最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

大沼湖上ウォーキング

2023年03月05日 07時47分12秒 | メディカルはこだて
氷結した大沼(七飯町)は無風で静寂の世界。
なにか音が聞こえたのは特急北斗の通過の際と、湖上で休んでいた白鳥が羽ばたいたときだけでした。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

甲状腺疾患に VANS法(内視鏡補助下甲状腺手術)を導入

2023年03月04日 19時19分48秒 | メディカルはこだて
第84号では函館市医師会病院の黒川貴則外科科長を取材した。

日本では2016年に保険適用となった甲状腺疾患に対するVANS法(内視鏡補助下甲状腺手術)は、整容性に優れた術式として注目を集めている。国内では「吊り上げ法」としてアレンジされて以来、普及が進んできたが、函館市医師会病院(金子行宏病院長)は2019年1月からVANS法を導入、同病院で手術を希望する患者が増えている。外科科長の黒川貴則医師に話を聞いた。
黒川医師は北大卒後、関連病院勤務を経て、2004年函館市医師会病院に赴任した。日本外科学会や日本消化器外科学会の専門医・指導医のほか、日本内分泌外科学会の内分泌外科専門医・指導医の資格を有する甲状腺疾患を専門とする外科医だ。
甲状腺は喉ぼとけの下に蝶が羽根を広げたような形で左右に広がる臓器で、代謝調節や成長促進を促す甲状腺ホルモンを分泌している。甲状腺の疾患には、甲状腺にしこりができる良性・悪性腫瘍や、ホルモン分泌に異常が生じる甲状腺機能低下症・同亢進症などがある。
甲状腺の悪性腫瘍には、乳頭がん、濾胞(ろほう)がん、髄様(ずいよう)がん、未分化がんなどがあるが、乳頭がんは甲状腺がんの90%以上を占める。黒川医師は「乳頭がんは女性に多く、若い人から高齢者まで幅広い年代にみられます。極めてゆっくり進行し、予後がよい悪性腫瘍で、ガイドラインでは転移や浸潤を認めない1㎝未満の乳頭がんは経過観察でも良いとされています」と話す。
「濾胞がんは甲状腺がんの中で2番目に多いがんで(約5%)、血行性転移では肺や骨など遠くの臓器に転移することがあります。髄様がんと未分化がんは共に甲状腺がん全体の1~2%程度です。未分化がんは非常に予後の悪いがんで、急速に進行します」


函館市医師会病院の黒川貴則外科科長

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

放射線皮膚炎に ケアマップを活用

2023年03月04日 18時54分33秒 | メディカルはこだて
第84号では函館五稜郭病院放射線治療科看護師主任の秋山香織さんを取材した。

手術、薬物療法(抗がん剤治療)と並ぶがんの3大治療法の1つが放射線治療である。放射線皮膚炎は放射線治療による急性有害事象の一つであり、照射部位の皮膚に炎症が生じた状態のことをいう。
函館五稜郭病院(中田智明病院長)放射線治療科看護師主任の秋山香織さん(がん放射線療法看護認定看護師)は、放射線皮膚炎のケア方法を病棟看護師と放射線治療科外来看護師との間で統一するための放射線皮膚炎ケアマップを作成した。放射線皮膚炎の観察・評価・ケア方法を検討する際、「ケアマップ」を活用した病棟看護師と外来看護師の取り組みについて秋山さんに話を聞いた。
放射線治療による外部照射は必ず放射線が皮膚を透過するため、個人差はあるが皮膚炎が発生する。「病棟看護師と放射線治療科外来看護師との間で、皮膚炎に対して、照射部位の観察や評価、皮膚ケア・セルフケア支援の方法が統一されていない現状があった」ことから、秋山さんは同病院独自の放射線皮膚炎ケアマップを2020年8月に作成、病棟看護師・外来看護師で活用した。
対象となったのは2020年8 月から2021年8月の期間に入院・外来で照射を行った490人のうち、ケアマップを活用した患者227人(男性91人、女性136人)。疾患は乳がんが最も多く、肺がん、頭頚部がん、食道がんと続く。ケアマップは、「観察・評価」「皮膚ケア方法」「セルフケア支援」の3項目に分けて表にした。観察項目は照射回数・放射線量別に表記した。
 

函館五稜郭病院放射線治療科看護師主任の秋山香織さん

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

超音波検査は便秘診断に有用。慢性便秘エコー研究会で最優秀演題賞を受賞

2023年03月04日 18時47分32秒 | メディカルはこだて
第84号では国立病院機構函館病院検査科臨床検査技師の小野寺友幸さんを取材した。

国立病院機構函館病院検査科の臨床検査技師(超音波検査士)である小野寺友幸さんは第1回慢性便秘エコー研究会で最優秀演題賞を受賞した。演題名は「腹部超音波による直腸評価の検討」。
同病院は2019年5月から消化器科の専門外来として「便秘外来」を開設。津田桃子医師が画像評価を加えながら、患者一人ひとりにあった内服の調整など、専門的な治療を行っている。2017年10月に慢性便秘症診療ガイドラインが発行され、ガイドラインに基づいて便秘診療を行うことが可能となった。医学的に便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義された。
便秘は大腸通過正常型、大腸通過遅延型、機能性便排出障害型に病態分類される。小野寺さんは「大腸通過遅延・正常型便秘は生活指導や便秘薬治療が主になる一方で、機能性便排出障害型ではバイオフィードバック療法などの専門的治療を要することがあり、その分類は重要です」と話す。機能性便排出障害型では直腸に便やガスの貯留が見られるため画像診断が有効とされるが、従来のCTやX線では被爆の問題があり、診察室やベットサイドでの評価が困難だった。そこで、小野寺さんは非侵襲的で繰り返し実施できる腹部超音波検査で直腸の観察が可能かどうかをCTと比較検討した。


第1回慢性便秘エコー研究会で受賞した最優秀演題賞のクリスタル盾を持つ小野寺友幸さん

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

気持ちの変化に対応できるように、何度も話し合う

2023年03月04日 18時24分21秒 | メディカルはこだて
第84号では高橋病院第3病棟主任の塚本美穂さんを取材した。

ACP(アドバンス・ケア・プ ランニング)は、人生の最終段階における医療・ケアについて、本人が家族や医療・ケアチームと繰り返し話し合う取り組みのことで、人生会議とも呼ばれている。
「多様な社会背景や価値観の変化に対応するためACPは必須です」と話すのは2018年9月にACPを導入した高橋病院(高橋肇理事長)第3病棟主任の塚本美穂さんだ。同病院は地域包括ケア病床からACPをスタートさせたが、導入後に中心的な役割を担ってきたのが塚本さんだ。地域包括ケア病床は住み慣れた地域の中で最後まで自分らしく生きていけるような支援とサービスを提供する役割を担っている。塚本さんは患者の人生観や希望を家族や院内外のチームで共有し、患者主体による意思決定が行えるようにチームで支援できた1症例を第21回北海道病院学会で「患者のACPを共有し、意思決定支援した取り組み」として発表、優秀演題賞を受賞した。発表した症例は高齢の妻と二人暮らしの80代男性で、外来受診時に体重減少と物忘れがみられ精査目的で入院した。
「本人の価値観や目標、意向を実際に受ける医療、ケアに反映させることが必要ですが、そのためには気持ちの変化に対応できるように何度も話し合いをしました」。ACPに添って病状(悪性腫瘍)告知を行い、治療の選択に対しては「今後は検査も治療も行わない」「延命治療は望まない」などの希望を確認、意思決定支援を行った。「本人の希望や価値観を尊重し、その人らしい最善の選択ができる取り組みを行うために本人を含め家族や院内外のチーム、外来看護師が協働してACPカンファレンスを開催、共有意思を決定しました」。「妻の介護を最期まで行いたい」「妻と一緒に自分らしく生きたい」という希望を子供も尊重。施設転居前日には自宅で家族と寿司を食べ、ビールを飲み、川の字で寝た。そして二人、手をつないで施設へ入所した。


高橋病院のACPの取り組みについて話をする塚本美穂さん

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

市立函館病院は手術支援ロボット「ダヴィンチ」を導入

2023年03月04日 18時09分48秒 | メディカルはこだて
第84号では市立函館病院の中西 一彰副院長を取材した。

米国インテュイティブサージカル社が1999年に開発した医師の手術を支援するロボット「ダヴィンチ」は精緻な低侵襲性手術をより安全に提供できることから道内でも導入する病院が増えている。市立函館病院は昨年9月、ダヴィンチによる初の手術を直腸がんで成功させた。道南でダヴィンチを導入しているのは函館五稜郭病院と同病院だけだ。
同病院が導入したダヴィンチXiは第4世代にあたる最新鋭機。ダヴィンチは数カ所の小さな穴からカメラや鉗子などの手術器具を挿入し、術者は3Dモニターを見ながら手術をする。体への負担の少ない手術が大きな特徴だ。「当院では手術を執刀する医師や麻酔科医、看護師、臨床工学技士などによるワーキンググループを立ち上げ、ミーティングや運用面でのシミュレーションを重ねてきました」。導入が正式決定後は北大や弘前大などでダヴィンチ手術を見学するなど新しい技術を吸収してきた。
グループリーダーの中西一彰副院長は北大卒後、同大学第一外科(消化器外科)に入局。道内の関連病院や国立がん研究センター研究所(肝がんの研究)、北大病院などを経て、2016年市立函館病院へ赴任した。日本肝臓学会専門医・指導医、日本肝胆膵外科学会評議員・高度技能指導医などの資格を有し、肝胆膵領域、特に肝臓を専門とする外科医だ。


手術支援ロボット「ダヴィンチ」のメリットやデメリットについて説明をする市立函館病院の中西一彰副院長

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「れいわ新選組」の函館市政策委員として函館市議選に立候補

2023年03月04日 17時32分58秒 | メディカルはこだて
第84号では道南勤労者医療協会元専務理事の青木みちひとさんを取材した。

道南勤労者医療協会(道南勤医協)に勤務する青木みちひとさんは、4月の統一地方選で行われる函館市議選に「れいわ新選組」の函館市政策委員として立候補する。青木さんは30年以上、医療の最前線で働いてきたが、「最後の最後にやっと医療にたどり着く人。コロナ禍の中、第一線で奮闘を続ける医療や介護の従事者の声を市政に届けたい」。この思いが青木さんの立候補の出発点となった。
「以前から満職前には次のスプにいくことは決めていました」。函館市議選への出馬を決断したのは昨年の8月だった。「昨年5月に法人の役員を退任、その後の人生を考えていましたが、これまでの医療職とはまったく違う新しいことへ挑戦する自分の姿をイメージするようになりました。ちょうどその頃に、れいわ新選組とのご縁があり、7月末に立候補を決断しました」
函館市議選への立候補の原点は10年前に小誌(メディカルはこだて第46号)で紹介した記事にあった。当時、青木さんは函館市内の医療ソーシャルワーカー10数人と「身寄りのいない患者への対応を求める医療ソーシャルワーカー有志の会」を結成。市と市議会に対して行政支援を求める陳情を行った。陳情の内容は親族調査の協力や身寄りがない場合の成年後見制度が活用できるような支援、生活保護受給者の死亡時に親族が葬祭費用を捻出できない際の葬祭扶助、身寄りがない場合の対応の明確化と遺体安置場所の確保の3点だった。「当時、市民が陳情をする難しさを痛感しました。その時の経験から市民の声を拾い上げて私が代わりに届けたい。その強い思いが今回の立候補につながっています」


「れいわ新選組」の山本太郎代表と青木みちひとさん

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする