最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

「公助」が遠い私たちの世代

2021年01月31日 06時03分21秒 | 新聞コラム
北海道新聞みなみ風の「立待岬」。
1月29日掲載のタイトルは、「公助」が遠い私たちの世代。



 昨年11月、東京都渋谷区のバス停で、路上生活をしていた女性が、近所に住む男に殴られて亡くなった。ノンフィクション作家の梯久美子さんは、女性を追悼するデモで参加者が「彼女は私だ」とのプラカードを掲げたことを知り、聞のコラムで「この事件に大きな衝撃を受けた理由がわかった」と書いた。
 コラムによると女性は64歳。昨年の春から午前2時にバス停のベンチに座り、早朝に去っていく。キャリーバッグを持ち、身なりはいつも整っていた。路上生活をするようになっても派遣社員としてスーパーで試食販売の仕事をし、生活保護の申請はしていなかった。
 組織に所属しない不安定な働き方をしてきた梯さんは「働く意欲があっても、いくつかの不運が重なれば、あっというまに住む場所を失う社会」とし、私も一つの不運でも坂道を転げ落ちると痛感している。
 女性は新型コロナウイルスのために職を失ったかもしれない。梯さんは「生活保護は当然の権利だが、私たちの世代は『自助』の意識がしみついている。政府が示す『自助→共助→公助』という順番は真面目な人ほど追いつめられる」と指摘。私も公助の前に「野垂れ死に」が浮かぶ「公助は暮らしの中に当たり前にあるべきたーとする梯さんの意見に賛同する。ようやくたどり着くような公助では私たちの世代の意識は変わらない。(メディカルはこだて発行人・編集人)

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『メディカルはこだて』取り扱い販売所一覧

2021年01月16日 01時16分15秒 | メディカルはこだて
現在、「メディカルはこだて」を取り扱っている書店は下記の通りです。

栄文堂書店(末広町)
白水書店(東川町)
くまざわ書店函館店(棒二森屋アネックス、若松町)
くまざわ書店函館ポールスター店(ショッピングセンター・ポールスター、港町1丁目)
文教堂書店湯川店(コープさっぽろ湯川店、湯川町1丁目)
文教堂書店函館昭和店(函館昭和タウンプラザ、昭和1丁目)
文教堂書店函館テーオー店(テーオーデパート、梁川町)
スーパーブックス桔梗店(桔梗3丁目)
北文館(MEGAドン・キホーテ函館店、美原1丁目)
昭和書房(梁川町)
三省堂書店函館営業所川原店(川原町)
函館栄好堂丸井今井店(本町)
函館蔦屋書店(石川町)
未来屋書店上磯(イオン上磯店、北斗市七重浜4丁目)
マルイゲタ本店(ホクレンショップ森店、森町森川町)
万年屋書店(江差町中歌町)
MARUZEN&ジュンク堂書店札幌店(丸井今井札幌本店南館、札幌市中央区)

※バックナンバー購入を希望の場合は、上記の書店あるいはメディカルはこだて編集部(0138-51-2603)までご連絡ください。

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世界的に知られた函館ゆかりの報道写真家・岡村昭彦の言葉と写真を集成した1冊が発刊

2021年01月10日 09時16分43秒 | メディカルはこだて
第76号では岡村昭彦の言葉と写真で集成した「われわれはいま、どんな時代に生きているのか」(戸田昌子監修)を紹介した。

米国のグラフ雑誌「ライフ」に南ベトナム戦線での写真が特集されるなど、世界的に知られた函館ゆかりの報道写真家、岡村昭彦(1929〜85年)の言葉と写真で集成した「われわれはいま、どんな時代に生きているのか」(戸田昌子監修)が赤々舎(京都市)から出版された。岡村の長女で、栄文堂書店(函館市末広町)店主の佐藤純子さんは店内に特設コーナーを設け、岡村に関する書籍や写真などを紹介している。


岡村昭彦の長女・栄文堂書店の佐藤純子さんと特設コーナー

東京生まれの岡村は東京医学専門学校(現東京医科大学)に進学するが、同校中退後、東京で闇屋、役者、学者、労働者などと共同生活を送った。函館郊外の当別トラピスト修道院の客室係や栄文堂書店で働いた岡村は、母の住む浜名湖畔の舞阪町と函館を往来したりしながら、出版流通についての仕事やラジオドラマを書いていた。PANA通信社の移動特派員としてバンコクに赴くが、63年35歳の時に初めて南ベトナム戦争を取材、翌年「ライフ」に南ベトナム前線での写真が特集されて一躍世界の「OKAMURA」となった。65年に発刊した「南ヴェトナム戦争従軍記」(岩波新書)はベストセラーとなり、日本人の目を東南アジアの戦争に向けさせた。その後、北アイルランド紛争やビアフラ戦争、エチオピアの飢餓などを取材、その他数々の世界史の現場に立ち、国際フォトジャーナリストとしてカメラとペンにより「我々はどんな時代に生きているのか」という視点から、未解決の戦争と平和の問題を鋭く訴え続けた。
同書は写真史家で武蔵野美術大学、東京綜合写真専門学校非常勤講師の戸田昌子さんが監修した。2014年東京都写真美術館で岡村の写真展「岡村昭彦の写真 生きること死ぬことのすべて」が開催されたが、期間中の来場者数は2万5千人となるなど、個人の写真展としては異例の観客動員数となった。写真展は岡村が残した5万点の写真すべてを精査して行われたが、戸田さんはこの写真展のための3年間に及ぶ調査とセレクションに携わった。
岡村の写真と全面的に対峙する作業の中で、戸田さんは「幾たびも膝を打ち、ぎくりと気づかされることがあった」と振り返る。文筆家でもあった岡村は多くの文章を残しているが、「ある日突然、目の前の写真の中に明解に見い出される瞬間がある。なぜなら岡村の写真においてはつねに、語られるべきことが撮られていたからである」。美学的な観点では価値もない写真が知識を備えることで重要な意味を帯びてくる。「岡村の写真はいつもそのようなものだった」。それは岡村が繰り返し述べていた「証拠力のある写真」の条件のひとつだと戸田さんは推察する。「その手つきは外科医のように正確で、問題部分を現場で見つけ出す洞察力こそが、岡村のもっとも長けていたところではなかったかと思う」。同書は生前に発表された岡村の文章のなかから、その仕事をたどりつつ独特の思考のエッセンスを知ることができるようなものを戸田さんが選び、文章の一部を抜粋して収録。個々の思考の関係性が見えてくるように、さまざまな文章から少しずつ抜き出して全体が構成されている。


「われわれはいま、どんな時代に生きているのか」(戸田昌子監修)

ベトナム戦争、北アイルランド紛争、ビアフラ戦争など戦場と日常を行き来しながら考え、医療やホスピスなど生と死の現場に切り込んでいった岡村の言葉と写真は現代の時代にも大きな意味を投げかけてくれる。同書の最後は「トラピストの記憶」だ。砲声が聞こえる戦場で、グレゴリアンの音楽と宗教絵画について語り合ったトラピスト修道院の神父の顔とやさしい言葉を思い出したことが書かれている。
佐藤さんは「父はいつでもトラピストのことを思い出していました」と話す。「世界中のいろいろな場所を訪れて、目に映る多くのことに興味を持って勉強をしてきたことを再確認させられます。この本に目を通してもらえれば父の視点や生き方を理解してもらえると思っています」。265ページで2500円(税別)。栄文堂書店では東京で開催された写真展のカタログも販売、特設コーナーでは佐藤さんが岡村と一緒に過ごしたアイルランドの家の写真なども展示している。問い合わせやは同店店主の佐藤純子さん、電話0138(22)3419(午前9時半〜午後1時半)へ。





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函館新都市病院は装具型の表面電極刺激装置を導入

2021年01月10日 07時21分43秒 | メディカルはこだて
第76号のトピックスニュースは「函館新都市病院は装具型の表面電極刺激装置を導入」。

函館新都市病院(函館市石川町)は、上肢の運動障害に対する機能回復を目的とした装具型の表面電極刺激装置「NESS H200」を導入した。
同病院のリハビリテーション科は理学療法部門、作業療法部門、言語聴覚療法部門、物理療法部門からなり、脳神経外科を中心に内科、整形外科等の急性期疾患の患者を対象にリハビリテーションサービスを提供している。総勢56人のセラピスト(療法士)が良質かつ適切なリハビリテーションサービスを提供すべく、日々の業務と研鑽に取り組んできた。また、ロボットスーツHALや経頭蓋磁気刺激装置などの最新機器を積極的に導入したリハビリは大学病院との連携により非常に高い効果が得られている。
 「NESS H200」の対象となるのは「脳卒中や外傷性脳損傷、脊髄損傷などによる上肢の筋力低下あるいは上肢麻痺のある患者です」と、リハビリテーション科作業療法士主任の門脇俊輔さんは説明する。軽症者の筋力増強や手の関節可動域の改善による手指機能改善だけでなく、局所血流の増加や筋肉のこわばりの減弱、むくみの改善などの効果が期待されている。
 導入は2年前に同病院で行われたデモンストレーションがきっかけだった。「手の不自由な人が動くようになったことを目の当たりにしたことで、機能の回復に期待ができました」。今年7月から使用を開始して、これまでに40症例を実施してきた。「個人差はありますが、重度の麻痺の場合でも改善の効果は認められます」。
 5つの電極が症状に合わせたきめ細かなプログラム設定を可能にしているため、患者の治療プログラムは多数の操作モードと電気刺激の強度レベルにより設定できる。つまり患者一人ひとりのプログラムを設定することができるのだ。「2回目以降はリストから個人設定を呼び出して、装具にパネルを装着。患者が装具を着けたらスイッチを押すだけで、操作は新人でもベテランでも同じようにできます。装着の容易さとセラピストによる技術差のないことがメリットです」。
 一般的な治療時間は約20分。装置は右用と左用に分かれている。記者も実際に装着して電気刺激を受けてみたが、電極の位置によって「つかむ」「手放す」の動作が意識することなく起こってきた。「安全性が高いため、高齢者でも安心して使用できます。麻痺で困っている多くの患者にとって、回復の一助になることを期待しています」。


函館新都市病院リハビリテーション科作業療法士主任の門脇俊輔さん
ワイヤレスシステムの表面電極刺激装置を使用した治療を行っている




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日本女性医学学会の「女性ヘルスケア専門医」に認定

2021年01月10日 07時18分27秒 | メディカルはこだて
第76号のトピックスニュースは「日本女性医学学会の『女性ヘルスケア専門医』に認定」。

日本女性医学学会(旧・日本更年期医学会)は更年期障害から老年期の医学的諸問題まで思春期も含め女性の一生を通じ研究する医療従事者の団体である。
更年期とは閉経を挟む前後10年間を指す。更年期には女性ホルモンの急激な減少でホルモンのバランスが崩れ、個人差は激しいが、心身にさまざまな不調があらわれる人がいる。同学会では新たな専門医制度である「女性ヘルスケア専門医」制度を創設した。函館五稜郭病院(中田智明病院長)産婦人科科長の福中香織医師は女性ヘルスケア専門医に認定されたが、道内では22人、道南地区では福中医師1人だけだ。
 女性ヘルスケア専門医とはどのような医師なのか。「思春期から老年期までの全てのライフステージにおいて、女性に特有な心身にまつわる病態を的確に診断・治療するとともに、女性のQOLの維持・向上のために主として予防的観点からこれらの病態に対処することのできる、いわゆる女性医学の知識と技能を有する医師とされています」と、福中医師は話す。
同病院の産婦人科は常勤医師5人体制で、そのうち女性医師は3人。妊娠管理・分娩・新生児管理の周産期、産科手術、婦人科腫瘍、婦人科手術、一般婦人科外来・検診、不妊症・ホルモン異常、更年期、思春期といった産婦人科全般の診療を行っているが、更年期障害で受診する患者も少なくない。「敷居の高くない急性期病院の産婦人科として、女性の様々な悩みや不安に幅広く対応しています」。
女性の4つのライフステージ(思春期 ・性成熟期・更年期・老年期 )には、各ライフステージに特有な心身にまつわる病態がある。「思春期では思春期発来異常や原発性無月経、やせを伴う続発性無月経などの月経異常で母親と一緒に外来を受診するケースも少なくありません。性成熟期は辛い生理痛などの月経関連疾患や婦人科感染症、婦人科腫瘍など。また、子宮内膜症や子宮筋腫は手術よりも薬物療法を先行させるようになっています。更年期になると閉経の生理や更年期障害、そして心血管疾患のリスクも高くなります。老年期は骨盤臓器脱や下部尿路機能障害、外陰・腟萎縮などが起こるようになります」。
婦人科という診療科は、婦人科がんの手術や抗がん剤治療、手術で卵巣等を取った場合など、一人の患者を長い時間に渡って診療することが多いのが特徴だ。「女性ヘルスケア専門医として女性の年齢による変化に対応し、婦人科だけではなく他の健康障害にも相談を受けるようにしています。女性の不安や悩みの相談をしたい場合は当院の新患受付へご連絡ください」。


産婦人科外来で患者の訴えにアドバイスをする福中香織医師





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ステントグラフト内挿術の最新で最良の教科書を編著

2021年01月10日 07時15分05秒 | メディカルはこだて
第76号のトピックスニュースは「ステントグラフト内挿術の最新で最良の教科書を編著」。

腹部大動脈瘤治療にパラダイムシフトを起こす可能性を秘めたステントグラフト留置術(EVAR)は日本でも普及が進んできたが、この手技の日本を代表する専門医が集結して、徹底解説した「ステントグラフト内挿術マニュアル腹部編」が日本医事新報社から出版された。編著(編集と著者)は市立函館病院の森下清文院長だ。
 ステントグラフトとは人工血管(グラフト)に針金状の金属を編んだ金網(ステント)を縫い合わせたもの。ステントグラフト内挿術は、このステントグラフトをカテーテル(プラスチック製チューブ)の中に納めて太ももの付け根から血管の中に入れ、患部で広げて血管を補強するとともに動脈瘤の部分に血液が流れないようにする治療だ。
ステントグラフト内挿術のメリットは患者の負担が少ないこと。森下院長は「体をほとんど切らずに治療ができるので、手術後は歩行の開始や食事も早くできるようになるなど、患者の負担は小さい」と語る。ステントグラフト内挿術のパイオニアである森下院長が最初に治療を始めたのは札幌医科大学時代の2001年。「大動脈瘤の治療法は、胸部あるいは腹部を切り開いて動脈瘤を確認し、その代わりに人工血管を縫い付けて埋め込む人工血管置換術を行うのが一般的ですが、高齢者などはこの手術に耐えられない人が少なくありません。そこで取り組んだのがステントグラフト内挿術で、治療不可能とされた患者さんにも治療が可能となりました」。最初の頃はステントを手作りしていた森下院長がこれまでに実施したステントグラフト内挿術は1700例に達している。
内容はイメージング、適応、メーカー別デバイス紹介などの基本事項から、特殊病態、解剖学的困難症例、エンドリーク、合併症などの踏み込んだものまでを網羅。そして付属の無料電子書籍には160本を超える動画を収載し、文章や図表だけでは伝わりにくい手技のコツを開陳している。
出版社から編集・著者を依頼されたときは、「正直に言って、私にとってこの編集作業ほど楽しい仕事はありませんでした」と森下院長は振り返る。「各執筆者の臨床における思いや工夫が伝わり、吸い込まれるように動画の画面や本文の文章に見入ってしまいました。我々もこれまで先人の肩の上に乗りながらいろいろな物を積み上げてきました。新しい教科書が読者にとっても同じ役割を果たせることを祈念しています」。


市立函館病院の森下清文院長






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室蘭の3つの急性期病院の再編協議 合意事項は評価されるも経営統合は困難

2021年01月09日 16時06分11秒 | メディカルはこだて
第76号の特集は「室蘭の3つの急性期病院の再編協議 合意事項は評価されるも経営統合は困難。合意事項は評価されるも経営統合は困難。製鉄記念室蘭病院の前田征洋病院長に聞く」。

明治時代から北海道を代表する重工業都市として栄えてきた室蘭市。日本製鋼所や輪西製鐵場(現在の日本製鉄室蘭製鉄所)が設立され、「鉄のまち」として発展してきた。重化学工業の工場群が港を取り囲むように建ち並び、夕方になるとほとんどの工場から保安灯が一斉に灯される。目の前に広がる幻想的で近未来的な工場夜景は壮観だ。
室蘭市の人口は1970年(昭和45年)には16万人を超えたが、それ以降は減少を続けてきた。2020年9月末の人口は8万1909人。医療圏である西胆振(室蘭市、登別市、伊達市、豊浦町、壮瞥町、洞爺湖町)は3市3町からなるが、この西胆振の20年9月末の人口は17万7169人で、25年に16万4447人、40年には12万5020人まで大きく減少することが推計されている。
人口8万人の室蘭市は3つの急性期病院がある激戦区だ。この室蘭市と西胆振の人口減少と人口構造の変化を見据えた、3病院の連携・再編についての協議が続けられている。3病院の一つである製鉄記念室蘭病院は西胆振の中核的な基幹病院で、高度急性期・急性期医療を積極的に展開している。室蘭市の医療体制の現状や同病院の特徴、3病院の連携・再編を進めてきた「室蘭市地域医療連携・再編等推進協議会」の経緯について、同病院の前田征洋病院長に話を聞いた。


製鉄記念室蘭病院の前田征洋病院長

3つの急性期病院がある室蘭市の医療資源は地方都市としては非常に恵まれた環境にある。実際、西胆振の入院の圏域内自給率は94.4%、外来の圏域内自給率は97.6%など、入院・外来ともに高い圏域内自給率を維持してきた。前田病院長は「3つの急性期病院の病床数は、製鉄記念室蘭病院347床、市立室蘭総合病院549床、日鋼記念病院479床。医療圏である西胆振には伊達赤十字病院374床もあります」と話す。
「室蘭市は西から東へと人口が移動してきました。蘭西(西側)は高齢化が進んでいて、40年頃には当院の位置する蘭東(東側の)一部を除き、市内の人口密度はほぼ全地域で低下することが予測されています。病床推計は25年に急性期は約500床の過剰ですが、高度急性期は約200床不足するとされています」。
製鉄記念室蘭病院は1941年新日本製鐵輪西製鐵所病院として開設、以来80年蘭東地区の基幹病院として広く市民に親しまれてきた。92年には新日本製鐵(現在の日本製鉄)から独立して医療法人社団となり、2011年には救急医療の実績が認められ、より公益性の高い社会医療法人として認可を受けた。病床数は3つの急性期病院の中では最も少ない347床ながら、58人の常勤医、25の診療科を展開。病床規模の割に医師数・研修医数が多いのも特徴だ。人口減少が著しい室蘭・西胆振地域において、質の高い先進的医療を目指し、地域での新しい取り組みを積極的にリードしているなど、その経営姿勢は際立っている。

特集は前田征洋病院長のインタビューを中心に9ページの記事として紹介している。

製鉄病院はこの数年、病院全体で「質の高い真の急性期病院をめざす」ことをテーマに、さまざまなことに取り組んできた。「今後もこの方針を変えることなく、より地域から信頼される病院をめざして、着実に実力をつけることが重要です」。前田病院長は「市立病院の今後のあり方に関する結論を待つ間も、この地域の医療が停滞しないよう、さらには今回の合意内容の実現に向け、当院は引き続き高度急性期・急性期医療を中心に診療体制を整備し、先進的に地域医療に貢献していくつもりです」と決意を述べた。





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