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初めて観たスペイン映画「マーシュランド’14」劇場公開2015年10月

2016-03-22 16:30:36 | 映画

               
 題名のマーシュランドは、英語のMARSHLANDで湿地帯を意味し、スペインのグアダルキビール湿地を指しているという。

 1980年、スペイン・アンダルシア州の小さな町に赴任した二人の刑事。ペドロ(ラウール・アレバロ)とベテランのファン(ハビエル・グティエレス)だった。

 この町の近くにある湿地帯では、若い女性の連続殺人が起こっていた。程なく、憲兵から知らされたのは、エストレヤ17歳、カルメン16歳の姉妹失踪だった。

 この時代フランコ独裁政権の残滓もあって民主化に喜ばない勢力もあった。憲兵もその名残で「憲兵に盾つくな! 歯向かっても痛い目にあうだけだ」とファン。「反民主主義の奴らを……」とペドロは反論するが。

 犯人探しも一つのテーマではあるが、むしろ根底には当時のスペインのありさま、男尊女卑的思想、堕落した世の中に焦点があるようだ。

 その象徴的なこの二人の刑事。ペドロは宿泊のホテルから妻に電話をするという家庭的な男だが、ファンはそんなこともなく、バーで女を漁るというかつての男そのものだ。フランコ政権以前と以後の新旧の世代を表すといってもいい。背景の音楽も退廃的な空しさを表しているようだ。

 二人の刑事は豪雨の中、沼地での死闘を経て誘拐犯を倒し、シトロエンのトランクに閉じ込められた少女を助け出す。死んでしまったために、この誘拐犯が連続殺人に関与したかは分からない。過去の殺人事件の容疑者として数人を拘束したに過ぎない。

 それでも、ペドロ刑事が新聞紙上で英雄と称えられた。実際のところは、ファン刑事が傷を負いながらも犯人を倒した。ここはファン刑事が若いペドロ刑事に花を持たせたのかもしれない。

 ペドロは念願のマドリードへ転勤となり、妻に喜びの電話をかける。そして地元記者から知らされたのは、「ファンは、かつてフランコ政権下で秘密警察に属し拷問のスペシャリストだった」を聞き、ペドロは複雑な表情を見せる。

 この作品は、スペインのアカデミー賞とも言われるゴヤ賞の監督賞と脚本賞を受賞している。この映画、かなり印象に残ることは間違いない。
          
          
          

監督
アルベルト・ロドリゲス1991年5月スペイン生まれ。

キャスト
ラウール・アレバロ1979年11月スペイン、マドリード生まれ。
ハビエル・グティエレス1971年1月オーストリア生まれ。

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