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映画 「ジャスティス(02)」

2005-11-25 13:01:19 | 映画
 第二次大戦中の1944年ドイツ アウグスブルク捕虜収容所6-A。ここは連合軍の捕虜を収容している。トーマス・ハート中尉(コリン・ファレル)もその一員となった。

 ここに来るまで過酷な尋問にさらされ、家畜用の貨車に揺られ、貨車の屋根に書かれているPOW(Prisoners of War=捕虜)の文字が、降り積もる雪にかき消されているため、味方戦闘機の銃撃で貨車が破壊され、厳寒の草原を徒歩によらざるを得なかった。

 たどり着いた収容所には、米軍の階級制度が厳然と存在し、統率しているのはマクナマラ大佐(ブルース・ウィリス)だった。そこへ黒人航空兵スコット中尉(テレンス・ハワード)とアーチャー中尉の捕虜が加わる。収容所内は俄然人種偏見の渦が充満し始める。アーチャー中尉はあらぬ疑いでドイツ兵に射殺され、それから間もなく軍曹のベッドフォード(コール・ハウザー)が殺される事件が発生する。ベッドフォードは人種差別主義者で黒人を毛嫌いしていてスコット中尉に嫌がらせをしていた。そんな背景もあって、容疑がスコット中尉に向けられる。

 マクナマラ大佐は、ドイツ軍収容所長ビッサー大佐(マーセル・ユーレス)に、軍法会議開廷を主張しロー・スクール学生ハート中尉に被告の弁護を命じる。法廷場面に入ると俄然緊張感が漂い、糸の絡まりを解きほぐすように真相に迫っていくかに見えたが、密かに進める脱走計画の発覚をおそれて、ハート中尉の主張の欠陥を埋めることが出来ない。人種差別を大きな柱に、上院議員を父に持つハート中尉がその威光で後方勤務の幸運を謳歌していたが、捕虜になり収容所での葛藤を通して人間的に大きく成長する様を描き、誇りや勇気、任務、犠牲といった人間の尊厳を明示していて、説明不足もあるが観て損のない映画だ。

 説明不足といえば、脱走計画が爆薬庫の爆破だとわかるが、なぜ脱走までしてやらなければならないのか。製作者のデヴィッド・フォスターの解説では、ドイツ軍は賢明で収容所に隣接して爆薬庫を設置しておけば、米軍は誤って収容所に爆弾を投下する危険が付きまとい結果的に攻撃を避けることが出来るという巧妙な作戦を展開していた。捕虜ではあるがいくらかでも敵戦力の弱体化を狙い脱走を企てる。これも軍人の性なのかもしれない。

 この映画は、ブルース・ウィリスが表看板のようだけど、中味はコリン・ファレルが主役を演じている。コリン・ファレルは「ホーン・ブース」を観て注目した俳優だ。一般には「タイガーランド」で耳目を集めたようだが。

 この映画を監督したグレゴリー・ホブリットや製作者のデヴィッド・フォスターはコリン・ファレルを絶賛している。デヴィッド・フォスターなどは大スターに必ずなると断言しているくらいだ。それからつくづく思うのは、実力のある俳優がどんどん出てきているということだ。この映画でもスコット中尉を演じたテレンス・ハワードも輝いていた。

 音楽も重厚で暗い雰囲気に合っていてよかったと思う。音楽を担当したのは、1996年「エマ」でアカデミー音楽賞を受賞したレイチェル・ポートマン。「モナリザ・スマイル(03)」「クライシス・オブ・アメリカ(04)」も担当している。

 それから余談になるが、味方戦闘機に機銃掃射を浴びせられるが、その戦闘機はP-51といってノースアメリカン製造の単発単座のマスタングで、実物の機を飛ばして撮影したそうだ。この撮影ほど楽しいものはなかったという。私は思う、男はいつまでも子供だなあーということ。そうでないと映画なんて作れるものじゃないよ!
コメント
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