最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

患者に恩恵を届ける新しい治療法と新しい検査法

2020年07月12日 20時42分13秒 | メディカルはこだて
第74号の特集は「患者に恩恵を届ける新しい治療法と新しい検査法」。

高性能のX線管球を有し、高画質で被ばく線量低減が可能な心臓カテーテル治療で使用する血管撮影装置。下肢静脈瘤に対する新しい治療法である瞬間接着剤を用いたグルー治療。敗血症の早期治療方針の決定が可能になった血液中の細菌を調べる細菌遺伝子検査装置。手術室にいる全員が4K3Dの立体感のある大画面でパブリックビューイングが可能な外視鏡を用いた脳と神経の手術など、多くの患者に恩恵を届ける新しい治療法と新しい検査法を紹介する。


函館中央病院(本橋雅壽病院長)は、心臓カテーテル検査や経皮的冠動脈インターベンションとも呼ばれている心臓カテーテル治療で使用する血管撮影装置を最新機種に更新した。新しい装置はフィリップス社の血管撮影装置では業界最上位機種で道南では初の導入となる。高性能のX線管球を有し、高画質で被ばく線量低減が可能な点など、患者へのメリットも大きいのが特徴だ。

市立函館病院(森下清文院長)は下肢静脈瘤に対する新しい治療法である瞬間接着剤を用いた「グルー治療」を開始した。同病院の下肢静脈瘤の診療実績は年間100例以上で、函館・道南以外からも患者が治療に訪れている。グルー治療は今年4月から保険適用になったが、同病院では道内で最も早く導入した。低侵襲の新治療は患者へのメリットが大きく、期待も高い。

函館五稜郭病院(中田智明病院長)の検査科は、受診する患者の体に関する様々な検査を受け持っている。業務は検体検査部門、生理検査部門、病理検査部門の3つに分かれていて、3部門とも最新の機器を導入し、質の高い医療を提供してきた。同病院では昨年4月、血液中の細菌を調べる細菌遺伝子検査装置を導入したが、血流感染症、特に敗血症患者に対する適正な抗菌薬投与の遅れは、患者の予後や致死率に影響を与える。新しい検査装置の導入により、敗血症の早期治療方針の決定が可能になった。

函館脳神経外科病院(西谷幹雄理事長)は昨年10月、脳神経外科手術機器としてオリンパス社の外視鏡システム「オーブアイ」を導入し、脳や脊髄の手術を既に90例行っているが、特に脊髄系の手術はほぼ全て顕微鏡から外視鏡手術に変わってきた。オーブアイの国内での導入はまだ10台程度で、同病院は関東以北で最初となる。またオーブアイでの脊髄手術数は現在、同病院が国内最多の件数になっている。

函館渡辺病院は治療抵抗性統合失調症の治療薬であるクロザピン(商品名クロザリル)による治療が可能な医療機関として、道南では唯一のCPMS(クロザリル患者モニタリングサービス)に登録された医療機関となった。平成26年の厚生労働省の患者調査によると、日本国内の統合失調症の患者数は約77万3千人で、大半の方々は外来治療中で社会生活をしているが、統合失調症患者の約10〜30%、つまり約8〜23万人が治療抵抗性統合失調症と推測されている。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「メディカルはこだて」第74号が発刊

2020年07月04日 09時34分42秒 | メディカルはこだて
函館・道南の医療・介護の雑誌「メディカルはこだて」第74号が発刊しました。


現在、函館市内および近郊の書店で販売中です。

【特集】
患者に恩恵を届ける新しい治療法と新しい検査法

血管撮影装置を最新機種に更新
フィリップス社の業界最上位機種は道南初の導入
斉藤尚孝(函館中央病院診療部長)

下肢静脈瘤を瞬間接着剤で治療
静脈の周りの広範囲な局所麻酔が不要
新垣正美(市立函館病院心臓血管外科科長)

血液中の細菌の種類を調べる最新機器を導入
敗血症の早期治療方針の決定に大きく貢献
関村 匠(函館五稜郭病院検査科臨床検査技師)

外視鏡を用いた脳と神経の手術
4K3Dの大画面で新たなマイクロサージャリー
妹尾 誠(函館脳神経外科病院院長)

治療抵抗性統合失調症に「切り札」の治療
クロザピン療法は登録された医療機関だけ
三國雅彦(函館渡辺病院副理事長・名誉院長)

【新院長に聞く】
認知症で生活が困難な際の最後の砦
宮澤仁朗(亀田北病院院長)

【ピックアップニュース】
ななえ新病院は薬剤師による「訪問薬剤指導」を開始
杉本佳代(ななえ新病院薬剤科長)
菅井陽介(ななえ新病院薬剤師)
盛川佳那子(ななえ新病院薬剤師)

【トピックス・リポート】
新型コロナウイルス感染症対策で最新機器を導入
加地正英(函館五稜郭病院総合診療科診療部長)

【トピックス・リポート】
新型コロナの切り札ECMO(エクモ)とは
本田 学(市立函館病院臨床工学科臨床工学技士)

【トピックス・リポート】
患者が望む治療を取り入れた患者中心の医療を実践
高澤宏文(たかさわ糖尿病内科クリニック院長)

【トピックスニュース】
函館整形外科クリニックは「生活習慣病・糖尿病内科」を開設
安田浩之(函館整形外科クリニック副院長・内科部長)

【トピックスニュース】
すべての人々が地域で共に生きるために
西本 愛(道南福祉ねっと理事長)
高橋雄介(道南福祉ねっと統括管理者)

【トピックスニュース】
障害に関わる地域の「よろず相談」として年中無休
小谷素美子(障害者生活支援センター「ぱすてる」所長)

身近な漢方医学の知識 免疫力を高める漢方薬はありますか?
久保田達也 (久保田内科医院院長)

目立たない矯正『マウスピース型矯正』 [2] マウスピース型矯正「インビザライン」
古田樹己(ふるた矯正歯科院長)

函館口腔保健センター事業 函館市委託事業の各種健診部門について
川瀬 敬(川瀬デンタルクリニック院長)

定期的なメンテナンスの必要性
村田真介(吉田歯科口腔外科院長)

5分で分かる歯科の話 〜入れ歯のお手入れに関する疑問〜
伊藤正明(函館新都市病院理事・歯科科長)

歯みがきをするときは・・・右利き?左利き?
向山英明(向山歯科桔梗クリニック院長)

歯科従事者の新型コロナウイルス感染リスクの実際と取り組み
鎌田 俊(シュンデンタルクリニック院長)

東洋医学の治療院から 〜免疫と自律神経と鍼灸〜
益井 基(益井東洋治療院院長)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夫の実家の墓には入りたくない

2020年07月03日 08時34分51秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
6月26日掲載のタイトルは「夫の実家の墓には入りたくない」。



 新型コロナウイルスは私たちの暮らしに大きな影響を与えている。葬儀やお墓の在り方もそのひとつだ。通夜や告別式、納骨の簡素化が広がっているが、コロナ禍の以前からすでに葬送のカタチは変化している。
 仏教式の葬儀で故人が授かる戒名を不要と考えたり、樹木を墓標代わりに遺骨を埋葬する樹木葬、細かく砕いた遺骨を海にまく散骨を選ぶ人が増えている。S子さんは夫の実家の墓には入りたくないと思ってきた。
 夫は嫌いではないが、しゅうとめと一緒のお墓に入ることは考えられない。S子さんの希望は戒名も葬儀も不要で遺骨は海への散骨。遺言書に納骨の希望を書いても遺族にはそれを実行する義務はない。遺骨の扱いの決定権があるのは祭祀承継者で、遺言状で祭祀承継者の指定は法的に保護されている。最近は配偶者の死後に姻族関係終了届を提出して夫の親戚とは縁を切る「死後離婚」も増加傾向にある。
 S子さんは海への散骨という考えが変わってきた。「韓国のロッカー型の納骨堂はカルチャーショックでした。小さなロッカーの扉は四角形やハート形の花で飾られて、それが綺麗で華やかでとっても素敵。訪れる人もハッピーな気持ちになれるはず。日本でも同じようなものができるのを待つのもいいわね」。ウォーキングを始めたS子さん。「とにかく夫よりも長生きするしかないと決めたの」 (メディカルはこだて発行人・編集人)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする