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妙に惹きつけられる映画「ゴッドタウン~裁かれる街God's Pocket ’14」劇場未公開

2015-09-11 17:25:56 | 映画

             
 フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となった。2014年2月ニューヨークの自宅で死んでいるのを発見された。薬物過剰摂取との見方がある。

 ゴッズ・ポケットという町で新聞にコラムを書いている有名人のリチャード(リチャード・ジェンキンス)は、この町のことを次のような記事にした。

 「“ゴッズ・ポケット”の男たちは単純だ。働き、野球を観戦し、結婚をして子供を持つ、町を出るものはいない。ほぼ全員が盗みの経験者で、子供の頃、人の家に放火、戦うべきときわれ先にと逃げ出す連中。
 イカサマが好きで親は子供を殴る。何があっても町を離れないし誰も変わることはない。町を出ることだけは、決して許されないのだ」

 その記事を読んでいた妻のジェニー(クリスティナ・ヘンドリックス)が「的を射てる」と言えば、夫のミッキー(フィリップ・シーモア・ホフマン)は「誰もが承知していることを書いて何が偉い?」と返す。「よそ者には分からないわ」とジェニー。

 この夫婦、朝からの和合もミッキーの一方的な行為に見える。そのくせ「よかった?」と尋ねたりする。妻はおざなりの返事。なんだか心に溝が掘ってあるみたいだ。

 ジェニーの息子レオン(ケレイブ・ランドリー・ジョーンズ)は、鋭利なナイフを持ち歩くちょっと危ない青年だった。パートで働く町工場で黒人を侮辱して殴り殺される。従業員の目撃があるが経営者の男の「機材がぶつかって死んだ」というのを黙認。

 ジェニーは母親の勘なのかどうもおかしいと言って聞かない。調べることを承知したミッキーではあるが。レオンが危ない青年なら、ミッキーも危ない大人かもしれない。

 友人のバード(ジョン・タートゥーロ)と牛の枝肉を積んだ冷凍車を盗むとか。同行するのが地元のやくざときている。まともな仕事と言えない。

 バードの妻は花屋を開いているが、店に踏み込んできたやくざをいとも簡単に射殺する。新聞にコラムを書いているリチャードは、車を運転中でも缶ビールを放さない。しかも、無類の女好きで60歳にもなろうというのに酒場で若い女の子を引っ掛ける。

 そしてついにレオンの噂を聞いた主筆の命でジェニーに事情を聞く。ジェニーはリチャードの愛読者。リチャードの誘いでやすやすと体を許す。まあ、いろんな雑多な人間が繰り広げる人間模様。結局、よそ者は排除され残ったのはゴッド・ポケットの住人だけ。

 アメリカの小さな街の出来事とはいえ、日本でも往々にしてあることだ。人間が持つ排他的な感情も世界に共通するものだし、自我も同じ。この映画には猥雑で不思議な魅力があって、俳優の魅力も捨てがたい。

 フィリップ・シーモア・ホフマンやリチャード・ジェンキンスは当然のことながら、ジェニー役のクリスティナ・ヘンドリックス。バード役のジョン・タートゥーロは、自身が監督をして2013年「ジゴロ・イン・ニューヨーク」を制作、ウディ・アレンとの共演だった。独特の雰囲気を持った俳優だ。レオン役のケレイブ・ランドリー・ジョーンズなどみな個性を発揮していた。

 クリスティナ・ヘンドリックスがなかなか魅力的で、40歳の熟女が匂い立つようだった。どうして劇場未公開なのだろう。多分、わいせつな部分や下品なセリフが問題なのかもしれない。
       
       
       
       
       
       
       

監督
ジョン・スラッテリー1962年3月マサチューセッツ州ボストン生まれ。

キャスト
フィリップ・シーモア・ホフマン1967年7月ニューヨーク州フェアポート生まれ。2014年2月没。
リチャード・ジェンキス1947年5月イリノイ州生まれ。
クリスティナ・ヘンドリックス1975年5月テネシー州ノックスヴィル生まれ。
ジョン・タートゥーロ1957年2月ニューヨーク市ブルックリン生まれ。
ケレイブ・ランドリー・ジョーンズ1989年12月テキサス州ガーランド生まれ。
コメント (1)
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