Wind Socks

気軽に発信します。

ミステリー T・ジェファーソン・パーカー「コールド・ロード」

2005-11-13 12:54:03 | 読書
 トム・マクマイケル、サンディエゴ市警殺人課刑事38歳。現在独身、別れた妻との間に7歳の息子ジョニーがいる。この街にはトムの父ガブリエル、妹のリーガンも住んでいる。

 冬の寒い夜、1970年マグロ漁船の船長から始め、フォードとリンカーンのディーラーや市長を務め、港湾委員で市の後援者でもあるピート・プラガが殺された。頭蓋骨を何度も殴打され、その肉体は血の海に溺れているかのようだった。

 捜査を買って出たマクマイケルにとってピート・プラガは特別な人物だった。プラガにマグロ漁船の上で祖父のフランクリンが射殺された。これは正当防衛ということで不起訴になった。プラガの息子ヴィクターを襲い脳に障害を与えたといわれているのが父ガブリエル。それに加えマクマイケルが10代の頃、プラガの孫娘パトリシアと恋仲になるが、その仲を引き裂いたのもプラガ。因縁の両家の影が明かされるとともに、マクマイケルと父、マクマイケルと息子のジョニー。一世代を隔てた父子の関係を情感豊かに描いていく。

 人間にはチョットした隙間に思いがけないものが入り込んでくる。マクマイケルはこともあろうに被疑者サリー・レインウォーターと愛し合い、肉体関係を持ってしまう。もっともマクマイケルから見ればあらゆる点でサリーは白だったが。事件が意外な方向に展開していく。情動や余情もたっぷりと盛り付けられていて読後感は良好だった。これは2003年の作品。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする