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読書「凶弾」逢坂剛

2012-11-25 10:30:25 | 読書

                
 警察の裏金問題が一時話題をさらったことがある。それが今回のテーマ。銃撃戦で斃れた一匹狼の刑事禿富鷹秋ことハゲタカの裏帳簿を白日にさらすというやり残した仕事を、神宮署の刑事といやに紳士的な渋六興行というやくざが協力して、裏帳簿を闇に閉じ込めたい同じ署の化け物女刑事それに警察庁の警視正。それに加わるハゲタカの美人妻が演じるノン・ストップ・エンタテイメントだ。

 それなりに読ませてくれるが、裏金問題で人が殺され自殺者もでるというが、このテーマでは迫力に欠ける。もう少しスケールの大きなテーマであったほうが良かった。

 それに、「肩をすくめる」という表現が何度もでてくる。”出口へ向かおうとして、嵯峨はふと顔を振り向けた。
「こんな重要な役を私に降るのは、私を信頼しているということですか」
「もちろんです。何だと思ったんですか」聞き返すと、嵯峨は肩をすくめた。
「何をするにしても、昼間は署から出るわけにいかないし、この件に時間を割くとすれば夜か休みの日、ということになる。あまり、あてにしないでください」
御子柴も、肩をすくめてみせる。

 この肩をすくめる所作は、日本人にはあまり馴染みのないものでちょっと違和感を覚える。別の言葉で言い換えたほうがいいかもしれない。それに顎を引くというのもいやというほど出てきた。

 女性のファッションも逢坂好みなのか、私にはちょっと鬱陶しい感じがする。新聞記者の大沼早苗の服装は、紺のパンツスーツに、水色のブラウス、水玉のスカーフ。シックな装い……という出で立ち。私はこういう細かいところが気になる性質で困ったものではある。
コメント
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