第54号の特集は「糖尿病重症化予防に地域ぐるみの取り組み~疾病管理MAPによる地域疾病管理とは」
慢性疾患、特に糖尿病は重症化に伴って起こるさまざまな合併症が医療費高騰の一因ともなっている。慢性透析の患者数は年々増え続けているが、新規透析導入の原因となる病気の第1位が糖尿病で、右肩上がりで増加している。このような糖尿病の重症化防止や合併症予防には、医療職だけでなく介護職や行政職も含んだ地域総力戦を支える体制が必要だ。そのためには地域の慢性疾患全体の「見える化」を図り、地域のヘルスケアに関する関係者を集めた連携体制とすることが課題となっている。
日本慢性疾患重症化予防学会の道南支部を立ち上げた函館稜北病院の佐々木悟副院長。医療と行政の連携・協働による先進的な事例として、南檜山地域における糖尿病重症化防止の取り組みを行っている江差保健所企画総務課保健推進係長の笠島総子さん。透析リスクの高い患者に地域ぐるみの指導を実践することで、糖尿病の重症化予防、しいては透析予防への高い効果を目指している道南勤医協江差診療所の大城忠所長の3人に話を聞いた。
特集の概略は下記の通り。
「日本慢性疾患重症化予防学会の函館支部を立ち上げ。高齢者の慢性疾患重症化予防が地域の医療を守る」
◎函館稜北病院の佐々木悟副院長
慢性疾患、特に糖尿病は重症化に伴って起こるさまざまな合併症が医療費高騰の一因ともなっている。慢性透析の患者数は年々増え続けているが、新規透析導入の原因となる病気の第1位が糖尿病で、右肩上がりで増加。透析導入に至ると健康保険団体が治療費を全額負担することになるが、その負担額は患者1人当たり年間約500万円にもなる。透析医療費の増大は医療経済上におけるインパクトも非常に大きく、政府も糖尿病腎症による新規透析導入患者数の減少を目指すことが、最終目標の一つとしている。同学会でも糖尿病性腎症の防止が第一の目的だ。
具体的にはどのようなことを実施していくのだろうか。佐々木医師は「疾病管理MAPを活用し、透析導入の可能性が高い患者をスクリーニングする」と話す。疾病管理MAPは対象患者全体を母集団として、介入優先度の高い患者のトリアージ(抽出層別化)を行い、全体での診療の最適化を図る集団疾病管理のツールだ。ミニマムデータセットと呼ばれる、評価に不可欠な最小限の臨床検査項目のデータ群を管理することにより、対象患者集団の臨床検査の欠測の把握や測定された検査項目ごとに定められた規定値により、層別化して優先介入し疾病管理を行うことができる。
(以上、本文より一部を抜粋)
「南檜山地域での糖尿病重症化予防の取り組み。医療と行政の連携・協働による先進的な事例として注目」
◎江差保健所企画総務課保健推進係長の笠島総子さん
南檜山の糖尿病を取り巻く医療環境は、道平均に比べ人口当たりの医師数が少なく、基幹病院の専門外来担当医が短期間で交替しているが、各町保健師の就業数は全道平均よりも高いのが特徴だ。
「そこで、各医療機関と各町保健師・栄養士が相互にその機能を発揮し、糖尿病合併症や重症化予防を目的とした保健医療連携体制の構築を目指すために『南檜山糖尿病重症化予防プロジェクト』を立ち上げました」。
昨年3月にスタートしたこのプロジェクトの目的は糖尿病療養者に対して、かかりつけ医・専門医・地域関係者が効果的な連携のもとに疾病管理を行う体制を構築することにより、糖尿病性腎症を中心とした糖尿病合併症の重症化を予防し、将来の医療費抑制や地域住民のQOL向上を目指すもの。プロジェクトチーム会議のメンバーはかかりつけ医、専門外来担当医師・看護師、各町の保健師、保健所で、会議の内容は疾病に関する学習、保健指導媒体の検討事例に関する意見交換、プロジェクトの評価などである。
(以上、本文より一部を抜粋)
「糖尿病患者への保健師や栄養士の在宅訪問指導が効果。透析リスクの高い患者に地域ぐるみの指導を実践」
◎道南勤医協江差診療所の大城忠所長
1986年診療所の開設時から3年半所長として勤務してきた大城忠医師は、2007年同診療所に再び赴任。診療所の入院機能の廃止をきっかけに、従来以上に訪問診療や医療連携などに力を入れるようになった。医師不足の南檜山で現在、訪問診療に出ることができるのは大城所長だけだ。
大城所長が再赴任後の2008年以降、江差では「地域医療・道立病院を守る集い」や「南檜山の医療を考える草の根の会」、「南檜山医療介護連携推進会議」など、地域医療に関する様々な出来事がうねりとなって起きてきた。「そのなかでも最も大きなうねりのひとつが糖尿病重症化予防プロジェクト」と大城所長は話す。
同プロジェクトは地域の慢性疾患の重症化を予防したいと考えた江差保健所が仕掛け、日本慢性疾患重症化予防学会の平井愛山理事長が大きく後押しをした。
2012年9月江差町で平井理事長の講演が開催された。「年々増加する糖尿病が悪化すると透析など重症な状態へ進行し、医療財政の問題まで発展します。コンピューターを活用し、地域の医療機関や保健師、栄養士などが地域ぐるみで連携し重症化を予防しましょう」という講演内容は「地域の医療・保健関係者への平井愛山菌の感染第一歩でした」。
(以上、本文より一部を抜粋)
慢性疾患、特に糖尿病は重症化に伴って起こるさまざまな合併症が医療費高騰の一因ともなっている。慢性透析の患者数は年々増え続けているが、新規透析導入の原因となる病気の第1位が糖尿病で、右肩上がりで増加している。このような糖尿病の重症化防止や合併症予防には、医療職だけでなく介護職や行政職も含んだ地域総力戦を支える体制が必要だ。そのためには地域の慢性疾患全体の「見える化」を図り、地域のヘルスケアに関する関係者を集めた連携体制とすることが課題となっている。
日本慢性疾患重症化予防学会の道南支部を立ち上げた函館稜北病院の佐々木悟副院長。医療と行政の連携・協働による先進的な事例として、南檜山地域における糖尿病重症化防止の取り組みを行っている江差保健所企画総務課保健推進係長の笠島総子さん。透析リスクの高い患者に地域ぐるみの指導を実践することで、糖尿病の重症化予防、しいては透析予防への高い効果を目指している道南勤医協江差診療所の大城忠所長の3人に話を聞いた。
特集の概略は下記の通り。
「日本慢性疾患重症化予防学会の函館支部を立ち上げ。高齢者の慢性疾患重症化予防が地域の医療を守る」
◎函館稜北病院の佐々木悟副院長
慢性疾患、特に糖尿病は重症化に伴って起こるさまざまな合併症が医療費高騰の一因ともなっている。慢性透析の患者数は年々増え続けているが、新規透析導入の原因となる病気の第1位が糖尿病で、右肩上がりで増加。透析導入に至ると健康保険団体が治療費を全額負担することになるが、その負担額は患者1人当たり年間約500万円にもなる。透析医療費の増大は医療経済上におけるインパクトも非常に大きく、政府も糖尿病腎症による新規透析導入患者数の減少を目指すことが、最終目標の一つとしている。同学会でも糖尿病性腎症の防止が第一の目的だ。
具体的にはどのようなことを実施していくのだろうか。佐々木医師は「疾病管理MAPを活用し、透析導入の可能性が高い患者をスクリーニングする」と話す。疾病管理MAPは対象患者全体を母集団として、介入優先度の高い患者のトリアージ(抽出層別化)を行い、全体での診療の最適化を図る集団疾病管理のツールだ。ミニマムデータセットと呼ばれる、評価に不可欠な最小限の臨床検査項目のデータ群を管理することにより、対象患者集団の臨床検査の欠測の把握や測定された検査項目ごとに定められた規定値により、層別化して優先介入し疾病管理を行うことができる。
(以上、本文より一部を抜粋)
「南檜山地域での糖尿病重症化予防の取り組み。医療と行政の連携・協働による先進的な事例として注目」
◎江差保健所企画総務課保健推進係長の笠島総子さん
南檜山の糖尿病を取り巻く医療環境は、道平均に比べ人口当たりの医師数が少なく、基幹病院の専門外来担当医が短期間で交替しているが、各町保健師の就業数は全道平均よりも高いのが特徴だ。
「そこで、各医療機関と各町保健師・栄養士が相互にその機能を発揮し、糖尿病合併症や重症化予防を目的とした保健医療連携体制の構築を目指すために『南檜山糖尿病重症化予防プロジェクト』を立ち上げました」。
昨年3月にスタートしたこのプロジェクトの目的は糖尿病療養者に対して、かかりつけ医・専門医・地域関係者が効果的な連携のもとに疾病管理を行う体制を構築することにより、糖尿病性腎症を中心とした糖尿病合併症の重症化を予防し、将来の医療費抑制や地域住民のQOL向上を目指すもの。プロジェクトチーム会議のメンバーはかかりつけ医、専門外来担当医師・看護師、各町の保健師、保健所で、会議の内容は疾病に関する学習、保健指導媒体の検討事例に関する意見交換、プロジェクトの評価などである。
(以上、本文より一部を抜粋)
「糖尿病患者への保健師や栄養士の在宅訪問指導が効果。透析リスクの高い患者に地域ぐるみの指導を実践」
◎道南勤医協江差診療所の大城忠所長
1986年診療所の開設時から3年半所長として勤務してきた大城忠医師は、2007年同診療所に再び赴任。診療所の入院機能の廃止をきっかけに、従来以上に訪問診療や医療連携などに力を入れるようになった。医師不足の南檜山で現在、訪問診療に出ることができるのは大城所長だけだ。
大城所長が再赴任後の2008年以降、江差では「地域医療・道立病院を守る集い」や「南檜山の医療を考える草の根の会」、「南檜山医療介護連携推進会議」など、地域医療に関する様々な出来事がうねりとなって起きてきた。「そのなかでも最も大きなうねりのひとつが糖尿病重症化予防プロジェクト」と大城所長は話す。
同プロジェクトは地域の慢性疾患の重症化を予防したいと考えた江差保健所が仕掛け、日本慢性疾患重症化予防学会の平井愛山理事長が大きく後押しをした。
2012年9月江差町で平井理事長の講演が開催された。「年々増加する糖尿病が悪化すると透析など重症な状態へ進行し、医療財政の問題まで発展します。コンピューターを活用し、地域の医療機関や保健師、栄養士などが地域ぐるみで連携し重症化を予防しましょう」という講演内容は「地域の医療・保健関係者への平井愛山菌の感染第一歩でした」。
(以上、本文より一部を抜粋)