拝島正子のブログ

をとこもすなるぶろぐといふものを、をんなもしてみむとてするなり

高音健在(グルベローヴァのノルマ)

2016-11-06 21:06:25 | 音楽
グルベローヴァは私と同じ干支で同じ誕生日、だからそのお歳は常に私の歳に36を足した数(この文には重大な嘘がある)。したがって、現在69歳、今年の12月の誕生日で御年70!(これは本当)。そのグルベローヴァが来日してノルマを歌った。数年前、舞台に「さよならエディタさん」の横断幕が張られて涙の別れをしたそのエディタさんが再び私達の前で歌ってくれるのはうれしいが、はたして大丈夫なんだろうか?ホロヴィッツの初来日の時のようなことになったらどうしよう(「ヒビの入った骨董品」と批評された)。で、いよいよグルベローヴァ登場。うっ、声が出てない、ピッチが低い。そのまま「Casta Diva」を歌い始める。うわー、低い。心配していたホロヴィッツ状態?そのままアリアの高音部分へ。か、神様!そしたら奇跡が。高い音になったとたん、目の前に昔のグルベローヴァが現れた。ピアニッシモで自由自在に操る高音の美しいこと。そしたら中低音も安定してきて、後半は全盛期を彷彿とさせる見事な歌。いやー、ひびの入った骨董品どころか、磨き抜かれた骨董品……いや、骨董品なんていったらバチがあたる。現役バリバリ。160何キロを投げる大谷投手だ。その昔、メトの映像で50歳半ばのサザーランドがルチアをちゃんと歌うのを観て感嘆したが、次元が違う。グルベローヴァの高音域は確立されていて、何歳になったって揺るがないように見える。インタビューで、子供の頃から自分の声は高音にいけばいくほど「サウベレ」(sauberer=より澄んだ)だったと言っていた(標準ドイツ語では「ザウベレ」だが、グルベローヴァは「サウベレ」と発音していた。声が澄んでるからSが濁らない、とか)。これはもっともっといけるぞ。100歳でツェルビネッタとか!(そのとき私は80代。これは本当)