最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

神山茂賞の祝賀会にて

2014年11月16日 13時04分45秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
11月14日掲載のタイトルは「神山茂賞の祝賀会にて」。



 街中をさっそうと歩いている姿を見かけることがある。東海道など五街道を一人で歩き通した中尾仁彦(とよひこ)さんだ。函館文化会は郷土史研究の功労者に贈る本年度の神山(こうやま)茂奨励賞に中尾さんを選び、今月7日には授賞式と祝賀会が開催された。
 授賞の理由は西部地区を中心に歩きながら郷土の歴史を学ぶ「箱館歴史散歩の会」の活動だ。独自の研究を評価された従来の受賞者とは異なり、中尾さんは街歩きの語り部として、参加者には函館の歴史や文化の紹介だけではなく、郷土への愛着心の継承も呼びかけてきた。130回近くの例会には、これまで1万人以上もの人が参加している。
 努力と情熱の人と言われる中尾さんは資料を丹念に読み込み、独自の視点からそれを整理してきた。その積み重ねが参加者を飽きさせないテーマの設定にも生かされている。こうした取り組みは手腕を発揮した病院の事務長時代を彷佛とさせる。中尾さんの活動は若い人たちを郷土史に取り込むようになるはずだ。
 祝賀会の途中、誰もいない壇上に函館文化会の会長だった故関輝夫さんの顔が浮かぶ。関さんからはよく手紙も頂いたが、いつも小誌発刊を励ましてくれた。関さんにきちんとお礼を伝えたことがなかった私は壇上に向かって小さくお辞儀をした。外に出ると、路面は晴れ男の中尾さんらしく日差しを受けて輝いていた。
                                     (メディカルはこだて発行・編集人)

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第52号が函館新聞に紹介される

2014年11月16日 11時55分31秒 | メディカルはこだて
函館新聞に掲載された第52号の紹介記事は下記の通り。



 「道南の医療・介護・福祉の専門雑誌「メディカルはこだて」の第52号がこのほど発売された。特集は医療者と患者による医患連携で、函館市内の2病院と倉敷市の取り組みを紹介している。
 救急医療で市民への啓発k津堂を積極的に行う函館市医師会、1患者2主治医制(D2-Link制度)を導入する函館五稜郭病院、15病院が住民と地域医療の問題を共有する倉敷市の「わが街健康プロジェクト。」などの成果をまとめている。
 このほか、函館中央病院の医療コンシェルジュや函館がん患者家族会「元気会」のウイッグ(医療用かつら)の貸し出し、慢性腎臓病(CKD)外来を開設した北美原クリニックを紹介している」(11月11日付の函館新聞より。一部省略)。

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第52号が北海道新聞「みなみ風」に紹介される

2014年11月03日 12時13分22秒 | メディカルはこだて
北海道新聞「みなみ風」に掲載された第52号の紹介記事は下記の通り。



 「道南の医療や介護、福祉などの情報を発信する雑誌「メディカルはこだて」の第52号が発行された。特集は「大切な『医患連携』のススメ方。救急医療が、医師不足やコンビニ受診などで崩壊の機器にひんしている中、函館市夜間急病センターの診療時間を延長した函館市医師会長の本間哲会長のインタビューや、かかりつけ医と連携して治療にあたる「1疾患2人主治医制」を開始した函館五稜郭病院、15病院が連携し、住民と地域医療の問題を共有する啓発活動が注目を集める岡山県倉敷の「わが街健康プロジェクト。」を紹介している。「トピックス・リポート」では、病院全体で患者のもてなしに取り組む函館中央病院など四つの話題を取り上げている」(10月31日付の北海道新聞「みなみ風」より。一部省略)。

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晩秋の昆布岳

2014年11月03日 10時39分46秒 | 山歩き・散歩・温泉
先月下旬は豊浦とニセコの中間に位置する昆布岳(1044.9㍍)を登ってきた。
昆布岳はニセコ方面から眺めると尖った山頂部が特徴的な山だ。

 シャクナゲ岳からの昆布岳

長万部、静狩峠、礼文華峠を過ぎ、豊浦町から道道702号、914号と進むと登山口がある。
函館からは車で往復約5時間。昆布岳は往復約12キロで、登山時間は約5時間だ。

山側とは反対に10台ほどの砂利敷きの駐車場がある。
農家の脇が登山口。コースは幅の広い道が7合目近くまで続く。

 登り始めの山道

 幅の広い道が続く

3合目からはダケカンバの林になる。

 青空と白いダケカンバの林

曇天からスタートしたが、ところどころ青空も見えるようになってきた。
林道が横断している箇所もあるが、間違わないようにとにかくまっすぐ進んでいく。
5合目の標識を過ぎて少し下ると「メガネ岩」がある。

 メガネ岩

「北海道地質百選」というサイトの解説は下記の通り。
「メガネ岩の岩質は白濁した斜長石斑晶の目立つガラス質輝石安山岩。岩脈の側面が露出していて,鉛直に近い板状節理が発達しているほかに,水平に近い波打った不連続面が見られる。水平不連続面に直交して板状節理が発達。アーチを形作っているのはこの水平不連続面が上に凸になっている箇所で、自然が造ったアーチ橋である」。

 メガネ岩を真下から見上げる

7合目を過ぎるとロープのある急登もあって、登山道らしくなる。
8合目から進んでいくと頂上も見えるが雲がかかってきた。

 雲のかかった山頂

9合目からはさらに傾斜がきつくなる。
岩場を乗り越えてほっとするが、頂上まではまだ遠い。
見上げると頂上の雲がすっかりなくなっていた。

 頂上が見える

360度の絶景を楽しみに登っていくと、強風が吹き始める。
そして、あっという間に灰色の世界になった。
山名にちなんだ山頂の看板もひどく寒そうだ。

 昆布の形をした山頂看板

洞爺湖やニセコ、羊蹄山など見えるはずの景色が何も見えない。
強風に帽子のヒモをきつく締め、身を小さくしながら雲がなくなるのを待つが、さらに強くなる風に待ち切れず下山する。
9合目で振り返ると頂上は晴れていた。
5合目のメガネ岩の近くでくつろいでいる登山者がいる。この辺りは広く刈り込みがされているので、休憩するにはとてもよい場所だ。
5合目から登山口までは長く感じた。
道が粘土質のためによく滑り、何回も転びそうになり一度は手をついた。
幅の広い登山道には、ときどき心地よい風が吹き抜けていく。

 天然豊浦温泉「しおさい」

下山後は豊浦の「しおさい」という海のすぐそばにある大きな温泉を利用した。

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もみじフェスタ

2014年11月02日 16時48分10秒 | 函館・道南情報
函館市見晴町にある香雪園(見晴公園)で10月18日から、毎年恒例となっている「はこだてMOMI―G(もみじ)フェスタ」が開催されている。
明治35年に造園された香雪園は豪商岩船氏の元別荘で、道内では珍しい日本庭園。
園内は起伏が多く小さな川も流れている。
平成13年には文化財保護法に基づく「名勝」の指定を受け、「旧岩船氏庭園(香雪園)」の名で北海道唯一の国指定文化財庭園となった。
紅葉のライトアップは今月9日まで実施されている(時間は午後4時から午後9時)。

 ライトアップされた紅葉

10日ほど前に訪れた夜は寒かった。
そして紅葉はまだ色づき始めたばかりで、ちょうど今頃がピークのはずである。

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大切な「医患連携」のススメ方

2014年11月02日 16時24分11秒 | メディカルはこだて
医師不足やコンビニ受診による救急医療崩壊の危機、少子高齢化の進展や市民の医療に対する意識の変化などから、医療機関が地域住民や患者の啓発に乗り出す動きが目立ってきた。地域医療が抱える問題を解決するためには、住民や患者に問題への理解を促し、参加意識を高めることが重要で、そのためには医療者と患者が情報を共有し、信頼関係を基に協力する「医患連携」を進めていかなければならない。
今回(第52号)の特集では、夜間急病センターの診療時間延長や二次救急病院の現状を知ってもらうための市民講座開催へ向けて、行政やマスメディアと協力しながら啓発活動へ積極的な取り組みを予定する函館市医師会。函館五稜郭病院とかかりつけ医が連携して治療を行う「1疾患2人主治医制(D2ーLink制度)」を開始した函館五稜郭病院。住民と地域医療の問題共有をする啓発活動「わが街健康プロジェクト。」で注目の取り組みを続けている倉敷(岡山県)の動きをリポートした。
特集の概略は下記の通り。


「救急医療は行政とも協力しながら市民への啓発活動に積極的に取り組む」


◎函館市医師会の本間哲会長(本間眼科医院院長)

今年6月任期満了に伴う役員改選で函館市医師会の新会長に就任したのが本間眼科医院の本間哲院長だ。
本間会長は同医師会の理事を5期10年、副会長を3期6年とこれまで16年間医師会の役員を務めてきた。
紹介型病院、開放型病院として開院した函館市医師会病院の特徴は病院や診療所からの紹介患者の比率が90%以上で、高度な医療機器や240床あるベッドすべてを他の医療機関の医師が自由に使用することができる。平成 年には地域の病院や診療所などを後方支援するという形で医療機関の機能の役割分担と連携を目的に創設された「地域医療支援病院」となった。
「開院後の約10年間は厳しい経営状況が続きました。その後は運営も成長軌道に乗って安定した経営基盤を確立してきましたが、この2年間は診療報酬改訂の影響を受けています」と本間会長は話す。
「近年の医師不足は医師会病院も例外ではありません」。以前には循環器内科医師の医局撤退があったが、平成 年より常勤医師が赴任、地域開業医の非常勤としての応援もあり、診療は継続されている。また予定をしていた回復期リハ病棟や亜急性期病床への転換も行われ、対応疾患の幅も拡がってきた。
「医師会病院はかかりつけ医と連携し、患者や地域社会の健康作りに貢献することで、信頼され選ばれる病院でなくてはいけません。今後はオープンシステムの積極的な活用、救急医療体制や地域包括ケアシステムに関連した病院の役割など、変化に対応する柔軟な体制作りを目指していきます」。
「医師会会長に就任して、まず取り組みたいと考えたのは救急医療体制の確立でした」。今年7月函館市夜間急病センターは診療時間を30分延長し、午前0時半までとした。これまでは夜間急病センターが終了する0時過ぎを待ってから、病院へ行くケースも少なくなかった。
「夜間急病センターの診察時間延長は、軽症患者が安易に二次病院を利用するコンビニ受診を減らす狙いがありました。午前0時以降は二次救急病院が患者を診る合理的なシステムを構築してきましたが、医局制度が崩壊したことで地方で働く医師が不足しています。もちろん函館も例外ではありません。二次救急病院に緊急性のない軽症患者が安易に訪れると、重症患者を診察するはずの夜勤の医師が疲弊してしまいます」。
「夜間急病センターの診療時間延長をもっと多くの市民に伝えると同時に、二次救急病院の現状を知ってもらうための市民講座を開催するなど、行政やマスメディアと協力しながら啓発活動にも積極的に取り組んでいく必要があります」。


「1疾患2人主治医制(D2ーLink制度)を開始。函館五稜郭病院とかかりつけ医が連携して治療」


◎函館五稜郭病院へ通院している患者に、D2ーLink制度を説明し、かかりつけ医の情報を提供している函館五稜郭病院の木下優子さん(医療総合サービスセンターかかりつけ医調整係)。

救急医療は医療の原点であり、いつ起こるか分からない体の異変に直ぐに対応し、患者の不安を出来るだけ取り除くことが理想だが、365日24時間すべての患者に専門医や看護師、検査技師などが対応して診療することは限られた医療資源の中では不可能だ。
厚生労働省は二次救急病院など急性期病院の外来診療の役割は急性期の患者を診察することであり、症状が落ち着いた患者に関しては、かかりつけ医(診療所等)のもとで継続治療を行うことが望ましいという指針を出している。
道南の地域がん診療連携拠点病院の一つである函館五稜郭病院(老松寛病院長)も診療所との連携を強化し、症状が安定した患者が安心して診療所で診察してもらえるような病診連携の強化を推進のために、新たにD2ーLink(ディーツーリンク)制度をスタートさせた。
D2ーLink制度について、同病院医療総合サービスセンターかかりつけ医調整係の木下優子さんは「1疾患2人主治医制のことです。高度な検査や治療など、急性期医療の役割を担う函館五稜郭病院の主治医と症状が落ち着いた患者や日常的な健康管理の役割を担うかかりつけ医とが連携して、患者さんの治療に当たります」と教えてくれる。木下さんは看護師として同病院の病棟や外来勤務を経験、今年3月からかかりつけ医調整係として、患者のホームドクター選びに尽力している。
函館五稜郭病院の主治医を信頼し、通院している患者は多い。そうした患者へかかりつけ医を紹介すると、「あたかも病院から追い出されるようなイメージも持つ患者さんもいます」と木下さんは言う。同病院でD2ーLinkの対象となるのは胃食道逆流症、軽度な糖尿病、高血圧、脂質異常症、喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、慢性腎不全、ネフローゼ症候群、慢性糸球体腎炎、膝関節注射などの疾患で、急性期を脱し状態が落ち着いている患者だ。
それではD2ーLink制度による2人の主治医を持つことで、患者はどのようなメリットがあるのだろうか。「当院のような急性期病院では 以上の診療科があることから、患者さん自身がどの診療科を受診していいのか迷うことが少なくありません。そのため、かかりつけ医に診察をしてもらうことで最も適した医療機関や診療科を紹介してもらうことが可能になります」。かかりつけ医が行った検査の結果や診察の状況などは同病院へ知らされるので、再び同じような検査を繰り返すことはない。かかりつけ医からの紹介状を持って受診した場合には、保険外併用療養費(200床以上の病院を受診した際に初診料とは別にかかる費用)が必要ないことも患者にとって大きなメリットになる。


「倉敷の「わが街健康プロジェクト。」は15病院が連携。住民と地域医療の問題共有をする啓発活動」


◎2013年11月に開かれた「わが街プロジェクト。」の第1回講演会。
会場の倉敷中央病院大原記念ホールには150人を超える市民が参加した。

国の医療提供体制は国民皆保険制度に基づき、患者が必要とする医療を受けることのできるような整備が進められてきた。このことは国民の健康を確保するための重要な基盤となってきたが、少子高齢化の進展や国民の医療に対する意識の変化、さらに医師不足など地域医療が抱える問題を解決するためには、患者が健康に対する自覚と医療への参加意識を高めることが重要とされている。
患者が自分自身の健康について考え、治療に参加するためには医療者と患者の相互協力が不可欠となるが、病気や治療法、地域医療などの意識を共有するために医療機関から地域住民や患者に向けた積極的な啓発活動を行う「医患連携」が注目されている。
9月 日岡山県倉敷市の倉敷市民会館では倉敷中央病院(倉敷市美和)をはじめ、急性期や亜急性期、回復期、リハビリ、在宅医療などの15病院が共催し、2013年 月から行われている「わが街健康プロジェクト。」の講演会が開催、第4回目を迎えた会場には180人の市民が参加した。
市民向けの医療講演会は全国各地で行われているが、地域の各医療機関が協力して開催することや、参加した回数により3つのランクを設定し、市民が地域医療のサポーターとしての役割を担うことも目標にしている点など、医療者と患者、市民が地域医療を共に考えることのできる画期的な取り組みといえる。この「わが街健康プロジェクト。」を始めたのは倉敷中央病院の地域医療連携・広報部のスタッフで、その後は 病院のメンバーが加わって一緒にプロジェクトを育ててきた。
リーダー役を務めてきた十河浩史さんは、「出発点は地域完結型医療は1病院でできることではなく、地域の医療機関みんなで創るものだという思いでした」と強調する。


◎倉敷中央病院の十河浩史さん(地域医療連携・広報部部長)

「医療は社会に必要なベースとなるインフラと考え、まずは連携病院で運営を開始することとしました」。「わが街健康プロジェクト。」は地域完結型医療を共に考え、こころ通う地域医療を実現するための活動だが、それだけではなかなか興味を持ってもらえないことも考慮して、「病気の予防、健康の維持」の話をセットとしている。
倉敷の活動の原型となったのは飯塚病院(福岡県飯塚市)の「地域医療サポーター制度」だ。飯塚市やその周辺は夜間や休日に緊急性のない軽症患者が訪れるコンビニ受診が多く、地域住民に適正受診や健康の自己管理などを訴えることから始められた。
同病院と飯塚病院とは、以前より様々な分野で情報交換をしてきた。倉敷の異なる点は複数の病院による共催や、倉敷市、倉敷保健所、商工会議所の後援、スタンプカード、健やかブース(健康測定、健康相談)などにある。プロジェクトの活動テーマは①医療機関と上手に付き合う、②病気の予防と健康維持、③倉敷をもっと好きになる。この3つのテーマの実現にむけて住民自身が行動し、さらに周囲に伝える人を「わが街健康サポーター」と呼んでいる。そしてプロジェクトに興味があれば、誰でも参加ができる。
十河さんは「わが街健康プロジェクト。」の活動から患者視点の意見を吸い上げ、院内の改善にも繋げようとしている。「第1回の開催前ですが、市民への説明を行った際にいくつかの課題を提示されました。対話型広報なので、自分達の意に沿わない現実があることに向き合う必要があります。その課題については院内の委員会で報告し、改善を依頼していますが、具体的な改善アクションには至っていません」。医療者側に都合のよいことだけを伝えるためのプロジェクトであってはいけないと十河さんは話す。患者参加が創る新しい医療の形を目指して、十河さんを含めたプロジェクトメンバーの挑戦と努力はこれからも続いていく。


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前立腺がんに続いて胃がんも「ダ・ヴィンチ」を用いた手術を実施

2014年11月02日 13時51分52秒 | メディカルはこだて
函館五稜郭病院は昨年3月道南地区では初めてとなる手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を導入、5月には最初の手術が行われ、その後も順調に手術実績を重ねている。
ダ・ヴィンチによる手術が保険適用されているのは前立腺がんの前立腺全摘除術だけだが、最近では首都圏などの病院を中心に婦人科や消化器などのがんに関してもダ・ヴィンチによる手術が行われるようになっている。同病院も今年7月に胃がんの手術をダ・ヴィンチで行った。第52号では手術を執刀した高金明典副院長に話を聞いた。概要は下記の通り。


◎函館五稜郭病院が昨年導入した手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」の最新モデル

同病院の昨年の胃がん手術数は122例で道内2位の実績だ。高金副院長は胃がん手術の9割を担当、昨年は約100例を執刀している。
胃がんの腹腔鏡手術適応はステージ1の早期がん。これまで行ってきた腹腔鏡下手術が500例を超える高金副院長には、胃がん腹腔鏡下手術の専門医として手術を希望する患者が多く訪れる。


◎ダ・ヴィンチの説明をする函館五稜郭病院の高金明典副院

米国では前立腺がん手術の9割以上、腎部分切除術の約6割前後がダ・ヴィンチを用いて行われている。
「現在は泌尿器以外にも一般消化器外科や婦人科などさまざまな臓器で行われるようになっていますが、今後は急速に広がっていくことが予想されます。それは腹腔鏡と比較して縫合など細かい操作が非常に容易で、こうした技術的観点からも応用が広まると考えられています」。
高金副院長が手術をしたのは80代の男性。術後も問題はなく10日で退院した。
胃がん手術ではリンパ節郭清が非常に重要な位置を占めている。膵臓上縁から背部にかけて重要な血管が走行、胃や肝臓、脾臓を養う各動脈があり、これらの血管周囲にリンパ節は脆い脂肪組織に包まれて存在している。「腹腔鏡下手術では困難な部位のリンパ節郭清が、ダ・ヴィンチを使用することで神経や血管、リンパ管などが明確にわかり、広範囲の郭清において、より安全で出血の少ない操作が可能となりました」。胃がんのリンパ節廓清に対して、ダ・ヴィンチは非常に有効な手術法なのである。
同病院では今後、胃がんに続いて婦人科疾患に関してもダ・ヴィンチによる手術を年内に予定している。「ロボット手術の時代が到来していますが、当院もその大きな第一歩を踏み出しました」。


◎ダ・ヴィンチ手術支援下では執刀医はサージョンコンソールという、いわゆるコックピットで手術を行う

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