最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

古本の値段

2016年07月18日 03時40分25秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
7月15日掲載のタイトルは「古本の値段」。



 中古本販売チェーンという新業態を確立したブックオフコーポレーション。全国にチェーン店を拡大させてきたが、中古本市場の縮小や新規参入の影響で、「本」から中古家電の買い取りなど「何でもリユース」へと転換を進めている。
 昔は函館も古本屋が市内に点在していた。通い慣れた店では、ある外国人作家の小説を続けて買った。「同じ作家ばかり読んでるね」。店主が初めて声をかけてきた。面白いからと答えたら、面白いだけの二流よりも一流を読みなさいと諭す。それからは面白くない小説も一緒に選んだ。
 最初に本を売ったのもその店だった。店主は一瞥してつまらなさそうな顔をした。こういう本しか読んでないと思われたくなかった。若かったのだ。次回は惜しむことをしなかった。「変わったのを読んでるね」という店主の顔は前とは違った。そのとき渡されたお金の額は意外だったが、あなただから高くしたとも言われた。当時は余計なことをしてという気持ちだけだったが、今ならお礼をいって通い続けているだろう。
 チェーン店では本について店員との会話はないが、それに代わるのがレシートに明示される個々の買い取り価格だ。最近ではピケティの「21世紀の資本」が950円、DVD「黒い雨」が1140円と評価されたようだ。東海林さだおの本が100円、伊集院静の本は5円というのは需給ギャップによるものだろうか。
                                         (メディカルはこだて発行・編集人)

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