海道新聞みなみ風の「立待岬」
7月8日掲載のタイトルは「ステージ4・緩和ケア医の挑戦」
在宅緩和ケアのパイオニアである山崎章郎さんは2005年、東京にケアタウン小平クリニックを開設し、多くのがん患者たちの死に立ち合ってきた。今年6月発刊の新書「ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み」は、大腸がん患者となった山崎さんが自らを実験台にして、がんと共存できる方法を探し求めた経過と新提案の報告書である。
大腸がんを手術で切除後、標準治療の抗がん剤を服用したが、ひどい副作用を伴った結果、両側の肺に多発転移があるステージ4となった。日常が壊れるほどの抗がん剤の激しい副作用を経験した山崎さんは標準治療である抗がん剤治療を選択しないことにした。
抗がん剤治療を選択したくない患者にとって、恩恵の少ない現状の公的医療保険は不条理であるとの指摘はその通りだ。それでも山崎さんは抗がん剤治療を否定しているわけではない。
2年間の試行錯誤を経て3つの治療法(MDE糖質制限ケトン食、クエン酸療法、少量の抗がん剤)を組み合わせた「がん共存療法」にたどり着くが、これはがん医療の現実の前で途方に暮れる「がん難民」に新しい選択肢を示したと言えるだろう。山崎さんはがん共存療法が臨床試験を経て、堂々と広く実践されることを目指している。現代がん医療の課題に気づいた山崎さんの挑戦に期待したい。(メディカルはこだて発行人・編集人)
ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み
7月8日掲載のタイトルは「ステージ4・緩和ケア医の挑戦」
在宅緩和ケアのパイオニアである山崎章郎さんは2005年、東京にケアタウン小平クリニックを開設し、多くのがん患者たちの死に立ち合ってきた。今年6月発刊の新書「ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み」は、大腸がん患者となった山崎さんが自らを実験台にして、がんと共存できる方法を探し求めた経過と新提案の報告書である。
大腸がんを手術で切除後、標準治療の抗がん剤を服用したが、ひどい副作用を伴った結果、両側の肺に多発転移があるステージ4となった。日常が壊れるほどの抗がん剤の激しい副作用を経験した山崎さんは標準治療である抗がん剤治療を選択しないことにした。
抗がん剤治療を選択したくない患者にとって、恩恵の少ない現状の公的医療保険は不条理であるとの指摘はその通りだ。それでも山崎さんは抗がん剤治療を否定しているわけではない。
2年間の試行錯誤を経て3つの治療法(MDE糖質制限ケトン食、クエン酸療法、少量の抗がん剤)を組み合わせた「がん共存療法」にたどり着くが、これはがん医療の現実の前で途方に暮れる「がん難民」に新しい選択肢を示したと言えるだろう。山崎さんはがん共存療法が臨床試験を経て、堂々と広く実践されることを目指している。現代がん医療の課題に気づいた山崎さんの挑戦に期待したい。(メディカルはこだて発行人・編集人)
ステージ4の緩和ケア医が実践する がんを悪化させない試み