最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

夕方の緑の島

2011年06月02日 23時23分56秒 | 函館・道南情報
函館港を整備した際の海底の土砂で造られた人工島が「緑の島」だ。
夕方、西部地区での取材の帰りに立ち寄った。
島の約半分には芝生が敷き詰められている。



昨年の夏の終わりには芝生に敷物を持参して横になっていたことがある。
天気がよくて、そよ風が吹いているような日はとても気持ちのよい場所だ。
波のない日には釣り人もいる。



緑の島を結ぶ「新島橋」の近くは高校のボート部の練習場だ。



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黒い雨とスーちゃん

2011年06月02日 18時15分15秒 | 新聞コラム
2ヵ月に1回に書いている北海道新聞「みなみ風」(道南版)の「立待岬」。
5月30日掲載は「黒い雨とスーちゃん」。



 「黒い雨」(井伏鱒二著)は、主人公の矢須子が原爆病患者とうわさを立てられて縁談が破談し、おじの閑間重松が心に負担を感じてきたことから始まる。
 終盤まで矢須子の発病は伏せられているが、彼女は避難の際に黒い雨に打たれていた。日常に降り注いだ原爆の雨は肉体をむしばんでいく。絶望的な病状の中、重松が五彩の虹が出るかでないかで奇跡の起こりを占うところで、小説は終わる。
 東京から鈍行列車で2時間の町で暮らしていた学生時代。同年代のキャンディーズは僕たちのアイドルで、千住の釣具店の娘だったスーちゃん(田中好子)は親しみやすく人気も高かった。大学の友人と東京に来ていた夜、水道橋で電車のドアが開いた瞬間、後楽園球場から地鳴りのような大歓声が襲う。車内で「キャンディーズの解散コンサートだ」と興奮した声が上がった。
 スーちゃんはその11年後、映画化された「黒い雨」のモノクロームの映像の中で矢須子を演じた。入浴シーンで髪をすき、大量に抜けた毛髪を見つめる目は覚悟と悲しみが入り混じっていた。
 長く乳がんと闘ってきたスーちゃん。告別式では大震災の被災者に天国で役に立つことが自分の務めというメッセージが披露されたが、その声は映画で原爆病の症状に苦しむ場面を思い出させる。
 小説ではギシギシという野草を塩で一夜漬けにして食べていた。この野草の漢字を後で「羊蹄」と知る。羊蹄山の火口のふちで休んでいたとき、黒い雨の映像が浮かんできた。
                                     (メディカルはこだて発行・編集人)

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