![060802 060802](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/62/801b742bf71300acb5a171a7d4eeaedb.jpg)
うだる暑さが続く夏休み、高校生だった僕は、夕なずめ(薄暗い時間帯)に近くの川に降りた。
自転車のカゴに入れてあった釣り竿と仕掛け、ビクを取り出し釣りの準備をする。
薄暗い時間帯は、捕食活動が活発になるのか、それとも人間の影が薄くなるのか、経験としてこの時間は釣れると体感していた。
昼間の暑さが嘘のように、川に両足をつけると全身に涼しさが行き渡る。
1投目には、不思議と魚は釣れる。
狙いはウグイ(ハヤ)。
僕たちはザコと呼んでいた。ヤマベ(オイカワ)はバカザコ、どちらも可哀想な呼び方である。
上流にウキが付いた毛バリを投げ、下流まで流し、川と直線になった所で引き上げる。
ヒットするのは、この時点だ。アワセもそれほど必要ない。
投げれば、ほぼ毎回1~2匹はヒットする。
釣った魚をビクにいれ、同じような動作を繰り返す。
釣ることは楽しい。
あの瞬間は、釣った者しか分からない。
生き物と接することは想像を遥かに越える。
月が鮮明に見える頃になったら竿を納める。
釣った魚は、全て逃がす。
また、この魚は僕たちを楽しませてくれるだろうか。
それとも、人間のエゴには付き合えないと思うだろうか。
自転車を漕いでいる頃には、自転車の灯りを付けなくてはならない暗さになっていた。