MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

宮崎県に行ってきました

2013-09-23 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先週末宮崎県に行ってきました。

宮崎県といえば、田中幸雄日本ハム2軍打撃コーチの出身地であり、
春季キャンプも開催される野球の聖地です

ただ、今回の目的は野球じゃなくて「医療従事者のための多文化講座」です。

自治体国際化協会では自治体や地域国際化協会などに講師を派遣する
地域国際化アドバイザー派遣事業を実施しています。
その一環というかで派遣されたわけです。
けっして野球を見に行ったのでも「もも焼き」や「チキン南蛮」を食べに行ったわけでもありません。

看護大学の国際看護や薬学部のコミュニティファーマシーといった分野で
外国人医療について話をされる機会はありますが
現役の医療者対象の外国人医療の理解に関する講座はまだ少ないのが現状です。

医療通訳が仕事をしやすい環境を作るには
医療従事者の方々の理解が必要であり、そうした活動も同時にしていかなければいけないと痛感します。
一緒に外国人医療に関心を持ってくれる医療者仲間を増やしていくことがこれからの課題なのです。

宮崎県国際交流協会では、
医療従事者向けの英語講座を開催するなど、
以前から熱心に医療従事者に向けての情報発信を行っています。
そして今回は「外国人医療の基礎」の話をするのが目的です。

今まで、東海地方の集住都市や
関西などの比較的外国人住民が昔から身近に住んでいる地域で
話をする機会が多かったのですが、
実際に宮崎県の外国人統計を見ると随分違うなあと驚きました。
中国籍の人が45%をしめており、韓国朝鮮籍、フィリピン籍と続きますが、
インドネシアの人が8%と他の地域と比べて多いと感じます。
逆に中南米のブラジル、ペルーの人は他の地域と比べて少ないようです。
また、在留資格別にみると技能実習が31%と突出しています。

地域によって、
外国人の在留年数や暮らし方、日本社会との関わり方は違います。
言葉の問題だけでなく、医療の質や形も違ってくると思います。

県域も広く、外国人の数も多いとは言えない地域では、
優秀な医療通訳者を配置する、派遣することは簡単ではありません。
まず、医療従事者自身がわかりやすい日本語での会話を心がけることと、
外国語の問診票や翻訳文などのツールを活用することなど、
できることからやってもらえればよいと思いますし、
在留資格や在留の背景、使える社会福祉制度などについての基礎知識や
異文化に関する理解、本人が連れてくる通訳の使い方なども知っておくだけで
随分、対応が違ってくると思います。

宮崎県の方々の熱心さに圧倒された一日でした。
地域には地域のやり方と手法があり
やはり、その地域にあった方法は地域の方が決めて実行するのが一番いい。
各地でこうした取り組みがどんどん広がればいいなと思いました。