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時間を忘れて読みふける本 ロバート・ゴダード「欺きの家Fault Line」

2016-03-15 20:50:10 | 読書

           
 これはミステリーでもあり、恋愛小説でもある。2010年、60歳のジョナサン・ケラウェイは、退職願を提出した。ところが人事部長から告げられたのは、表向きは引退している元社長グレヴィル・ラシュリーからの指示として、CCC社とNAK社の合併に至るまでの社史編纂を外部に依頼した。

 ところが、その編集者が言うには「1950年代から60年代にかけてのCCCの記録が抜け落ちている」その抜け落ちた記録を探し出せというものだった。

 そして時代は1968年へと飛んでいく。そこにはこの会社の一族にまつわる悲劇と欺きが隠されていたし、ジョナサンが心から愛した女性の栄華と没落が描かれる。

 一人称のこの物語は、驚きの連続であり男女の愛が寂寥感を伴って心に迫る。それにしてもジョナサンの恋人ヴィヴィアンは美しい。

 「華やかさや洗練にとどまらない。唇の形、どこまでも青い瞳の輝き、神秘性と品格をほのかに漂わせたまなざしが加わった美しさだ」こんな美女ならすべての男が虜になるだろう。

 そこが作家の狙いであり、自分の理想とする女性を登場させて、書くことを楽しいでいるのではないだろうか。多くの読者はハッピーエンドを望んでいるはず。

 共に歳をとったジョナサンがヴィヴィアンを埠頭へ迎えに行く。そして、この物語も「未来。未知の領域。古い結末と新たなはじまり。その物語が、わたしの残りの人生の一部―――いや、すべて―――になる」と結ばれる。ちなみに原題のFault Lineは責任範囲。

著者のロバート・ゴダードは、1954年英国ハンプシャー生まれ。ケンブリッジ大学で歴史を学ぶ。公務員生活を経て’86年のデビュー作「千尋の闇」が絶賛され、以後、現在と過去の謎を巧みに織りまぜ、心に響く愛と裏切りの物語を次々と世に問うベストセラー作家に。「隠し絵の囚人」でMWA賞(アメリカ探偵作家クラブ)ペーパーバック部門最優秀賞を受賞。作品は20以上もあり英国の高級紙「サンデータイムズ」トップ10に殆どの作品が入る。

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