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読書 リック・ボイヤー「ケープ・コッド危険水域」

2007-08-18 09:20:51 | 読書

              
 “小さめの部屋部屋の天井は、梁がむきだしで低い。リビング・ルームの書斎コーナーで、グリーンのガラスの笠をかぶった真鍮製電気スタンドの下にすわり、波に砕ける音、雷のとどろきを聞いていれば、何時間でも、いや、何日でも、時のたつのを忘れる。
 天窓つきのキッチンには、ワインラックと銅鍋がならび、コーヒー、焼き肉、魚のフライ、クラム・チャウダーの匂いが漂う”
 
 マサチューセッツ州ケープ・コッド、イースタムにあるこの小説の主人公ドクことチャーリー・アダムスの別荘の描写である。海に面した崖の上にあって、アメリカ映画の場面を思い浮かべる。
 チャーリー・アダムスは、ボストン近郊のコンコードというところに住んでいて、生まれつきの上顎前突症の少女を、メスとノコギリとノミと木槌の下の四時間で、きれいな顔に変えたという腕のいい口腔外科医である。
 親しいダイバーの溺死を調べているうちに、気がつけばとんでもない事件を抱え込んでいた。満身傷だらけになりながらも、持ち前の好奇心を抑えることが出来ない。もう五十に近い男でありながら。

 1982年の作品で、吸引力のある展開は時を忘れる。著者は、1940年イリノイ州エヴァンストン生れ。この作品で、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞を受賞。
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