Wind Socks

気軽に発信します。

アパラチアン・トレイルを老境に入った男二人が行く「ロング・トレイル!」2015年制作

2016-12-15 16:00:25 | 映画

               
 ノンフィクション作家ビル・ブライソンの紀行本「ビル・ブライソンの究極のアウトドア体験 北米アパラチア自然歩道を行く」が原作。

 州都アトランタのジョージア州スプリンガー山を南端とし、州都オーガスタのメイン州カタディン山を北端とした全長約3500キロの長距離自然歩道アパラチアン・トレイルを歩こうと思い立ったのがビル・ブライソン(ロバート・レッドフォード)。

 そのきっかけと言うのは、知り合いの葬儀から帰宅したビルが散歩をしてくると言って森の道をブラブラと歩いていた。「アパラチアン・トレイル」の標識が目に入った。右スプリンガー山2830キロ 左カタディン山495キロとある。ビルの口元がほころぶ。「本の原稿も書かないし、人生最後の挑戦がいいかも」と思ったのかもしれない。

 ビルが住んでいるのは、ニューハンプシャー州ハノーバーという町。この町をアパラチアン・トレイルが横切っている。案の定、妻キャサリン(エマ・トンプソン)は猛反対。凶暴な熊が出るだの、怪しいばい菌に犯されるだの、怪我も怖いと悲観的なメモを机に並べる。

 ビルの意志が固いと見て「一人ではダメ」ということでビルは友人・知人に誘いの電話をかける。トレイルを歩こうと思う男は誰もいない。ある日突然電話をかけてきたのは、ヨーロッパで600ドルの貸しがあるスティーヴン・カッツ(ニック・ノルティ)だった。

 こうして二人は、ジョージア州から北上することになった。高齢と言ってもいい二人だから、歩き始めて400メートルと行かないうちによろよろとして危なっかしい。あとから小学生の団体が走るように登って行く。「クソガキめ!」と二人は悪態をつく。この気持ちはよく分かる。自分の体の退化をはっきりと見せられて、鬱憤を「クソガキめ」に託したと言うわけ。

 男が二人、木々に囲まれた坂道を喘ぎながら登るが、口からついて出てくるのは愚痴めいたことや過去の女の話。カッツが顕著。カッツは太った女が好きで沿道のモーテルに泊まっていたとき、コインランドリーで太った女性から「パンティが絡まったからとって」と言われ引き抜いたがボロボロになった。
 これが縁で待ち合わせた。ところが現れたのが夫同伴、その夫に追いかけられることになった。ほうほうの体で逃げ出した二人。

 それでも疎遠だった二人が言葉を交わすうちに親密度が増す。「600ドルの借りはいずれ返す」とカッツ。カッツはバスに乗って去っていった。自宅に戻ったビルを迎えたのは力任せに抱きついてきた妻のキャサリン。

 途中で断念したアパラチアン・トレイルではあるが、グリズリーを撃退したり、口やかましい女から逃げたり、一枚岩からの素晴らしい眺望も楽しんだし、滑落して断崖の上での想い出の一夜などの体験で生気を取り戻したビルがパソコンの画面に「A Walk in the Woods」とタイプした。書かないと言っていた本のタイトルであった。

 アパラチアン・トレイルにはこんな標識もある。「Please pee in the woods。Not in the Outhouse!」

 それでね。登山者はネコや犬の排便始末に使うような小さなスコップを携帯している。用足しにはトイレットペーパーとスコップが必需品。

 こういう映画を観ていると登山に熱中していた頃を思い出す。登りは苦しかったなあとか、下りは足が痛かったなあだよ。それでもまた行くんだからね。

 そしてもう山は充分、海を見ながらのんびりがいい。茫洋とした太平洋もまた味わいがある。 と思っているのは最近の私。劇場公開2016年7月

 

 

 



監督
ケン・クワピス1957年8月イリノイ州生まれ。

キャスト
ロバート・レッドフォード1936年8月カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。1980年[普通の人々」でアカデミー賞監督賞を受賞。
ニック・ノルティ1941年2月ネブラスカ州オマハ生まれ。1998年「白い刻印」でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。
エマ・トンプソン1959年4月イギリス、ロンドン生まれ。1992年[パワーズ・エンド」でアカデミー賞主演女優賞受賞。

ご面倒ですが、クリック一つで私は幸せになります!

エンタメ(全般) ブログランキングへ

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 007ジェームズ・ボンドを真似... | トップ | あっ! と声を出した衝撃の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画」カテゴリの最新記事