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映画 ビル・パクストン、ビリー・ボブ・ソーントン「運命の銃爪(ひきがね)‘92」

2007-11-22 15:51:51 | 映画

              
 不気味な雰囲気に包まれながら凄惨な場面が展開される。レイ(ビリー・ボブ・ソーントン)とレイの女ライラ(シンダ・ウィリアムズ)それに相棒のプルート(マイケル・ビーチ)の三人がヤクの売人宅に行き、元締めの住所を聞き出すための暴力、元締め宅でのヤクのありかを聞き出すための暴力そして殺人。
 後味の悪さを伴って観客を一気にひきつける。ロサンジェルス市警の二人の刑事は、アーカンソー州スターシティのデール保安官(ビル・パクストン)の通報により当地に赴く。

 ライラは生地スターシティに戻る理由があった。ライラの母が面倒を見ている息子に会うためだった。しかもレイたちと一緒に稼いだ金を持って。この息子というのが17歳のときデ―ル保安官から処女を奪われた結果だった。デールは黒人との間に生れたライラの息子を認めようとはしない。
 このように白人と黒人の微妙な肌触りが、南部の風土を現している。追う警察逃げる凶悪犯を交互に描きテンポよく随所にサスペンスを織り込みながらラストのクライマックスへとなだれ込む。
 デール保安官のむき出しの出世欲も、六年前に片田舎の署長に就任して以来一度も拳銃を抜いたことのない身には、絶好のチャンスとうつり彼の妻が言う「刑事ものオタク」に閉口している様子がおかしい。
 この映画に出ているシンダ・ウィリアムズのどことなく漂う色香がいいが、鼻の下に薄く浮き出る黒い髭は気になる。
 ビリー・ボブ・ソーントンの銃をぶっ放す凶悪ぶりやクールな表情のマイケル・ビーチの、白い布を顔にかぶせてナイフで刺し殺すのには背筋が寒くなる。
 いずれの俳優もかなり実力派で、カール・フランクリンの言う「誰しもがホンモノの犯罪者かその筋の人間と信じてしまう」ほどで、見応えがある映画だった。
 余情を残し記憶に刻まれる犯罪映画だ。これが劇場未公開というのは、地味で殺人シーンが残酷なので見送られたのだろうと思う。
 ラストのハーモニカによる音楽も、哀調を帯びて西部劇の決闘シーンを連想させた。監督のカール・フランクリンも「真昼の決闘(High noon)を参考にしたと言っている。

 監督 カール・フランクリン1949年4月カリフォルニア州リッチモンド生れ。
              
 キャスト ビル・パクストン1955年5月テキサス州フォーとワース生れ。‘85「エイリアン2」のハドソン役で注目を受け、次第に主役を演じるようになる。
 
              
 シンダ・ウィリアムズ1966年シカゴ生れ。
              
 ビリー・ボブ・ソーントン1955年8月アーカンソー州ホットスプリングス生まれ。元々ミュージシャン、脚本家として不遇の時代を経て、本作で脚本と俳優として初出演を果たすと同時にインディペンデント・スピリット賞で作品賞をはじめ5部門にノミネートされ、監督賞を獲得ビリー・ボブも脚本賞にノミネートされた。現在は俳優業で活躍している。
              
 マイケル・ビーチ1963年10月マサチューセッツ州ロックスベリー生れ。ジリアード卒業の歌もダンスも出来る正統派の俳優
              
コメント
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