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読書  厨房の裏側「キッチン・コンフィデンシャル」から No4中国人が日本料理を? スフレの恐怖!

2010-08-12 16:02:35 | 読書
                 
 アンソニーは、念願の米国料理学院(The Culinary Institute of America)に入学した。コネを使って。知り合いの知り合いを通じて、この学校に多額の寄付をしているニューヨーク市の有名レストランのオーナーだった。

 この学校も当然日本料理も教えている。ところが、このころの講師は中国人シェフだった。中華料理の過程はすばらしかったという。日本料理になると南京大虐殺や第二次大戦中の日本軍の蛮行を厳しく批判した。寿司や刺身の写真が印刷された壁のポスターを指差し「あれは生の魚だ。あんなものを食いたいか? へん! 日本人なんかクソ食らえ!」

 言わせてもらえば、油で揚げるか炒めるか、蒸すだけの料理の中華料理とはまるで次元が違う。どだい日本料理を教えるのが間違っている。皿の形にしても丸皿一辺倒の中華料理と比べても、四角、三角、菱形に盛り付ける日本料理の芸術性とは勝負にならない。

 生の魚のどこがいけない? 新鮮でなければ食べられない食材と少々傷みだしたのを油で揚げる料理とどちらが本来の味を味わえるというのか。クソ中国人シェフめ! いささか感情的になった部分だ。

 それにスフレの恐怖がある。このCIAには、Eルームというのがある。正式にはエスコフィエルームといって、学院の経営になる三ツ星レストランで、一般の客を迎え入れていた。
 卒業前の最終過程がここのオープンキッチンで実習を行う。もっとも敬遠したいのがスフレ係という。
 上手くタイミングを計ったとしても、いざとなるとふくらまなかったり、平でなかったり、途中でしぼんだりすることが多いのもスフレだ。
 このスフレというのは、メレンゲの様々な材料を混ぜてオーブンで焼いて作る。軽くふわふわとした料理で、出来立てはふわふわと軽いが20分~30分でしぼんでしまう。出来立てが生命の料理といえる。

 これに失敗すると地獄の十分間が待っている。担当のべルナール・シェフの罵詈雑言の叱責が飛んでくる。「お前たちはクソだ!」

 二年間の研修で、カリフラワーのモルネー・ソース和え,子牛の鞍下肉オルロフ風、ロブスター・テルミドール、それにハワイ風チキンやパイナップル添えハムステーキなどを身につけた。アンソニーは無事卒業した。
        
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