MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

よい患者になること

2007-01-24 00:00:00 | 通訳者のつぶやき
先日の精神科医の阿部先生のお話のなかで、「中南米の人は、予約していても来ないことが多い。」というお話がありました。阿部先生はスペイン語をお話り、中南米人の患者さんも多いので慣れたという感じでお話していましたが、聞いていて私は頭を抱えてしまいました。
中南米の人は明るくて鷹揚なイメージが定着しています。サンバや太陽のイメージがあるのでしょうね。その分、約束や時間にルーズだと思われることもあります。ただ、日本に長い間暮らしていて、きちんと生活している中南米の人たちは、日本のルールに従って仕事も生活もしています。なので、時間についてもきちんと守る人がほとんどだと感じます。(もちろん、お祭りやフィエスタなどの遊びの時は別ですが。)中南米人だから時間にルーズだとはあまり思いません。ルーズな人はもともとルーズな人です。本国でもたぶんルーズに暮らしていたのでしょう。
ただ、私自身も中南米の田舎に住んでいて、待つ時はあまり気にしないという習慣がついています。バスを4時間待った(結局その日はこなかった)こともあるし、午後8時の約束でフィエスタに行く予定が、道がぬかるんで午前2時に誘いに来たということもありました。ただし、電話が家にないとか、時計がないとか、もちろん電気がないからテレビもないし、天気予報がないので突然雨が降って道がぬかるんで動けなくなるとかといったことが日常に起こり、予定時刻にいけなくなっても連絡のしようがなく、かといって本人に罪はないということも多いので、いらいら待つことをやめたというのが実情です。
しかし、現代の日本には公衆電話も携帯電話もあるし、時計だってどこにでもあります。一部の外国人患者が約束や予約を守らないことで、中南米の人はルーズというイメージがつくのは大変残念なことです。そういう患者さんには、日本人で約束を守らない人と同様に対処してもらいたいと思います。実は、外国人支援をしていて、だらしない外国人に甘い日本人に出会います。私はそういう人を見ると逆差別だなと不快な気持ちになります。むしろ、きちんと怒ってくれる人に好感を持ちます。差別せずに日本人と同じように扱ってくれているからです。
外国人医療を定着させるには、たくさんの難題があります。言葉や文化、制度の問題をクリアさせる前に、まずは患者も最低限のルールを守ることが大切な気がします。