最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

道南・生と死を考える会の7月の講演会は「お家で大往生」

2016年08月24日 11時59分49秒 | メディカルはこだて
第59号では、訪問看護ステーション「オハナ」代表の高畑智子さんを取材した。


講演をする訪問看護ステーション「オハナ」代表の高畑智子さん。

道南・生と死を考える会(山田豊会長)の講演会が7月3日、函館中央病院南棟8階講堂で開催された。「お家で大往生」の演題で講演した高畑智子さんは、訪問看護ステーション「オハナ」代表。最期まで自宅で生活をするために必要なことや在宅医療の実例を紹介した講演に参加者は熱心に耳を傾けていた。
人口が27万人を切った函館市の高齢化率は32%、3人に1人が65歳以上だ。「高齢者単身世帯数は33.9%、つまり高齢者のいる世帯の3世帯に1世帯は単身なのです」と高畑さんは話す。現在、函館市と近郊にある訪問看護ステーションは23カ所。オハナは20133年12月に開設され、年中無休の24時間体制で在宅療養を支援し、自分らしく生きるための在宅療養を支える看護を提供している。
「8割の人が最期まで自宅で生活することを望んでいるのに、8割の人が病院で亡くなっています。函館の自宅看取り率8.7%。日本は先進国の中での在宅死率が低い」と教えてくれる。普段から意識したいことは、あまりたくさんの診療科にはかかり過ぎないで、自分のことをよく知ってもらえる『かかりつけ医』を持つこと。急性期病院とクリニック(診療所)との役割の違い、入院は治療が優先でやることをやったら帰るべきと指摘する。
「ゆる〜い介護を目指したいものです。こうあるべき介護からは脱却すること。自分を犠牲にしないで、どれだけズボラにできるか。つまり『なるようになるさ』という精神も必要です。そのためにはいろいろなサービスを上手く使ってください」。普段関係していない親族の心ない言葉は「へのカッパ」とは、その通りである。

(以上、本文より一部を抜粋)



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認知症看護認定看護師として、質の高い看護ケアを実践

2016年08月24日 11時40分37秒 | メディカルはこだて
第59号では函館新都市病院看護部3病棟看護師の谷藤幸恵さんを取材した。


認知症看護認定看護師の谷藤幸恵さん(函館新都市病院3病棟にて)

厚生労働省は2025年の認知症者は、現状の約1.5倍となる700万人を超えるとの推計を発表した。高齢化とともに増加する認知症には社会の関心も集まっているが、医療現場では急性期病院も含めて、認知症者を受け入れるための整備が求められている。
道南地区には3人の認知症看護認定看護師がいるが、そのうちの1人が函館新都市病院の谷藤幸恵さんだ。昨年、認知症看護認定看護師の資格を取得した谷藤さんだが、これまでも認知症看護に興味をもっていた。「10年以上も前ですが、夜勤の際に院内を徘徊する認知症の入院患者さんがいました。内科に病気を疑われる症状がありましたが、出口を捜して家に帰ることを諦めないことで、結局は退院しました」。このことを契機に谷藤さんは認知症に関する学習会に足を運ぶなど、独学で認知症のケアを学び始めた。
5年前には「認知症ケア専門士」の資格を取得。「知識は深まりましたが、自己満足だけでケアの広がりはなく、もっと勉強したいという気持ちが強くなっていきました」。2013年認知症看護の教育課程入試試験に合格し、2014年5月から12月まで北海道医療大学(石狩郡当別町)で研修を受けた。「講義後のレポートと試験も苦労しましたが、最も厳しかったのは登別の病院で行われた6週間の実習でした」。
所属病棟患者の約2割は認知症による生活障害がある。「認知症の方と院外の散歩やお茶を飲むなど、一緒の時間を過ごすことも大切にしています」。仕事をさぼっていると思われたこともあったかもと谷藤さんは笑う。

(以上、本文より一部を抜粋)

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終末期がん患者を地域の中で支えるための新しい体制を作る

2016年08月24日 11時36分24秒 | メディカルはこだて
第59号の特集は、終末期がん患者を地域の中で支えるための新しい体制を作る。「南渡島地域包括緩和ケアネットワーク」の構築に向けて

5月25日、終末期がん患者を地域の中で支えるための新しい体制として「南渡島地域包括緩和ケアネットワーク」が設立された。設立の目的は、南渡島2次医療圏における緩和ケアの質の向上を図り、切れ目のない緩和ケア提供体制を作ることにより、住み慣れた地域で安心して過ごすことができるように地域全体で取り組むこと。具体的には緩和ケアに関する情報収集と提供、緩和ケア連携パスの作成、緩和ケアネットワークの強化、医療・介護従事者への緩和ケアや看取り教育の実施、市民への情報提供や相談支援体制の整備、地域ボランティアの育成、遺族ケアの取り組みなどの事業を予定している。事務局は函館五稜郭病院とし、代表世話人には函館おしま病院の福徳雅章院長が就任した。緩和ケア提供体制を構築するための課題や目標を達成するために、どのように取り組んでいくのか。福徳院長に話を聞いた。

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「メディカルはこだて」の夏号(第59号)が発刊

2016年08月21日 18時56分02秒 | メディカルはこだて
「メディカルはこだて」の夏号(第59号)が8月10日に発刊しました。



現在、函館市内および近郊の書店で販売中です。

【特集】
終末期がん患者を地域の中で支えるための新しい体制を作る
「南渡島地域包括緩和ケアネットワーク」の構築に向けて
福徳雅章(函館おしま病院院長)

【スペシャルリポート】精神科医療におけるイノベーションを目指して
三國雅彦(函館渡辺病院副理事長・名誉院長)

【トピックス・リポート】函館新都市病院は「肩の名医」として知られる著明な筒井廣明医師の診療を隔週末に実施
筒井廣明(昭和大学整形外科学客員教授)

【トピックス・リポート】函館五稜郭病院は救急体制の強化で、小林慎医師が救急担当医に着任
小林 慎(函館五稜郭病院外科診療部長)

【トピックス・リポート】日本感染管理ネットワーク北海道支部「道南ブロック」は研修会を開催
山根のぞみ(函館五稜郭病院感染情報管理室副看護師長)

【ピックアップニュース】 若年層の発症が増えている子宮頸がん
田中 惠(函館五稜郭病院副院長)

【ピックアップニュース】国立病院機構函館病院は保険適用外の「ピロリ菌専門外来」を開設
加藤元嗣(国立病院機構函館病院院長)

【ピックアップニュース】函館市は今春より中学生のピロリ菌検査を実施
堀野昌幸(函館市保健福祉部健康増進課主査)

【ドクター・クローズアップ】血液内科医として岡山の病院で骨髄移植に尽力
手塚裕章(ななえ新病院院長補佐)

工夫を重ねる函館市医師会病院の栄養教室
渡辺久里子(函館市医師会病院栄養課主査)

入院中のお父さんへ、大好きだった「古城」を演奏
藤田佳久(函館おしま病院診療放射線技師長・企画部長)

認知症看護認定看護師として、質の高い看護ケアを実践
谷藤幸恵(函館新都市病院看護部3病棟看護師)

会社を辞め、管理栄養士を目指したのは32歳のとき
工藤 茂(函館五稜郭病院栄養課)

道南・生と死を考える会の7月の講演会は「お家で大往生」
高畑智子(訪問看護ステーション「オハナ」代表)

「セラピア便り」  扇の要、函館から
平田 聡(特定非営利活動法人理事長)

身近な漢方医学の知識 『肩こり』の漢方治療ついて(その1)
久保田達也 (久保田内科医院院長)

お薦めの一冊 「大沼ワルツ」
日隠 修 (栄好堂美原店)

痛みとしびれに画期的な治療の「遠絡療法」とは
久米 守(久米整形外科院長)

メアリー・エイケンヘッドにホスピスの原点を求めて
細野容子(元岐阜大学医学部看護学科教授・京都市在住)

The 矯正インタビュー Before&After ⑯
古田樹己(ふるた矯正歯科院長)

診断・治療に能力を発揮するマイクロスコープ(歯科用顕微鏡)
川瀬 敬(川瀬デンタルクリニック院長)

親知らずを使った「歯の移植」
村田真介(吉田歯科口腔外科院長)

5分で分かる歯科の話 〜本当は怖い「歯周病」〜
伊藤正明(函館新都市病院理事・歯科科長)

地域の皆様から「歯医者の向山さん」として親しまれてきました
向山英明(向山歯科桔梗クリニック院長)

東洋医学の治療院から スポーツ外傷の治療
益井 基(益井東洋治療院院長)

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碧血碑の前には薄青色のアジサイ

2016年08月21日 17時28分31秒 | 山歩き・散歩・温泉
5~6日前に函館山を歩いてきた。

千畳敷コースにある休憩施設は老朽化のために取り壊され、あずまやに建て替えられていた。



空は秋の雲だった。



碧血碑の前には薄青色のアジサイが咲いていた。



碧血碑(へっけつひ)は箱館戦争での旧幕府軍の戦没者(約800名)を供養するために函館山のふもとに建立された。
碧血とは「義に殉じて流した武人の血は3年たつと碧色になる」との中国故事による。


碧血碑

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患者不在の混乱が続く町立松前病院

2016年08月21日 17時25分48秒 | 函館・道南情報
町立松前病院(100床)の木村真司院長が7月末で退職した。
今年10月以降は常勤医が7人から4人に減る。
病院の経営再建をした事務長の再任用をめぐる病院と町・議会の意見対立、地方独立行政法人化の先送り(病院改革を進めるため独立行政法人化を目指したが、町側が慎重な姿勢を崩さなかった)、その間には木村院長を被告にした公金支出返還請求事件の住民訴訟の提起(2014年10月24日の判決で木村院長全面勝訴の判決が出た)などもあった。

北海道新聞8月14日付の記事は下記の通り。



積極的な研修医受け入れなど先進的な地域医療を進めてきた渡島管内松前町の町立松前病院(100床)が、事業縮小の危機に直面している。病院の地方独立行政法人化(独法化)を巡って町と対立し、木村真司院長が7月末に退職。他の医師の辞職も決まり、一時10人いた常勤医が10月以降4人に減るからだ。研修医受け入れや人工透析の治療体制は見直さざるをえず、独法化も困難な情勢だ。後任院長さえ決まらない状況に、町民らは不安を募らせている。
「後任院長の選考を急ぎ、新たな医療体制確立に努めたい」。木村院長退院後の病院運営について石山英雄町長は強調するが、具体的なめどはついていない。
木村氏は、2005年に院長に就任。少子高齢化が進む地域での新たな医療サービスを目指して「全科診療(総合診療)」制度を導入し、無料送迎バス運行や人工透析治療に積極的に取り組んできた。研修医や医学生の育成事業も確立し、15年度は全国から60人を受け入れた。同病院が事務局のインターネット中継で行う学習会には、全国400の病院や個人などが登録している。
こうした地域医療の充実に加え、地方交付税の増額もあり、09年度決算以降、黒字経営を続けてきた。ただ今後、社会保障費の見直しで交付税が減額される懸念がある。木村院長は、経営基盤強化策として、道内市町村では初となる独法化を町、町議会に要望。①適材適所の職員配置、採用②病院独自の中期目標・計画策定ーが可能などと利点を訴えた。
町、町議会も「持続可能な病院運営が必要」とする点では、病院と一致する。町は、17年度の独法化を目標に行政改革室を設置し、町議会は調査特別委で議論に着手した。ただ、委員からは「軽費が膨大」「人口減の中で収入を増やせるのか」と慎重意見が続出した。
石山町長は、こうした経緯を踏まえ定例町議会を控えた6月初旬、木村氏と会い、病院職員の意向調査を行うと伝える一方、独法化に必要となる定款について、議会提案先送りの意向を示唆した。木村氏はこれに反発し、即座に辞意を表明した。病院経営に詳しい城西大学経営学部(埼玉県坂戸市)の伊関友伸教授は「木村氏の努力を評価すべきなのに、町側の評価が低かった」と指摘する。
病院と町、町議会の対立は、13年の騒動にさかのぼる。当時、定年退職した事務局長の雇用継続が認められないことに反発した木村院長と常勤医8人が辞意を表明。石山町長と町議会議長が陳謝し、独法化検討を約束して辞意は撤回されたが、双方に不信感や感情的なしこりを残した。一部町民は、事務局長の雇用を継続する条例案を否決した当時の町議会の議長(現町議)が「一連の混乱を招いた」として解職請求(リコール)を模索する。
病院改革を主導した木村氏の辞職で、松前病院の求心力低下は否めない。現在6人の常勤医のうち1人が他の病院に移るほか、将来を不安視した1人が辞職を決めた。市立函館病院と函館協会病院は、医師派遣を9月末までに取りやめる。
診療体制見直しを迫られる松前病院は、7月末に研修医受け入れを停止。人工透析の診療数や老人ホームへの訪問回数を減らす方向だ。ある病院関係者は「独法化を町に要望する余裕などなくなった」と吐露する。町は後任院長について、八木田一雄副院長を軸に病院側と調整しているが、町民からは「対応が遅すぎる。患者不在の混乱にうんざりだ」との声が漏れる。

※町立松前病院は、ホームページで病院長の職務代理について、「松前町立松前病院病院長木村眞司の退職に伴い、松前町立松前病院副院長八木田 一雄がその職務を代理します」と発表している。




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