MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

ネイティブ通訳の重要性

2008-08-06 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
皆さんの母語は何語ですか?

「母語」という表現が正しいかどうかわからないので、
もっとも自然に使える言語とでもいいましょうか。

もしかしたら、ひとつもない人もいるかもしれないし、
複数持つ人(うらやましい!)もいるかもしれませんね。

私の場合は日本語です。
夢も日本語で見るし、
仕事以外でものを考えるときは日本語です。
「恋の歌」だけはスペイン語の方が心に響くのですが、
本を読んだり、日記を書いたりするのも日本語です。

医療通訳者には日本語ネイティブと外国語ネイティブの人がいます。
もちろん、完全にバイリンガルの人もたまにいますが、
どちらかの言葉を基本としている人が通訳であることがほとんどです。

日本語ネイティブ医療通訳者が過半数を超える言語は、
たぶん英語とスペイン語くらいではないかと思います。
そのほかの言語の医療通訳はほとんどが外国語ネイティブ通訳者が担っていると考えられます。

ここでは便宜上、外国語ネイティブのことをネイティブ通訳者と呼びます。

今年、MEDINTでは、大同生命の研究助成を受けて
「医療通訳におけるネイティブ通訳者の重要性」についての研究をしています。
日本各地で活躍されているネイティブ通訳者の方々の生の声を聞いて、
今後の研修や制度化の際の配慮などについての意見をまとめていきます。

「同じ国の人だからわかりあえることがある」といわれると
残念ながら、私は何も言えません。
私は所詮、ネイティブ通訳者ほど患者により添えないだろうと思うからです。
そしてネイティブ通訳者の方々は、本当にいつも一生懸命で、
時には自分を犠牲にしても尽くすことがあります。

だから、同胞のために医療通訳をすることへの思いの強さに、
どの方とお話させていただいても心を打たれます。

医療通訳研究会は医療通訳者の当事者団体です。

もし、将来的に認定制度や検定制度ができて、
これだけ一生懸命医療現場をささえているネイティブ通訳の人たちが、
現場から阻害されたり、不利益をこうむるような制度化があってはなりません。

そのために、多くの声と意見をまとめていければと思っています。
そのときは是非ご協力をお願いしますね。