最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

子守唄のハッシャバイ

2020年03月31日 22時18分25秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
2月10日掲載のタイトルは「子守唄のハッシャバイ」。



 ジャズの楽しみはアドリブ(即興演奏)やインタープレイ(演奏者同士のアドリブの掛け合い)にあると言われている。イントロから始まり、テーマ、アドリブ、テーマと進むのがジャズの一般的な曲構成だが、アドリブばかりではなく、メロディに基づいて演奏するテーマも演奏者によってはまったく違う曲に聴こえることは大きな魅力だ。
 動画サイト「ユーチューブ」には1960年代頃からのジャズ演奏が数多く投稿されている。日課となった夜のユーチューブでの探索で、あるジャズミュージシャンの演奏にたどり着いた。サックス奏者の小田切一巳のハッシャバイ(Hush a bye)だ。
 福島県生まれの小田切は森山威男などのグループで活躍していたが、1980年に31歳の若さで亡くなった。学生時代に鈍行列車で2時間かけ、ジャズクラブの新宿ピットインに通っていた。最も印象的だった1曲が、小田切が演奏するハッシャバイだった。
 米国では子守唄としてよく知られるハッシャバイだが、実は奴隷の女性が雇い主の子供の子守を命じられ、自分の赤ちゃんの世話ができない嘆きが歌われているそうだ。奴隷の母親は草原の向こうにかわいそうなわが子が泣いていると歌っている。
 口数が少なく、誰よりも一生懸命に練習した小田切の演奏からは深い悲しみや切なさのようなものが伝わってくる。(メディカルはこだて発行人・編集人)

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