最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

丸い小石が音を奏でる文太郎浜

2019年12月25日 10時36分33秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
12月13日掲載のタイトルは「丸い小石が音を奏でる文太郎浜」。



 長万部から室蘭へと至る国道37号の礼文華(れぶんげ)トンネル手前にある海側の道を進む。一般車両は通行止めの小幌林道が延びていて、林道のすぐ横には沢沿いの細い道がある。狭い川の渡渉を7~8回繰り返し、20分ほど歩くと日本一の秘境駅にランキングされている小幌駅の乗降場が目の前に現れる。
 二つのトンネルに挟まれた崖のわずかな部分に位置する駅は秘境の名に相応しい雰囲気が満ちている。特急スーパー北斗の通過に遭遇したときは、大きなジオラマの中にたたずんでいるような気分にもなった。
 小幌駅からは岩屋観音のある小幌海岸へと道が続いている。函館山から寒川への道の雰囲気と少し似ているが、距離ははるかに短い。海岸の岩屋洞窟には、円空上人が刻んだとされる仏像「岩屋観音」が奉られていて、漁師の守神としてあがめられてきた。海岸のすぐ沖には小さな桟橋があるが、こんな場所に桟橋があるという不釣り合いな光景はどこか異境に迷い込んだような気持ちにさせられる。
 小幌駅をまっすぐ下りると、美しい入り江が広がる文太郎浜で、海岸一面には丸い小石が敷き詰められていた。風が強いときはなぎさの小石が波で擦れ合って「カラカラ」と音を奏でる。波打ち際がコンサート会場のようだ。波が静かになり、物悲しい曲も終わる。拍手をして立ち上がった。(メディカルはこだて発行人・編集人)


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