最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

100年続きますように

2022年05月15日 10時19分20秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」
5月13日掲載のタイトルは「100年続きますように」



 4月に日比谷公園(東京都千代田区)を訪れたことがある。園内ではちょうどハナミズキの白や紅色の花が咲き始めていた。1912年(大正元年)、当時の東京市長が米国へソメイヨシノを贈り、その返礼として日本に届いた60本が日比谷公園などに植えられた。
 後日、同園で私が目にしたハナミズキは当時の原木ではないことを知る。残っていたのは東京都立園芸高等学校だけで、同校では2015年キャロライン・ケネディ駐日米大使が出席して、ハナミズキ寄贈100周年の記念祭が行われた。
 米国同時多発テロに触発された一青窈さんのヒット曲「ハナミズキ」は平和への思いが込められている。歌詞の「僕の我慢がいつか実を結び」はテロや戦争などの犠牲になった人々の我慢。「果てない波がちゃんと止まりますように」は繰り返される虐殺や略奪の連鎖だとしたら、曲が発表された当時よりも今日の状況をより物語っているようだ。
 曲の最後は「君と好きな人が100年続きますように」。人口減少によって人類は100年も持たないと警鐘を鳴らす生物学者もいるが、核で脅す独裁者が跋扈する国際社会ではそれはもっと短くなるはず。
 私たちはいつまでハナミズキの花を見ることができるのだろうか。平和への思いは世界で年間271兆円にもなる軍事費の前にかき消されようとしている。(メディカルはこだて発行人・編集人)

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市立函館病院は最新のフローサイトメーターを導入

2022年05月01日 13時47分29秒 | メディカルはこだて
第81号のトピックスニュースは「市立函館病院は最新のフローサイトメーターを導入」

市立函館病院(森下清文院長)の中央検査部遺伝子細胞生物検査センターは遺伝子検査の他に「フローサイトメーター」を導入し、血液疾患の早期診断と早期治療に結びつけている。遺伝子細胞生物検査センター主査の齋藤泰智さんはフローサイトメーターを「数秒から数分という短時間で数千個から数百万個の細胞を1個ずつ定量測定する統計的精度の高い細胞測定法で、光や光センサーなどを用いて、細胞を観察し細胞ごとの複数の測定情報から相関解析と統計解析を行う検査機器」と説明する。フローサイトメーターの主な用途は白血病や悪性リンパ腫などの血液疾患の患者の検体(血液・骨髄液・リンパ節などの組織)を用いた細胞表面抗原の解析に活用されている。
血液内科のある同病院は、日本さい帯血バンクネットワークよりさい帯血移植実施施設、また日本骨髄移植推進財団(骨髄バンク)より非血縁者間骨髄移植実施設及び非血縁者間骨髄採取施設の認定を受けた。 北海道内では6番目、道南唯一の非血縁者間骨髄・さい帯血移植病院として、骨髄や末梢血幹細胞移植、ミニ移植等の造血幹細胞移植医療の発展に寄与してきた。フローサイトメーターを持たない施設では標本を作製し免疫染色法などを用いて細胞を染色、顕微鏡下で一つひとつの細胞を確認して異常細胞の有無を確認するために結果が出るまで数日から1週間の期間が必要となる。「フローサイトメーターを用いると、当日中に血液疾患疑いの患者さんの細胞を解析し即日で病態が判明するなど、早急な治療が必要な急性白血病患者さんの治療方針が当日中に決定し、治療を開始することができるようになりました」


齋藤泰智さんとフローサイトメーター(日本ベクトンディッキンソン社のBD FacsLyric)

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函館新都市病院皮膚科は美容治療を開始

2022年05月01日 13時44分33秒 | メディカルはこだて
第81号のトピックスニュースは「函館新都市病院皮膚科は美容治療を開始。ピコ秒レーザーや光治療器を導入」

函館新都市病院では昨年4月に皮膚科が新規開設された。担当するのは竹林英理子皮膚科科長。横浜市生まれの竹林医師は横浜市立大学附属病院と横浜市民総合医療センターの研修生を経て、藤沢市民病院や横浜南共済病院、平塚共済病院(皮膚科部長)などで臨床経験を重ねてきた。
皮膚は外部から内臓を守るだけではない。竹林医師は「皮膚自身も様々な役割を持ち、面積は非常に大きな臓器で、他の臓器との違いは血流が他覚的に観察することができます」と話す。「様々な色に変化し、誰が見ても分かります。そして直接触れることができることが皮膚の大きな特徴です」。皮膚は少しの変化でも不安を生じ易いが、適切な説明と診療によって、それを解消できる可能性が高まると竹林医師は説明する。「皮膚科は身近な診療科であるからこそ、患者さんには受診して良かった、他医療機関の医師からは紹介して良かったと思われる診療の提供に努めてきました」
同病院皮膚科では昨年8月よりピコ秒レーザーと光治療器を導入した美容治療も開始した。皮膚科専門医である竹林医師による細やかな診療のもと、老人性色素斑(しみ)をはじめ、雀卵斑(そばかす)、肝斑、くすみ、毛細血管拡張(赤ら顔)、にきび、毛穴の開きなど美容領域の疾患に幅広く対応している。


写真左から看護師の斉藤明姫(あき)さん、竹林英理子医師、看護師の葛西もえさん、看護師長の石黒智子さん

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ななえ新病院は最新のX線テレビシステムを導入

2022年05月01日 13時05分48秒 | メディカルはこだて
第81号のトピックスニュースは「道南では初めての感ななえ新病院は最新のX線テレビシステムを導入」

ななえ新病院(高田徹院長)は今年3月、最新のX線テレビシステムを導入した。同病院は平成15年国立療養所北海道第一病院の移譲により開院したが、移譲を受けた建物は老朽化が進んでいたことから、約1年をかけて増改築し、平成18年新棟へ全面的に移転した。
Ⅹ線テレビ装置とは胸やお腹の写真を撮るときのようにX線画像フィルム上に静止画として捉えるのではなく、動画像としてリアルタイムに身体内部の状況を捉え、テレビ画像上で観察透視できる装置。造影剤を臓器や血管内に注入し、これらが造影される様子を確認しながら撮影することが可能だ。導入したのは島津製作所の「フレクサビジョンF4パッケージ」。2022年1月に発売された装置で、道内では初導入となる。
放射線科係長の牧野雅史さんは「新しい診断機器の特徴は、より少ないX線量で画像を作ることが可能になりました」と話す。「以前の装置に比べて、すべてのX線透視検査において、患者さんや検査に立ち会う医療スタッフの放射線被曝が低減されました」。X線透視画像の画質も格段に向上、より質の高い検査を行うことが可能だ。


X線TVシステ「FLEXAVISION F4 Package」と、写真左から診療放射線技師の牧野雅史さん、五十嵐拓さん、野呂直樹さん

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道南では初めての感染制御専門薬剤師に認定

2022年05月01日 12時28分36秒 | メディカルはこだて
第81号のトピックスニュースは「道南では初めての感染制御専門薬剤師に認定」

市立函館病院薬剤部薬剤科薬品情報担当主査の櫻田穣さんは感染制御専門薬剤師に認定された。日本病院薬剤師会では米国の専門薬剤師制度に倣い、2005年度にがん領域と感染制御領域で専門薬剤師制度が発足し現在5領域に設置されている。専門性の認定は認定薬剤師と専門薬剤師の2段階の制度であり、下位認定の感染制御認定薬剤師を有している櫻田さんは昨年12月東京で実施された書類審査と筆記試験に合格。前年度までに全国285人、北海道では8人の合格者しかいない難関資格で、道南では初めてとなった。
感染制御専門薬剤師は感染制御に必要な消毒薬・微生物・耐性菌等に関する基礎知識、感染症疾患の病態と患者特性、感染症治療等に使用される医薬品の薬理作用や体内動態、エビデンスに基づいた感染対策を十分理解していることが必須だ。必要なことは知識だけではない。「施設内の感染制御に関わる評価に必要な情報評価ができ、医療関係者への情報提供ができること。
抗菌薬などの適正使用の推進を図るため患者個々の症状や状況に合った薬物療法や感染対策を医師などに提案ができること。それと院内感染対策チームの一員として院内感染防止対策の貢献や感染制御に関する情報等を地域の他施設とも共有することなどがあります」と櫻田さんは教えてくれる。


写真左から梶憲太郎さん、感染制御専門薬剤師の認定証を持つ櫻田穣さん、角洋彰さん

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院外で活躍する皮膚・排泄ケア認定看護師

2022年05月01日 11時58分25秒 | メディカルはこだて
褥瘡などの創傷管理、ストーマ(人工肛門・人工膀胱)や失禁等の排泄管理のスペシャリストである皮膚・排泄ケア認定看護師は、高い看護技術と知識を用いてスキントラブルの予防・改善のために、患者・家族の支援や医療・介護関係者からの相談を受けて、ケア方法の提案や指導する役割を担っている。

函館市医師会附属看護専修学校を卒業した福島さんは准看護師となった1年後、東京の病院に勤務しながら看護学校に通う。看護師免許取得後は北海道社会事業協会函館病院(函館協会病院)に入職し、消化器外科3年目にストーマ患者を担当。大腸がんや潰瘍性大腸炎の手術を行っていた同病院では年間30例以上の人工肛門の患者を診療していた。福島さんはケアに難渋するストーマ患者を受け持つことが大きな転機となる。「試行錯誤しながらケアをしていましたが、札幌の皮膚・排泄ケア認定看護師に相談する機会がありました。患者に接することもなく、限られた情報だけの条件で適確なアドバイスを受けることができたのです」。難渋したケアだったが、患者のQOLは大きく改善。福島さんは困難事例を解決するスペシャリストになることを目標とするようになった。


訪問診療で使用している車の前でストーマを手に持つ福島一也さん


昨年10月に訪問フットケア&はいせつ相談所「ミニむつき庵」ひだまりを開設した荒本明子さんは、皮膚・排泄ケア認定看護師として皮膚障害の予防からケアの実践、排泄管理についての知識・技術を用いて、患者や家族の自己管理及びセルフケア支援、スタッフ教育を行ってきた。荒本さんは国立病院機構函館病院附属看護学校を卒業後、東京での看護師経験を経て、函館新都市病院(脳神経外科病棟やICU)に8年間勤務。2008年からは西堀病院の回復期リハビリテーション病棟で入院患者の在宅復帰を目指した身体状態の管理、外来勤務において在宅療養の支援やチーム医療の一員として看護の役割を担ってきた。


便座への立ち座りをサポートする「ソフト補高便座」を持つ荒本明子さん

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