最新の治療法など、地元の医療情報を提供する「メディカルはこだて」の編集長雑記。

函館で地域限定の医療・介護雑誌を発刊している超零細出版社「メディカルはこだて」編集長の孤軍奮闘よれよれ・ときどき山便り。

第37号(秋号)が発刊

2010年10月31日 13時19分33秒 | メディカルはこだて
「メディカルはこだて」第37号(秋号)が発刊した。



特集は、がん診療連携拠点病院に求められる相談支援センターの役割

病院で「がん」と告げられるとほとんどの人は頭の中が真っ白になり、
これから先のことを考えると不安でいっぱいになるはずだ。 もっと別な治療法は
ないのだろうか。治療や手術にかかる費用が心配だ。退院後の生活はどうなるのだろう。
仕事は続けることはできるのか等々、がん患者や家族はこうした様々な不安や悩みを
抱えることになる。
がんの治療を受けるうえでの不安や悩み、療養生活や仕事のことについて、気軽に
相談できる場所が「相談支援センター」だ。
がん診療連携拠点病院の認定要件として、患者の相談窓口となる「相談支援センター」の
設置が義務付けられ、看護師や医療ソーシャルワーカーが相談者の話を聞いて一緒に考える
ことで課題解決の手伝いをしている。それでは相談窓口では実際にどのような活動を行って
いるのか。
北海道がんセンター(札幌市白石区菊水)、市立函館病院(函館市港町)、
函館五稜郭病院(函館市五稜郭町)の各相談支援センターの当者に話を聞いた。

 
■年間2600件の相談に6人のスタッフで対応
樋口清美(北海道がんセンター 「がん相談支援情報室」看護師)

■患者数日本一の西尾院長が担当する「がん何でも相談外来」とは
紹介状や検査資料は不要の全国でも珍しい試み
西尾正道(北海道がんセンター院長)

■がん相談支援センターは、がんの情報の宝庫です
八幡範勝(市立函館病院「がん相談支援センター」相談室看護科長)

■「がん相談支援室」は患者と医療者との橋渡し役
高橋玲子(函館五稜郭病院がん相談支援室)



 西尾正道・北海道がんセンター院長(院長室にて)
「当センターをはじめ全国のがん診療連携拠点病院では、主治医とは別の専門医の意見が
聞けるセカンドオピニオン外来や看護師やソーシャルワーカーが相談に応じる
がん相談支援センターを設けています。しかし、セカンドオピニオン外来は紹介状や検査資料が
必要なことから、主治医に遠慮して受診を申し出られない患者も少なくありません。
特に主治医との関係が良好であるほど紹介状の手紙をわざわざ書いてもらうことは遠慮すると
いう患者は多いはずです。それとセカンドオピニオンで対応する医師の専門分野が主治医と
近い場合もありますね。同じ外科医同志であれば治療法の選択に相違点は少なく、
患者もそれでは納得できないというケースもあるでしょう。また相談支援センターでは
対応するのが看護師やソーシャルワーカーのため個別の症状に対する医学的な専門治療の回答は
難しいというのが現状です。
そこで実際に多くの症例に携わってきたがん専門医の立場から既存の窓口では対応できない
患者さんを対象に具体的なアドバイスをするのが「がん何でも相談外来」の役割だと考えています。
昨年度の相談は117件近で、治療法の選択などのほか、医師から治療法がないと言われたが、
どうすればいいかという相談も多くありました。親身になって、じっくりと疑問や不安の相談に乗り、
今後の治療や生き方の方向を見出して頂ければと思っています。がんの治療は一つ間違えると、
命に関わってきます。納得のいく医療を受けるためには、医者に遠慮なく何でも相談できる場が
必要なんですよ」(西尾院長)


次号(第38号)は1月20日ころの発刊予定。

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ブナに会う

2010年10月25日 20時18分20秒 | 新聞コラム
北海道新聞の道南版「みなみ風」の「立待岬」。
9月27日掲載は「ブナに会う」。



 9月に入り豪雨被害で通行止めになっていた狩場山登山口(千走新道コース)への林道が
通れるようになった。登山口に着いたのは朝8時半。車は一台もない。いつもよりゆっくりと
準備をするが後続の車がやってくる様子もない。手前にある千走川温泉近くでは、最近も
ヒグマが捕獲されている。この山塊にはどのくらいのヒグマがいるのかを想像した。一人
だけの山歩きでは誰かと会うことは不安感を遠ざけてくれるが、自然へ対する気持ちはどこか
散漫にもなる。山の神様にお願いをして登り始めた。
 下山後はブナの森を歩いた。狩場山系の賀老高原には日本一の蓄積量を誇るブナの大樹海が
広がっている。「ブナの山旅」などの著作がある坪田和人さんは日本全国のブナの森を訪ねて、
その規模や品格、原始性などの要素でランク付けをしているが、賀老高原はトップクラスだ。
 「賀老の滝」の第2展望台へは吊り橋(昇龍の橋)を渡る。橋の先には「太古の森」と
「樹海の森」があり、遊歩道を進むとまっすぐに伸びたブナの木が迎えてくれる。地衣類に
覆われたキャンバスのような樹肌、そして濃い緑色の葉が空をおおうブナの森の中は心地よい。
訪れる人は少ないようで、ここでもヒグマと出会うかもしれない。山で吹いた笛はそのまま
首から下げていたが、口に近づけることもせず静かに大きく息をする。ブナが発散する甘酸
っぱいような香りがした。

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狩場山と賀老高原のブナの森

2010年10月25日 16時23分51秒 | 山歩き・散歩・温泉
大雨の被害により7月29日から通行止めとなっていた、
ちはせ川温泉・賀老高原・狩場山登山口へ通じる村道の仮設道路の設置が完了、
9月10日から通行が可能となった。
9月連休の21日早朝(5時ころ)に函館を出発する。

道南最高峰の狩場山(標高1,520m)は大自然が広がる秀峰として知られている。
日本海の海岸沿いや、黒松内から本目(ほんめ)へと抜ける
道道美川黒松内線の途中の峠から見える狩場山系の姿は雄大だ。
国道229号から元町(島牧村)で左折、千走川(ちはせがわ)温泉を経て
登山口(千走新道コース)までは20キロ以上はある。
途中、工事中の川岸は大きく削られていたが、豪雨の凄さをまざまざと実感させられる。

狩場山は人気の山だ。小雨の降るときに登ったことがあるが、
それでも20~30人の登山者と出会った。
天気もよいことから、駐車場には数台の車があるはずと予想していたが1台もない。
狩場山で1人だけというのはちょっと心細い気持ちになるが、
鈴をしっかりとリュックに付けて歩き出した。

 千走新道コースの登山口

2合目までは道はぬかるんでいてよく滑る。
小さな蝶が集団になっている。真っ黒なカタツムリもいた。
1時間のほどで「下部お花畑」へ。それからは回りが笹の道を歩く。

 南狩場もまだずっと先だ

標高が1300mくらいになるとまた視界が開け、真駒内コースとの合流点だ。
しばらくはのんびりと景色を楽しみながら歩くことができる。

 南狩場

やがて大きな岩や木の幹などが入り混じった道となり「南狩場」に到達。



歩きづらく険しい尾根の道を少し我慢すると草原状の広い台地(お花畑)だ。
ここから頂上まではほんとうに気持ちがよい。

 頂上までもう少し

山頂近くには親沼・子沼の2つの沼もある。

 親沼

子沼は大人1人用の湯船のようだ。

 子沼

頂上は爽やかな風が吹き抜けている。



頂上からは茂津多(もつた)コースの登山道が西に延びている。



登山口までは約10キロだ。



須築川の谷は狩場を深く刻んでいる。

 須築川(谷が深くて川が見えない)

頂上にはいつまでもくつろいでいたい。
北から大きな雲のかたまりが近づいてくる。
名残惜しいが下山する。
岩を乗り越えるのは体力を消耗する。一度、しりもちをついた。
往復5~6時間の山行だ。

下山後はブナの森を歩いた。
狩場山系の賀老高原に広がるブナ原生林の面積は10,700haで日本最大級だ。
自然休養林として保護管理され、貴重な資源として保存されている。
賀老の滝を上から見下ろす第2展望台へは赤い吊り橋を渡るが、
左に行かずにまっすぐ進むと遊歩道で回ることができる「太古の森」と「樹海の森」がある。



「ブナの山旅」の著者である坪田和人氏はこの森について次のように述べている。
「大木に近づいて抱きかかえてみる。見上げると、ライトグリーンの若葉が輝いている。
そのままジッとしていると、逆に私のほうが大きく広がった枝に抱きかかえられているような
気がしてきた。大木のなかには、幹にクマゲラがつついた穴が開いていたり、
熊の爪のひっかき傷がついているものがあった。この森の中で生きている
生き物の動きが想像される。ここは最高級のブナ林だ。うれしくなって、森の中を
隅から隅まで歩きまわった」



ブナの樹肌も葉も、そしてブナの森も美しい。



遊歩道の苔も美しい。



まだ夏の勢いが感じられる日差しがドームのようにおおっている緑の葉のすき間をうめている。
1時間半ほど歩いた。
夕暮れが近づいている。ブナの森に別れを告げた。


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よく晴れた日の海向山

2010年10月24日 18時02分02秒 | 山歩き・散歩・温泉
9月中旬のよく晴れた日にホテル恵風から海向山を登ってきた。
海向山には何度も登っているがいつも曇や小雨ばかりで晴れたことがない。
ホテル駐車場の上が恵山の登山口だが、歩き始めてすぐのところに
ヒグマ出没の「お知らせ」があった。
ヒグマは恵山の南側に棲息しているようだ。天気の悪い朝方が要注意とのこと。



40分ほど歩くと展望が開けてくる。



岬展望コースから賽の河原駐車場へ。目指す海向山は青空の下だ。



20分で左右コースの分岐。
右回りコースを行くことにする。



このコースは456メートル峰まで登ると一気に下りとなり、その後は急斜面が待っている。
途中には大きな岩がある。



それにしてもよい天気だ。
頂上では水を飲んで数分で下山することにする。
左回りコースは少し進むと恵山の絶景ポイントだ。
噴煙の様子がよくわかる。



それにしても恵山が自由に登れて駒ヶ岳が制限されているのはよくわからない。
登山道と間違いやすいところもいくつかあるが、昔と違ってコースはよく整備されている。
帰りは道の駅「なとわえさん」に立ち寄り、海をぼんやりと眺めてきた。


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