」という概念がとっても印象に残ったので、紹介します。
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子どもサッカーとは、
戦略性もなにもないまま、
ひたすらボールを追いかけて、
ゴールを目指すような、
子どもたちが行うサッカーのこと。
幼稚園や小学生くらいの男の子たちが野原でやっているようなサッカー。
チームワークも何もなく、とにかくひとつのボールをみんなで追いかけている。
ひたすら単に目の前のボールを追いかける。
ボールを追いかけるという流れに疑問を持たない。
多くの潜在的に優秀な人たちが、
ひたすら人の評価を気にして努力を重ね、
Aさんに言われたらここを改善し、
Bさんに言われたらこの仕事を引き受け、
Cさんに怒られたらまずはそれに対処する。
そんな事を繰り返し、社会や職場でひたすら「子どもサッカー」を繰り広げている。
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とってもよくわかりますよね。「子どもサッカー」という表現、事象。
世の中、いろんなところで行われてます。
皆でひとつのボールを追い掛け回して、大騒ぎしてる。
大局的に見て、とか、きちんと戦略立てて、とか、なかなかいかない。
そこの小さい部分に皆の目が行ってしまう。
政治もそうだし、経済もそうだし、
ドッグイヤーの現代社会では、時間がない、短期間で結果出さないといけないから、皆でボールに群がって取り合っている。
取った後、どうするとかというよりも、とりあえずボールに触る。取りに行く。
触れもしないで、でかいこと言ってる場合じゃないだろって。
落ち着いて、ゆっくり考えて、直線的にボールに行くのでなく、チームワークで、とか、連携プレーで、とかの余裕はない。
個人の成果主義も影響してるし。
ボールのところに向かっていかないと、なんとか1秒でも早く、ボールを取らないと、生き残れない。
強い強迫観念やプレッシャーの中で、先を争う。乗り遅れたら大変。焦る。
「子どもサッカー」のひとつの事例。
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最近、バラエティ番組が多すぎて、視聴者に飽きが来て視聴率が落ちていたり、あるいは視聴率が取れても購買につながらないため、テレビの広告が集まりにくくなっている。これも子どもサッカーと同じ。
広告費の伸びが鈍化してきたことを受けて、番組制作費の大号令。
インターネットの影響を受け、マスメディアからだんだんと視聴者が離れていく中、ドラマやドキュメンタリーのような大型コンテンツに高い制作費を使ってもなかなか回収できなくなってきた。10億円出して作っても視聴率が7%になるか、20%になるかワカラナイドラマを作るのでなく、1億円の制作費で確実に10%の視聴率が取れるバラエティ、特にお笑い系の番組をテレビ局が一斉に、比較的安い人件費と制作費でひたすら作ってきた。
株主や経営陣からのプレッシャーも大きな原因。
テレビ企画の多くがバラエティに突進し、子どもサッカーをプレイした結果、2008年に何が起きたかは、皆さんご存知の通りです。
東京のキー5局、大阪の準キー5局が発表した中間決算は、赤字と減益ばかりでした。
芸能人のトークやバラエティに頼った番組作りが、視聴者と広告主の双方の離反を招いてしまいました。
その民放離れの受け皿になったのは、受信料の不払いで危機感が先に生じていて、視聴者向けのサービスに特化を始めたNHKであり、北京オリンピックや大河ドラマ「篤姫」などのNHKの番組が、民放を押さえてトップ視聴率になったというのは皮肉な事です。
断る力がないと、「子どもサッカー」をプレイしてしまう。
人と違う事をしたり、相手にNOと言ったりするためには、常に自分の頭で考えるという作業が必要になる。
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またもやたくさん書いてきた最近のテレビの話につながりました。
ここで浮上するのが、この本のタイトルである「断る力」の大切さ。
「断ること」をしないことが、いかに私たちの生産性向上を阻害し、成長を阻害し、ストレスをためることになるのか。
上司から言われた事、会長から指示された事、世間の目、護送船団、互助会。
異分子は排除されがちな日本社会の中で、
断る事をすること、できることのパワーが新たな流れを作るベースになる。
自分もいろんなところで、子どもサッカーに加わってないかと、
冷静に綿密に、棚卸ししないとね。