『イニュニック』 星野道夫著 新潮文庫
アラスカで家を建てるところから始まります。
星野さんは、1996年ロシアで取材中に熊に襲われ亡くなわれました。
そのニュースを耳にした時は、登山家が山で亡くなわれたように「仕方がない」ことなのかなあと思いました。
しかし最近読んだ小説家のエッセイの中にこの件に関しての記述があり、その時の状況を知ることができました。
撮影隊がいいものを撮影しようとして熊に餌付けをした、星野さんは宿舎がありながら銃を携帯しないでテントで寝た。
これらを組み合わせると、それは「仕方がない」ことではなかったのではないかと思うようになりました。
自然界では理不尽に命が摘み取られる、そのことは星野さんの文章にも書かれていたことだけど、そこに人が介在した時は人為的になってしまう。
経済優先主義には高潔さはない。そんなことで命を摘み取られたらたまったものではない。
イニュニックといいう意味は、イヌイット語で「生命」だそうです。
この中には、おそらく人の小賢しい知恵は含まれていないであろう。