最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

市立函館病院は無痛分娩を開始

2024年04月18日 11時48分04秒 | メディカルはこだて
第88号では市立函館病院産婦人科の浅野拓也科長・主任医長を取材した。

市立函館病院は昨年11月、無痛分娩を開始した。無痛分娩とは、お産の痛みや精神的な苦痛を緩和するための手段のことで、痛みが全くなくなるわけではないものの、分娩時の痛みを大幅に軽減できる。現在最も一般的な方法は硬膜外麻酔による無痛分娩であり、同病院でも同方法を採用している。同病院産婦人科科長・主任医長の浅野拓也医師に話を聞いた。
 ー 欧米と比較して日本の無痛分娩の割合は非常に低いようですね。
 浅野「日本産婦人科医会の施設情報調査によると、2022年の無痛分娩は全分娩の11・6%です。2017年では5・2%だったので、日本でも無痛分娩を希望する割合が増えています。無痛分娩を提供する施設数も病院・診療所ともに増加傾向にあります。欧米の硬膜外無痛分娩率はアメリカでは州により差はあるものの73・1%、フランス82・2%、イギリス60%、韓国40%です。イタリアやドイツは低く、国によりかなり差がありますが、先進国においては日本より無痛分娩が普及している国が大半です」
 ー 日本で無痛分娩が普及しない医療面での理由について教えてください。
 浅野「無痛分娩が普及しない背景としては、日本は分娩施設の規模が小さく、マンパワーを中心に医療資源が不足していることが挙げられます。欧米では産婦人科、小児科、麻酔科が潤沢に配備された中規模から大規模施設での分娩が一般的で、さらには産科専門に麻酔を取り扱う産科麻酔医も一般的です。日本では診療所では産科医が麻酔を担当することが多く、病院でも通常は手術麻酔を取り扱っている麻酔科医が麻酔を担当し、産科麻酔チームを有する病院は大学病院など一部の病院に限られています。産科業務で多忙な産科医や麻酔科医が産科麻酔管理を兼務することが大変な負担であることは想像に難くなく、産科医・麻酔科医の不足や、分娩施設の集約がなされず効率的なマンパワーの分配がされていないことが原因になると考えられます」


「一般的な硬膜外麻酔による無痛分娩を実施しています」
と話す産婦人科科長・主任医長の浅野拓也医師
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