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読書 ロバート・B・パーカー「アパルーサの決闘」

2007-11-11 13:48:25 | 読書

              
 日本の時代小説は、日本人にしか書けないし他国の人は書こうとも思わないだろう。同様に西部小説も同じことが言える。ロバート・B・パーカーもこれで二冊目に過ぎない。
 もし西部劇映画を見ていなければ、この本を読んでその描写についていけたか心許ない。板敷きの歩道や酒場の風景、広大な牧場、列車の給水塔、コルト44やショットガンそれにウィンチェスター、丈の長い雨合羽。晴れて暑い日ざし、雨で湿った空気、風で運ばれてくる匂いすら感じる気がする。

 物語はどこにでもある話で、町を牛耳る牧場主それに対抗すべく町の役員が雇うガンマン保安官。そこに娼婦でない小賢しげな美女、それにほれ込んだ保安官。題名の通り最後は決闘でケリがつけられる。

 西部劇を見ていていつも思うのが、売るための牛を追うカウボーイやならず者を追う保安官や賞金稼ぎが屋外で食べるものはなんだろうということだった。カウボーイはほとんど豆料理を掻っ込んでいる場面が多かった。
 この本によれば、塩漬けポークや揚げたビスケットを朝から食べていた。これが毎食だからたまらない。西部劇映画を見たような気にさせられる本だった。

 著者は、1932年生れ。ボストン大学でハードボイルド作品に関する論文で博士号を取得。1973年に私立探偵スペンサーが初登場の『ゴッドウルフの行方』で作家デビュー。1976年の『約束の地』でアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞を受賞し、2002年には同賞の巨匠賞を受賞した。
コメント (3)
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