最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

伸ばした黒い手

2019年07月06日 07時47分24秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
6月28日掲載のタイトルは「伸ばした黒い手」。



 1989年の天安門事件で戦車の前に立ちはだかった「タンクマン」。無名の反逆者とも言われる彼の姿は深く胸に焼きついている。最近の中国外交部の記者会見で、この人物の消息について問われた報道官は笑みを浮かべながら「把握していない」と答えた。
 天安門事件から30年後の6月16日、香港は激しく燃えていた。中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案の撤回を求めるデモには200万人がヘネシーロードを埋め尽くした。12日のデモでは治安部隊の催涙弾などで80人以上が負傷。そのためヘルメットやマスク装備の参加者が多い。どの顔も強い危機感と激しい怒りに満ちている。夜になるとデモの波は百万ドルの夜景を凌駕。涙があふれている女性の顔が脳裏に刻まれた。
 大規模なデモが頻発したことについて、中国の王毅外相は「(西側諸国は)伸ばした黒い手を引っ込めてほしい。香港は中国の内政問題であなたたちの干渉を容認しない」と言い放った。中国では反党的な動きは徹底的に弾圧され、新疆ウイグル自治区では100万人以上のウイグル人を逮捕し、収容所などで拷問や洗脳を続けているという。
 安倍晋三首相は「悪夢のような民主党政権が誕生した」と発言したが、この言葉こそ民主と自由を求める声の弾圧を正当化する中国共産党に言うべきだ。(メディカルはこだて発行人・編集人)

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道内4店だけの日本医書出版協会の医学書専門認定店

2019年07月05日 23時44分09秒 | メディカルはこだて
第70号のトピックスニュースは「道内4店だけの日本医書出版協会の医学書専門認定店」

病院で段ボールを抱えて急ぎ足で歩いている姿を見かけることがある。昭和書房3代目の松井靖介さんだ。書店は平成24年現在地の本町に移転したが、その2年前の同22年代表取締役に就任した。
昭和書房は医学書院や南江堂、金原出版など医学や医療関連の専門書を発行する出版社で組織されている日本医書出版協会の医学書専門店として認定されている。同協会の認定書店は道内では4店のみで、医書の販売実績だけでは簡単に認定されない狭き門だ。さらに全国でも大学医学部のない都市の専門書店は極めて珍しい。
「病院それぞれに購読する医書に特徴があったり、医師の専門領域や興味のある分野、過去の購読履歴なども参考しながら選択しています。回収時、購入希望が多いと嬉しいです。営業スタイルは先代と変わらないが、顧客と顔を合わせてつながることにやりがいを感じます」と松井さんは言う。
アマゾン(世界最大級のインターネット通販サイト)や大型書店の出店は地方書店にとって脅威だ。「医学書は内容を確認してから購読したいという医療者が多いです。昭和書房は実際の医書を見本として預け、自由に確認してもらえることが支持をされてきた理由だと思っています。ネット書店や電子書籍もある厳しい業界。僕はオススメを直に届ける『リアルアマゾン』だと思って得意先回りを続けていきます」。


「地元医療を支える気持ちで地道に営業を続けたい」と語る松井靖介さん。

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17年間の病院勤務を経て、訪問看護事業を開設

2019年07月05日 23時23分18秒 | メディカルはこだて
第70号のトピックスニュースは「17年間の病院勤務を経て、訪問看護事業を開設」

津軽海峡を見下ろす高松町の高台にある有限会社ひだまりは、訪問看護ステーションくくる(心)、居宅介護支援事業所ひだまり、訪問介護ステーションひだまりの3つの事業を運営している。代表の菊地愛洋さんは昭和54年函館生まれ。地元の高校卒業後は名古屋の看護専門学校へ進学した。
平成25年4月居宅介護支援事業所、そして11月には訪問看護ステーションを開設した。「くくるという事業所名は沖縄出身の妻が名づけました。沖縄では心のことを『くくる』と言います。心を込めた看護の提供を目指しています」。菊地さん夫婦を含めて3人の看護師でスタートし、現在は5人体制となった。菊地さんは時間枠に捉われずに、患者と家族に向き合って話を聞いている。「時間が超過しても一向に構いません」。
常に訪問看護ステーションを開設した最初の気持ちを忘れないように心がけてきた。自宅での療養生活を支える訪問看護ステーションくくる(心)は24時間365日のサービスを提供している。「心がすり減るのは過剰な仕事量と仕事時間です。気持ちに余裕がなければ、患者からじっくりと話を聞くこともできません。そのためにはもっとスタッフを増やすことも検討しています」。開設して6年目を迎えるが、患者と家族のほかに、医療・介護関係者から評価する声が増えていることも大きな励みになっている。


 訪問看護ステーションくくる(心) 管理者の菊地愛洋さん

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日本精神科病院協会の厚生労働大臣表彰を受賞

2019年07月05日 21時12分00秒 | メディカルはこだて
第70号のトピックスニュースは「日本精神科病院協会の厚生労働大臣表彰を受賞」

函渡辺病院附属ゆのかわメンタルクリニックの函館デイケアセンター技師長、佐藤裕一さんは3月18日、日本精神科病院協会創立70周年記念式典(パレスホテル東京)において厚生労働大臣表彰を受賞した。受賞者は日本精神科病院協会会員病院の職員の中から長年の精神保健福祉事業の発展に寄与し、その功績が特に顕著であったと認められた者が選ばれた。作業療法士として精神保健福祉に30年以上携わってきた佐藤さんは、退院支援の社会復帰に関する長年の功績が評価された。
佐藤さんは毎日、第一線で患者と接している。「精神疾患を抱えていると、すごく傷つきやすく、まったく別の意味に取られることもありますので、言葉遣いには気をつけています。三上昭廣理事長からは『柔和』ということをよく言われます。理事長は常に柔和を実践していますので、私もそうなれるように心がけています」。


函館渡辺病院附属ゆのかわメンタルクリニック
函館デイケアセンター技師長の佐藤裕一さん

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「医療福祉連携士」は退院後の医療やケアをつなぐ役割

2019年07月05日 20時41分13秒 | メディカルはこだて
第70号のトピックスニュースは「医療福祉連携士は退院後の医療やケアをつなぐ役割」

函館中央病院の木村寿圭さんと奥山ちどりさんは日本医療マネジメント学会の認定資格「医療福祉連携士」に合格した。地域の医療や福祉の円滑な連携により、質的な向上の貢献を目的に設立された医療福祉連携士は、医療や介護、福祉のさまざまな職種が専門の能力を発揮し連携を図ることで、患者が必要なサービスを受けながら住み慣れた地域で暮らす手伝いをすることが主な役割だ。
病院から退院する際に医療やケアをつなぐためには、医療と介護、福祉の連携が重要だ。木村さんは「院内外の関係者と情報を共有し、転院でも自宅へ戻る場合でも、患者さんが困らないように丁寧に次へ繋ぐこと、付加価値のある退院支援を心がけています」と教えてくれる。「退院が自宅の場合、必要であれば自宅を訪れることや、家族から自宅の様子が把握できる写真を撮ってもらうこともあります」と奥山さん。「退院後はどのような生活を望んでいるのか。どういう生活をしていきたいのか。その希望に少しでも近づけることが私たちの役割です」。


函館中央病院総合医療支援センター医療福祉相談室主任の木村寿圭さん


函館中央病院総合医療支援センター入退院支援室主任の奥山ちどりさん

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医療と介護関係者の研修の推進で相互理解を促進

2019年07月05日 20時08分09秒 | メディカルはこだて
第70号のトピックスニュースは「医療と介護関係者の研修の推進で相互理解を促進」

日本の65歳以上の人口は3千万人を超え、団塊世代が後期高齢者となる2025年以降は医療や介護需要のさらなる増加が見込まれている。重度な要介護状態でも住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができる地域の包括的な支援・サービス提供体制を構築するため、函館市は平成29年4月、函館市医師会病院内に「函館市医療・介護連携支援センター」を開設した。
医療と介護の関係者は多様な専門職との緊密な連携を図ることが大切だが、センターの長谷川奈生子さんは「多職種間の連携を推進するためには、自らと異なる職種の専門性や役割を理解し、知識や技術を活かし合うという意識の醸成が必要で、他職種への理解を進めることは同時に自職種の専門性や役割のさらなる理解にもつながる機会となります」と語る。「入退院支援や急変時の対応、看取りなどの高齢者への支援が必要な様々な場面で、関係者が切れ目なくスムーズに連携するための地域共通の仕組みやルールを提示し、それらを関係者の中で共通のものとして理解するための取り組みが必要です」。
 

「他職種への理解を進めることは同時に自職種の専門性や役割の
さらなる理解にもつながる機会にもなります」と語る長谷川奈生子さん。

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胆振東部地震の被災地に「災害支援ナース」として派遣

2019年07月05日 19時32分55秒 | メディカルはこだて
第70号のトピックスニュースは「胆振東部地震の被災地に『災害支援ナース』として派遣」

最大震度7を観測した昨年9月6日の胆振東部地震では、大規模な土砂崩れが起きた厚真町を中心に41人もの命が奪われた。被災者が健康レベルを維持できるように、被災地で適切な医療・看護を提供したり、被災した看護職の心身の負担を軽減し支える役割を担う看護職が「災害支援ナース」だ。函館脳神経外科病院の白戸雅美さんと細田一成さんは、北海道看護協会から災害支援ナースとして胆振東部地震の被災地に派遣された。災害支援ナースは1995年の阪神大震災を契機に日本看護協会が設けた制度。災害看護の基本的知識や育成研修を受け、臨床経験5年以上などいくつかの要件をクリアすると登録できる。


SCU(脳卒中ケアユニット)主任看護師の白戸雅美さん


手術室看護師の細田一成さん

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在宅や施設で予期せぬ死亡(急変)時にどう対応するか

2019年07月05日 16時20分49秒 | メディカルはこだて
第70号のピックアップニュースは「在宅や施設で予期せぬ死亡(急変)時にどう対応するか」

道南在宅ケア研究会(福徳雅章会長)第49回定例会の「在宅や施設で予期せぬ死亡(急変)時にどう対応するか」について話し合うシンポジウムが3月25日、函館市競輪場テレシアターで開かれた。会場は320人の定員だが、100人を超える約420人が出席を申し込むなど、急変事の対応についての関心の高さをうかがわせた。
第1部は函館おしま病院の福徳雅章院長、特別養護老人ホーム志の寺田育代施設長、函館市消防局消防救急課の高野正悟救急課長、市立函館病院救命救急センターの武山佳洋センター長の4人のシンポジストがそれぞれ講演。第2部では救急搬送を巡りディスカッションが行われ、司会の函館稜北病院の川口篤也副院長が経験した事例について、4人のシンポジストのほか、会場の参加者からも意見があった。

医師法第20条は長年誤解をされ、今でも誤った解釈をしている医療者は多いです。それは診察後24時間を超えていると死亡診断書を書けないとか、警察に届けなければならないという思い込みです。このような誤解があって、慌てて救急車を呼んだり、警察官あるいは検察官によって検視するなどの事例が見られるのが現状です。
医師法第21条では、医師は死体を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならないとされていますが、これも長年「死体検案書を交付した場合は全て警察に届けなければならない」「死因が確定できない場合は警察に届けなければならない」「診療関連死は警察に届けなければならない」という誤解が多くあり、そのために在宅や施設で亡くなったり急変した場合、あるいは医療ミスによる死亡などで警察に届け出る事例が急増したという時期もありました。


シンポジウムで医師法第20条、第21条の正しい理解について説明をする
函館おしま病院の福徳雅章院長


ディスカッションのテーマとして取り上げたのは、函館稜北病院の訪問診療で私が経験した事例です。自宅療養中に状態が悪化して、当院に救急搬送をする予定でしたが、救急車が到着する前に心肺停止となりました。家族は「函館稜北病院へ運んでください」と救急隊員に伝えましたが、救急現場においては心肺停止の状態になると、通常は心肺蘇生を行い、三次救急医療機関の市立函館病院へ搬送するのがプロトコル(標準)です。今回も渡島・檜山管内の道南圏メディカルコントロールを担当する市立函館病院の救命救急センター(医師)の指示で心肺蘇生を実施、市立函館病院へ搬送されました。家族が函館稜北病院への搬送を希望した際に、もし私に一報があれば、自ら看取りのために自宅へ行くことが可能な事例であったという思いがありました。


ディスカッションの司会をする
函館稜北病院の川口篤也副院長

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新しい抗がん剤やダヴィンチ手術。胃がん治療の選択肢が増える

2019年07月05日 14時56分55秒 | メディカルはこだて
第70号のピックアップニュースは「新しい抗がん剤やダヴィンチ手術。胃がん治療の選択肢が増える」

胃がんは日本で最も罹患率の高いがんで、男性で最も多く、女性では乳がん、大腸がんに次いで多い。世界的には減少傾向にあるが、日本では高齢化に伴って患者数は男女ともに増加傾向が続いている。治療法は内視鏡治療、手術、化学療法の3つが中心だが、患者一人ひとりに合わせてさまざまな治療法を組み合わせる集学的治療が積極的に行われるようになってきた。しかし、集学的治療には高い専門的知識と治療の流れを熟知していることが求められ、多様化する治療法の適用に医療機関で格差があることも指摘されている。
函館五稜郭病院(中田智明病院長)の外科は10人の専門医により消化器疾患、内分泌疾患および腹部救急疾患に対する手術を中心とした治療を行っている。各領域のエキスパートが中心となり外来診療や検査、手術ならびにがんに対する新規抗がん剤などによる最新医療を提供。全国規模の医師主導型多施設共同臨床試験にも多数参加している。胃がんの手術件数は大腸がんや乳がんなどと共に道内トップクラス。胃がん手術の9割を担当する高金明典副院長は胃がん腹腔鏡下手術の専門医として手術を希望する患者が多く訪れる。
昨年、大幅に改訂された胃がんの治療ガイドライン、内視鏡治療、ステージ3の術後補助化学療法、手術支援ロボット「ダヴィンチ」について、高金副院長に話を聞いた。


函館五稜郭病院の高金明典副院長

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災害時における透析施設の対応と課題

2019年07月05日 12時37分36秒 | メディカルはこだて
第70号の特集は「災害時における透析施設の対応と課題」

前回は緊急アンケートの「透析施設への胆振東部地震と停電への対応に関するアンケートの集計結果」について五稜郭ネフロクリニックの鈴木勝雄院長、大規模停電時の2日間に78人の臨時透析患者を受け入れた函館五稜郭病院の臨床工学科科長の雲母公貴さんそれぞれに話を聞いた。アンケート結果は1月29日に開催された函館泌尿器科医会透析部会の函館透析防災ネットワーク会議で報告された。2回目となる今回はその会議での報告内容と各施設の出席者からの意見等について鈴木院長に取材した。
今回の震災による全域停電では市内の3施設において、2日間で139人の臨時透析が行われた。全域停電があと1日長引いて、翌日に予定していた患者も依頼されたら、今回受け入れた3施設が全て透析施行回数を増やして対応しても、全ての臨時透析患者に対応することはできなかったと考えられる。全域停電などの災害時における透析医療に関して、函館市内は余裕のない状況にあるが、新しい動きもあった。「4月から諸事情により函館中央病院が定期の血液透析を行わないことになりました。このことは災害時に臨時透析を受け入れてくれる施設が一つ減ったことを意味します」。函館中央病院を含めた試算でも「臨時透析受け入れベッド数が足りない」とされていたことから、臨時透析受け入れベッド数は「明らかに」足りない状況に陥った。今後はますます自衛策を講じておく必要性が増しているが、患者数の多い施設はなおさらであると鈴木院長は危機感を訴える。
「当院も常時100人程度の透析患者さんを抱えていますので、『何かあったら他所で』と他力本願な姿勢ではなく、何かあっても他所の病院やクリニックにはできる限り迷惑をかけないような体制強化を図ることにしました。まずは自家発電機の設置により電源を確保し、その後は、透析用の水の優先供給が得られるような働きかけを関係各所に行っていくことを考えています」。「予算の都合とか、建物・土地の形態・規模等により、自家発電機の設置が難しい施設もあるので、全ての透析施設に強要することはできませんが、今後は当院と同様の動きが他施設へも波及していくことを願っています」。


五稜郭ネフロクリニックの鈴木勝雄院長

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