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性同一性障害の男がたどる愛の軌跡「私はロランス’12」劇場公開2013年9月

2014-05-06 18:03:05 | 映画

           
 厚生労働省のホームページにはこう記されている。『女性なのに、自分は「本当は男なんだ、男として生きるのがふさわしい」と考えたり、男性なのに「本当は女として生きるべきだ」と確信する現象を「性同一性障害(gender identity disorder, GID)」と呼びます。

 性別といえば、男性か女性の2種類に分かれると多くの人たちは単純に考えます。しかし、性別には生物学的な性別(sex)と、自分の性別をどのように意識するのかという2つの側面があります。性別の自己意識あるいは自己認知をジェンダー・アイデンティティ(gender identity)といいます。

 多くの場合は生物学的性別と自らの性別に対する認知であるジェンダー・アイデンティティは一致しているため、性別にこのような2つの側面があることには気づきません。しかし、一部の人ではこの両者が一致しない場合があるのです。そのような場合を「性同一性障害」といいます。

 つまり、性同一性障害とは、「生物学的性別(sex)と性別に対する自己意識あるいは自己認知(gender identity)が一致しない状態である」と、定義することができます』

 このように具体的に言われても実感としてよく分からないというのが正直な気持ちだ。映画が始まると制作会社や協力会社のタイトルにかぶせてボイス・レコーダーを操作する音と音声だけのセリフが流れる。
「ロランス・アリア 何を求めているの?」
「私が発する言葉を理解し同じ言葉を話す人を探すこと。自分自身を最下層に置かず、マイノリティーの権利や価値だけでなく、“普通”を自認する人々の権利や価値を問う人を」

 訳が分からずに観ているとロランス・アリア(メルヴィル・プボー)とフレッド(スザンヌ・クレマン)は同棲していて、朝からやたらにいちゃいちゃしていて見たところ男と女に間違いない。ロランスは国語の教師で何かの文学賞を受賞したらしい。フレッドも仕事を持っている。

 そしてある日、ロランスが性同一性障害者であることを告白する。ここからの展開は、普通の男女の恋愛とは違ったもにになる。

 ロランス・アリアを演じたメスヴィル・プボーは勿論男であるが徐々に女性へと変身していく。化粧や衣装が女性で声が男。とはいっても違和感がなくなってくる。むしろ魅力的にも思える。

 映画は168分という長さで退屈するかと思いきやそうでもないから不思議なものだ。音楽や画面構成に斬新さも伺えるが、やたら男も女もタバコを吸うのには違和感を感じる。料理をしながらタバコをすうとはねえ。それに「それを言わないで!」とか「やめて!」という否定的なセリフのフランス語がやたらにきつい発音に聞こえた。ただ、この映画から性同一性障害について、少しは理解が進んだのかもしれないとは思う。
           
           
           
監督
グザヴィエ・ドラン1989年3月カナダ、ケベック生まれ。

キャスト
メルヴィル・プボー1973年1月パリ生まれ。
スザンヌ・クレマン1968年生まれ。
ナタリー・バイ1948年7月フランス、マネヴィル生まれ。
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元彼女を取り戻すために赤ん坊でも道具にという「恋のベビーカー大作戦」’12年作 未公開フランス映画

2014-05-06 17:58:00 | 映画

               
 招待もされていない誕生パーティに潜り込んだトマ(ラファエル・ペルソナーズ)は、その本人マリー(シャルロット・ル・ボン)と見つめあい電流が流れたようにお互い一目惚れとなった。

 どんなに心ときめく出会いであっても、親密な二人の時間が流れていくにしたがって不平不満の小さな萌芽を見ることになる。マリーの子供が欲しいという言葉にイラストの仕事の邪魔になるとトマ。アパートを移りたいというマリーに積極的でないトマ。やがて誕生パーティも開いてくれないと言って別れていくマリー。

 そんな時、同じアパートの住人メラニー(カメリア・ジョルダナ)の急病でその子供を預かることになる。これをダシにマリーとよりを戻そうと奮闘するトマのお話。

 フランスではかなりヒットしたらしい。トマ役のラファエル・ペルソナーズは、「黒いスーツを着た男」を観てから二度目だが、かなり雰囲気が違う。日本の配給会社はアラン・ドロンの再来と喧伝に忙しいが、確かにほんの少し似ているかなという感じではある。

 マリー役のシャルロット・ル・ボンは、目の大きなちょっと冷たさを秘めたきれいな顔立ち。二人ともまだまだ未経験者で、これからの成長が注目される。
           
監督
クレモン・ミシェル 

キャスト
ラファエル・ペルソナーズ 
シャルロット・ル・ボン 
カメリア・ジョルダナ
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