最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

海霧の海向山で野生馬とすれ違う

2008年07月23日 11時29分34秒 | 山歩き・散歩・温泉
渡島半島の東の端に位置する活火山の恵山(えさん)は「新日本百名山」に選ばれたこともあって道外の登山者にも広く知られる山となった。21日はこの恵山の西側にある海向山(かいこうざん)を登ってきた。
恵山と比較すると何十分の1ほどしか登る人はいないようだが、海向山は登山時間(往復約3時間)も手頃な割にはとても魅力的な山である。
下海岸の海側ではなく鉄山からの山道を進むが、峠を下る頃から海霧が発生していることがわかる。登山口となる賽ノ河原駐車場へと続く道は白い霧にすっかりと覆われていて視界は極めて悪い。広い駐車場に車を停める。恵山も海向山もまったく見ることはできなくて白い闇があるだけだ。



こういう霧の日には誰も登っていないはずで、ちょっと躊躇する気持ちも強かったが、とにかく歩き始めることにした。霧が張り付いた林の中を10分ほど進むと、ふいに左側から子馬がゆっくりと近づいてきた。「親」もいるはずと思った瞬間、右前方の木々の間から大きな親馬がぬっと姿を現す。距離は7~8㍍くらいだろうか。目の高さは2㍍を遥かに超えている。とにかくゆっくりと前に進むが親馬の目はずっとこちらを見つめたままだ。登山道の真ん中で親子は体を寄せ合うようにするとようやく親馬はこちらへの目線をはずしてくれる。子馬はおっぱいを飲み始めた。

 子馬が乳を飲み始めた

この辺りでは飼われていた農耕馬が野生化しているようだ。登山道には馬の糞も多く、鳴き声を聞いたことはあったが遭遇するのは初めてである。遠くに見えたという人の話も聞いていたが、登山道のしかもこんな至近距離で出会うとは想像もしていなかった。正直なところ怖さもあったが、静かにしていれば親馬だって騒ぐことはないだろうと思い、子馬が乳を飲み終わるまでじっと眺めていた。満足したかのように子馬が頭を持ち上げると、親子は林の中へ消えていった。
登山道をそのまま進むとほどなくT字路の分岐点だ。左右のコースは時計回りで一周する人が多いようだが、右側の道を進むことにした。普段であれば木々の隙間から頂上部分が見えるはずだが、まったく何も見えない。外界から遮断された世界にいるようで少し落ち着かない気分であるが、これを楽しもうと思う気持ちもまた芽生えてきた。こっちのコースは急斜面が待ち構えている。最近は特に膝を持ち上げる動作がきつく感じるようになってきたが、頂上を目指すしかない。林が潅木に変わると頂上はもうすぐだ。



回り一面白一色の頂上には虫の音だけが鳴り響いている。水を一気に飲むが疲れはそう感じていないので、10分ほど休んだだけで下山することにした。



同じコースを下るが膝が結構きつい。前回、海向山を訪れた際にはこのコースで迷ったことがある。秋の枯葉がピークの時期で道が不明瞭だったからだが、今回はその過った場所がわかった。馬の親子にも出会うことはなく駐車場へ戻ったが、海霧はその濃さを増しているようで少し離れたところの車もかすんで見えた。

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ヒグマの気配が濃厚だった毛無山

2008年07月11日 14時02分09秒 | 山歩き・散歩・温泉
日曜日(6日)は湿度の高い一日だった。当初は単独の山行を予定していたが、前日にYさんから連絡があり一緒に「毛無山」(けなしやま)を登ってきた。
毛無山は北海道水田発祥の地である大野平野の北西方向に位置し、左右なだらかな稜線を広げている山だ。旧大野町から江差町へと向かう国道227号線を15分ほど進むと左側に登山口となる「桧沢の滝・大石の沼入口」の標識があって、そのすぐ手前が駐車場だ。
「鈴はどうしようか?」とYさんが言うので、「必要ないでしょう」と応えるが、鈴もホイッスルもきちんと携行したYさんは正しかった。
登山口を少し進むと大野川が流れている。赤い立派な吊り橋を渡ると道は急な勾配となる。

 大野川に架かる赤い吊り橋

30度を超えるなどもっと高い気温の日に山登りをしたことはあるが、これだけ湿度の高い日は初めてだ。モーレツな勢いで汗が噴き出してくる。前日に飲み過ぎた焼酎の二日酔いもすぐに霧散する。
30分ほど歩くと目の前に「檜沢の滝」が現れた。

 清涼感あふれる「檜沢の滝」

涼しさを感じさせる滑滝であるが、それ以上に汗が流れ落ちてくる。周りの木々の緑も素晴らしいが、滝から先にはこの登山道で最も急な坂が待ち構えていた。上を見上げると首が痛くなりそうなほどの斜度で太股も悲鳴をあげている。急斜面を登り切ると道は平坦になるが、帰りにここを降りることを想像すると疲れが倍加しそうだ。
滝から40分ほどで「大石の沼」だ。明治時代に水田の潅漑用水として堀られたが、龍神の祟りが怖くて中止になったという沼である。湖面にたくさんの魚の影が見える。沼の水に透明感はない。少し休憩するがかなりの量の水を飲んだ。

 「大石の沼」

ここからはだらだらとした道が頂上まで続いている。ときどき大きなブナと出会うことが楽しみだ。ずっと小さなアブやハエのような虫が何匹もまとわりついてうるさいが、Yさんがポケットから取り出した「はっか」のスプレーをかけてもらうと一発で虫がいなくなった。はっかは強力な虫除けとして知られているが、実体験した効果はすごい。これからは山の必需品だ。
これまでも、うさぎなど動物の足跡によく気づくYさんが「これ、クマさんの糞じゃない?」と地面を指差した。形が崩れているがヒグマの糞のようだ。同じヒグマのお土産は頂上まで4つほどあった。
天気は晴れてはいるが靄のせいで視界はよくない。頂上はもう少し先だろうと思いながら登っていると突然、頂上の看板が目に飛び込んできた。

 毛無山の頂上

ちょっとあっけない感じであまり達成感はないがそれでも頂上は頂上である。コンビニで買ったおにぎりとYさんが用意してくれたカップラーメンを食べる。

 山ではカップラーメンの汁も捨てられない。すべて飲む。

暑いときこそ熱いものは美味しい。
30分ほど休んで下山する。途中、山ウドが地面から引き抜かれていた。食痕だろうか。登りの際には気づかなかった。というよりは登りではなかったというのが二人の結論だ。ヒグマの掘り起こしのような跡も数カ所あった。
登山道から沢を降りた痕跡も見られる。

 写真ではよくわからないが、動物が降りた跡がはっきりとしている

道南はヒグマの多い地域だが、大野から厚沢部までは特に生息密度が高いようだ。Yさんはホイッスルを強く長く吹く。僕も口笛を何度も吹いた。
滝の近くまで降りてきたら雨になった。下山後は東大沼の「留の湯」に向かう。山登りで酷使した身体にとって湯温の低い湯船の中でじっとしているのは最高の贅沢だと感じた。

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第28号(2008年夏号)発刊

2008年07月07日 14時54分57秒 | メディカルはこだて


遅れていた第28号もようやく発刊できた。
特集は今回から3回のシリーズで「強い痛みの症状と治療」をテーマにいろいろな病気を取り上げる。第1回目では、心筋梗塞(我慢できない激しい痛み)、三叉神経痛(一瞬の走るような痛み)、帯状疱疹(眠られないほどの激しい痛み)、急性膵炎(上腹部の激烈な痛み)、月経痛(月経中の女性を憂鬱にさせる一番の原因)、胆石症(右上腹部の激しい痛み)について、その症状や治療法を紹介する。
痛みは身体の異常を知らせてくれる大切な合図である。痛みの程度は様々であるが、激しい痛み、強い痛み、ひどい痛み、憂鬱な痛みなど、我慢できなような痛みをもたらす疾患は数多くある。昔の人は強い痛みでも我慢することが美徳とばかりに耐える人が少なくないが、我慢することは病気の治癒を遅らせてしまうことにもなってしまう。

■我慢できない激しい痛みが心筋梗塞の特徴
北 宏之(函館五稜郭病院循環器科科長)

■女性不妊症の原因ともなる下垂体腺腫
妹尾 誠(函館脳神経外科病院診療部長)

■帯状疱疹は眠られないほどの激しい痛み
梅木 薫(うめき皮膚科院長)

■急性膵炎は上腹部の激烈な痛みが特徴
山科哲朗(函館赤十字病院内科部長)

■月経中の女性を憂鬱にさせる一番の原因
小葉松洋子(湯の川女性クリニック院長)

■右上腹部の激しい痛みが襲う胆石症
赤倉伸亮(函館中央病院消化器科科長)


「トピックス・リポート」は下記の通り

■早期胃がんの縮小手術は患者に福音
原  豊(市立函館病院外科主任医長)
 
■地域医療連携システムに高い評価
ソフトウエア設計・開発のエスイーシー

■脳梗塞発症に頸動脈超音波研究で成果
丹羽 潤(市立函館病院診療部長)

■「東京大学大学院」医学系研究科の非常勤講師に就任
岡田晋吾(北美原クリニック理事長)

■ 市立函館病院では4月から「乳腺外科」がスタート
鈴木伸作(市立函館病院乳腺外科科長)

■函館中央病院は診断画像のフィルムレス化を導入
藤田信行(函館中央病院副院長)

■日本脳神経CI学会の「一件の価値あり画像」で第2位
加藤孝顕(函館新都市病院脳神経外科科長)

■新しい診療報酬体系「DPC」とはどのような制度?
坂本 勝(函館五稜郭病院医療情報課)

■「市民のためのがん治療の会」講演会が市立函館病院で開催

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載ってないぞ~。AREAの「町のお医者さん1435人」

2008年07月07日 11時10分54秒 | その他
発刊されていたAERAの臨時増刊「日本の家庭医08」をようやく昨夜じっくりと目を通してみた。
有名専門医800人が薦める町のお医者さん1435人を都道府県別に紹介したとあるが、編集部では「医者の口コミ」を頼りに掲載する家庭医を選んだとある。具体的には全国47都道府県のがん診療連携拠点病院や大学病院、地域医療支援病院、日本小児総合医療施設協議会の会員施設、国立高度専門医療センターなどの専門医にアンケートを送付、プライマリ・ケアの領域で、ふだんつきあいがあり、ぜひ患者に推薦したい、自分や家族もかかりたい(かかっている)、という医師名を推薦理由と医師の特徴とともに挙げてもらったそうだ。

函館は岡田晋吾(北美原クリニック)と高橋清仁(内科高橋清仁クリック)の両氏が紹介されていて、それぞれ山中英治・若草第一病院副院長、本原敏司・函館市医師会病院長が推薦をしている。当たり前だが、推薦文もとても申し分ないと思う。
道内は札幌17人、室蘭1人、北見3人、岩見沢1人、苫小牧1人、江別1人、深川1人、伊達1人、せたな町ほか7人の医師が掲載されているが、旭川、小樽、帯広、釧路、根室、網走、富良野、稚内などの住民で、この雑誌を購読した人からは「載ってないぞ~」と文句のひとつも編集部に電話したくなるでしょう。
「全国の町の開業医をこれほど詳細に紹介した本は初めてです」と自慢していますが…


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