最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に 低侵襲の全内視鏡下脊椎手術を導入

2023年08月31日 22時33分43秒 | メディカルはこだて
86号では函館五稜郭病院整形外科医長の藤本秀太郎医師を取材した。

函館五稜郭病院(中田智明病院長)整形外科は、局所麻酔による全内視鏡下脊椎手術を導入した。局所麻酔を用いた最先端の低侵襲手術は、入院期間が大幅に短縮されることで、早期社会復帰が可能になった。担当するのは同病院整形外科医長の藤本秀太郎医師だ。
足の痛みやしびれを引き起こす代表的な疾患には腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症がある。線維輪と髄核でできている椎間板は背骨をつなぎ、クッションの役割をしているが、その一部が出てきて神経を圧迫すると症状が出てくる。このような年齢とともに椎間板や骨、靭帯といった脊椎の構造物が変性し、神経の通り道が狭くなることで足の痛みやしびれを引き起こすようになる。神経の通り道を広げるためには手術が必要だが、従来の方法は全身麻酔をかけて背中に5〜6㌢切開し、筋肉を骨から剥がし、骨を削る必要があった。藤本医師は「全内視鏡下脊椎手術では直径8ミリの内視鏡を用いて、局所麻酔下に神経の通り道を拡げることが可能です」と話す。皮膚や筋肉への侵襲が少なく、全身麻酔も必要ない。「これまでは約2週間の入院が必要でしたが、術後2時間程度から歩くことができ、最短で手術翌日の退院も可能です」
小樽市出身の藤本医師は徳島大学のフェローシップとして1年間研修を積んだ。徳島大学の西良浩一教授は腰椎分離症の内視鏡手術を世界に先駆けて成功させるなど、患者負担の小さい内視鏡による手術では世界権威の整形外科医で、現在は究極の脊椎内視鏡による新しい治療法の開発・確立に取り組んでいる。また肩・肘・手・股・膝・足関節とほぼすべての関節手術に内視鏡を応用している徳島大学のような施設は国内でも限られている。


函館五稜郭病院整形外科医長の藤本秀太郎医師

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呼吸器外科専門医「専門研修基幹施設」として認定される

2023年08月31日 10時54分14秒 | メディカルはこだて
第86号では函館五稜郭病院呼吸器外科科長の上原浩文医師を取材した。

函館五稜郭病院(中田智明病院長)呼吸器外科は、日本呼吸器外科学会の認定する呼吸器外科専門医「専門研修基幹施設」として認定された。呼吸器外科専門医合同委員会の呼吸器外科専門医研修制度整備基準によると、呼吸器外科専門医とは「専門医として必須な知識と技術を包括的に身につけ、国民の健康と福祉の増進に貢献することを使命」とする呼吸器外科のスペシャリストである。
この専門医を養成する医療機関として、道内で施設認定をされているのは札幌医科大学附属病院、北海道大学病院、旭川医科大学病院の3大学以外では手稲渓仁会病院と市立札幌病院しか認定されておらず、同病院は道内6番目、道南地域においては初の基幹施設となった。
肺がんの罹患数(新たに診断された人数)は年々増加しているが、罹患数の増加とともに死亡率も上昇している。1998年には胃がんを抜いて肺がんが死亡率の第1位となった。同病院の肺がん患者数も増加傾向にある。同病院の肺がん・呼吸器病センターの主要診療実績(別表)によると、呼吸器外科手術実績は2021年と22年は200件、化学療法実績は20年以降3500件をそれぞれ上回っている(最近の実績数の減少はコロナ禍の影響による)。また気管支内視鏡と放射線治療の実績はコナ禍にあっても、昨年は過去最高件数を更新している。
呼吸器外科科長(兼肺がん・呼吸器病センター長)の上原浩文医師は「現在、道南地区では肺がんと診断されるのは年間約600人で、そのうち60%以上が当院で診療をしています。患者数は増えていて、気管支内視鏡などの検査も増加していますが、手術など治療が追いついていないのが現状です」と話す。2021年の呼吸器外科手術219件の中で、肺がんは140例で、その9割以上が胸腔鏡手術で行われた。


函館五稜郭病院呼吸器外科科長の上原浩文医師



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心臓の血液ポンプ機能が低下する心原性ショックの治療にカテーテル型補助人工心臓「インペラ」を導入

2023年08月31日 06時54分34秒 | メディカルはこだて
第86号では市立函館病院循環器内科科長の德田裕輔医師を取材した。

市立函館病院(森下清文院長)は薬物療法抵抗性による心原性ショックの治療にカテーテル型補助人工心臓「インペラ」を導入、7月に1例目となる治療を成功させた。心原性ショックは心臓の血液ポンプ機能が低下し、全身の臓器に必要な血液が供給されない状態で、速やかに介入を行わなければ重篤な臓器不全を生じて死に至る可能性もある。
羽根車の意味をもつインペラは、開胸手術をせずに太ももの付け根などから心臓の左心室内に挿入・留置しポンプカテーテル内で高速回転させて使用するデバイスだ。カテーテルの先端から吸入した血液をカテーテル内部のインペラの力を使用して大動脈へと送り出すことで、全身の臓器への循環をサポートする。
同病院循環器内科科長の德田裕輔医師は「当院で数年前に導入した経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)と同様に、カテーテルのみで処置を完結する事が可能で、カテーテルやポンプが非常に小型のため、体への負担が少ない治療法です」と話す。
心臓のポンプ機能を助ける従来の循環補助デバイスには、インペラ以外に大動脈バルーンパンピング(IABP)、経皮的心肺補助装置(PCPS)、左室補助人工心臓(LVAD)がある。「IABPやPCPSは、心臓へのサポートが十分でない、逆に心臓への負荷がかかる場合があるなどのデメリットがあります。インペラはこうしたデメリットをある程度克服可能で、さらに単独ではなく既存のデバイスと組み合わせることによって、より良好な予後も期待できます」


市立函館病院循環器内科科長の德田裕輔医師

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病原微生物と人との関係をより深く知るための 「わかりやすく学ぶ病原微生物の世界」を出版

2023年08月31日 04時06分49秒 | メディカルはこだて
第86号では国立病院機構函館病院臨床検査科長の小熊惠二医師を取材した。

病原微生物とは感染症を引き起こす原因微生物で、その大きさによって細菌やウイルス、真菌、寄生虫などに分けることができる。 新型コロナウイルスによるパンデミック以降の世界で、私たちはどのように病原微生物と対応するべきか。1月に出版された「わかりやすく学ぶ病原微生物の世界」(あっぷる出版社)は、病原微生物と人との関係をより深く知るための1冊だ。


「わかりやすく学ぶ病原微生物の世界」(あっぷる出版社)

著者は国立病院機構函館病院臨床検査科長の小熊惠二医師。札医大や岡山大の教授を歴任し、細菌の研究を進めてきた。
小熊医師はこれまでに医学部学生向けの「シンプル微生物学」と看護学生向けの「コンパクト微生物学」の2冊を執筆・編集している。どちらも教科書として読者からの高い評価を得て、これまでに4〜66を重ねてきた。
岡山大学を退職した小熊医師は新型コロナウイルスの感染拡大により注目されるようになった病原微生物学の世界を医療関係者や一般の人も知り、その発症機序や現在の問題点などを楽しく理解できる本を発刊しようと試みた。本書の総論では細菌やウイルスなどを簡潔に説明しているが、小熊医師は「各論ではいわゆる教科書とは異なり、多くの個々の微生物に関する説明は省き、社会的に重要と思われるテーマに重点を置きました」と話す。「これらを臓器別に分け、臓器とそれに感染する微生物の特徴を、微生物同士を比較しながら、多くの基本的な図表の他、歴史的なエピソードや最先端の情報を用いて説明しました」。新型コロナウイルスやPCR、免疫学の基本、感染予防の切り札であるワクチンや逆に症状を悪化させる免疫異常、微生物と発癌の関係についても解説。40以上もあるコラムは非常に秀悦で、難しい病原微生物の世界が身近に感じられるようになるはずだ。

小熊医師は1971年北海道大学医学部を卒業、北大細菌学教室でボツリヌス菌の研究を開始した。米国ウィスコンシン大学留学から帰国後は、毒素の抗原性、構造と機能を解析。「最初はポリクローナル抗体を利用していましたが、当時、モノクローナル抗体の作製方法が確立されたことを知り、ボツリヌス毒素に対して世界で初めてモノクローナル抗体を作製し研究に応用しました」。この業績により小熊医師は1983年、36歳の若さで札幌医科大学微生物学講座教授に就任する。92年には岡山大学医学部細菌学講座教授に就任、その後は医学部長や国際センター長を歴任した。小熊医師は「ボツリヌス毒素の抗原性、構造と機能」と「ヘリコバクター ピロリの病原性」を中心として、さらに岡山大学の国際センター長に赴任した時には、緊急時のコレラの予防・治療に関する研究を行った。特にボツリヌス菌に関する研究では多くの受賞歴があり、2005年には日本細菌学会の最高の賞である浅川賞を受賞している。

本書では専門の細菌学だけでなく、免疫学やウイルス学についても解説をしている。今回は新型コロナウイルスやワクチンについて話を聞いた。ワクチンの大きな問題である副反応やmRNAワクチンに関して、ワクチン接種の考え方などを3ページの記事にまとめている。


国立病院機構函館病院臨床検査科長の小熊惠二医師



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「メディカルはこだて」第86号が発刊

2023年08月29日 14時34分11秒 | メディカルはこだて
函館・道南の医療・介護の雑誌「メディカルはこだて」第86号が発刊しました。
現在、函館市内および近郊の書店で販売中です。



函館市内に重症児デイサービスを開業
奥村志乃(特定非営利活動法人「for R」代表)

腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に 低侵襲の全内視鏡下脊椎手術を導入
藤本秀太郎(函館五稜郭病院整形外科医長)

看護師として初めての事務局長に就任
小松 学(市立函館病院事務局長)

院内に家一軒をそのまま再現 自宅と同じ環境で日常動作のリハビリができる「Re’らいふ」を開設
ななえ新病院

盛岡赤十字病院から函館赤十字病院へ 消化器・一般外科の内視鏡技術認定医
杉村好彦(函館赤十字病院院長補佐)

北大病院と関連病院で経験を重ねる 外科医2人体制で幅広い分野を診療
原 敬志(函館赤十字病院外科部長)

外交官の夢から医師になることを決断 総合診療と在宅医療で地域に貢献する
清水 平(亀田病院診療部長)

脳神経内科や循環器、リハビリも担当 総合力を兼ね備えた専門医を目指す
齋藤 司(亀田病院医師)

今年4月、函館市医師会病院の病院長に就任 呼吸器外科と乳がんを専門とする外科医
鈴木康弘(函館市医師会病院病院長)

身近な漢方医学の知識 「未病について」
久保田達也 (久保田内科医院院長)

東洋医学の治療院から 鍼灸治療の得意分野ー脊柱管狭窄症
益井 基(益井東洋治療院院長)

呼吸器外科専門医「専門研修基幹施設」として認定される
上原浩文(函函館五稜郭病院呼吸器外科科長)

心臓の血液ポンプ機能が低下する心原性ショックの治療にカテーテル型補助人工心臓「インペラ」を導入
德田裕輔(市立函館病院循環器内科科長)

昭和書房「松井社長」のオススメの本と雑誌
松井靖介(昭和書房代表取締役)

「わかりやすく学ぶ病原微生物の世界」を出版
2005年に日本細菌学会の最高賞である「浅川賞」を受賞
小熊惠二(国立病院機構函館病院臨床検査科長)

The 矯正インタビュー Before & After
古田樹己(ふるた矯正歯科院長)

函館市妊産婦歯科健診のご案内
川瀬 敬(川瀬デンタルクリニック院長)

型採り不要の口腔内スキャン
村田真介(吉田歯科口腔外科理事長)

楽しく楽ちんな母乳育児をトータルケア
市立函館高の地域探究学習に「生きているだけで100点満点」が参加しています
笠原視砂子(かさはら母乳育児助産院)

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