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本当は世界を動かすのは女、男は添え物と思わせる映画「女はみんな生きている ’01」

2014-05-10 22:08:13 | 映画

              
 気がつけば女にいいようにあしらわれていた。こういう局面を何度も経験している男も多いだろう。亭主関白で妻をこき使っていい気になっていると定年退職のときにしっぺ返しをされる。全財産の半分を要求され離婚届に捺印を強要される。

 女は一人で楽しく生きていけるが、男は女がいないと5歳児のように途方にくれる。情けない男を際立たせるこの映画、ちょっと古いが内容はなかなかのもので観て損はない。

 エレーヌ(カトリーヌ・フロ)と夫ポール(ヴァンサン・ランドン)は、ともに仕事を持ち高校生の息子がいる。朝の出勤時間は慌しい。パーティへ行くときも慌しい。この夫婦の習性なのかもしれない。

 そのパーティへ車で行く途中、前方から女が血相を変えて走って生きて「ドアを開けて!」と助けを求めた。しがみつく女を数人の男が引き剥がし殴る蹴るの暴行を加え走り去った。

 夫ポールはドアを開けず救急車も呼ばないで、フロントガラスの血痕を気にして洗車機の水が降り注ぐ車の中で座っている。翌朝出勤時、実母の訪問も居留守を使うと言う男だ。高校生の息子も親と別居していてエレーヌが尋ねていっても居留守を使う。ポールの息子だから、悪い血を引いている。高校生で別居、しかも女性と同棲。フランスではこんなのが普通なんだろうか。信じられない思いで映画を観続けた。

 エレーヌ夫婦も熱情はとっくに冷めてなんとなく一緒に住んでいるという具合。どこにでもある風景。

 ポールのような冷たさがないエレーヌは、気になるのは助けを求めながら血みどろになったいたあの女性だった。緊急治療室にいる彼女を訪ね、危篤状態から脱したが言葉は喋れないし歩くこともできない彼女を手助けする。勿論、夫ポールなんて放ったらかし。

 この女性は、ノエミ(ラシダ・ブラクニ)と言ってアルジェで生まれた。娼婦に落ちた悲しい身の上話が語られるが、ノエミは芯の強い女性だった。したたかで男を虜にするすべも心得ていた。知略縦横なノエミによって売春組織の摘発、ポールに母への情を取り戻させ、ノエミの妹の強制結婚からも助け出し女四人は最後に笑う。巨万の金を手にするノエミの手管が見もの。
          
          
          
          
監督
コリーヌ・セロー1947年10月パリ生まれ。

キャスト
カトリーヌ・フロ1957年5月パリ生まれ。’12年の「大統領の料理人」でも好演。
ヴァンサン・ランドン1959年7月フランス生まれ。
ラシダ・ブラクニ1977年2月パリ生まれ。本作で2001年のフランスで最も権威のあるセザール賞の有望若手女優賞を受賞している。
コメント
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