拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

魔王の尻尾/団子より花

2024-02-04 09:03:30 | 音楽

横野君がね、「ボクは馬鹿だった」って言うの。あら、今頃気づいたの?その方がよっぽど馬鹿、と思ったけど、一応、なんで?って聞いてみた。横野君、最近、シューベルトの「魔王」を歌ってるって書いたでしょ?昨日も某会で歌ったらしいんだけど、その歌詞の中に魔王の「Schweif」ってぇのが出てくる。辞書をひいたら1番目に出てきたのが「(動物の)尻尾」。そっか、魔王だから尻尾があるんだ!ってガテンがいって、でも、「尻尾」なら「Schwanz」って言葉の方が一般的で、だから、横野君、いつも「Schweif」を「Schwanz」って歌いそうになってたんだって。ところが、昨日初めて人の対訳を見て、そしたら「Schweif」が(意味が転じて)「服から長く伸びた裾」ってなってて、そっか、だから「Kron」(王冠)と対になってるのか、道理で「王冠と尻尾」じゃ変だと思ってた、って言ってる。変だと思ったんなら調べなさいよね。もともと横野君は他人のイメージよりまず自分のイメージを持ちたいって言って、音取りのときも音源は聞かないし、歌詞読みのとき人が作った対訳は見ない。で、自分なりのイメージができてから音源を聞いて、人の対訳を読んで確認するんだけど、そのためにときどきとんでもない思い違いをすることがある。今回もそのパターンでした。

「Schweif」が「裾」なら、ダースベイダーがずるずる引きずってるマントの先も「Schweif」かしら。「スターウォーズ」の第1作(エピソードⅣ)で、ダースベイダー初登場のときからマントの先が薄汚れてる。ずるずる引きずってるからゴミを全部掃除してるのね。お掃除ロボットみたいね。

あたしも「魔王」は中学の音楽の授業で習った。教科書には日本語の歌詞が書いてあって、覚えてる。元の詩と比べてみましょうか。

こまをかり
Wer reitet?(馬を駆ってるのは誰だ?)

かぜのよる
durch Nacht und Wind(夜と風の中を)

きしはしるちちとこ
es ist der Vater mit seinem Kind(それは子どもを伴った父親だ)

あら、表現は文語調だけど、映画の字幕よりよっぽど逐語訳。へー。原詩は疑問文で始まってるのね。「だれだー、だれだー、だれだー」で始まるヒーローモノの主題歌があったっけ。あと、中間あたりに「きれいなおべべをきせてあげる」っていうのもあったと思う。「Meine Mutter hat manch gülden Gewand」がそれね。魔王が猫なで声で子どもにすりよるシーンです。

横野君、「Schweif」の件を自分が歌った後みんなに「小話」として披露したんだって。ホントは横野君は、Sさんが歌ったバッハのコーヒー・カンタータの中のアリアについて小話をするつもりだったんだけど、人様が歌った歌だし、だから「尻尾」の話に切り替えたんだって。その「幻の小話」はやっぱり歌詞の話。その昔、ドイツでコーヒーが流行って、で、ある娘さんがコーヒーばかり飲んでるんで、父親が「コーヒーをやめたら男を連れてきてやる」と言ったら娘さん、大喜びして、でそのアリアを歌うの。何度も出てくるのが「Heute noch」(今日にも)と「ein Mann」(男)。つまりね、「今日にも男」を歌いまくるわけ(某会の名称は「歌いまくる会」)。「花より団子」って言うけど、この娘さんにとっては「団子より花」ってわけね。お年頃だからね。



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