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T・ジェファーソン・パーカー「ブルー・アワー」

2005-11-17 11:32:04 | 読書
 肺がんで放射線治療を受けている70歳に近い元警部補ティム・へス、かつて大波に挑むサーファーでもあった。
変質者による女性殺人事件の手がかりが薄く、保安官チャック・ブライトンがこの事件捜査のため友人であるヘスに復職を依頼する。そしてコンビを組むのは34歳のマーシ・レイボーン殺人課巡査部長女性刑事。マーシは野心家で実力はあるが男性警官との折り合いに難点があり、ブライトンにとっても頭の痛い問題。そこでかなりの年長者のヘスを当てる。マーシは捜査が進むにつれ、ヘスの鋭い指摘や洞察に敬意を持ち始めやがてそれが愛に変わる。

 この本で性犯罪者の個人情報をどうするかという点や性欲を抑制する薬物による去勢の記述もある。日本でも問題になっているが、性犯罪者の住んでいる付近の住民に情報を公表するべきかどうか。薬物による虚勢は?といった問題にわが法務省は「その根拠や人権に及ぼす影響など種々の問題があり慎重に対応」としている。ヨーロッパあたりでは、実現しようという国もあるようだ。当面自己防衛と地域住民の監視・協力が欠かせないのかもしれない。

 この本に出てくる犯罪者の吐きたくなるような殺戮は、「被害女性の内臓を取り出した挙句、逆さずりにして体中の血液を抜き取る。その後、防腐液を注入すると血色を取り戻し生き返ったようになる。彼の欲望は頂点に達し、彼女と最良のひと時を過ごす」というもの。好みからすると、こんな猟奇殺人ミステリーは敬遠したくなる。物語は、へスとマーシにも危機が迫る。1999年の作品。
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