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読書  厨房の裏側「キッチン・コンフィデンシャル」から No6厨房は戦場

2010-08-21 10:12:31 | 
                  
 世の中にはその職に適した人間というものがある。シェフとかコックという料理人の適材は、遅刻しない、病欠しない、繰り返しの作業を嫌がらない。これが不可欠。

 こう見ると何も料理人ばかりでなく、普通のサラリーマンだって同じことだ。人生なんて繰り返しの連続だ。繰り返しが嫌なら生きてもいけない。

 実は人間は、そう単純に出来ていないらしい。そこが困ったところで、料理人の世界でもアメリカ人は、適格性を欠くらしい。一番適性があるのは、エクアドル人やメキシコ人のようだ。この世界では、シェフが絶対だということを肝に銘じる必要がありそうだ。

 逞しい女性コックも存在する。女を意識するとやっていけないらしいし、与太話の好きなバカどもの扱いにも根性がいる。

 “ある朝、出勤して来た女性コックは、自分のステーション(仕事場)にハードコアのポルノ写真があるのに気付いた。エクアドル人のパスタ・コックが、とびきり下品なやつを選んで貼っておいたのだ。
 不細工な女たちがあられもない姿態をさらし、前科者の刺青をした太鼓腹の男たちが毛むくじゃらのケツを見せて、女たちの体の穴という穴に挿入している。
 彼女は顔色一つ変えなかった。あとでパスタ・コックのそばを通りすぎながら気軽に声をかけた。「ホセ、あれはあんたの家族の写真でしょ。あんたのおふくろさん、あの年にしちゃイケてるじゃないの」”

 有能なシェフあるいはコックとはどういうものなのだろう。同じテーブル十人分を同時に仕上げる。それも熱いもの冷たいもの取り混ぜた注文をだ。
 ラムのあばら肉をぴったりミディアムで焼き上げた時に、ソテー・ステーションで舌平目が腐りかけていてはダメだ。二つをぴったり同時に完成させろ!まさに戦場だ。

 アントニーは言う。「料理は手工芸であり、一流のコックは工芸家であって、アーティストではない」要するにお客様の求めるものを、求める時に提供する。そのとき、初めて戦場の勝利者になれる。
        
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